とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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 ○月%日

 今日はなんだか妙な事が起きた。

 昼休みに幼馴染の女に屋上に呼び出されたら、なんか興奮してて……屋上から突き落とされた。

 よく判らん。興奮していた理由も判らなければ、なぜ俺を突き落とすのかも判らないのだ。

 取り敢えず言える事は、俺は突き落とされて、空を舞ったという事だ。

 本気で怖かった。

 地面に叩き付けられる前に、胸がキュ、ってなったんだ。

 そして気付いたら、家で寝てた……これは流行の夢落ちなのだろうか?

 だが、屋上から突き落とされた時の恐怖は本物だ。目が覚めて半日経った今でも、思い出すと足が震えてくる。

 ……今日はもう寝よう、疲れた。

 でも、一人暮らしをしててよかった……この歳でベッドから転がり落ちて目が覚めたからな。

 というか、俺には幼馴染の女なんて居ないんだが――あれって誰だったんだろうか?

 

 

 

 ○月&日

 変な夢を見て三日経つが、毎日悪夢に魘されてしまう。

 あと、高い所が妙に怖い――高所恐怖症にでもなってしまったのだろうか?

 それと、妙な視線を感じる。

 そうそう、学校に行く途中でコンビニに昼飯を買いに寄ったらさ、女の人に声を掛けられたんだ。

 それは良い。ナンパかと、少しだけ胸が高鳴ったのも事実だ。

 でも、次の瞬間にだな……お菓子を強請られた訳だよ。ポテトのうすしお味。

 なんで? 断ったら滅茶苦茶怒られたし。正直、怖かった。

 「人間のくせに生意気」とか「人間の立場が判ってないの?」とか言われた……なんなのだろうか?

 春だし、ああいう人が湧くのかもしれないなぁ……結構可愛い人だったのに、勿体無い。

 その後、うちの学園の制服を着た男と歩いて行った……リア充はもっと慎ましく生きるべきだと思う。

 

 

 

 ○月Q日

 なんか今日、知ってる人と知らない人が訪ねてきた。

 リアス=グレモリーと姫島朱乃。美人で有名な同級生だ。や、この時は何事、と思いながらも俺の胸は高鳴ったね。

 だって、休みの日に学園一と噂される美女が訪ねてきたんだぞ? これは妙な勘違いをしてもしょうがない。俺も思春期の男の子なのだ。

 ……その後ろに、イケメン男が居なければ。

 これは俗にいう、ハーレムって奴ですか? 妬ましい……リア充爆発しろ。

 そんな黒い事を考えていたら、グレモリーの方から、笑顔で契約書に署名させられそうになった。

 ――え? と思ったね。

 もう、思考が白くなって、無意識にサインしそうになった自分が怖い。美人の笑顔って怖い。魔性の女、グレモリー。

 しかも、常識人で通っている姫島まで止めないからペンを手に取ってから気付いた始末だ。

 あと少し気付くのが遅れていたらどうなっていた事か……。

 しかもその時、舌打ちしたんだよ、グレモリーのヤツ。――これが本性か?

 ちなみに、契約書の方は英語?だったので、読めなかった。

 いや、英語っぽい文字、というべきか。これでも一応高校3年生だ、簡単な英文なら読める自信があるけど、全く読めないのだ。

 どうやって契約書の件を断るか考えていると、グレモリーから契約書の内容の説明を受けた。

 悪魔がどうとか、俺が実は凄い道具を持ってるんだとか。

 うん、帰れ。

 話を一通り聞いてから、お帰り願う事にした。

 ……うちの学園一の美女は、妙な宗教にでも嵌ってるのか? 嘆かわしい。

 春だからな……。

 グレモリー達を追い出して部屋に戻ると、見知らぬ小さい少女が居た。

 

「――それでは、失礼します…先輩」

 

 そう頭を下げて去っていく小さな少女……まぁ、グレモリー達がインパクト強すぎて気付かなかったんだけど。

 あと、一言も喋らなかったイケメンは誰なんだろうか?

