とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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ちょっと短い。短編って感じかな?

おいおい、ヴァーリチームの剣士さんと徹君なんて、誰得のカップリングだよHAHAHA
あと、ドライグさんはもう、雄でもヒロインいけるような気がしてきた(錯乱


109(白猫日記)

 +月V日

 

 最近、変だ。

 徹先輩の一挙手一投足――小さな事も、気にしてしまっている。

 しかも、私自身の感覚も鋭くなってる気がする。

 よく判らない。

 ――先日、先輩に肩を揉んでもらってからだ。

 あの時に、何かしただろうか? 特別な事はしてないと思う。

 ただ少し……私以外にも優しくする先輩に…思う所はあったが。

 変な感覚――慣れない。

 

 

 

 +月W日

 

 変だ。自分でもよく判らないが、変だというのは判る。

 徹先輩と話す事が出来ない。

 顔を見ると、どうしても言葉に詰まってしまう。

 こんなこと今までなかったので、自分がどうなってしまったのか判らない。

 これじゃまるで――。

 そんなはずはない。

 ……こんな事、姉様に相談できるはずがない。

 

 

 

 +月X日

 

 徹先輩を避けてしまっている。

 自分でも判る。その事を、徹先輩も気付いている。気にしている。

 ――徹先輩に気にしてもらっている事を、喜んでいる自分が居る。

 他の人にも気付かれているだろうか? 気付かれないように、他の人が居る所では徹先輩と一緒に居ないようにしている。

 徹先輩と二人っきりになったら、途端に距離を置いてしまっている。

 ……どういうこと?

 自分が判らない。――怖い。

 これじゃまるで、徹先輩を気にしてる。レイナーレとか、姉様とか、ロスヴァイセさんとか関係無く……私が先輩を意識しているようではないか。

 そんな事は無い。

 姉様が、今日は『禍の団』の所へ行っていて良かった。

 ――姉様には、気付かれたくない。

 どうにかして元に戻らないと……。

 

 

 

 +月Y日

 

 姉様が帰ってきた。あっさり気付かれた。

 ……どうかしてる。私が徹先輩を意識してる? そんな事、無い。

 意識するとしても、それは後輩として、先輩として、姉様の妹として。

 それ以上でも、それ以外でもない。それだけだ。

 でも少しだけ……姉様と徹先輩が話している所を見ると、イライラした。

 今までそんな事は無かったのに。

 『禍の団』のボス、オーフィス。私も含める、グレモリー眷属……三大勢力、世界の敵。

 そのオーフィスと会っていた徹先輩。その事は、あまり気にしていない。どうしてか。

 ただ……徹先輩と姉様が話している所を見ると、イライラした。

 瞑想をしても、落ち着かない。

 私は、どうなってしまったのか……。

 

 

 

 +月Z日

 

 今日の事を、よく覚えていない。

 記憶が無い。ただ――徹先輩の匂いを、覚えている。

 自分が判らない。

 姉様の話では、私は徹先輩に甘えたらしい。身体を摺り寄せて、誘惑し、膝枕をせがんだとか。

 ……覚えていない。

 私が何をしたか覚えていないのに、徹先輩の匂いは覚えてしまっている。

 お風呂に入ったあとなのに、まだ先輩の匂いを思い出せる。ドキドキしてる。

 先輩に甘えて、私の匂いを先輩に付けた。先輩に擦り寄って、先輩の匂いを身体に沁み込ませた。

 ……恥ずかしい。

 今は落ち着いているが…私は、どうしてしまったのか…。

 

 

 

 !月A日

 

 今日は疲れた。精神的に。

 イッセー先輩が子供たちに人気なのは良い事なのかもしれないが、それに巻き込まれるこっちは大変だ。

 乳龍帝「おっぱいドラゴン」

 今日はそのショーの手伝いとして駆り出された。

 ヘルキャット。それが私の立場。

 ……正直、諦めている部分でもある。部長と魔王ルシファー様からの依頼なのでどうしようもない。

 今日もその仕事だったが、今日はどうしてか徹先輩の配下一同揃って見学していた。ルシファー様が招待したらしい。勘弁してほしい。

 ――姉様の視線が一番堪えた……。

 徹先輩も、どうしてこんな子供向けのヒーローショーなんか見に来たのか…。

 どうにも最近、自分の感覚を持てあましてしまってる。

 どうしてか、徹先輩の視線を気にしてしまう。それが、ずっと続いている。

 不安だ……徹先輩から視線を向けられると、自分が判らなくなる。

 

 

 

 !月B日

 

 徹先輩から、レイヴェル・フェニックス――焼き鳥姫と仲良くしてほしいと頼まれた。

 正直、どうするか迷う。

 彼女の事は、あまり好きではない。嫌いではないが、好きではない。

 本能的にというか……一度敵対したからか。

 どうにも好きになれない。それは、初めて見た時からずっとだ。

 猫と鳥。犬猿の仲。ちょっと違うか?

 まぁ、そんな所だろう。姉様に相談したら、私次第らしい。それはそうだ。

 徹先輩からの頼みなら、どうにかしたいと思う。

 ――姉様の妹として。

 それで良いと思う。それで良いのだと思う。

 

 

 

 !月C日

 

 今日もまた、徹先輩に甘えてしまった。

 今日は、少し覚えている。

 徹先輩の隣は暖かくて、良い匂いがした。心地良かった。安らげた。

 ……私はどうしてしまったんだろう?

