とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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そして、この主人公である……
刺されても文句言えないんじゃね?


65(エピローグ)

 $月(日

 

 黒歌から、塔城さんの事を改めて紹介された。

 塔城さん……白音さん? 白音ちゃん? 黒歌から思いっきり頬を引っ張られた。痛かった。

 なんでだろうね? 結局、呼び方は塔城さんで落ち着いた。いや、呼びやすいし。

 それに、塔城さんもこの呼び方の方がよさそうだったし。なんでも、塔城小猫って名前には結構思い入れがあるらしい。白音と言う名前は、黒歌専用だとか。なんとなく判る。家族だもんね。そういう特別は大事なんじゃないかな? ……黒歌が拗ねたけど。可愛いな、この黒猫。判ってたけど。

 それはそれとして、結局、塔城さんは家で暮らす事になった。

 一応、俺は反対したよ? ほら、年頃の男と女が一つ屋根の下って、問題しかないと思うし。不純異性交遊? 興味あります。でも、そんな勇気はありません。

 レイナーレさんと黒歌は賛成派だった。というか、レイナーレさんも賛成なのに驚いた。でも、よく考えると賛成するよな。友達の妹さんだもんね。

 ほんと、レイナーレさんと黒歌は仲が良いな。親友という感じだろうか? 羨ましい。

 俺にはそんな友達は居ないからなぁ。学友程度だ。……泣ける。

 

 結局、黒歌に説得される形で塔城さんを受け入れる事になった。押しに弱いよな…俺。

 今日から、二階の一室が黒歌と塔城さんの部屋になった。まぁ、使ってなかった部屋だからいいけど。

 部屋を掃除する際に、追い出されたのはちょっと悲しかった……まぁ、男だからなぁ。部屋に入れたくないよな。判ってるけど、悲しかった。

 というか、これでこの家の人口比率が男1:女3だ。

 ……兵藤の事を笑えなくなってきた気がする。まぁ、ハーレムなんて程遠いけど。

 

 

 

 $月)日

 

 塔城さんって、結構無防備だ。困る。色々と。

 だって、家の中では猫耳に尻尾姿だ。……聞いたら、出しっぱなしの方が楽らしい。

 そういうものなんだ。

 それにしても、やっぱり塔城さんも猫の妖怪なんだなぁ、と思った。

 猫黒歌にマタタビを嗅がせて遊んでたら、塔城さんが顔を真っ赤にしてた。

 そういえば、マタタビって猫にとってお酒みたいな感じなんだっけ、と少し後悔した。ドキドキしたのは内緒だ。だって、塔城さんって小さいのに、顔を真っ赤にしてなんかモジモジしてたんだ。そんなの反則だ。絶対。

 邪まな感情を抱いたのは……気付かれてなかったと思う。思いたい。これでも、塔城さんとアーシアさんには良い先輩っぽい感じで接していたのだ。あとギャスパー君。

 ……最近ギャスパー君見ないけど、元気かな? グレモリーの無茶に付き合わされてないといいけど。

 

 ちなみに、どうして黒歌にマタタビを嗅がせたかと言うと、黒歌がマタタビを嗅がせてくれ、とせがんできたからだ。

 猫になるならいいぞ、と言う事で嗅がせたら、あの有様である。

 まさか、塔城さんにまで効くとは思わなかった。

 もう、マタタビは禁止だな。まだ半分以上残ってるけど……残り、どうしよ?

 

 

 

 $月=日

 

 夏休みの課題が、やっと終了した。これで自由だ。

 おめでとうと、レイナーレさんが肩を揉んでくれた。ヤバイくらいに気持ち良かった。

 また揉んでほしい。

 

 塔城さんは、まだ夏休みの課題は終わってないらしい。冥界に行ってたもんね。その間は勉強はしてなかったみたいだし。

 大変だね……と言う事で、明日からは塔城さんの課題を手伝う事になってる。

 マジで大変だ…まぁ、復習と考えれば丁度良いんだけど。

 

 

 

 $月~日

 

 ギャスパー君が遊びに来た…と言うか、勉強しに来た。ギャスパー君も課題が終わってないんだと。

 塔城さんと同じ一年生だし、丁度良かったので塔城さんが誘ったらしい。

 相変わらず、ギャスパー君は女装してた。それに慣れて、普通の反応をしてる自分が怖かった。

 具体的に言うと、男扱いするか女扱いするか本気で悩んでた……。

 こうやって一人になって考えると、何が正しいのかが判らなくなりそうだ。

 

