+月A日
今日も、誰もいない。
退屈だ。
ヴァーリ達も、最近はどこかへ行っている。
――気になる?
判らない。
ただ、退屈だ
退屈な時は、美猴を撫でると面白い。
+月B日
曹操が来た。京都の九尾を介し、グレートレッドを呼ぶと言っていた。
――どうして我は、京都へ向かわないのだろうか?
判らない。
静寂を手にする事が出来るのに。
……判らない。
ただ、退屈だ。
黒歌の日記を読んだ。
帰る場所――我の帰る場所は、何処?
次元の狭間じゃない?
+月C日
ルフェイと「おっぱいドラゴン」を見た。
ルフェイは、乳龍帝が好きらしい。よく判らない。
変わったドライグを見ていると、アルビオンはいつも泣いている。
悲しい?
ヴァーリはアルビオンを慰めていた。カミシロトオルの真似らしい。
我もアルビオンの話を聞いた。ドライグが変わってしまって哀しいと言っていた。
変わる事は哀しい事?
我も、黒歌も、ヴァーリも、美猴も、アルビオンも変わった。
それは哀しい事?
美猴は笑っていた。判らない。何が楽しい?
+月D日
アルビオンの話は退屈ではない。
二天龍が争っていた時の事。封印された時の事。『神滅具』となって、争うようになった事。
話してくれた。
知っていたが、話を聞くのは退屈ではない。
アルビオンは、昔のドライグに戻ってほしいと言っていた。
だが、今のドライグをルフェイは好きだ。我も、変わったドライグの方に興味がある。
『覇』ではない力を求めているドライグ。どうなるか判らない。面白い。
アルビオンも、『覇』とは違う力を求める?
否定された。
ヴァーリは何も言わなかった。
アルビオン、何故泣いた?
+月E日
曹操が来た。九尾を捕まえたと言っていた。
グレートレッドを呼ぶには、まだ時間が必要だとも。
……我、京都へ行く?
京都、争いになる。戦いが起こる。
あまり興味が無い。何故?
我、静寂が欲しくない? 判らない。
ただ、静寂は退屈だ。
退屈ではない静寂――それは何処?
カミシロトオルに会いたい。答えを知っている? 判らない。会いたい。
+月F日
カミシロトオルと会った。美猴が会わせてくれた。撫でると笑っていた。
カミシロトオル、我の親の事を聞いてきた。
親。我にソレは無い。『無』から生まれた無限。それが我。
何も無い。それが我。
カミシロトオル、今日も我にあいすをくれた。カミシロトオルの静寂は退屈ではない。
我が望む静寂と、カミシロトオルの静寂は違う?
判らない。
親が居ない事を寂しい、と聞かれた。寂しい、という感情は知らない。我はずっと独り――ずっと寂しい? 判らない。知らない。
カミシロトオルが我を撫でた。それだけ。我、変わった? 判らない。
美猴に聞いた。笑っていた。答えはくれなかった。
+月G日
ヴァーリ達が、カミシロトオルに会いに行った。ドライグが京都に行くから、忠告に行った。
カミシロトオルは京都に行かないらしい。
曹操。カミシロトオルに興味を持っていた。曹操も変わる?
よく判らない。
グレートレッドの事も……。
カミシロトオルに撫でられたことをヴァーリに言うと、笑っていた。
アルビオンも笑っていた。ルフェイも。美猴は大声で笑っていた。
判らない。
我、変わった?
誰も教えてくれない。答えてくれない。ただ、笑うだけ。
静寂ではない。
だが、退屈でもない。
悪くない。
+月H日
ルフェイを撫でると、笑っていた。
フェンリルを撫でると、尻尾を振っていた。
誰も我を撫でない。
何故?
カミシロトオルは我を撫でた。何故?
カミシロトオルと皆、何が違う?
――判らない。寂しい?
だが、悪くない。退屈ではない。
+月I日
旧魔王派が冥界に向かった。争いが起きる。戦いが。
ヴァーリ達は行かなかった。興味が無いと言っていた。
アルビオンもドライグも、戦いを求めていた。
ヴァーリは変わった。
笑っていた。
我も変わった?
ヴァーリが言った。
ルフェイも、美猴も、アルビオンも。
我が変わったと言った。
寂しくない? 寂しいは知らない。けど、寂しくない。
よく判らない。
――楽しい?
+月J日
曹操、ドライグに負けた。
でも喜んでいた。グレートレッドも呼べなかった。
『覇』ではないドライグ、強くなっていた。乳龍帝、強くなる?