 

 

 

 ○月D日

 授業が終わった放課後、姫島からのお誘いを受けた。

 なんでも、部活の見学に来てほしいんだとか。

 まぁ、俺は確かに帰宅部だから……なんていうと思うか?

 もう三年だぞ? 来年は就職だぞ? 何で今更部活に誘うんだろうか?

 先日の事もあり、二つ返事で断ったが連れて行かれた。強引なんだな姫島……というか、力が強すぎないか?

 握られた手首が砕けるかと思ったぞ。

 やはり宗教に嵌ってる人に「宗教に興味はないから」っていうのはNGなんだな。

 今度からは、もう少しオブラートに包んで断るとしよう。

 そんな事を考えていたら、気付いたら旧校舎の入口まで連れてこられていた。

 

「それでは心の準備は出来ましたか?」

 

 無理やり連れてこられて心の準備なんかあるもんか、と言いたいが、そこはグッと堪える事にする。

 ここで変に反論しても興奮させるだけだと俺は思ったんだ。

 だって考えてもみろよ、手首を砕きそうなくらいの腕力を持ってるんだぞ? 勝てる気がしないって。

 という訳で、反論する事無く旧校舎に入る事にした。

 や、別にどんだけ説得されようが、俺って宗教は信じない主義だし。

 ……そう思ってたんだよ、その時は。

 でもさ、爪が伸びたり剣が出てきたり。仕舞には火の玉や雷が落ちたんだぞ?

 手品か何かと反論するのも馬鹿らしくなってきた……。

 隣に座ってる後輩に至っては、グレモリーの美貌に骨抜きになってやがるし。

 騙されるなよ、後輩。こいつ、結構腹黒いぞ――ほら、こんな事を考えただけで俺に笑顔を向けてきやがる。

 知ってるか? 笑顔ってのは威嚇の意味合いもあるらしいぞ?

 そんなこんなで、この後輩はグレモリーの部活に入部するらしい。

 俺? 断ったよ? 爪も伸ばせなければ、火の玉も出せないし。

 ちなみに、昨日のイケメン君は木場祐斗。隣に座る後輩は兵藤一誠という名前らしい。

 悪魔がどーとか混乱してて、グレモリーの話は半分も覚えてないが、名前くらいは覚えておこう。

 自己紹介を済ませて部室を出た所で、制服の裾を引かれた。

 振り返ると、昨日、最後に部屋を出て行った白い少女が居た。

 

「塔城小猫です」

 

 ……すまん、小さくて気付かなかった。

 

「上代徹だ、よろしく」

 

 ちょっと素っ気無さすぎたかな?

 そう言えば、兵藤って先日俺にポテトを強請った女と歩いてた男だ、と帰ってから気付いた。

 なんだ、ヤツもリア充なのか……。

 

 

 

 ○月B日

 先日の旧校舎拉致事件(仮)から、グレモリー達は俺には関わって来ない。

 どうやら、俺からは興味を失くしたらしい。良い事なんだが、ちょっと寂しい。

 そんな事を考えながら街を歩いていたら、兵藤のヤツが金髪の美少女と並んで歩いていたんだ。

 ……ほんと、自分の目が腐ったのかと思ったぜ。

 それか、幻でも視てるのかと自分が心配になった。

 そんな感じで呆然としていたら、向こうに気付かれてしまった。

 

「初めまして、アーシア・アルジェントと申します」

 

 ――正直に言おう、何この子。すっごい可愛い。

 礼儀正しいし、金髪だし、シスターだし。

 シスターのローブ姿って、禁欲的なのに、男心を擽るよね。

 

 

(文字が汚くて読めない)

 

 

 しっかし兵藤のヤツ、悪魔なのにシスターと一緒に居るのって大丈夫なんだろうか?

 まぁ、俺には関係ないんだけどさ。

 

 

 


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