とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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これで2巻はラスト
8巻を押入れの奥から引っ張り出した……読んだ記憶が無い…
しかし、楽しいな魔王様方
多分主人公はブラックかホワイト、もしくはシルバー枠で書くと思う(謎


24(女王日記 エピローグ)

 △月L日

 

 朝、昨日と同じように上代徹の家に行くと、今日はレイナーレは起きていた。

 いい心掛けだ。

 調理の腕も素人程度なので、今日はその辺りを中心に教えた。

 メイドの仕事は一朝一夕ではどうしようもない。最低限の事は私が教えるが、それをモノにするかは堕天使次第だ。

 しかし…細かな所まで目が届かない女だと思う。

 仕事が雑だ。手先も不器用だし、集中力も無い。

 どうして上代徹はこんな堕天使を傍に置くのか理解できない。

 同情か、それとも何か考えがあるのか……。

 こんな堕天使など、自身の格を下げるだけだろうに。

 その後仕事をして、もう一度上代徹の家に来ると、レイナーレがぐったりとしていた。

 本当の掃除に慣れていないのだから当然か。

 ……そういえば、私も最初の頃は疲れていたな、と思い出した。

 

 

 

 △月+日

 

 疲れていたのだろう、今日のレイナーレの動きは昨日よりも悪かった。

 だが、要領は最初の頃よりも随分マシになっていた。

 悪くはないと思う。才能は無いが、努力は出来る性格のようだ。

 いや、無駄に変な才能があるよりも、ずっと良い。

 つい張り切ってしまったが――まぁ、いいか。

 サーゼクスが、仕事が終わらないとぼやいていた。

 そろそろベオウルフでも呼び戻せるようにしておこう。

 ギリギリに呼ばれてスケジュールの調整をするより、そちらの方が楽だ。

 

 

 

 △月*日

 

 前回までで一通り教えるべき事は教えたので、しばらくあの堕天使を放置しているが、真面目にしているだろうか?

 ここで手を抜くようならそれまでだ。その時は私があの堕天使を――。

 さて、いつ確認しに行こうか……。

 それと、今日ベオウルフが帰ってきた。

 早速サーゼクスに扱き使われていたが…それもいつもの事か。

 私の労いの言葉に涙を浮かべていた。

 ……あの人の『兵士』になって、大変だな、と思う。

 私はそんな所も含めて好きだし、楽しめているから別に困ってはいない。

 別に惚気た訳ではないのに、ベオウルフに呆れられたのだけは納得がいかない。

 

 

 

 △月:日

 

 ライザー様が上代徹に興味を持ったようで、接触していた。

 本当に、魔王というのは些細な事でも目立ってしまう。

 サーゼクスとしては、彼の人間とは友達感覚程度で興味を持っているんだろうな、とは思うが。

 周りとしては、『神器』に興味があるとでも思っているのだろう。

 ……そんなに真面目ではないのに、どうしてそういう風に思われているのか。

 丁度良かったので、レイナーレの働きぶりも確認しておいた。

 まぁ、悪くないのではなかっただろうか。

 少し粗は目立ったが、素人の仕事にしては十分だろう。

 まだ上代徹に――魔王の友人の従者に相応しいとは言えないが、傍に居る程度なら許せるレベルだ。

 

 

 

 △月}日

 

 上代徹と入れ替わるように、彼の男の家に行くと、レイナーレが真面目に掃除をしていた。

 良い心掛けだ。まだまだ未熟とも言えないそれ以下のレベルなので、日々励む事だ。

 掃除の方も手抜きはしていないようで、以前よりも室内は随分小奇麗になっていた。

 ライザー様が訪問された時の事を話すと、驚いた顔をしていた。

 もっと感情を隠す努力をする様にとも伝えた。

 精進してほしい。レイナーレ、貴女は魔王の友人の従者なのだから。

 

 リアス様が修行に行かれているので、部室の掃除をしておいた。

 ……まったく、誰が掃除をしているのだろう? 隅には埃が溜まっていた。

 今度、リアス様の『女王』にも一言言っておこう。

 それと、掃除の途中で上代徹が訪ねてきた。

 よく来ている事が判ったな、とも思ったが、この男ならそれも変な事ではないか。

 折角だったので、部室に常備してある茶葉で、紅茶を淹れて話す事にした。

 何か私に用でもあったのか、とも思ったが、ただ来てみただけらしい。暇な事だ。

 今回の騒動の話になり、そう言えば、上代徹に御家の事を言っていなかった事を思い出した時は、自分に呆れもしたが。

 リアスの立場。御家の事情。悪魔の現状。上級悪魔という立場。

 仕事を頼む立場で、説明を疎かにするなんて……よほど、私はこの男を嫌っているのだな、と。

 どうしてこんな男が良いのか…サーゼクスの事だが、悪魔では駄目なのだろうか?