アルビオンが変な声を出していた。面白い。
孫悟空と玉龍の事を聞くと、美猴が変な顔をしていた。
京都も、楽しそうだった。
――行けばよかった? そうは思わない。
何故?
+月K日
ドライグの変化、ヴァーリも楽しそうだった。我も楽しい。
興味深い。
『覇』ではなくなったドライグ、何になる? 乳龍帝?
ルフェイも興味を持っていた。
アルビオン、泣いていた。何故?
ドライグが強くなるの、嬉しくない? 判らない。
ルフェイを撫でると、驚かれた。
我を撫でてくれない。何故?
美猴を撫でると笑う。でも、我を撫でてくれない。判らない。
+月L日
カミシロトオルに会いに行った。
カミシロトオルは私を撫でてくれた。撫でてほしいと伝えると、撫でてくれた。
言わないと伝わらない。なるほど。
美猴に撫でてほしいと伝えた。驚かれた。何故?
でも、撫でてくれた。
よく判らない。我は変わった?
美猴は変わったと言った。
我は変わった。
どう変わった?
美猴は答えてくれなかった。
+月M日
我はどう変わった?
誰も答えてくれない。笑っている。
我が答えを見つけないといけないと言われた。
……我はどう変わった?
判らない。
我も、ドライグのようになる?
『無』ではなく、違うモノを求める?
ドライグのように変わる? 強くなる? グレートレッドよりも?
美猴がカミシロトオルに会った。
カミシロトオルは、我の変化を喜んでいたようだ。
よく判らない。
多分、寂しくない。
+月N日
我は変わった。
寂しくなくなった。
今まで寂しかった? 判らない。
だが、今は寂しくない。
ルフェイと「おっぱいドラゴン」を見た。やはり、何が面白いのか判らない。
でも、ルフェイは楽しんでいた。喜んでいた。
我も寂しくなかった。悪くないと思った。
+月O日
カミシロトオルに会いたい。
ルフェイに言うと、寂しいのか、と言われた。
寂しい? 我は寂しくない。
よく判らない。でも、寂しくない。
寂しいとは何?
カミシロトオルに会いたいのは、寂しいから?
判らない。答えは誰も教えてくれない。
これも、我が気付かなければならない事? 何故?
だが、悪くは無い。
考えるのは、退屈ではない。
黒歌は寂しくない。
カミシロトオルと一緒に暮らしているから。
我は寂しい? カミシロトオルと、一緒に暮らしていないから。
いや、寂しくない。
ヴァーリ達と居るのは寂しくない。静寂は無いが、退屈も無い。
なら、なぜカミシロトオルに会いたい? ――判らない。
+月P日
曹操が来た。
我がまた変わったと言った。どう変わった? 答えてくれなかった。
判らない。
ただ、笑っていた。変な笑顔だった。
ヴァーリも美猴も笑っていなかった。
面白くない。
静寂は望むものだが、面白くない。退屈だ。
曹操、何を考えている? 判らない。
ヴァーリ達が笑わないのも、面白くない。
だが、撫でると笑った。
+月Q日
曹操が変。ヴァーリがそう言っていた。
よく判らない。興味が無い。
曹操の話をする時、ヴァーリ達は笑わない。
笑うが、面白くない。
戦いを求めるのは、二天龍の本質だから。判る。我とグレートレッドもそう。
でも、面白くない。
撫でると笑ってくれた。それがいい。寂しくない。
+月R日
ルフェイが「おっぱいドラゴン」の新作を持ってきた。
我は「サタンレンジャー」の方が好きだ。
だが、ルフェイと一緒に見る「おっぱいドラゴン」は面白い。
アルビオンが今日も泣いていた。
「おっぱいドラゴン」を見た後、アルビオンの話を聞いた。
カミシロトオルがアルビオンの話を聞くと落ち着くらしい。
ドライグも話すようだ。
我も話したい。
ルフェイが京都の事を話してくれた。
ドライグを助けたらしい。
――ドライグ、弱くなった?
曹操を倒したドライグと、ルフェイが助けたドライグ。どちらが本当?
+月S日
ルフェイがカミシロトオルに会いに行った。
その事を話してくれた。
ドライグの事を心配していたらしい。
カミシロトオルは、ドライグが乳龍帝になる事を心配している?
でも、今度ルフェイの為に乳龍帝のさいんを貰ってくれると言っていた。
ルフェイは楽しそうだった。
カミシロトオルと話すと楽しい?
