とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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二巻開始。
主人公の成り上がりが始まる……かもしれない(予定)


10(二巻開始)

 

 △月S日

 

 最近は、俺よりレイナーレさんの方が起きるのが早い。

 起きると朝食が用意されている日常……素敵過ぎます。

 このままだと、レイナーレさんが居ない日常では生きていけなくなるかもしれない。いや、本当。マジで。

 それと最近、朝早くから近所を兵藤とグレモリーがランニングしている。偶に姫島も。

 悪魔が早起きしてランニングってどうよ? なんか違うような気がする。

 しかし、疲れたからってウチに寄って牛乳を飲んでいくな。ウチは休憩所じゃねぇ。

 レイナーレさんも悪魔らしくないと呟いていた。やっぱりそうですよねー。

 それと、ようやっと、晩の食卓に肉類が並んだ。少し焦げてたけど、それはそれで美味かった。

 というか、女性の手作り料理だ。マズイだなんて言えません。一生懸命作ってるようだし。

 これをマズイだなんて言ったら神様に怒られる。

 ……堕天使って、神様を信じてるのだろうか?

 今度、レイナーレさんに聞いてみよう。

 

 

 

 

 △月D日

 

 今朝も兵藤とグレモリーがランニング途中にウチに寄っていった。

 だから、牛乳を飲みに寄るな。それもタダじゃないんだぞ、タダじゃ。

 レイナーレさんも居るから、食費もバカにならないというのに……。

 このままじゃ、家計簿をつける事になるかもしれん。

 まぁ、親にレイナーレさんの事を相談して、小遣いを増やしてもらうのが一番なんだけど。

 ……どう説明しよう? 取り敢えず保留。まだそこまで切羽詰ってないし。

 

 

 

 

 △月¥日

 

 今日の晩飯は、久しぶりにチラシを使うかなぁ、と。

 そんな事を考えていたら、グレモリーと姫島が俺を呼びに来た。

 勘弁してほしい。お前ら目立ちすぎるんだよ。他の連中の視線が凄く痛いんだよ。

 そうは言っても聞き届けてもらえないんだけどさ。こいつら、自分の道を爆走しすぎだと思う。

 もう少し他人に気を配ってほしい。

 しかも内容は、最近家に寄って済まない、との事。

 まぁ、そう言ってもらえるならいいけど……誤解を招く言い方は勘弁してほしい。

 高校生は話題に飢えているんだよ。

 チクショウ……明日からの登校が怖い。

 ムカついたので、チラシでグレモリーを呼んで、晩飯を作ってもらった。

 ……こいつ、料理出来たのか。笑顔がすごく怖かった。 

 

 

 

 △月F日

 

 今日は兵藤とアーシアさんが一緒に走っていた。

 息も絶え絶えなアーシアさんが、とても微笑ましかった。今日も寄ってきたので、野菜ジュースを出した。

 だが兵藤、テメェは牛乳で十分だ。

 最近は、随分とレイナーレさんとアーシアさんの仲が良いような気がする。

 綺麗な女の子同士、仲がいいのは良い事だ。うん。

 

 

 

 

 △月G日

 

 こいつらは、俺の家を何だと思ってるのだろうか?

 最近は毎日家に寄ってきやがる。そろそろ牛乳代を請求していいかもしれない。

 しかも姫島とグレモリー。お前ら遠慮が無さすぎだ。

 当然のように家によって、玄関で飲み物を持ってくるのを待ってやがる。遠慮しろ、遠慮。

 塔城さんとアーシアさんが常識的過ぎて、お兄さんの好感度高いよ?

 兵藤? なんかアイツ、いつも息絶え絶えなんだよな。体力ねぇなぁ。

 そんなオカ研連中に飲み物を渡すレイナーレさんが天使過ぎる。堕天使だけど。

 

 

 

 

 △月H日

 

 何か兵藤が、奇声を上げながら夜なのに自転車を漕いでた。

 どうも、呪いのチラシを配って回ってるらしい――後ろにアーシアさんを乗せて。

 羨ましい。そして、近所迷惑だから大声で喋るな。会話の内容が丸聞こえだ。

 ちっ、兵藤のヤツ、本当にリア充になりやがって。

 まぁ、レイナーレさんの手料理が食べれる俺も大概か。リア充には程遠いけどなー。

 そんな事を考えながら風呂から上がると、黒髪堕天使メイドのレイナーレさんとは別に銀髪のメイドさんが居た。

 誰?

 グレイフィアさんと名乗った銀髪メイドさんは、グレモリーが来てないか聞くと、すぐに消えていった。

 ああ、グレモリーの関係者なのね……あ奴の一族は、本当に自分の道を爆走しているなぁ。

 レイナーレさんが驚いて震えていたので、コーヒーを淹れてあげた。

 そりゃ、いきなり他人が現れたら驚くよなぁ。しかもメイド姿だったし。

 俺も結構驚いたと言うと、笑ってくれた。

 ……そんな異常事態に慣れている自分が怖い。

 

 

 

 △月J日

 

 今日は本当に、色々な事があった。

 まず第一に、なんでか、昨日の銀髪メイドさんが学園に居た。

 というか、オカ研に拉致られた。

 ……姫島といい、このメイドさんといい、グレモリーの関係者は忍者ばかりなの?

 なんで? 俺、部員じゃないんですけど?

 最近良く喋ってたし、関係者と勘違いされてるのだろうか?