 人間など……百年も生きれば死んでしまうのに。

 百年後には、確かな別れが来るというのに。

 ……それでもこの人間が良いのだろうけど。どこまでも人間で居ようとする人間だからこそ、魔王の心の琴線に触れる事が出来たのかもしれない。悪魔にも、堕天使にも等しく接する事が出来る人間だから。

 本当、私のご主人様は我儘で困る。そんな人間を友人に選ぶなどと。

 人間が魔王の心に居るなど……サーゼクスの心を魅了するなど許されないのに。

 羨ましくあり、妬ましい。私がサーゼクスに奪ってもらえるように、心に居場所を作るのに、どれだけ努力したと…。

 仕事中は私情を隠せている自信があるが、この男の前では難しい。

 本当に、私はこの人間を好きになれそうにない事を自覚できた時間だった。

 表情には欠片も出さないが。やはり、私はこの男が好きではない……嫌いだ。

 ……日記に書くだけでも、結構すっきりした。

 

 

 

 △月@日

 

 サーゼクスが今日一日、全然落ち着いてなかった。

 恐らく、というか確実に明日の『レーティングゲーム』の事を考えていたのだと思う。

 子供の様なこの人は好きだが、仕事はしてほしいので何度も注意する羽目になった。

 まったく……怒られるのが嫌だからと、最後の方では私を誘惑してくるし……。

 身も十分に清めたし、今夜は少し期待するとしよう。

 ミリキャスに弟か妹か……出来ると良いなぁ。

 

 

 

 △月○日

 

 『レーティングゲーム』の決戦場の準備をしていると、上代徹とレイナーレが向かってきた。

 夜の校舎内だというのに、こうも簡単に見つかるなんて…外見で人は判断できないという事か。

 何処にでも居るような人間なのに、こういうふとした時に見え隠れする特異性は人のソレではない。

 つくづく、よく判らない人間だ。

 準備を終わらせ、ライザー様の本陣へ移動すると、いくつか話をして別れ放送室へ向かう。

 リアス様の初めての『レーティングゲーム』。

 上代徹に勝敗を尋ねると、ライザー・フェニックスが勝つ、と。

 現実をよく見ているが、冷たい人間だな、とも思ってしまった。

 リアス様とは友人なのだろうに、それでもフェニックスの勝利に賭けるのか。

 まぁ、命が掛かっている訳でもないが――。

 結局、勝敗は上代徹……いや、私達の予想通り、ライザー・フェニックス側の勝利となった。

 これで、リアスの婚約は確定。

 頼みの綱はリアスの『兵士』。赤龍帝を宿した転生悪魔に……。

 上代徹はアテにはならない。

 リアスの将来が掛かっていると説明したのに、あの男は手を出さなかった。

 リアスの将来よりも、『神器』の能力を隠す事を優先した。

 ……どうして、サーゼクスはこんな男を気に留めるのか。

 その事をサーゼクスに伝えると、そうか、とだけ言って笑っていた。

 自分の妹の将来が掛かっているのに、なんて反応だ、と。

 男同士で判り合う、というヤツだろうか? 女の私には理解できない。したくもない。

 

 

 

 △月□日

 

 趣味が悪い、の一言に尽きる。今夜は絶対に寝かせないと、朝一番に誓った。

 上代徹の『神器』を見る為だけにリアス達の『レーティングゲーム』を演出するなんて。私じゃなくても怒るのは当然だ。

 しかも、アフターケアも準備万端。赤龍帝の少年を呼ぶ用意まで完璧にしてるし……。

 まったく…こんな事ばかり頭が回るんだから、本当に手におえない。

 昨日の戦いで傷付いた兵藤一誠だったが、気力は充実していた。

 私が事の次第を伝え、サーゼクスから預かった転移の符を渡すと、迷いなく進んだ。

 そういう所は、どこかサーゼクスに似ているように思えた。男の子は、ああじゃないといけない。上代徹は、そういう所が見えないから嫌いだ。

 その後身支度を整えて婚約パーティの会場へ向かうと、事は全部終わってしまっていた。

 ……何故、上代徹がこの場に居るのか。この後問い詰める必要があるが。

 絶対に、絶対に今夜は許さない。

 まぁ、リアスの婚約は御破談。本当、何もかもサーゼクスの掌の上だったわけだ。

 リアスも、難儀な兄をもって大変だと思う。……そう言う所があの人らしくて良いのだが。

 ――でも、上代徹に『悪魔の駒』を渡したのはいただけない。

 魔王が、悪魔以外を『レーティングゲーム』に誘うなど、何を考えているのか。しかも、レヴィアタン様までだ。

 しかし、上代徹から『女王』の駒を渡されるレイナーレの表情は、見ていて微笑ましいものがあった。

 大事に思われているのだろう。……私の時はどうだったかな、と思い出すと、少し恥ずかしくもあるが。

 だが、笑ってばかりもいられない。上級、中級悪魔から非難を浴びそうな材料に、今から頭が痛い。

 そもそも、人間がゲームに勝てるはずもない――とは思えないか。

 魔王ルシファーとレヴィアタンが認めた人間だ。おそらく、これからの台風の目、というものになるはずだ。

 リアスも大変だと思う。

 これからは、魔王が認めた人間と同期になるのだから。

 ……それでは、これからサーゼクスをとっちめに行こう。

 今回は私もちょっと怒っているのだ。

 

