8巻を押入れの奥から引っ張り出した……読んだ記憶が無い…
しかし、楽しいな魔王様方
多分主人公はブラックかホワイト、もしくはシルバー枠で書くと思う(謎
△月L日
朝、昨日と同じように上代徹の家に行くと、今日はレイナーレは起きていた。
いい心掛けだ。
調理の腕も素人程度なので、今日はその辺りを中心に教えた。
メイドの仕事は一朝一夕ではどうしようもない。最低限の事は私が教えるが、それをモノにするかは堕天使次第だ。
しかし…細かな所まで目が届かない女だと思う。
仕事が雑だ。手先も不器用だし、集中力も無い。
どうして上代徹はこんな堕天使を傍に置くのか理解できない。
同情か、それとも何か考えがあるのか……。
こんな堕天使など、自身の格を下げるだけだろうに。
その後仕事をして、もう一度上代徹の家に来ると、レイナーレがぐったりとしていた。
本当の掃除に慣れていないのだから当然か。
……そういえば、私も最初の頃は疲れていたな、と思い出した。
△月+日
疲れていたのだろう、今日のレイナーレの動きは昨日よりも悪かった。
だが、要領は最初の頃よりも随分マシになっていた。
悪くはないと思う。才能は無いが、努力は出来る性格のようだ。
いや、無駄に変な才能があるよりも、ずっと良い。
つい張り切ってしまったが――まぁ、いいか。
サーゼクスが、仕事が終わらないとぼやいていた。
そろそろベオウルフでも呼び戻せるようにしておこう。
ギリギリに呼ばれてスケジュールの調整をするより、そちらの方が楽だ。
△月*日
前回までで一通り教えるべき事は教えたので、しばらくあの堕天使を放置しているが、真面目にしているだろうか?
ここで手を抜くようならそれまでだ。その時は私があの堕天使を――。
さて、いつ確認しに行こうか……。
それと、今日ベオウルフが帰ってきた。
早速サーゼクスに扱き使われていたが…それもいつもの事か。
私の労いの言葉に涙を浮かべていた。
……あの人の『兵士』になって、大変だな、と思う。
私はそんな所も含めて好きだし、楽しめているから別に困ってはいない。
別に惚気た訳ではないのに、ベオウルフに呆れられたのだけは納得がいかない。
△月:日
ライザー様が上代徹に興味を持ったようで、接触していた。
本当に、魔王というのは些細な事でも目立ってしまう。
サーゼクスとしては、彼の人間とは友達感覚程度で興味を持っているんだろうな、とは思うが。
周りとしては、『神器』に興味があるとでも思っているのだろう。
……そんなに真面目ではないのに、どうしてそういう風に思われているのか。
丁度良かったので、レイナーレの働きぶりも確認しておいた。
まぁ、悪くないのではなかっただろうか。
少し粗は目立ったが、素人の仕事にしては十分だろう。
まだ上代徹に――魔王の友人の従者に相応しいとは言えないが、傍に居る程度なら許せるレベルだ。
△月}日
上代徹と入れ替わるように、彼の男の家に行くと、レイナーレが真面目に掃除をしていた。
良い心掛けだ。まだまだ未熟とも言えないそれ以下のレベルなので、日々励む事だ。
掃除の方も手抜きはしていないようで、以前よりも室内は随分小奇麗になっていた。
ライザー様が訪問された時の事を話すと、驚いた顔をしていた。
もっと感情を隠す努力をする様にとも伝えた。
精進してほしい。レイナーレ、貴女は魔王の友人の従者なのだから。
リアス様が修行に行かれているので、部室の掃除をしておいた。
……まったく、誰が掃除をしているのだろう? 隅には埃が溜まっていた。
今度、リアス様の『女王』にも一言言っておこう。
それと、掃除の途中で上代徹が訪ねてきた。
よく来ている事が判ったな、とも思ったが、この男ならそれも変な事ではないか。
折角だったので、部室に常備してある茶葉で、紅茶を淹れて話す事にした。
何か私に用でもあったのか、とも思ったが、ただ来てみただけらしい。暇な事だ。
今回の騒動の話になり、そう言えば、上代徹に御家の事を言っていなかった事を思い出した時は、自分に呆れもしたが。
リアスの立場。御家の事情。悪魔の現状。上級悪魔という立場。
仕事を頼む立場で、説明を疎かにするなんて……よほど、私はこの男を嫌っているのだな、と。
どうしてこんな男が良いのか…サーゼクスの事だが、悪魔では駄目なのだろうか?