 一応、先輩らしく、勉強を教える事が出来たのは良かった。

 まぁ、一年の内容だったし……二年の内容なら危なかった。

 

 そういえば、ギャスパー君。吸血鬼なのに太陽の下を歩いても大丈夫らしい。

 今更だけど。ほんと、今更だな。

 不思議に思って聞いたら、笑われた。そりゃそうだ。だって、勉強したの昼間だし。

 

 

 

 $月|日

 

 勉強してたら、黒歌が乱入してきた。退屈に耐えきれなくなったらしい。

 黒歌からしたら、それこそ勉強なんて面白くも無いだろうに。散歩でもしてくればいいのに。

 そう言うと、足を踏まれた。あんまり痛くなかったけど、地味に痛かった。

 レイナーレさんが言うには、勉強ばかりしてないで構って欲しかったとか。ほんとに甘え上手だな、この黒猫。今は人型だけど。甘え上手な美人とか、勘弁してほしい。俺は男なのだ……絶対男として見られてない自信がある。この場合は雄なのだろうか?

 まぁ、それはとりあえず置いておいて。

 そうは言っても、学生は勉強をしないといけない生物なのだ。

 それでも駄々をこねる姉に、塔城さんは恥ずかしそうにしてた。大変だね、塔城さん。

 結局、その後マタタビを与えて塔城さん達の部屋に放り込んどいた。

 

 今度、黒歌用に何かオモチャでも買ってこようか?

 

 

 

 $月@日

 

 ……今日は一日、大変だった。

 昨日の扱いがあまりにアレだったとかで、黒歌が所構わずくっついてきた。流石に、マタタビを嗅がせて放置とか、酷過ぎたらしい。でも、ごめんって謝られた。妙にしおらしかった。何と言うか、普通に反応に困るので勘弁してほしい。もう二度と、マタタビ放置は止めようと思う。

 それと、塔城さんもちょっと様子がおかしかった。部屋にマタタビを放置してたからだろう。本当に申し訳ない。まぁ、塔城さんは黒歌みたいにくっついてこなかったから大丈夫だったけど。

 というか、塔城さんとギャスパー君の前で口付けはやめてほしい。……頬だったけど。…………残念じゃないよ?

 とにかく。今日は一日、黒歌の相手をさせられた。猫黒歌じゃなくて黒歌の相手だ。青少年には辛すぎる。

 せっかく来てくれたギャスパー君には、悪い事をした。結局、勉強どころじゃなくなったので帰ってもらったし。今度、何か埋め合わせをするという事で許してもらった。

 

 

 

 $月q日

 

 兵藤の豪邸(仮)で勉強会をするという事で、招待された。

 というか、グレモリーと姫島の奴、もう課題を終わらせてやがった。何時勉強したんだろう?

 冥界では修行ばっかりしてたみたいなんだけど……。

 

 と思ったが、そう言えば、支取も勉強してたな。修行の後に。あんな感じか。

 とりあえず、夏休みの課題が終わっていない一年と二年組の勉強を見る事になった。

 復習と思えば丁度良い。それに、アーシアさんにはいつもお世話になってるし、こういう場でもなければ恩返しも出来やしない。

 ちなみに、レイナーレさんと黒歌もついてきてた。

 レイナーレさんはお茶とかお茶菓子とかを用意してもらった。猫黒歌は、勉強を見る傍らに撫で回してた。昨日…一昨日の一件で、まだ少し拗ねてた。可愛い。

 

 しかし、オカ研のメンバーって、兵藤とゼノヴィアさん以外は頭が良いらしい。羨ましい。顔が良いと、頭も良いのか…。

 その二人以外は、今日で課題終わったし。ゼノヴィアさんも、日本語が苦手なだけっぽかったけど。

 夏休みもあと3日だし…なんとか頑張ってほしいもんだ。

 

 

 $月r日

 

 昨日のお礼と言う事で、アーシアさんが遊びに来た。手作りのケーキを持って。

 こういう事が出来る人が彼女だと嬉しいよなぁ……無理だろうけど。理想は高く持ちたい。

 この家では、料理はレイナーレさん任せである。というか、キッチンはレイナーレさん専用だ。

 ちなみに、黒歌は料理はそこそこらしい。塔城さんのは一度食べた事がある。美味しかった。

 ……この家で料理が出来ないのは、俺だけっぽい。なんか、非常に肩身が狭くなった気がする。

 

