△月○日
決戦前に部室に集まって皆で話していると、上代先輩とレイナーレが来た。
そう言えば、先輩って審判だったな、と今になって思い出す。
グレイフィアさんは? と聞いてきたが、こっちも知らないのでどうしようもない。
部長は知ってたようで、今は会場を作っているらしい。
へー、会場って当日作る物なんだ。
その後は、上代先輩といくつか話をした。
先輩はもっぱら小猫ちゃん達と話してたけど。
やっぱり、アーシアがレイナーレと仲良く話してるのはちょっと微妙な感じだ。
だって、アイツは一度アーシアを殺してるし。
そんな事を考えながら、アーシア達の話に耳を傾ける。
小猫ちゃんと先輩は修行の話。アーシアとレイナーレは修行と料理の話だ。
そんな話をするんだな、レイナーレ。
メイド姿だから、余計に似合ってるような気がする。
俺は部長に膝枕をしてもらって、優しくしてもらった。
……朱乃さんの方は、あえて見ない。だって怖ぇし。
上代先輩って、朱乃さんに冷たいよなぁ。なんでだろ? こんなに美人なのに。おっぱいも大きいし。
そうやってしばらく話していると、先輩とレイナーレは部室から出ていった。
何処に行くんだろうと思ったら、多分焼き鳥野郎の所だろうと、部長が教えてくれた。
ああ、見回ってるんだ。真面目だなぁ、先輩。
俺が審判なら、絶対決戦前まで寝てると思う。
こういう真面目な所が女の子にモテる秘訣なのか? なるほど、一つ勉強になった。
その後は、みんなで思い思いに過ごしていると、時間が来た。
さぁ、決戦だ。
△月◎日
ちくしょう。
△月□日
夢の中で、赤いドラゴンと喋ってた。妙な感じだ。
これから、部長を奪いに行く。もしかしたら、これが最期の日記になるかもしれない。
っていうか、日記を書き始めて一ヶ月も経ってないし。
短い間で色々あったなぁ。
まぁ、また明日日記を書けるように、頑張ろう。
部長が日記を書くように言った理由がよく判った。
俺は部長の『兵士』だ。
部長を守り、部長に勝利を。
部長が胸を張って言える『兵士』になりたい。
なら今は、部長の為に婚約パーティをぶち壊す。
ドラゴンってのはそう言う存在なんだろ、ドライグ。
まずは左腕だ。次は右腕か? それとも眼か? 脚か? 心臓か?
なんだって捧げてやる。部長、今行きます。
アーシア、絶対帰ってくるからな。
△月√日
かったぞー。
△月☆日
婚約パーティから三日、毎日のように部長に滅茶苦茶怒られている。
でも、後悔はしていない。まぁ、左腕はこれからどうするか考えよう。
うへぇ、キモチ悪いぜ。
まぁでも、左腕一本で部長を守れたなら安いもんさ。
これからはもっと強くなろう。
犠牲無しでみんなを守れるくらいに、強く。
結局、左腕一本じゃ焼き鳥野郎と互角だったから、上代先輩に手助けしてもらった。
ドライグが言うには、俺という存在の時間を世界から切り離したとか言っていた。
意味は判らないが、それがどれだけ凄いのかは少しだけ判った。
左腕一本を捧げて、俺の『禁手』は10秒が限界だとドライグは言った。
けど、上代先輩は苦も無くその限界を三倍の30秒まで伸ばしてくれた。
ドライグは、先輩の『神器』が時間の支配に特化していると言っていた。
俺の様な戦う力はないが、絶対に戦いたくない相手だとも。
まぁ、先輩と戦うなんて御免だし、想像も出来ない。
絶対勝てる気がしない。
だって、魔王ルシファー様、レヴィアタン様と並んで立ってるんだもんな。
あの人、本当に何者だよ。
すっげぇよな。俺もいつか、上代先輩みたいになりたいぜ。
相変わらず短い。
……三話まとめてが、ちょうど良かったかもしれないなぁ。