とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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話の方向性が迷走中……三人称から一人称の日記形式に戻ってます
しかし、アレですな。
感想が嬉しすぎて、毎日書いちゃう自分が怖い…。


05(悪魔日記)

 ○月「日

 

 今日は朱乃直々に悪魔稼業のチラシを配りに行った。

 そんなにあの男に召喚してもらえない事が気に障るのだろうか?

 ……仕事をしてほしい。

 取り敢えず、男にかまうのは……まぁ、百歩譲って良いが、小猫を連れて行かないでほしい。

 私の仕事が、雪だるま式に増えていく――書類仕事は嫌いだ。身体を動かしたい。

 イッセーと遊ぶ時間が無い。

 

 

 

 

 

 ○月」日

 

 上代君がチラシを使ってくれたのは良かった。良かったのだ。うん、喜ばしい事だ。

 きっとこれで、朱乃もいつもの落ち着いた副部長に戻ってくれる――そう思ってたの。

 ……彼の召喚希望相手が小猫じゃなかったら。

 最近、堕天使連中が町で好き勝手してるから仕事が終わらない私と朱乃は一緒の部屋に居たわけ。

 そうしたら、チラシ経由で流れ込んでくる欲望の魔力を感じ取ったのよ。

 顔には出さなかったけど、心中でガッツポーズもしちゃったわ。

 でもね? その召喚相手が問題なのよ。

 折角朱乃が直々にチラシを持って誘いに行ったのに、そこで小猫? 彼はアレか、小さい子の方が好きなんだろうか?

 なんという事だろう……これでは、私や朱乃が召喚されないのも頷ける話だ。

 とにかく、無言の笑顔で召喚魔法陣を通っていった副部長を止める事が出来なかった私は、小猫に電話して、仕事は朱乃が行った事を伝えた。

 私って部長よね? キングよね? ……最近、ちょっと自信が無い。

 帰ってきた朱乃は、そのまま帰宅していった。

 あ、失敗したな……。上代君は無事なのだろうか?

 

 

 

 

 ○月{日

 

 ここ数日、朱乃が怖い。

 いえ、暴れたり大声を出したりするわけではないのだけれど……怖い。

 部室の空気が最悪だ。

 以前の召喚の際に、何かあったのだろう。ちょっと勇気を出して聞いてみた。

 …………。

 信じられない。いくら彼がイッセーとは逆でロリータコンプレックスの男だとしても、朱乃の誘いを断ったというのだ。

 そんな事だろうと何処か予想はしていたが、やはり彼は本物だったようだ。

 朱乃はその事で甚く心を痛めていた……どう慰めていいか判らない。

 でも……だからって、今にも誰かを殺しそうな殺気を放ちながら授業を受けないでほしい。

 休み時間に上代君が様子を見に来たようだが、回れ右をして逃げていった。まぁ、そうだろう。私も親友でなかったらそうする。

 

 

 

 

 

 ○月.日

 

 どういう訳か、上代君から朱乃が御呼ばれしていった。

 本当に訳が分からない。彼は小猫が好きな変態男ではなかったのだろうか?

 朱乃も朱乃で、巫女服まで纏って召喚陣を通っていった。本気だ。よく判らないが、朱乃は本気だ。

 意味も無く応援してしまった。

 その本気の方向性を曲げてほしいが、まぁこれで朱乃も落ち着くだろう。

 ……そう思っていた時期が私にもあったわ。

 帰ってきた朱乃は無表情だった。

 それ以外に書きようがない。――上代君、生きてるかしら…。

 あと、お気に入りのティーカップも割られてしまった……ぐすん。

 

 

 

 

 ○月△日

 

 今日は祐斗が上代君に召喚されている。

 ……彼はもしかしたら、朱乃以上のSなのだろうか? 常時ドSなの? 朱乃で遊んでるの? 朱乃がイライラしてるのを楽しんでる?

 そんな気がしてならない……きっと疲れてるのだろう、今日は早く寝ようと思う。

 朱乃――お願いだから、その殺気を収めてちょうだい。イッセーが怯えちゃってるわ。

 トラウマにならなければいいのだけれど。

 

 

 

 

 ○月↑日

 イッセーにお願いして、上代君の家にチラシを配ってもらった。

 今度、私から朱乃を召喚してもらうよう頼もうと思う。

 そろそろどうにかしないと、学園中から朱乃が怯えられちゃうもの……。

 最近、教師連中も朱乃を避けてるし。

 親友として、もう見過ごせないわ。

 それとなく、上代君なんて放っておけば? と言ってみたが、無視された。

 ……私達って、親友よね?

 

 

 

 

 ○月+日

 

 上代君に朱乃の事を相談しに行ったら、酷いことを言われた。

 部長なんだから、私にどうにかしろ……ですって?

 私がどうにかできるなら、私がどうにかしたいわよ!

 でも、私の話なんか聞いてくれないんだからどうしようもないじゃない!!

