とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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黒猫日記を先にしようかと思ったけど、内容があまりにアレだったのでラストに



29(堕天使日記)

 □月B日

 

 今日は、買い出しに出かけた時に懐かしい顔に会った。

 あまり会いたい類の顔ではなかったが……。

 フリード・セルゼン。元部下だった男だ。

 私を探していたわけではないようだが、まだこの町に居たのか。

 しかも、物騒な聖剣まで持って。

 私が生きている事に驚いていたが、まぁ、それが普通の反応か。

 徹様が居なければ、私はリアス・グレモリーによって滅ぼされていたのだから。

 しかしあの男、どうするべきか…。

 ……徹様の害にならなければいいが。

 それと、徹様のお部屋を掃除している時に、球技大会のプリントを見つけた。

 ……見に行ったら、怒られるだろうか?

 

 

 

 □月D日

 

 今日は珍しく、徹様がアーシアと一緒にご帰宅された。

 どうやら、今日も相談というか、愚痴の様だったが、この子が訪ねて来るのは正直嬉しい。

 よく考えると、私の話し相手は徹様とアーシアが主だ。近所付き合いがある訳でもないし。

 今日は、以前から考えていたお菓子の作り方を聞いてみた。

 アーシアはお菓子作りも得意との事で、教えてもらう事になった。

 何でも出来るな、と褒めると面白いくらいに照れていた。こういう可愛い所が、実にアーシアらしい。

 教えてもらった通りに作ると、形が歪だったり、若干焦げたりしたクッキーが出来上がった。

 ……まぁ、初めてにしては上出来だと思う。食べれたし。

 アーシアは数をこなせば大丈夫と言ってくれたが、正直不安だ。

 しかも、その出来の悪いクッキーを徹様に出されるし…最近、容赦がないなアーシア…。

 良く出来てる、とは言ってもらえたが、出来は自分でも判っているだけに、素直に喜べない。

 徹様に美味しい料理やお菓子を食べてもらえるのは、まだまだ遠そうだ。

 その後、一緒に夕食も作った。今日は泊まっていくとは、その時に聞いた。

 徹様も特に反対されず、アーシアがとても喜んでいた。この子の笑顔を見てるだけで明るい気持ちになれる。

 ……アーシアが聖女と呼ばれていた理由も、今ならよく判る。

 先程まで、頬を膨らませて兵藤君の愚痴を言う姿は、年相応のものだったが。

 でも、兵藤君との裸の付き合いというのは、この子にはまだ早い気がする。

 それとなく窘めておいた。

 今日は、随分と遅くまで起きている……でも、楽しい時間だった。

 明日も――いや、もう今日か。早く起きないといけないのだし、もう寝よう…。

 

 

 

 □月E日

 

 今日は、アーシアと一緒に朝食を作った。

 というよりも、アーシアが作ってくれた朝食を食べた、が正しい。

 結構な回数調理をしているが、やはりアーシアには遠く及ばない。

 姫島朱乃やリアス・グレモリー、グレイフィア様にも、だが。

 やはり私には、料理の才能は無いのだろう。

 だが、人並みの食事くらいは用意できるようになりたい。

 やはり、それくらいは諦めずに頑張ろうと思う。

 

 

 

 □月F日

 

 ……フリード・セルゼンがエクソシスト狩りをしている。

 止めるべきだろうか?

 だが、私の力で聖剣を持つあの男を止める事が出来るかどうか…。

 しかし、放っておくわけにもいかない。

 あの男の狂気はよく判っている。

 必ず、徹様の害になる。

 それはそうと、先ほど、徹様からペットは好きか、と聞かれた。

 私はどちらかというと、犬が好きだ。

 優しくするとすり寄ってくる、あの可愛さが堪らない。

 それに、大きな犬は抱き締めると暖かいし。

 

 

 

 □月G日

 

 日中、フリード・セルゼンを探してみたが見つからなかった。

 まぁ、エクソシスト狩りをして居るのに死体を隠さないのだから、いずれまた会えると思うが…。

 しかし、エクソシストを殺されてもニュースにならない所を見ると、ヴァチカンでも動いているのかもしれない。

 面倒にならなければいいが…。

 法王庁は悪魔の敵だが、堕天使の味方という訳でもない。

 まぁ、ヴァチカンの犬がフリード・セルゼンを処理してくれるのが一番楽なのだが。

 今日は、徹様から猫は好きか、と聞かれた。

 猫も嫌いじゃない。

 でも、気まま過ぎて飼い主の話を聞かない所は、あまり好きではない。

 ……もしかしたら、ペットを飼おうとされているのだろうか?

