とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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平穏なんて那由多の彼方


152(黒猫日記)

 

 @月A日

 

 トオルがドライグの事を気にしてた。

 優しいよねぇ、トオル。

 まぁ、精神に異常を来すまでドラゴンを追い詰めた赤龍帝ちんが凄いのか。

 この前なんて、幼児退行してたし。

 「僕ドライグ」だって。あの時は驚いたけど、今思い出すと笑える。

 

 それにしても、ロスヴァイセは大人気無いにゃー。

 この前レイナーレに負けたからって、今日は一気に面制圧で勝負に出てた。

 流石にあの火力じゃ、今のレイナーレでも一溜りもないにゃ。

 取り敢えずの課題は、もう少し上手く魔力を使う事かな。

 今は強大な魔力を力任せに放出してるだけだし。

 レイナーレって、その辺りの細かな調整が苦手だからにゃぁ。

 

 

 

 @月B日

 

 久し振りにアーシアが遊びに来てた。

 トオルに用事だったのも珍しいけど、用事の内容には驚いた。

 なんでエッチなゲーム?

 生身の女だけじゃなくて二次元にも興味があるなんて、業が深いにゃ、赤龍帝。

 ドライグが不憫だにゃー。あとアーシア達も。

 トオルも興味があるのかな?

 要らなくなったゲームを貰ってたけど。男の子だったら、やっぱり興味あるよね。

 そういうお年頃だろうし。

 ――言ってくれれば、おねーさんが相手をしてあげるんだけど。にゃん。

 

 あと、白音がウジウジしてる。

 トオルなら、堕天使だとか悪魔だとか気にしないと思うんだけどにゃー。

 それに、堕天使が好きなら、天使のトランプを貰って堕天すればいいだけだし。

 

 

 

 @月C日

 

 トオルったら、昨日のゲーム、ロスヴァイセに取り上げられてた。

 ちょっと言い訳してたのが面白かった。

 要らないからって、アーシアに渡されただけなのにね。少し落ち込んでた。

 ゲームを取り上げられて落ち込んだのか、怒られて落ち込んだのか判らないけど。

 やっぱり男の子って、エッチな事に興味があるんだろうにゃ。

 レイナーレに話したら、男の子だから、という事だ。

 そういうもんだにゃ、あの年頃は。

 白音とロスヴァイセがむっつり過ぎるだけだと思うにゃー。

 

 それと、オーフィスがゲームに興味を持っていた。

 勘弁してほしい。あんなの教えたら、私がトオルとレイナーレから怒られる。

 なんで知りたい事が出来ると、まず最初に私に来るのか。

 

 

 

 @月D日

 

 ロスヴァイセが、ゲームを処分できなくて困ってた。

 せめて部屋のドアくらい閉めようよ。プライバシー無いよ?

 トオルもトオルで、どう処分したのか、って意地悪して聞いてたし。

 まぁ、トオルが聞かなかったら私が聞いてたけど。

 だってロスヴァイセ、面白いくらいに顔を赤くしてたし。

 アレは絶対、今まで男と付き合った事が無いな。

 もしかしたら、手を握った事も無いのかも? 流石にそれは無いか。うん。

 ……今何歳だっけ? そこまでいったら、天然記念物ものだにゃ。

 

 

 

 @月E日

 

 ヴァーリ達って、今どうしてるんだろ?

 この前時間つぶしに、遊びに来てたけど。

 今頃はルーマニア……ま、ヴァーリ達なら大丈夫だろう。

 吸血鬼程度に後れを取るとは思えない。

 トオルが心配してた。こまめに連絡をくれればいいのに。

 

 

 さっき、ロスヴァイセが魔術でスケベなゲームを吹っ飛ばしてた。

 近所迷惑すぎるにゃー……。

 お隣さんから苦情が来なければいいけど。

 

 

 

 @月F日

 

 あの狼共め……私の方が先にこの家に居るのに。

 ちょっとトオルと一緒に散歩に行ったくらいで調子に乗って。

 今度、どっちが上か教えないといけないにゃ。

 

 

 流石に神殺しの牙は、私一人じゃ危ないと白音から呆れられた。

 ……にゃー。

 

 