――我も話したい。
+月T日
明日、カミシロトオルに会いに行く事になっている。
美猴が連れて行ってくれる。
楽しみだ。
+月U日
カミシロトオルが、今日はたこ焼きを食べさせてくれた。
あいすも美味しかったが、たこ焼きも美味しかった。
カミシロトオルは、美味しい物を教えてくれる。
今までは気にしていなかったが、食事も悪くないと思う。
嫌いな物は知らない。我は何でも食べる。
カミシロトオルはトマトが嫌いと言っていた。我は食べれる。
その事を美猴に言うと、大声で笑っていた。何故?
美猴も好き嫌いは無いと言っていた。
たこ焼きは美味しかった。また食べたいと思う。
明日も、美猴がカミシロトオルに合わせてくれると言った。
ありがとうと言うと、驚かれた。
何故?
望む事をしてもらった時は礼を言うのではなかったか?
+月V日
カミシロトオルとラーメンを食べた。
美猴が羨ましがっていた。何故? 美猴はラーメンが好き?
カミシロトオルと話した。
楽しかった? よく判らない。
ラーメンは美味しかった。アイスも、たこ焼きも。
カミシロトオルは、美味しいものをたくさん知っている。
我は何も知らない。
美猴が、今度教えてくれると言っていた。楽しみ。
食事は楽しい。カミシロトオルが教えてくれた。
我はまた変わった?
+月W日
曹操、ギリシャの神と接触してる?
最近、曹操の秘密が目立つとルフェイが気にしていた。
どうでもいい。興味が湧かない。
それよりも、ルフェイと「おっぱいドラゴン」を見ている方が良い。
静寂とは程遠い。だが、悪くない。何故?
我が求める静寂とは何?
判らない。
知らなかった事を知るほど、判らない事が増えている。
+月X日
黒歌が来た。珍しい。我の元を離れてから、初めてだ。
黒歌はカミシロトオルの側。三大勢力とも、どの勢力にも属さない、と言っていた。
曹操も手を出さなかった。
カミシロトオルは、我らに敵対していない。
敵対したのは、旧魔王派の一部だけ、と言っていた。
どうでもいい。そんな事には興味が無い。我は、カミシロトオルと敵対するつもりは無い。
それだけだ。
黒歌に、日記の事を聞いた。
驚かれた。何故?
部屋に日記が置いてあったから読んだだけ。
黒歌はカミシロトオルと会って変わった。カミシロトオルを好きになった。優しくされて喜んでいた。寂しくて泣いていた。でも、寂しくなくなった。
黒歌の日記は何度も読んだので、内容は覚えている。黒歌がどれだけカミシロトオルとの出会いを喜んでいたのか知っている。
その後、黒歌は耳を塞いでいた。何故?
美猴が大声で笑っていた。その後、黒歌に叩きのめされていた。
どうして?
黒歌が変わった理由を教えてほしい。誰もが我が変わったと言う。変わった黒歌なら、我が変わった理由が判る?
教えてくれなかった。それと、日記を取られた。黒歌の日記なのでしょうがないと思う。
だが、残念だ。もっと読みたかった。黒歌から読まないでとお願いされた。
覚えているから問題無いが。
……黒歌から忘れてほしいと言われた。
無理だ。我は覚えが良い。それに、我の日記にも書いている。
しょうがないので、今度カミシロトオルに聞く事にする。
カミシロトオルと会うのは楽しみだ。今度は、何を食べさせてくれるだろうか?
黒歌から、カミシロトオルと会った事を何度も聞かれた。
+月Y日
黒歌がカミシロトオルの元へと帰っていった。
最後まで美猴は大声で笑っていた。黒歌に叩きのめされていた。
+月Z日
曹操が変。
我に敵意を向けてくる時がある。
よく判らない。
だが、曹操では我を害せない。
それに、興味も無い。
ヴァーリ達は次元の狭間の探索に向かった。
何か面白い話を持ってきてくれたら、と思う。
帰ってくるのを、我は待っていよう。
静寂だ。退屈な静寂だ。
だが、待つのは悪くない。
またカミシロトオルに会いに行こう。黒歌の事を聞こう。楽しみだ。
――寂しくない。
オーフィスが「おっぱいドラゴン」にはまったら、イッセーは戦犯(確信
ドライグとアルビオンは提訴していい。
グレートレッド? ……不幸な事件だったよ。