とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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タイトル変更
シンプルにメイド日記……良い案をくださってありがとうございますorz
主人公のメイドって明記できるし
一番の理由は、見た瞬間、これにしようと思えたからw


62(堕天使日記 改め メイド日記)

 $月S日

 

 黒歌の戦い方は、何度か手合わせをしてもらっているので判っている…と思う。

 徹様の元に居た時…あの子は本気ではなかっただろうから、戦い方だけ、だが。

 仙術と妖術の合わせ技。身体強化に、仙術による索敵――気を感じる、と言っていたか。

 私がどう足掻こうが、きっとあの子の手の平の上からは逃げられないだろう。

 

 グレイフィア様に手合わせの相手をしていただいたが、どうしても勝てない。

 実力差がある。悪魔と堕天使の違いはあれど、上級悪魔と中級堕天使…格が違い過ぎる。

 言い訳なら沢山あるが、それを負けた理由にしたくない。

 きっと、冥界に居る間に――黒歌はもう一度、私達の…徹様の前に現れる。

 その時に、言い訳など出来るはずがない。言い訳など、したくない。

 今度だけは、勝たなければならない。絶対に。

 徹様と黒歌と……もう一度、三人で。

 ……楽しかった。徹様と二人の生活が悪い訳ではない。

 でも、黒歌が居た時間は楽しくて賑やかだった。

 だから――

 

 だから、私は後悔したくない。うん。

 

 

 先程、明日もグレイフィア様に時間を割いていただけるよう、頭を下げてきた。

 自分でも驚いてしまう。

 ……私は、プライドよりも、黒歌を優先してしまった。

 笑ってしまう。

 ……そんなにも、私は黒歌が大事なのだろうか?

 不思議なものだ。

 

 

 

 $月T日

 

 あれだけグレイフィア様に打ち据えられたというのに、不思議と身体に痛みは無い。

 本当に、あの方の底が知れない。アレが、魔王の『女王』か…納得させられる。

 しかし、どうしたものか。

 グレイフィア様は私の攻撃は弱いので、防御で耐える戦い方が合うと言われた。

 でも、黒歌の攻撃を耐えきれる自信が無い。『人工神器』では限界がある。もともと、私の戦い方が防御に向いていないのだろう。だが、私が操れる光は上級悪魔を相手にするには弱い。

 防御も攻撃も中途半端。それが私だ。

 どうしても、黒歌を打倒するイメージが湧かない。

 

 

 グリゼルダ様に、どうしてここまでして徹様の傍に居るのか、と聞かれた。

 ……さて、どうしてだろうか?

 命を救われたから、とだけ答えたが――本当に、それだけか?

 以前、黒歌にも問われた事だ。

 徹様に救われ――お役に立ちたいから、傍に居る。

 黒歌の理由は、もっとシンプルだった。好きだから傍に居る。

 ……そう言える彼女が羨ましく思えたのを、今でも覚えている。

 きっと黒歌とは、良い友人になれる。その確信がある。そう胸を張って言える。

 テロリストだからとか、なんだとか、理由はどうでもいい。

 黒歌が戻ってきた後、面倒な事になるのも判っている。

 それでも……戻ってきてほしいと思う。私の我儘だ。

 

 

 しかし、『神滅具・赤龍帝の篭手』の凄まじさには、驚かされる。

 数十秒のブーストで、山一つを消し飛ばしていた。

 羨ましい――私には無い攻撃力だ。まぁ、強力過ぎて、私の手には余るだろうが。

 

 

 

 $月V日

 

 まずは、良かった……その一言に尽きる。

 そして、また…徹様の御手を煩わせてしまった。傷も癒してもらった。本当に、申し訳なく思う。

 ……でも、黒歌が生きてた。帰ってきた。

 それだけで良かったと思う。思える。

 黒歌と戦って、気絶して……目が覚めたら、すぐ傍に黒歌が居た。生き――

 

 

 

 

 昨日の夜は、本当に色々あった。

 新人悪魔を集めたパーティ。そこに、黒歌が徹様を攫うために現れた。

 黒歌と孫悟空――そして、黒歌を一度殺した男。

 聖王剣「コールブランド」の所持者、アーサー・ペンドラゴン。

 あの男だけは、いつか必ず倒す。絶対だ。あの男だけは、絶対に許さない。

 今でも、私と妹を庇って倒れた黒歌を思い出せる。人型の維持すらできなくなり、私の手の中で冷たくなっていった彼女を思い出せる。徹様の元に居て、随分と『死』から遠ざかってしまっていた。だから、感覚がマヒしていたのだと思う。私は…戦いとは、死が隣にあるモノだと、忘れていた。