 そもそも―――

 

 

 

(字が汚くて読めない)

 

 

 

 

 ――うぅ、お酒を飲みながら文字を書くのって気持ち悪い……もう寝る。

 

 

 

 

 

 寝ようとしたら、上代君に召喚されてしまった。

 だから、私じゃなくて朱乃を召喚しなさい!!

 

 

 

(字が汚くて読めない)

 

 

 

 

 

 ○月|日

 

 お昼休みに上代君と会ったので、部室へ招待してあげた。

 小猫が淹れた紅茶を美味しそうに飲んでいた……やはり彼は、その…アレなのかしら?

 私や朱乃とは全く違う感じで小猫に接していたし。

 その優しさの半分でも朱乃へ向けてくれれば、あの子も落ち着くのに――はぁ。

 やはり、上代君のような趣向の人には、私や朱乃のような体型の女は女として見れないのだろうか?

 とにかく、彼にはもう少し朱乃に優しくしてほしい。

 最近、本当に怖いのだ。まぁ、朱乃も女だったのねぇ、と思わなくもないが。

 しかし、ドSとドSが合わさるとどうなるのだろうか?

 考えたくも無い……。

 

 

 

 

 ○月!日

 最近、イッセーは教会のシスターにお熱だし、上代君はよく判らないしで、周りの男に振り回される毎日だ。

 賑やかなのは好きだけど、もう少し悪魔らしい賑やかさを楽しみたい。

 まぁ、上代君は悪魔じゃないんだけど。

 今日はイッセーが上代君に召喚されてるし……まぁ、流石に男色の気は無いだろうから、心配はしないけど。

 そういえば、未だに上代君の『神器』を確認してなかった。

 今度時間が出来たら確認しないと……仕事が終わらない。

 私もイッセーを召喚して願い事を叶えてもらいたい。

 

 

 

 

 

 ○月$日

 イッセーが、また堕天使に襲われた。

 いや、イッセーというよりも一緒に居たシスターが、だ。

 アーシア・アルジェント。『神器・聖母の微笑』の所有者。

 彼女は教会側にとっても有用なはずだが、それがどうして堕天使と行動を共にしているのか理解に苦しむ。

 まぁ、今はどうでもいい事か。

 私の配下であるイッセーをを傷付けたのだ、どう報復するか――。

 しかし、あの子にも困ったものだ。

 悪魔がシスターを助けたいなどと……優しいのは美徳だけど、優しすぎるのは問題ね。

 

 

 

 

 

 ○月≪日

 

 小猫に教会を見張らせていたら、上代君が教会と接触したらしい。

 あの男、何を考えているのだろうか? 一度、堕天使に殺されたはずなのに……。

 もしかしたらそれもブラフで、本当は堕天使と通じているのだろうか?

 可能性としては五分五分と言ったところか…。

 あまり面白くない展開だ。弱いとはいえ、彼は未知の『神器』持ち。敵対する愚は犯したくない。

 どれだけ弱くても『神器』は切り札足り得るのだから。

 それと、小猫から面白い事も聞けた。

 彼が教会に入った後、出てくるところは見ていないらしい。

 だったらどうやって、彼は家に帰ったのだろうか? ――少し、彼を警戒する必要があるようだ。

 

 

 

 

 

 ○月;日

 

 夜、堕天使の襲撃を受けた。

 しかも、朱乃が張り切り過ぎて相手を逃してしまう……はぁ、何をやってるのか。

 まぁ、朱乃のストレスが発散されたようで何より――とでも言うべきか。

 決戦の時は近い。楽しい玩具は、その時に壊すとしよう。

 

 

 

 

 

 ○月:日

 

 イッセーの覚醒と、新たな僧侶の獲得、そして上代徹という存在の一片。

 得るものが多い一夜だった。

 しかし、彼はいったい何者なのだろうか?

 堕天使からは恐れられ、教会の神父すら顔を見て逃げ出したとか。

 しかも、魂ごと消滅したはずのレイナーレすら蘇生させていた。

 アーシアが言うには、まさに神の御業らしいが――ただの人間が、それほどの『神器』に耐えられるのだろうか?

 あんな『神器』を私も朱乃も知らない。今度、現魔王である兄にも話を伺うべきかもしれない。

 『神滅具・赤龍帝の籠手』ほどではないにしろ、彼の『神器』は脅威足り得る。

 しかし、だとしたら彼の“弱さ”は何なのだろうか?

 興味が尽きない――が、今は敵対関係ではないことを素直に喜ぼうと思う。

 彼は私の配下ではないが、大切な友人の一人なのだから。

 

 

 




感想の方で、主人公の『神器』は蘇生系か? という話が出ているようですが、実は違います。
いつから主人公の能力が蘇生だと勘違いしていた?
次回か、その次で一巻が完結です。
『神器』の能力はその時に……勘違い、大好物です。

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