人間など……百年も生きれば死んでしまうのに。
百年後には、確かな別れが来るというのに。
……それでもこの人間が良いのだろうけど。どこまでも人間で居ようとする人間だからこそ、魔王の心の琴線に触れる事が出来たのかもしれない。悪魔にも、堕天使にも等しく接する事が出来る人間だから。
本当、私のご主人様は我儘で困る。そんな人間を友人に選ぶなどと。
人間が魔王の心に居るなど……サーゼクスの心を魅了するなど許されないのに。
羨ましくあり、妬ましい。私がサーゼクスに奪ってもらえるように、心に居場所を作るのに、どれだけ努力したと…。
仕事中は私情を隠せている自信があるが、この男の前では難しい。
本当に、私はこの人間を好きになれそうにない事を自覚できた時間だった。
表情には欠片も出さないが。やはり、私はこの男が好きではない……嫌いだ。
……日記に書くだけでも、結構すっきりした。
△月@日
サーゼクスが今日一日、全然落ち着いてなかった。
恐らく、というか確実に明日の『レーティングゲーム』の事を考えていたのだと思う。
子供の様なこの人は好きだが、仕事はしてほしいので何度も注意する羽目になった。
まったく……怒られるのが嫌だからと、最後の方では私を誘惑してくるし……。
身も十分に清めたし、今夜は少し期待するとしよう。
ミリキャスに弟か妹か……出来ると良いなぁ。
△月○日
『レーティングゲーム』の決戦場の準備をしていると、上代徹とレイナーレが向かってきた。
夜の校舎内だというのに、こうも簡単に見つかるなんて…外見で人は判断できないという事か。
何処にでも居るような人間なのに、こういうふとした時に見え隠れする特異性は人のソレではない。
つくづく、よく判らない人間だ。
準備を終わらせ、ライザー様の本陣へ移動すると、いくつか話をして別れ放送室へ向かう。
リアス様の初めての『レーティングゲーム』。
上代徹に勝敗を尋ねると、ライザー・フェニックスが勝つ、と。
現実をよく見ているが、冷たい人間だな、とも思ってしまった。
リアス様とは友人なのだろうに、それでもフェニックスの勝利に賭けるのか。
まぁ、命が掛かっている訳でもないが――。
結局、勝敗は上代徹……いや、私達の予想通り、ライザー・フェニックス側の勝利となった。
これで、リアスの婚約は確定。
頼みの綱はリアスの『兵士』。赤龍帝を宿した転生悪魔に……。
上代徹はアテにはならない。
リアスの将来が掛かっていると説明したのに、あの男は手を出さなかった。
リアスの将来よりも、『神器』の能力を隠す事を優先した。
……どうして、サーゼクスはこんな男を気に留めるのか。
その事をサーゼクスに伝えると、そうか、とだけ言って笑っていた。
自分の妹の将来が掛かっているのに、なんて反応だ、と。
男同士で判り合う、というヤツだろうか? 女の私には理解できない。したくもない。
△月□日
趣味が悪い、の一言に尽きる。今夜は絶対に寝かせないと、朝一番に誓った。
上代徹の『神器』を見る為だけにリアス達の『レーティングゲーム』を演出するなんて。私じゃなくても怒るのは当然だ。
しかも、アフターケアも準備万端。赤龍帝の少年を呼ぶ用意まで完璧にしてるし……。
まったく…こんな事ばかり頭が回るんだから、本当に手におえない。
昨日の戦いで傷付いた兵藤一誠だったが、気力は充実していた。
私が事の次第を伝え、サーゼクスから預かった転移の符を渡すと、迷いなく進んだ。
そういう所は、どこかサーゼクスに似ているように思えた。男の子は、ああじゃないといけない。上代徹は、そういう所が見えないから嫌いだ。
その後身支度を整えて婚約パーティの会場へ向かうと、事は全部終わってしまっていた。
……何故、上代徹がこの場に居るのか。この後問い詰める必要があるが。
絶対に、絶対に今夜は許さない。
まぁ、リアスの婚約は御破談。本当、何もかもサーゼクスの掌の上だったわけだ。
リアスも、難儀な兄をもって大変だと思う。……そう言う所があの人らしくて良いのだが。
――でも、上代徹に『悪魔の駒』を渡したのはいただけない。
魔王が、悪魔以外を『レーティングゲーム』に誘うなど、何を考えているのか。しかも、レヴィアタン様までだ。
しかし、上代徹から『女王』の駒を渡されるレイナーレの表情は、見ていて微笑ましいものがあった。
