魔法科高校の総帥   作:東屋かなた

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プロローグ

魔法。

それが伝説や御伽噺の産物ではなく、現実の技術となったのはいつのことだったのだ。

確認できる最初の記録は、西暦一九九九年のものだ。

人類滅亡の預言を実現しようとした狂信者集団による核兵器テロを、特殊な能力を持った警察官が阻止したあの事件が、近代以降で最初に魔法が確認された事例とされている。

当初、その異能は「超能力」と呼ばれていた。純粋に先天的な、突然変異で備わる能力で共有·普及可能な技術体系化は不可能と考えられていた。

しかしそれは誤りだった。

東西の有力国家が「超能力」の研究を進めていく過程で、少しずつ、「魔法」を伝える者たちが表舞台に姿を見せた。「超能力」は「魔法」によって再現が可能となった。

無論、才能は必要だ。だが、高い適性を有する者のみがプロフェッショナルと呼べるレベルまで熟達できる、という意味では、芸術分野、科学分野の技能も同じ。

超能力は魔法によって技術体系化され、魔法は技能となった。

「超能力者」は「魔法技能師」となった。

核兵器すらねじ伏せる強力な魔法技能師は、国家にとって兵器であり力そのものだ。

 

 

 

二○九二年、八月一一日、朝。

 

大亜細亜連合が宣戦布告無しに日本領土である沖縄県へ侵攻し戦端が開かれた。

 

慶良間諸島近海は早々に制海権を握られ、軍内部の反逆者を含むゲリラなどの妨害により沖縄県名護市に大亜細亜連合の上陸を許した 。

 

しかし、日本政府の要請により参上した十師族と国防軍恩納空挺部隊の活躍により大亜細亜連合の上陸部隊は壊滅、投降し日本が勝利した。

 

この戦争の勝敗を決定的にさせたのは十師族の“四葉”の登場だった。

 

彼等はわずか一個小隊の歩兵集団で戦争を終わらせた。

 

歩兵集団の先頭に立つ、フルフェイスのアーマースーツに全身を隠した魔法師が上陸部隊を潰走させているのは、その場にいる、敵の目にも味方の目にも明らかだった。

 

その光景は戦闘と表現することは出来なかった。

 

一方的に過ぎる殺戮。しかし同時に虐殺と呼ぶには惨たらしさが欠如している。

 

   血が流れる。

 

   肉が、飛び散る。

 

   血肉を焼く臭い、五体を引き千切る爆音。

 

   兵士達は“何か”を観て、感じ、狂う。

 

大亜連合軍の放つ銃弾が、手榴弾が、携行ミサイルが、国防軍の戦列に届く前に空中に溶けて失せる。同じ規格を持つ弾が、爆弾が、ミサイルが集合体として消えていく。

 

なおも踏み止まり、狂い、混乱し、引き金を引いていた上陸部隊の兵士が一人、また一人と次々に

“自害”する。

 

今度は致命傷を負いながらも生きていた国防軍兵士が次々と起き上がる。

 

戦場は四葉の魔法師達の歩く音と大亜連合軍兵士の狂った声が響いていた。

 

次第に狂った声すらなくなる、それはこの場の敵が全滅したことを表していた。

 

 

Demon Right

 

 

 その右手に持つ大鎌を振り下ろせば人や機械は死を与えられ消え去る。

 

 Devine Left

  

 大鎌を左手で振り上げれば人は生を与えられ蘇る。

 

 

『四葉の閻羅王』

 

 

今までの狂った光景を見ていた国防軍兵士がそう言った時、既に四葉の魔法師達は消えていた。

 

 

 

三年後、二○九五年、四月。

国立魔法大学付属第一高校は入学式を迎えた。

 

「———それではこれより、国立魔法大学付属第一高校入学式を始めます。」

 

「第一高校生徒総帥、四葉達也よりご挨拶です。お願いします。」

 

 

 

 




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