 ……私は、弱いし、甘い。徹様が居なければ、黒歌を失っていた。黒歌は慰めてくれたが、結果論だ。黒歌が死んでしまっていたら、今日みたいに、話す事も出来なかったのだから。

 そう謝ると、怒られたが。

 

 ……しかし、私が泣いていた時に…黒歌がまだ生きていた事――良い事なんだが、なんとも…うん。恥ずかしい。早く忘れてくれることを切に願う…本当に。

 きっと、しばらくその事で色々と言われるんだと思う。はぁ。黒歌の為に頑張ったのに…頑張ったせいで笑われるのは納得がいかない。

 大体、誰かの死を悼んで泣くなど…私のキャラじゃない。きっとあの時は気の迷い、動転していた。まぁ、多分そんな感じだったのだ。早く忘れてほしい。あと、徹様には絶対に内緒にしてほしい。

 それと、黒歌の妹、白音。リアス・グレモリーの『戦車』、塔城小猫。

 彼女にも驚かされた。黒歌に妹が居た……教えてくれればよかったのに、と思う。

 まぁ、テロリストの姉など、色々と問題があったから教えられなかったのだろうが。

 

 ……しかし、いくら黒歌に及ばなかったからと、感情に任せて『女王』の駒を使ってしまった…。

 徹様は気付かれてるだろうか? いや、仮にそうだとしても、私からも言う事があるだろう。

 ……あるのだが、どう報告すべきか…一晩悩んだが、答えが出ない。

 もっと、ムードと言うか、徹様の前でと言うか……色々と、もっと良い…いや、今更か。

 それに、徹様の『女王』になれた事は、素直に嬉しい。喜べる。

 ――私が、相応しいかどうかは別にして。……相応しくないと言うのは、自覚している。

 黒歌には、ネガティブすぎると言われたが。うるさい。

 

 今日は、徹様が魔王ルシファーに呼ばれ、黒歌の今後を話しに行かれていた。

 黒歌は、これからどうなるのだろうか?

 いきなり殺される…と言う事は無いと思うが。……不安だ。

 

 

 $月W日

 

 大体、黒歌も黒歌だ。

 最初から全部打ち明けてくれていたら……まぁ、難しいか。

 でも、話して、それで徹様の傍から逃げなかったら、この問題は厄介にならなかったのでは、と思う。

 そういうと、目を逸らされたが。

 寂しがり屋のくせに、変に気を遣うからこうなるのだ。

 ……悪魔なら悪魔らしく、自分の欲望に忠実に生きればいいのに。

 徹様の事を気にして、心配して、自分は相応しくないなんて勝手に思い込んで……心配させて。

 寂しがり屋なのに、意地っ張りな猫。

 そんな貴女が、温もりをくれた徹様から逃げられるものか……バカだと思う。

 

 それにしても。何が泣いていた、だ。貴女は徹様の元に帰ってきたくて、態と手を抜いていたくせに。それくらい判っているのだ。いくら徹様の『悪魔の駒』を使って転生したとはいえ、私程度の堕天使が黒歌ほどの猫魈に及ぶなどおかしいという事くらい…。

 だから私は、黒歌の為になんか絶対に泣いてなんかやらない。うん。絶対だ。もう二度と泣かない。絶対泣いてなんかやるものか。次は怒ろう。そうしよう。

 ――怒れるくらい、強くなろう。黒歌に庇ってもらわなくてもいい様に。自分の力で身を守れるくらい。今度は私が黒歌を庇えるくらい。徹様の役に立てるくらい。いつか、徹様に相応しい『女王』として誰からも認めてもらえるくらい――強くなろう。

 徹様の『女王』の駒の力を得て手に入れた二対四枚の翼。堕天使と悪魔の翼は、私の誇りだ。

 

 それと、どうにも、グレイフィア様にはある程度気付かれていたようだった。

 流石に私が黒歌と知り合いだったとは思っていなかったようだが、それに近い事は感じていたようだ。

 ……言葉少なくだったが、初めて褒めてもらえた。

 

 

 昨日、徹様が魔王ルシファーに――サーゼクス様に黒歌の事で呼ばれていた。

 結果は……これからは、黒歌は徹様の配下として生きていく事。徹様の眷属となる事。

 良かったと思う、本当に。……心から。

 その事を聞いた時、塔城小猫は徹様に泣き付いていたが…黒歌の妹だし、うん。

 

 事情はまだはっきりと把握してないのだろうけど、アーシアも喜んでくれていた。

 良かったですね、と笑顔で言ってくれた。ありがとうと、不思議と…素直に言えた。

 こういう事が言えるアーシアには、どう書くべきか……癒される、と言うのだろうか?