大事に思われているのだろう。……私の時はどうだったかな、と思い出すと、少し恥ずかしくもあるが。
だが、笑ってばかりもいられない。上級、中級悪魔から非難を浴びそうな材料に、今から頭が痛い。
そもそも、人間がゲームに勝てるはずもない――とは思えないか。
魔王ルシファーとレヴィアタンが認めた人間だ。おそらく、これからの台風の目、というものになるはずだ。
リアスも大変だと思う。
これからは、魔王が認めた人間と同期になるのだから。
……それでは、これからサーゼクスをとっちめに行こう。
今回は私もちょっと怒っているのだ。
△月AP日
今日は久しぶりに、昼近くまで眠ってしまった。寝たのは朝方だったけど。
起きた時にはサーゼクスはもう隣に居なかったが……結婚した頃の事を思い出せる、良い目覚めだった。
昔は、結婚したての頃は…サーゼクスが先に起きて、何度か朝食を用意してくれていた。
私がメイドとして、『女王』として働くようになってからは逆転したが。炊事や家事は好きだったし、朝も苦手な訳ではなかった。でも、満たされると女は弱くなってしまうのだ。それを、身を以て実感したのも、ちょうどその頃だ。今朝みたいに、満たされて、幸せすぎる時間にずっと浸っていたくなる。
朝食も、今日はサーゼクスが用意してくれた。二人でテーブルに並べると、本当に結婚当初の頃に戻れたような気分だった。
リアスの件でのご機嫌取りだろうとは判っているが、それでも嬉しいものは嬉しい。
ミリキャスと三人で食べた朝食は、とても暖かかった。いつもこのくらいの時間を作ってくれると助かるのだが。
今日は結局、そのまま一日家族で過ごした。昼と夜は、サーゼクスと一緒に台所に立った。
……明日から大変だが、まぁ、しょうがないか。
ミリキャスに弟と妹、どちらが欲しいか聞くと、両方と答えていた。
父親に似て、欲張りな事だ。愛しているわ、私達の宝物。
△月AO日
ベオウルフには悪い事をしたと思っている。本当だ。
まさか昨日、私達が家族の時間を過ごしている間、一人で仕事をしてくれていたなんて…。
気が緩んでいた私も悪いが、まさかそんな事をサーゼクスが頼んでいるなんて予想もしてなかった。
本当に申し訳なく思う。
後でまた、あの人をとっちめないといけない。
△月AI日
サーゼクスに上代徹が嫌いか、と聞かれた。
突然の事に、どうして、と聞くのが精一杯だった。
どうやら、あの男には私の心情は気付かれていたらしい。
……顔には出していない自信があったが、あの男、感情を読むのも得意なのか。
本当に、人は見かけによらない。
何も出来なさそうな顔をして、随分と隠し玉を持っているようだ、
意外…とも思わないが、やはりあの男の事を話す時のサーゼクスの顔は嬉しそうだった。
羨ましい、と思うのは贅沢だろうか?
△月AY日
久しぶりに上代徹の家に行くと、随分と掃除に粗が目立った。
どうせ、『女王』の駒を渡されて浮かれているんだろう。
そう指摘すると、判りやすいほどに落ち込んでいた。
同じ女として判らなくもないが、だからといって手を抜いて良い理由にはならない。
今日は結局、腑抜けた堕天使を一から鍛え直す事になった。
……私も、最初はこんなだったのだと思うと、色々と感慨深い。
少しだけ、この堕天使を好きになれたような気がする。
礼も言えるようになったようだし…これからの成長が楽しみだ。
□月A日
『神の子を見張る者』の動きが少し目立つ。
しかも、駒王学園の周囲で、だ。
何か理由があるのだろうか? 今は判らない。
リアス達も弱いわけではないので、大丈夫だと思うが……。
上代徹――そういえば、『レーティングゲーム』では手を貸さなかったが、婚約パーティの際は
一誠さんに助力したのだとか。
……サーゼクスが認めた人間。
彼もまた、騒動の渦中に至るだろう。
まぁ、あの男なら問題は無いだろうが。
好きではないが、サーゼクスが認めたその能力は信頼できる。
願わくば――今度こそ、リアスの力になってくれれば、と思う。
そしてレイナーレ。堕天使レイナーレ。
元『神の子を見張る者』の末端。今は上代徹の庇護の下、共に暮らしている。
裏切らないでほしい。
私は、サーゼクスとは違い、貴女の方を少しだけだが認めているのだから。
グレイフィアさんは主人公が嫌い…というか苦手かな?
嫉妬してるけど、能力は認めてる感じです。
本人はただの人間だけどネ