 

 @月G日

 

 さて、どうしたものか。

 この時期にルーマニアか……悪い事って重なるものなんだにゃぁ。

 正直、私は行きたくない。動きたくない。

 この前は白音が攫われたし、グレイフィアからも釘を刺されてる。

 『禍の団』の狙いは間違いなくトオルだ。

 世界を混乱させる最大の障害は、混乱させた世界を巻き戻せる可能性があるトオルだろう。

 なにせ、冥界を壊し掛けた魔獣騒動すら、何事も無かったようにしたのだから。

 オーフィスとグレートレッドに破壊された冥界を、元に戻したのだから。

 この前の誘拐も、白音を間違えて誘拐したと言ってたが、どこまで本当か。

 ――トオルを動かす為に使われた、と考えるべきだ。

 なら今度は?

 ……吸血鬼の問題の裏には、『禍の団』が関わっている。

 それに白音が、トオルが関わるのは、正直悪手としか思えない

 

 ――白音の恩人がクーデターに巻き込まれて拘束されたなら、助けてあげたいとは思う。

 思うが、タイミングが最悪すぎる。

 私とレイナーレ、白音がルーマニアへ行く事になったが、私達を餌にトオルを呼び出すくらいはやるだろう。

 吸血鬼に恩を売るというのも悪くない。

 トオルには敵が多いから、味方を作るのも大切な事だ。

 どうするか。

 トオルの平穏の為に白音を説得するか、後々の為に味方を増やすか。

 ……レイナーレに相談するか。

 トオルは、白音はグレモリーの眷属でもあるから、って白音の行動には何も言わないし。

 

 お人好しだにゃー。

 そんなだから、平穏が向こうから逃げていくんだにゃ。

 

 

 

 @月H日

 

 熱血してるなぁ、赤龍帝ちん。暑苦しい。

 リアス・グレモリーを助けるために息巻いてたけど、どうなる事やら。

 トオルは無事だろうか? まぁ、向こうに手出しをしようとする馬鹿はそう居ないだろうけど。

 ロスヴァイセにフェンリルが二匹、それに『無限の龍神』。

 更に『神滅具』使いが二人。天界の『煌天雷獄』。堕天使の『刃狗』。

 戦力だけなら、こっちよりもデタラメだ。

 手を出すならやはり、ルーマニア側。

 狙うなら、トオルの援護が無くなった私達だろう。実際、私が『禍の団』なら、私達を人質にとる。

 そして確認する。

 トオルの身内に手を出した時の反応を。

 圧倒的強者を打倒するのに必要なのは情報だ。

 どういう行動、思考、精神。

 情報を少しずつ、少しずつ、少しずつ集めて、弱点を探す。

 見つからないなら、見付かるまで探し続ける。

 そういうものだ。

 ――何事も無く、簡単に終わらせて早く帰りたいにゃー。

 

 あと寒い。

 吸血鬼達って体温が無いとか聞いた事ある。

 納得だにゃ。

 

 

 

 @月I日

 

 ツェペシュ派の新しいトップが、グレモリー眷属の吸血鬼の知り合い、ヴァレリーという少女に変わったらしい。

 向こうの派閥って男尊女卑らしいのに、トップが女性って良いの?

 アザゼルも頭を抱えてたけど、よく判らないにゃぁ……。

 『禍の団』は何がしたいんだろう?

 目当てはやはり、『幽世の聖杯』なのかな?

 それとも、まだ何かの準備段階なのか。

 目的が判らないと迂闊に動けないから面倒だにゃ。

 吸血鬼たちの『吸血鬼の弱点克服』って野望なら、全力で潰して終わり。で楽だったのににゃ。

 ヴァーリ達が潜入して情報を集めてるらしいけど、あんまり当てにしてない。

 だって、荒事専門だし。

 まぁ、偶に頭が回る時があったけど。

 

 

 

 @月J日

 

 赤龍帝ちん達は呑気だなぁ。

 余裕があると前向きに考えるべきか。

 『王』の無事が確認できてないのに、学校の勉強の話とかで盛り上がってた。

 まぁ、余裕があると思っておこう。

 その後すぐに、『王』リアス・グレモリーの無事も確認できたし。

 

 それにしても、『禍の団』に何が起こってるのだろう?