 だとしたら嬉しいが、まだ確かめた訳でもない。

 過度の期待はしないようにしておこう。

 

 

 

 □月H日

 

 何だ、あの男は。

 フリード・セルゼン。あの男、あそこまで聖剣を使いこなせる素質があったのか、と驚くしかない。

 私の槍を簡単に斬り伏せられた時は、正直死を覚悟したほどだ。

 しかも、途中で止めに入ってきたのはバルパー・ガリレイ。

 「皆殺しの大司教」の名で知られる、元教会の司教。知っているのは顔と名前、そしてその悪行程度だが。

 この二人が揃って、この町で何を成そうとしているのだろうか?

 一応、別れ際には手を出さなければ何もしない、とは言っていたが。

 ……徹様と私を巻き込まなければいいが。

 徹様は平穏を、普通を望まれている。

 こんなくだらない事で、その普通を壊したくない。

 やはり、もう一度接触しよう。

 最悪、リアス・グレモリーに助力を仰ぐことになるかもしれないが……。

 

 

 □月I日

 

 フリード・セルゼンを探している途中、駒王学園に立ち寄った。

 球技大会…徹様は楽しまれているだろうか?

 徹様の普通。徹様の日常。

 あの方が望む世界を、壊したくないと思う。

 しかし、徹様……その、猫魈はどうかとおもいます。

 フリード・セルゼンを諦め買い物をして家に帰ると、家の前で徹様が綺麗な黒猫と遊んでおられた。

 それはいい。微笑ましい事だ。素直にそう言える。

 けど、その相手が……。

 猫魈。力を得た猫の悪魔。日本では妖怪というのだったか。

 もしかしたら、徹様が飼おうとしているペットは、この猫なのだろうか?

 いや、悪くは無い。猫魈は知能も高いし、私も知らない術に精通しているのかもしれない。

 でも……でも、だ。

 その…猫魈は人の形も取れるわけで……。

 徹様が愛でていた猫は、見た限り――雌だった。股を開いていたし。股を開くほど従順になっていた、とも言えるが。

 徹様ほどの方が判っておられないはずがない。

 ……その、徹様はそういう趣味があられるのだろうか?

 だから私には手を出されず、ペットを飼おうとされているのか…いや、そんな事は無いと思うが。

 先ほどから、そればかりを考えてしまう自分が情けない。

 だが、どうしても気になってしまう。

 フリード・セルゼンの件もあるというのに、悩みがまた増えてしまった。

 でも、こういう馬鹿な悩みも悪くないのかもしれない。

 堕天使や悪魔、聖剣なんて関係無く――こんな下らない事に頭を悩ませる。

 そういう平穏も、悪くない。

 私の羽も鳥のように見えるし、見せたら喜ばれるだろうか?

 それともやはり、獣耳、というのが良いのだろうか?

 今度、アーシアに相談してみよう。

 

 

 

 □月J日

 

 あいにくの雨だったが、夕食の材料がなかったので買い出しに行って、帰ってくると、徹様が帰って来られていた。

 それは別におかしなことではないのだが、いつ帰ってきたのか知っているか、と聞かれた。

 あれは、どういう意味だったのだろうか?

 言葉通りに受け取るなら、自分でどうやって帰ってきたか判らない、という事。

 ……考え過ぎなのだとは思う。だが、不安もある。

 どうして考えなかったのだろうか?

 徹様は人間だ。不死不滅とはいえ、それは『神器』の恩恵もあるのだと思う。

 あれほどに強力な『神器』だ。副作用が無いはずがないのだ。

 

 

 

 □月K日

 

 徹様は、今日もいつも通り学園へ行かれた。

 いつも通り、だ。

 私の不安など思い過ごしなのだと、そう言われるかのように。

 きっとそうなのだと思う。その通りだ。

 ――私はたった一人で、見当違いの事で悩んでいるのだ。

 そうであってほしい。

 夕食の後、ごめん、と謝られた。

 それは、どういう意味なのだろう…。

 

 

 

 □月L日

 

 今日、徹様がケーキを買ってきてくださった。

 私が最近落ち込んでいるから、と。

 ――徹様は、何も悪くないのに。私が勝手に悩んでいるだけなのに。

 だから、明日からは私もいつも通りに戻ろう。

 徹様に心配をかけない様に、普通に毎日を送れるように。

 私を救ってくれたこの人が、望む事を、望む間。

 

 




今までのみんなの主人公の評価
ドS いじめっ子 ロリコン 不死 不滅 魔王と同格 感情の機微に聡い 敵には容赦無し
優しい ドラゴンが戦いを避けるほど強い 時間の支配者 獣娘好き 

……まぁ、こんなところか
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