 

 

 △月AP日

 

 今日は久しぶりに、昼近くまで眠ってしまった。寝たのは朝方だったけど。

 起きた時にはサーゼクスはもう隣に居なかったが……結婚した頃の事を思い出せる、良い目覚めだった。

 昔は、結婚したての頃は…サーゼクスが先に起きて、何度か朝食を用意してくれていた。

 私がメイドとして、『女王』として働くようになってからは逆転したが。炊事や家事は好きだったし、朝も苦手な訳ではなかった。でも、満たされると女は弱くなってしまうのだ。それを、身を以て実感したのも、ちょうどその頃だ。今朝みたいに、満たされて、幸せすぎる時間にずっと浸っていたくなる。

 朝食も、今日はサーゼクスが用意してくれた。二人でテーブルに並べると、本当に結婚当初の頃に戻れたような気分だった。

 リアスの件でのご機嫌取りだろうとは判っているが、それでも嬉しいものは嬉しい。

 ミリキャスと三人で食べた朝食は、とても暖かかった。いつもこのくらいの時間を作ってくれると助かるのだが。

 今日は結局、そのまま一日家族で過ごした。昼と夜は、サーゼクスと一緒に台所に立った。

 ……明日から大変だが、まぁ、しょうがないか。

 ミリキャスに弟と妹、どちらが欲しいか聞くと、両方と答えていた。

 父親に似て、欲張りな事だ。愛しているわ、私達の宝物。

 

 

 

 △月AO日

 

 ベオウルフには悪い事をしたと思っている。本当だ。

 まさか昨日、私達が家族の時間を過ごしている間、一人で仕事をしてくれていたなんて…。

 気が緩んでいた私も悪いが、まさかそんな事をサーゼクスが頼んでいるなんて予想もしてなかった。

 本当に申し訳なく思う。

 後でまた、あの人をとっちめないといけない。

 

 

 

 △月AI日

 

 サーゼクスに上代徹が嫌いか、と聞かれた。

 突然の事に、どうして、と聞くのが精一杯だった。

 どうやら、あの男には私の心情は気付かれていたらしい。

 ……顔には出していない自信があったが、あの男、感情を読むのも得意なのか。

 本当に、人は見かけによらない。

 何も出来なさそうな顔をして、随分と隠し玉を持っているようだ、

 意外…とも思わないが、やはりあの男の事を話す時のサーゼクスの顔は嬉しそうだった。

 羨ましい、と思うのは贅沢だろうか?

 

 

 

 △月AY日

 

 久しぶりに上代徹の家に行くと、随分と掃除に粗が目立った。

 どうせ、『女王』の駒を渡されて浮かれているんだろう。

 そう指摘すると、判りやすいほどに落ち込んでいた。

 同じ女として判らなくもないが、だからといって手を抜いて良い理由にはならない。

 今日は結局、腑抜けた堕天使を一から鍛え直す事になった。

 ……私も、最初はこんなだったのだと思うと、色々と感慨深い。

 少しだけ、この堕天使を好きになれたような気がする。

 礼も言えるようになったようだし…これからの成長が楽しみだ。

 

 

 

 □月A日

 

 『神の子を見張る者』の動きが少し目立つ。

 しかも、駒王学園の周囲で、だ。

 何か理由があるのだろうか? 今は判らない。

 リアス達も弱いわけではないので、大丈夫だと思うが……。

 上代徹――そういえば、『レーティングゲーム』では手を貸さなかったが、婚約パーティの際は

一誠さんに助力したのだとか。

 ……サーゼクスが認めた人間。

 彼もまた、騒動の渦中に至るだろう。

 まぁ、あの男なら問題は無いだろうが。

 好きではないが、サーゼクスが認めたその能力は信頼できる。

 願わくば――今度こそ、リアスの力になってくれれば、と思う。

 そしてレイナーレ。堕天使レイナーレ。

 元『神の子を見張る者』の末端。今は上代徹の庇護の下、共に暮らしている。

 裏切らないでほしい。

 私は、サーゼクスとは違い、貴女の方を少しだけだが認めているのだから。

 

 

 

 

 




グレイフィアさんは主人公が嫌い…というか苦手かな?
嫉妬してるけど、能力は認めてる感じです。
本人はただの人間だけどネ

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