 町の住人に気付かれる事無くクーデターを成功させた。

 最悪種の『邪龍・三日月の暗黒龍』クロウ・クルワッハ。

 二天龍やオーフィスの『血』を受け入れたレイナーレですら、怯える相手。

 私なんて、あの黒と金のオッドアイで見られただけで心臓が止まる思いだったにゃ。

 ……アレはヤバい。正直、敵対しようとすら思えない。

 この前の『邪龍』グレンデルが可愛く思えるくらいだった。

 新しいツェペシュ派の王、マリウスとか言ったかな?

 アレの方もいくらか厄介そうだったけど、クロウ・クルワッハの後だと……にゃ。

 あいつは、『聖杯』を研究したいだけみたいだし。

 

 どうするかにゃー。

 リアス・グレモリーも見つけたんだし、さっさと帰りたい。

 正直、アレを相手にしながら吸血鬼君の友達を助けるのは、無理だ。

 ヴァレリー・ツェペシュ。『聖杯』に魅入られた吸血鬼の姫。亡霊を視て、話す存在。

 ――『聖杯』に呑まれてた。

 手遅れ、だ。

 

 

 

 @月K日

 

 そーいえば、あんな事もあったなぁ、と。

 オーフィスの力を、サマエルが奪ってた。確か、魔獣騒動の前くらいだったかにゃ?

 曹操と初めて事を構えた時。

 あの時の力が形を成した存在と会った。リリス。オーフィスそっくりの女の子。

 そして、マリウスとかいう吸血鬼を操っている悪魔とも会った。

 ヴァーリの祖父。リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。

 アザゼルも、なんとなく関わってるんだと、疑っていたそうだ。

 それならそうと、教えてくれても良かったと思う。まぁ、今となってはどうしようもないけど。

 正直、あの男は気に入らない。

 話し方も、在り方も、何もかも。

 レイナーレを値踏みしてたし。

 オーフィスの八割程度の力から生まれたリリス。

 本物のオーフィスから『血』を受けたレイナーレ。

 何か思う所があったのかもしれない。

 それに、「やりたい事が出来た」と言っていた。だから、表舞台に戻ってきたと。

 ……気に入らない。オーディンと同じか、それ以上に。

 

 

 

 @月L日

 

 グレモリー眷属の吸血鬼の身の上話を聞かされた。

 白音と仲が良いみたいだけど……いろいろ考えさせられたにゃ。

 産んだ子供が『得体の知れない何か』だったら、か。

 ……女の子にとっては難しい話だ。

 愛せるのか、と聞かれたら判らないとしか言えない。

 ――愛せると断言できないあたり、私は弱いと思う。

 ちょっとショックだにゃー。

 

 あと、ヴァレリー陛下といくつか話をした。

 他愛のない話だったけど。日本の事とか、お菓子の事とか。色々。

 それと、ヴァレリー陛下の夢を聞かせてもらった。

 太陽の下を歩きたいんだそうだ。

 人間とのハーフでデイウォーカーでもあるから、簡単な事だ。でも、籠の鳥には難しいみたい。

 だから『夢』か。

 ――叶ってほしいと思ってしまった。

 簡単な事を『夢』と語っていたから。

 私達も、簡単な事を目指しているから。

 平穏。

 彼女が陽の下を歩くという平穏を『夢』と言うように、私達もゆったりとした毎日が続く平穏を望んでいるから。

 なんだろうね。

 真っ直ぐな赤龍帝ちん達が羨ましいよ。

 本当、羨ましい。

 私もレイナーレも。彼女が陽の下を歩く事が出来ても、それは彼女の『夢』とは違う形だと判っているから。

 政治に利用されるとは、そういう事なのだ。

 マリウス・ツェペシュはいずれヴァレリー・ツェペシュを開放すると言っていたが、信用できない。

 やっぱりルーマニアには来なきゃよかった。気持ち悪いよ、ここ。帰りたいにゃー。

 

 

 

 @月M日

 