 良い言葉が浮かばない。ただ、その一言で心が軽くなったのは確かだ。

 

 しかし、黒歌は本当に甘えん坊だ。妹の方が大人っぽく思えるくらい子供だ。身体つきはちゃんと姉だが。

 その黒歌は、今日一日、ずっと徹様にべったりだった。

 背中におぶさったり、腕にぶら下がったり、前から抱き付いたり、匂いを嗅いでたり。

 ……まぁ、今日くらいは大目に見たが。

 黒歌が帰ってきてくれて、嬉しいのは本当だし。

 

 

 

 $月X日

 

 今日も、黒歌は徹様にべったりだった。

 あまりに目に余ったので引き離す……引き剥がしていたが。

 嫉妬じゃない。……そんなやり取りも、懐かしい。

 

 大体、嫉妬と言うなら、黒歌の妹だ。

 黒歌と話したいらしいが、当の黒歌は徹様にべったりで話せないらしい。もっと妹を大事にしてもいいと思う。まぁ、これからはずっと一緒に居られるのだから、良いのかもしれないが……良いのだろうか?

 しかし、徹様に付いて回る黒歌と白音を見ていると、微笑ましく思えてしまう。

 カルガモの親子のようだ。

 追いかける理由は違うのだろうけど。

 

 昼からは、黒歌がサーゼクス様に呼ばれていたが、すぐに戻ってきた。

 『禍の団』の情報を、知ってる限り全部教えてきたらしい。

 ……そんな簡単に全部教えて大丈夫なのだろうか?

 黒歌は、知ってることはそう多くないから、と言っていたが。

 

 それに、これからは徹様と一緒に居るからもう必要ないと言っていた。

 ……やっぱり。黒歌と三人が良い。

 徹様にご迷惑をお掛けしたし、きっと黒歌の事で、これから色々と周りから言われるかもしれない。

 でも、やっぱり黒歌には居てほしい。

 黒歌は、徹様を好きだと言った。多分、私もだ。

 だから……黒歌と一緒に居たい。同じ人を好きだから。幸せになってほしい。

 

 

 

 $月Y日

 

 今日は、黒歌が白音に仙術の事を教えていた。

 やはりと言うか…黒歌の妹なだけあって、仙術や妖術の才能があるのだろう。羨ましい。

 私には光の槍とアザゼル様から頂いた『刹那の絶園』しかないので、引き出しが多い彼女たちが羨ましい。

 グレイフィア様は、それを極めれば十分な武器になると言って下さったが。

 だがそれでも、攻撃の手段が多いのは羨ましいものだ。こればかりは、グレイフィア様にも判らない事だろう。

 

 

 それと、徹様に、黒歌がベッドへ潜り込んでくるのをどうにかしてほしいと相談された。

 ……私が気付いていないからと、そんな事をしていたのか、あの猫は。

 徹様の御迷惑になるなら、止めさせないといけないだろう。

 取り敢えず、白音への仙術の教育が終わった後、捕まえて叱っておいた。

 まったく……きっと、今夜も徹様の部屋へ行くだろう。そこでまた捕まえよう。

 判りやすい性格なのは助かる。

 

 

 

 $月Z日

 

 今日も色々あった。うん。

 と言うよりも、昨日だ。昨日の夜。徹様の部屋へ黒歌を捕まえに行くと、白音が徹様の『戦車』になりたいと言っていた。

 ……その様子を、黒歌と二人で、隠れながら覗いてしまった……。少し自己嫌悪。

 隠れる必要なんかなかったと、一晩経って気付いたが…まぁ、その場のノリと言うのもあった。黒歌も隠れて覗いていたし。

 それに、黒歌と白音。今まで別々だった姉妹が一緒の『王』の配下になる、というのも微笑ましい。

 黒歌も喜んでいたし。

 

 ……問題はその後だ。

 私の意志の弱さには呆れ果てる。

 徹様から黒歌を頼まれたのに、その黒歌に説得されるなんて……。

 結局、説得に負けて徹様の部屋で一晩を明かしてしまった。やましい事は無かったが、それでも、なんだか負けた気分だ。というか、負けたのか。黒歌に説得されたし。

 取り敢えず、黒歌が言っていたことは判った。……まぁ、悪魔に転生したのだし。欲望に負けるのは悪い事では……。そんなわけは無いか。今後は気を付けようと思う。

 

 