 これから、どうなってしまうのだろう?

 判らない。

 でも……徹先輩と一緒に居ると、不安を感じない。

 ――それが一番問題なのだが。

 

 

 

 !月D日

 

 レイヴェル――焼き鳥姫が転校してきた。

 徹先輩からよろしくするように言われていたが、どうにも合わない。

 喧嘩腰になってしまった。イッセー先輩に注意されてしまった。

 ……徹先輩に嫌われないだろうか? そんな事を気にしてしまっている私が居る。

 

 

 

 !月E日

 

 姉様が、悩んでる私を見て笑っていた。

 苛々しながら訓練を挑んだが、負けてしまった…。

 でも、身体を動かしたので、今は随分と落ち着いていると思う。

 今度から徹先輩の事で悩んだ時は、身体を動かす様にしよう。

 

 

 

 !月F日

 

 イッセー先輩が、『赤龍帝の篭手』の事で悩んでいた。

 どうにも、二天龍…ドライグさんが最近落ち着かないらしい。

 どうやら、イッセー先輩がスケベ過ぎる所為で、精神的に参っているのだとか。

 ……ドラゴンも参らせるイッセー先輩のスケベ根性は凄いと思った。

 ギャー君が感心してた。何か違うと思う。

 アザゼル先生がカウンセラーを用意すると言っていた。そこまで追い込まれてるらしい。

 

 家に帰ると、徹先輩が何か悩んでいた。……ちょっと格好良かった。…いや、違う。

 イッセー先輩の事を姉様に話すと笑っていた。

 

 

 

 !月G日

 

 徹先輩が、赤龍帝のカウンセラーになった。

 ……どうしてそうなったのか判らない。

 聞いたら、先輩もいつの間にかなってたと言っていた。

 相変わらず、流されやすいと言うか、お人好しというか…先輩らしい。

 レイナーレも姉様も笑っていた。

 ロスヴァイセさんは判っていたみたいだけど、やっぱり笑っていた。

 ……先輩は皆を簡単に笑顔にしてくれる。そう感じた。――それだけ。

 

 

 

 !月H日

 

 変だ。やっぱり変だ。

 先輩の事を気にしてしまう。どうしてか、目で追ってしまう。

 不思議と、その事に抵抗が無くなってきてしまっている。

 ――レイナーレに相談したら、ただ、撫でてくれた。何も言われなかった。

 私は姉様やレイナーレを傷付けるかもしれない。

 でも、それに気付いているはずなのに、何も言わずに撫でてくれた。

 徹先輩も温かいけど、レイナーレも温かい。そう思った。

 ……何も教えてくれない姉様は冷たいと思う。

 

 それと今日、今度行われるレーティングゲームの記者会見が行われた。

 私も参加した。でも、メインは部長と副部長、イッセー先輩、祐斗先輩、ゼノヴィア先輩だ。

 私なんてオマケみたいなものだ。今は。

 ギャー君もアーシア先輩も特別な『神器』を持ってる。

 私だけ、特別な力は何も無い。――猫魈としての力も、姉様よりもずっと弱い。

 レイナーレのように、努力を形にした訳でもない。

 ロスヴァイセさんのように戦う力が強い訳でもない。

 ――強くなりたい。もっと、強く。

 足を引っ張るのは、もう嫌だ。

 

 

 

 !月I日

 

 昨日の記者会見が、冥界のチャンネルで放送されていた。

 皆と一緒に見た――私が映った時は、徹先輩がはしゃいでいた。

 あんな所は、なんだか子供だな、と思う。

 ちょっと嬉しかった…かもしれない。

 その後、姉様がディオドラと戦った時の映像の事を先輩に言っていた。

 ……そういえばあの時、先輩は姉様とレイナーレを庇っていた。

 冥界全土に放送されたテレビで、二人を庇っていた。

 あの時は、どう思ったのだったか…覚えていない。

 今は、羨ましい? 苛々してる。

 

 

 

 !月K日

 

 朝起きると、徹先輩とデートする事になっていた。……本当に訳が判らなかった。

 どうやら姉様の仕業だったようなので、帰ってから一言言っておいた。

 ……嬉しくはあった、と思う。

 私は上代徹先輩が好き? 好きだろう。好きでなければ、一緒に住んだりなんかしない。

 ただその好きは、姉様が徹先輩に抱くものじゃない。

 きっと、あんなに笑顔で居られない。幸せでなんて居られない。穏やかに過ごせない。

 こんなにも苦しくて、辛い。

 ――私はきっと、徹先輩を好きにならない。絶対好きにならない。

 夕食の時、徹先輩が姉様と話していた。レイナーレと、ロスヴァイセさんと――話していた。

 きっと、私が徹先輩を好きになったら…それだって、許せなくなるかもしれない。

 私だけを見て欲しくなると思う。

 だから、徹先輩だけは好きにならない。なりたくない。

 

 でも、今日のデートは楽しかった。それは本当だ。

 帰った時、レイナーレにそう伝えると笑ってくれた。喜んでくれた。

 ……とても嬉しかった。

 

 

 それも、本当だ。

 




今回、もしかしたらレイナーレさんと黒歌の日記は抜きかも。
偶にはそんな回もありじゃないかなぁ、と思ったり思わなかったり。
まぁ、書きたくなったら書くのであまり気にしないで下さい。


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