 トオルの声を聞くと落ち着くね。

 早く帰りたいな。帰って、撫でてもらいたい。傍に居てほしい。

 うーん……私って、甘えん坊? かもしれない。たぶん。

 自分では、違うと思いたい。年上の甘えん坊って、なんだか面倒臭そうだし。

 ……今更か。

 さ、もう少し頑張ろう。

 リアス・グレモリーの無事は確保できたから、あとはヴァレリー・ツェペシュとどうにか繋がりを作りたい。

 『聖杯』と『陽の下を歩く』という夢。

 踏み込むなら、その辺りだにゃー。

 マリウス・ツェペシュは駄目だ。アレはリゼヴィムと繋がっている。

 あの男は、本当に危険だ。

 アザゼルが、ヴァーリはあの男の首を狙っていると言っていたが、理由がよく判る。

 

 

 

 @月N日

 

 明日、ヴァレリー・ツェペシュは『聖杯』を抜き取られる。

 それが意味するものは死。

 ……なんともやるせないにゃ。

 グレモリー眷属は彼女を助けるみたいだけど、もう一人のオーフィスとクロウ・クルワッハを相手に取り戻せるだろうか?

 ――ああも真っ直ぐに助けると言える彼らが羨ましくすらある。

 まぁ、まずはヴァーリ達と合流してからか。

 二天龍が揃えば、時間稼ぎくらいは出来るかもしれない。

 その間に私達が吸血鬼の姫を助け出す。

 他の『邪龍』もでてくるだろうにゃ。『禍の団』が調べていたのは、世界中の『邪龍』の伝承らしいし。

 けど、この問題を解決しなければならない。

 そうしなければ――トオルに頼らなければ、私達は何も出来ないという事になるから。

 それだけは嫌だ。

 平穏を望んでるのに、平穏の中で暮らしてほしいと思ってるのに。

 ――平穏から遠ざける事だけは、嫌だ。

 

 

 

 @月O日

 

 『クリフォト』。それが新しい敵の名前だ。

 『生命の樹セフィロト』の逆位置を示す名前なんだそうだ。悪趣味すぎるにゃ。

 それに、『幽世の聖杯』の一つも奪われちゃったし。まぁでも、二つは確保できたからいいとしよう。

 ヴァレリー・ツェペシュは昏睡状態、マリウス・ツェペシュはギャスパー君に殺された。しょうがないにゃ。

 妹を利用するなんて、許せないし。同情の余地は無いね。

 

 それにしても、リゼヴィムもクロウ・クルワッハも、リリスも厄介すぎる。

 ユーグリット・ルキフグスや『邪龍』グレンデルも厄介だけど、あの三人は別格だにゃ。

 現状じゃ、とても太刀打ちできる気がしない。

 特にリゼヴィム。

 純粋に強いドラゴンとは違って、アイツは厄介極まりない。

 『神器無効化』の能力。

 ふざけた性格の癖に戦いも慣れてるから、本当に面倒な相手だ。頭も回るみたいだしにゃー。

 そして、あの男の狙いも厄介だ。

 トオル。

 というよりも、『異世界』。

 『異世界』に攻め込むというのが、あの男の願い。

 『666』の魔獣を使うとか言ってたけど、その辺りはまだよく理解できてない。

 話が壮大過ぎるにゃ。

 アザゼルが理解してたみたいだから、後で聞いておこう。

 グレートレッドと『666』の魔獣をぶつけ、潰し合う。

 厄介だにゃぁ。私達は、平穏に暮らしたいだけなのに。

 溜息しか出ない。

 

 とりあえず、みんな無事で良かった。

 

 

 

 @月P日

 

 なんか、昨日の事。

 アザゼルが大丈夫かもと言っていた。

 理由は教えてくれなかったけど。

 あと、トオルの親と会ったと言っていた。それだけしか教えてくれなかったけど。

 訳が分からない。その辺りが一番大事なんじゃないかにゃ?

 というよりも、トオルの親がなんでルーマニアに居るんだろう? しかも、このタイミングで。

 

 やっぱりトオルの親も、ただモノじゃないんだろうにゃぁ。

 それだけで安心してる私って、どうなんだろう。

 『僧侶』として失格のような気がする。

 

 




徹君の親と会う

アザゼル先生の胃は死ぬ

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