 今日は、新人悪魔のレーティングゲームの大会…シトリー様が戦われた。

 結果は……残念だった、としか言いようがない。

 相手が悪かった、とも言える。リアス・グレモリー。赤龍帝に聖魔剣使い、聖剣使い……強力な『神器』や『聖剣』使いが多く、その攻撃力の高さは身をもって知っている。

 医務室へお見舞いに行った時はそう悔しそうにされていた。そんな顔もされるのか、と思うと心苦しくすらある。徹様も気にされていた。

 その後、魔王サーゼクス様から労いの言葉と品を貰った時は、いつも通りの表情だったが。

 ……隠しているだけだろう。ぜひ、これからも頑張ってほしく思う。徹様も、シトリー様の夢を応援されていた。私も、応援したい。

 『誰かの為』の夢を、叶えて欲しい。

 

 

 それと、今日一番驚いた事。

 北欧の神、オーディン。オーディン様。

 初めて見た本物の神……一目見て、次元が違うと判った。理解した。黒歌も緊張していた。それほどの相手だった。他に言いようがない…そんな方だった。

 そして、その本物の神がレーティングゲームの観戦室前で徹様を待っていた。

 あまり会話は無かったが、北欧の神すら徹様を気に掛けているという事実に、息が詰まりそうだった。

 ……最初は神様然としていたが、途中からは地が出ておられたが。それとも、あのスケベなご老人と言った風の感じが見せかけなのか。

 黒歌もすぐに馴染んでいたし……サーゼクス様と一緒に居られたグレイフィア様の視線が痛かった。

 黒歌の教育も私の仕事なのだ。先ほど怒っておいた。これからは、せめて公の場では、徹様に恥を掻かせてはいけない。

 私達は徹様の配下、眷属――徹様を計る、目安なのだから。

 

 それにしても、兵藤君は公の場でも相変わらずだった。

 ……アザゼル様や魔王、セラフの前であんな技…と言うのもおこがましい、セクハラまがいの魔法を…。

 珍しく、徹様も怒られていた。それはそうだろう。黒歌ですら呆れるほどだ。

 シトリー様の夢をかけた勝負で、あんな魔法を……。

 

 

 

 

 それにしても。

 徹様は、銀髪の女性……ロスヴァイセ様と言ったか。オーディン様付きの戦女神。

 ああいった感じの女性が好みなのだろうか?

 ……見間違いでなければ見惚れられていた、ように感じた。

 黒歌はその辺りは敏感に察していたようだが。

 ――まぁ、うん。

 

 

 でも、グレイフィア様には、特にそんな反応はされてなかったような気がする。

 

 

 

 $月!日

 

 久し振りに帰ってきた家は、とても懐かしく感じた。

 ああ、帰ってきたんだな、と。そんな感じだ。

 黒歌も家に帰ってきたのが嬉しかったのか、すぐに自分の居場所…リビングのソファに陣取っていた。

 それと、黒歌のこれからを少し話した。と言っても、この家に住むのは当たり前だが。

 黒歌の妹、白音の事だ。黒歌は、白音と一緒に暮らしたいと言っていた。

 私はとてもいい事だと思う。

 あまり彼女の人となりは知らないが、黒歌の妹なら――きっと、楽しくなると思う。

 それに、黒歌も嬉しいだろうし。

 徹様も、姉妹なんだし一緒に暮らせばいい、と言っておられた。

 もしかしたら、駒王学園の夏休みが終わるころには、この家はもっと賑やかになるかもしれない。

 喜ばしい事だ。その時が待ち遠しい。

 

 

 

 $月”日

 

 今日は、グリゼルダ様が私達が冥界に行っている間に来ていた天界のスタッフを紹介してくださった。

 これからは、この方たちも徹様に関わってくるのだろう……色々と複雑ではあるが、仲良くやっていければ、と思う。

 黒歌は猫のままで話を聞いていたが。

 その辺りから教育しないといけないらしい。一応言ったが、多分聞いてなかっただろうし。

 ……グレイフィア様は、こういった時はどういう風に躾を行っているのだろうか? 躾、という言葉が正しいかは判らないが。

 今度相談してみよう。まぁ、相談する前にやれる事はやるが。

 

 

 

 $月#日

 

 今日は一日、家の掃除をしていた。徹様は、黒歌とリビングで遊んでおられた。

 ……平穏で、平和な時間だ。この時間が戻ってきたことが、素直に嬉しい。

 黒歌も…言葉にはしなかったが、嬉しそうだった。

 