 抵抗らしい抵抗も出来ない、非力な自分が怖い。そのうち、誘拐でもされるんじゃなかろーか。

 しかし、よく見るとこのメイドさん、あり得ないくらい美人だ。

 レイナーレさんもそうだが、メイドっていうのは美人しかなれない職業じゃないはずなんだが……。

 まぁ、レイナーレさんは厳密にはメイドとは違うけど。新しい服も買ったし、もう脱いでも良いと思う。

 ……眼福だけどさ。

 部室には、案の定、元凶であろうグレモリーと姫島が居た。驚くな。俺も驚いてる。

 このメイドさん――グレイフィアさんが言うには、サーゼクスさんという人が俺を呼んだらしい。誰やねん。

 その後はポンポン話が進んで行って、途中からは上級悪魔? なんか、燃えてる男まで現れる始末。

 だから、誰か説明をだな……悪魔って本当、自分の道を進むのに全力だよなぁ。と思った。

 フェニックスさん。格好良い名前だ。アレかな? 死んだら復活したりするのかな? 無敵じゃん。

 そんな事を考えながら、姫島が淹れた紅茶を飲んで気を紛らわせてました。

 空気だ。俺は空気になるのだ。明らかな場違い感が、俺の豆腐なメンタルを押し潰そうとしますが、空気にメンタルなんかねぇ。

 あと、笑顔の姫島に兵藤が怯えていた。気にすんな、アイツの本性はそんなもんだ。

 その後はグレモリーの御家事情や、悪魔の家庭事情? なんか、色々と複雑らしい。

 でも、『七十二柱』って、どっかで聞いたぞ。ソロモンだっけ? 男の子なら憧れるワードの一つだ。

 フェニックスってソロモンの悪魔に含まれたっけ? 後で調べてみよう。

 そんな事をぼんやりと考えていると、部室が燃えたり、グレモリーが紅く光ったり。

 ……とりあえず、ここに一般人が居る事を忘れてないか、お前ら? と言いたい。

 怖かったので、あと火の粉が熱かったので、避難した先にはグレイフィアさんが居た。やっぱり美人だなぁ。

 グレイフィアさんも、なんか俺に視線を向けてくる。 何? まだ何か用? 俺はさっさと帰りたいんだけど。

 つか、俺って場違いにも程があるだろ。メイドさんに連れられて、ホイホイついてきた結果である。

 今度からは、少しは抵抗しようと思います。悪魔に勝てる気はしませんが。

 結局、その後はグレイフィアさんの鶴の一声でこの場は収まった。

 なんか、『レーティングゲーム』? それで問題解決をするらしい。良いね、ゲーム。平和的で何よりだ。

 ――そう思っていた時期が俺にもありましたよ?

 立会人がグレイフィアさんと俺じゃなかったら、さぞかし素敵なゲームだったろうよ。

 なんか、サーゼクスさんって人が俺を指名したらしい。

 だから誰だよそれ。グレモリー達も、驚く前にまず説明をだな……。

 そういう意思疎通が出来ないから、争いが起きるんだよ。しかも、場の雰囲気的に凄く聞き辛い。

 何処の何方様なのでしょうか、そのサーゼクスさんというのは?

 結局その後は、グレイフィアさん指揮の元、お互いの配下悪魔を紹介して解散になった。

 つか、フェニックスさんの方、本当に女の子ばっかりなのな。

 兵藤じゃないが、ある意味すげぇ。

 で、だ。

 なぜみんなして、俺を置いて帰った? 拉致して放置とか、本当に悪魔だなお前ら……。

 挫けそうになりながら家に帰り、レイナーレさんに今日の事を話すと、大層驚かれた。

 サーゼクスさん。魔王なんだってさ。

 ……あのメイドさん、人違いしてるんじゃないの?

 今度会ったら、それとなく聞いてみよう。

 しかし、『レーティングゲーム』ってどんなゲームなんだろうか? ネットで調べたら載ってるかな?

 今日は書くことが多い。というか、誰かに愚痴りたい……もっと意思の疎通を図る努力をしろ、悪魔ども。

 

 

 

 

 △月K日

 

 朝起きてリビングへ行くと、レイナーレさんとグレイフィアさんが居た。

 ……もうやだ、この人。神出鬼没にも程がある。

 そして、それに驚かない自分も嫌だ……どんだけ慣れてるんだよ、俺。

 人間の適応力は凄いらしいけど、そんなレベルじゃないと思う。

 流石に、お客さんが居る前で朝食を食べる勇気も無いので、レイナーレさんが淹れてくれたお茶を飲んで空腹を紛らわせた。

 本当、空気の読めるいいメイドさんだよ、レイナーレさん。

 それと昨日の件、人違いじゃないですか、と聞いてみたが俺で合っているらしい。

 ……魔王様と会った事なんてないんだけどな。

 絶対人違いだと思うんだけど。レイナーレさんは、凄く睨んでるし。

 この人、美人だからマジで怖いな……。

 今日は、『レーティングゲーム』ってのの説明と、昨日の事をお詫びに来たらしい。

 放置した事を覚えててくれてよかった。それだけで少し救われた気分になる。……俺って安いよなぁ。

 ゲームの説明を軽く受けて、一枚の紙を渡される。

 10日後の勝負の時に、監視席に移動する物らしい。うん。正直、要らん。

 でも返せない俺、本当にヘタレ。

 最後に、グレモリー達を助けてほしいとも言われた。

 や、一般人代表の俺に何をしろと? 自慢じゃないが、兵藤のゴツイ篭手に殴られただけでも死ねる自信があるよ、俺。

 そう言うと、グレイフィアさんが初めて笑顔を見せてくれた。

 ……そこ、笑う所じゃないと思う。結構重要な所ですよ?

 

 

 

 




グレイフィアさんって素敵過ぎると思う。
今回は、主人公は完全に巻き込まれてます。
話の方向性が、やっぱり右往左往してるなぁ、と自分でも思ったり。

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