とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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 ○月I日

 朝起きると、ウチのドアの間にチラシが挟まっていた。

 正直に言うと、何やってるんだアンタら、と。

 『アナタの願いを叶えます』

 取り敢えず、燃えるごみの日に出そうと思う。

 この日はそれ以外、あまり書くことが無い。

 

 

 

 ○月J日

 学校の帰り道で、変な奴に絡まれた。

 言葉遣いが妙に胡散臭い、自称神父だ。

 あと、あの兵藤の彼女であろう女性も一緒だった。

 なにやら俺の『神器』を渡してほしいとのことだが、何の事だか判らないので丁重にお断りした。

 そうしたら、気付いたら家に帰ってたわけだ。

 ……最近、本当によく判らん事が多い。

 俺って実は、夢遊病でも患ってるのだろうか?

 

 

 

 ○月A日

 兵藤に、お前の彼女に会ったと伝えたら、何処からともなく現れた姫島によって旧校舎に拉致られた。

 正直、アイツが忍者だって言われても俺は信じれる自信がある。

 というか、アイツ本当に女か? あの細腕で俺の腕を握り潰しそうな勢いなんだが……。

 それと、旧校舎に行くとやっぱりグレモリーのヤツも居た。

 イケメンの木場君と塔城さんも一緒だったが、やはり木場君はあまり喋らなかった。

 彼はアレか? 喋らないのが格好いいと思ってるのだろうか? それともただ無口なだけか?

 その場で、昨日の事を知ってるだけ話して、その場はお開きになった。

 無事だったのを驚かれたけど……というか、知らぬ間に家に帰っているのは無事と言えるのだろうか?

 グレモリーに聞いたところ「人間の帰巣本能というのはそういうものよ」との事。

 まぁ、そんなもんか。

 ちなみに、あの子は兵藤君の彼女ではないらしい。

 そうか、よかったよかった。

 

 

 

 ○月*日

 あの出会いから数日後、また兵藤の元カノと遭遇した。

 これで何度目だ?

 しかも、物凄い驚かれた。あそこまで驚かれると、驚かれたこっちもへこむってくらい驚かれた。

 どうやら今日は、あの言葉遣いが胡散臭い白髪神父は居ないようなのでゆっくり話でも出来るかな――と思ってた時期が俺にもありました。

 気付いたら部屋って……俺の帰巣本能パねぇな。

 

 

 

 ○月@日

 どうやら配られたチラシを、燃えるごみの日に出したのがバレた様だ。

 兵藤と塔城さんが再度チラシを持ってきた。

 や、こんな胡散臭いの使わないから。

 一応、形だけは丁重に受け取り、そのままお帰り願った後でゴミ箱に投げ入れる。

 一瞬、塔城さんの悲しげな表情が脳裏を過ったが、気のせいだという事にする。

 

 

 

 ○月「日

 なんでバレたし?

 今日は姫島と塔城さんがチラシを持ってきた。

 これはアレか? 俺が使うまで続くのか? 無限ループって怖くね?

 しょうがないので、明日にでも使ってみようと思う。

 これで終わるならば良し。これからも続くようなら――対策を考えなければならないな。

 

 

 

 ○月」日

 チラシを持って、願いを叶えて欲しいと願う事数分、驚いた事に部屋の真ん中に魔法陣が現れた。

 しかも、現れたのは姫島である。なんで?

 

「願いを叶えに来ましたわ、上代君」

 

「塔城さんじゃないのか?」

 

 気付いたら、部屋の真ん中で大の字になって寝てた。

 頭がすごく痛かったが……何があったのだろうか?

 しかし、思った通りの人を召喚する事は出来ないのか……欠陥チラシだな。

 

 

 

 ○月{日

 ここ数日、姫島が随分と殺気立っている。

 兵藤にどうにかしてくれと頼まれたが、むしろお前がどうにかしろと言ってやった。同じ部活だろうが。

 しかし、女は怒ると怖いが、美人は怒ると物凄く怖い。

 なんだあれ、大魔神か?

 恐ろしい……あんな恐ろしい女、生まれて初めて見たわ。

 兵藤と二人で見なかった事にして、後ろに全速前進した。

 ありゃあかん、もう2~3日様子を見ようと思う。

 あと別れ際に、例のチラシをまた渡された……呪いのチラシかなんかか?

 

 

 

 ○月.日

 先日は塔城さんの事を考えながら願ったら姫島が来た。

 なら逆だ。

 きっと姫島の事を考えながら願えば、きっと塔城さんが来てくれる。

 

「………………」

 

 仕事だから仕方がないと姫島は言ったが、そんなに怒ってると客は委縮しちまうもんだ。

 正直、姫島のような美人と部屋で二人っきりというシチュエーションだが、まったくドキドキしない。

 や、別の意味でドキドキはしている。何時殺されるか、気が気じゃない。

 取り敢えず、願い事は肩もみをお願いしてみた。

 巫女服姿の姫島に肩もみだ、どうだ羨ましかろう? バケモノじみた握力で揉まれて、日記を書くのも辛いがな……。

 

 

 

 ○月□日

 姫島のヤツ、帰り際に呪いのチラシを置いていきやがった。

 

 

 

 ○月△日

 塔城さんに、チラシを使ってくださいと上目遣いでお願いされた。

 木場君が来た。……どうしてこうなった?

 俺はいつか、塔城さんを召喚できるのだろうか?……自信が無い。

 ちなみに、塔城さんを呼びたい理由はあのメンツの中で一番マトモそうだからだ。

 他意は無い。

 

 

 

 ○月↑日

 姫島の機嫌がヤバい。

 家に帰ると、呪いのチラシがドアの間に挟まっていた。

 もう、本当に呪いのような気がしてならない……お祓いに行った方が良いのだろうか?

 

 

 

 ○月▽日

 街を歩いていたら、また兵藤の元カノとエンカウントした。

 今度は挨拶しても、自宅へ強制移動はしなかった。

 彼女の名前はレイナーレと言うらしい。外人さん? 兵藤の奴、何処で知り合ったんだろーか?

 羨ましい……。

 今日は名前の交換から、少しだけお互いの事を話してさよならしました。

 フフフ――これで彼女の好感度が少し上がっただろう。

 次の出会いが待ち遠しいぜ。

 

 

 

 


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