 だが、女性の姿で徹様にくっつき過ぎるのはどうかと思う。

 徹様も男性なのだから、色々と思う所があるようだ。

 取り敢えず、お風呂場まで付いて行こうとしたのは止めておいた。あの時は貴女、猫だったじゃないか。

 女性の姿で同じお風呂は…どうかと思う。

 うるさい、発情猫。嫉妬じゃない。徹様が困っていたから止めただけだ。うん。

 あと、私は背中を流しただけであって、同じお風呂に入った訳ではない。勘違いしないでほしい。

 

 

 

 $月$日

 

 夕食の買い出しから帰ると、黒歌がリビングで悶えていた。

 なんでも、徹様に告白したのだとか。返事はもらえなかったそうだが。

 私よりも何倍も強いのに、そう言った時の姿は本当に少女のようで微笑ましい。同性の私から見てもズルいと思ってしまうほどに。

 あまりに嬉しそうだったので、夕食の準備をするまでの間、色々と話を聞いてあげた。

 惚気話に少し後悔したが、黒歌が幸せそうで良かった。冥界で、黒歌が帰ってきてくれて――本当に良かった。

 ソファに並んで座って、飲み物を飲んで、お喋りをして……日常に帰ってきた、と感じられた。

 今度は、ずっと続く日常だ。黒歌は、きっともう…どこにも行かない。

 行かないと、言ってくれたから。

 

 

 それと、私の事を『女王』だと言ってくれた。

 ……『王』と共にある『女王』だと。『王』の元に『僧侶』を連れてきた『女王』だと――。

 私はまだまだ、『女王』に相応しくないと思う。実力も、何も無い。

 でも――黒歌がそう言ってくれるなら、もっと頑張れる。

 

 

 

 $月%日

 

 ……黒歌は口が上手い。

 以前、グレモリーの屋敷で徹様のベッドで一緒に寝るのを説得された時も思ったが、やはり口が上手い。

 昨日は、黒歌が徹様と一緒に居た。だから、今日は私が徹様と一緒に居る番らしい。

 それで良いのか、と聞くと、それで良いらしい。

 黒歌の考えは、よく判らない。

 結局、黒歌に押される形で、以前話していた堕天使の翼の毛繕いをしてもらう事になった。よく覚えていたな、と思う。こう言う所は、本当に抜け目がないと言うか…なんというか。

 徹様は毛繕いはしたことが無いと言われたので、私がお教えする形だったが……正直、黒歌が徹様に甘える理由がよく判った。

 好きな――お慕いしている人に触れてもらえるのは、どうにも……心地良かった。それ以外の言葉が思いつかないほどに。

 あれは癖になる……。出来るなら、もっと、ずっと続けてほしかった。

 

 下手で申し訳ありませんと言われたが、とんでもなかった。とても気持ち良かった。

 またお願いしたいと言ってしまうほどに。

 黒歌の視線が…まぁ、ちょっと気になったが。

 

 

 

 $月&日

 

 今日は、黒歌に手合わせをしてもらった。

 ……負けてしまったが。

 『僧侶』に負ける『女王』……溜息しか出ない。

 黒歌は強くなったと言ってくれたが。

 だが、まだまだ強くなりたい。少しは強くなれたと思うが、それでも私が一番弱いのは変わらない。

 足手纏いにだけは、なりたくない。

 

 

 

 $月’日

 

 アーシアから相談を受けた。

 なんでも、冥界から戻ってきた際に、求婚されたらしい。

 ……正直、どう答えていいか判らなかった。

 相手はディオドラ・アスタロト。名前からして、「元72柱」アスタロト家の者だろう。

 上級悪魔――結婚の相手にしては、申し分ないのかもしれないが……アーシアは、乗り気ではないようだった。

 それもそうだろう。

 アーシアのような子なら、家柄などよりも、相手への感情――想いを大切にしたいはずだ。

 そんな子に想われている兵藤君が、羨ましいと思えるくらいに素敵な少女だ。

 結局、どうすればいいか良い案が浮かばなかったが、また何かあったら相談してほしい。と伝えておいた。

 これまで何度も助けられたのだから、出来るだけ力になりたい。

 徹様も同じ意見の様だった。良かった。

 

 しかし、黒歌がアスタロトの名前に聞き覚えがあると言っていたが、何だろうか?

 少し気になる。

 まぁ、アスタロトと言えば「元72柱」の内の1柱だ。有名なだけなのかもしれないが。

 




日記っぽく書くのが難しい(挨拶

や、パーティの時の所がね
書きたい事を書いてたら、長くなったから
もっと短く、要点だけまとめて、皆さんの想像力を引き立てるように書きたかった
難しいですね、文を書くのって。精進しますorz

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