 それと、アーシアさんの求婚の話。最近は落ち着いてるらしい。

 というか、アレ以降姿を見せてないんだとか。

 それはそれで不気味と言うかなんというか、らしい。アーシアさんも大変だね。

 昔、助けた悪魔らしいけど……求婚か。俺には縁の無い話だ。

 それにしても、兵藤一筋のアーシアさんが凄い。そんなに思われてる兵藤が羨ましいね。

 そう言うと、黒歌に頬を抓られたけど。その後、塔城さんもちょっと冷たかった気がする。

 レイナーレさんとアーシアさんは笑ってたけど。割と本気で痛かったから、笑ってないで、助けてほしかった……。

 

 今日は、アーシアさんが久しぶりに家に泊まっていくらしい。

 レイナーレさんと仲良いね、ホント。まぁ、今は塔城さんも居るか。それに、黒歌とも仲良くなってくれるといいな、と思う。黒歌の性格が明るいからあんまり気にしてなかったけど、黒歌も友達少ないし。

 俺が紹介できたらいいんだけど……猫娘を紹介できるような友達は居ない。それに、猫の知り合いも居ないし。

 それじゃ、今日はもう寝よう――。

 

 

 

 $月s日

 

 今日はアーシアさんも一緒に、黒歌の日常品を買いに出かけた。

 というか、服がね。目の毒なのだ。黒歌は動きやすいから、って言ってたけど。

 しかし、レイナーレさんが予備のメイド服を持ってたのには驚いた。何着か持ってるらしい。今度、兵藤に文句を言おう。絶対。お前、元カノにはもう少しマトモな服を贈れよ……そんなだからフラれるんだよ。

 せめて、アーシアさんにはもっとまともな贈り物をしてるといいんだが…。そう思ってた時期が、俺にもありました。

 それ以前に、アーシアさんは贈り物をされた事が無いらしい。少なくとも物は。

 ……俺でも、それはどうかと思うわー。

 思い出は沢山貰ったって言ってたけど。アーシアさんが眩しすぎる……。

 

 ……でもさ、ホント…女の子の買い物って長いよね。今日は疲れた…。

 何度も同じ服を見たり、見比べたり、自分に重ねたり。俺には、どれも良いとしか思えなかった。似合ってたし。全部似合ってた……と言うと、溜息を吐かれた。駄目な回答らしい。すみません……。ホントに、全部よく似合ってたのに。

 男だったら、良いな、と思ったら適当に買うだけなんだけど。男と女の違いを感じた。

 結局、服に半日、歯ブラシやら何やら、小物を揃えるのに半日だ。下着を買う時は、本屋に避難して立ち読みしてた。ヘタレだから、俺。

 晩御飯は久しぶりに外食だった。

 偶にはいいけど、レイナーレさんの味に慣れてるせいか、家で食べたほうが美味しいと思った。言わなかったけど。恥ずかしいし。

 その後、アーシアさんを送ったら兵藤と会った。まぁ、兵藤の家だから当たり前だけど。

 アーシアさんを心配して、玄関でずっと待ってたんだとさ。ゼノヴィアさんが教えてくれた。

 まぁ、アレだ。結構お似合いなんじゃないかな、この二人。兵藤は八方美人が目立つけど。

 

 

 

 $月t日

 

 今日で夏休みも終わりである。明日からは、また学園生活だ。

 黒歌が、俺が居ないと昼間が退屈になるー、と言ってた。しょうがない、それが学生の仕事だ。

 レイナーレさんの手伝いでもしたら、と言うと猫になって寝たふりをしてた。なんて猫だ。

 しかし、塔城さんが来てから…そろそろ十日くらいか? 早いもんだね。ホント。

 今度、何かお祝いでもしようかな? 黒歌と塔城さんが家に居る記念とかで。

 

 

 

 $月 u日

 

 塔城さんと一緒に登校するのは、新鮮だった。というか、登校を家から誰かと一緒と言うのが初めてだ。当たり前だけど。一人っ子だし。

 今日は始業式だけだったので、半日で終わりだった。

 なので、塔城さんと黒歌が家に来た記念にケーキを買って帰った。

 ちゃんと俺とレイナーレさんの分もだ。晩御飯の後に食べ……食べさせられた。

 黒歌は、ホントに困った猫だと思う。どこで覚えたんだ、あんな事。俺の初あーんだった。何だ、初あーんって……。

 塔城さんも、面白がって真似をするし……疲れた。

 でも、楽しそうに笑ってたから、まぁいいか。レイナーレさんも笑ってた。

 疲れたけど、三人が楽しいなら良かった。うん。

 

 よく考えると、これからは何時も塔城さんと登校するのか。

 ……塔城さんのファンに刺されるんじゃないだろうか…。

 

 

 




ん? 何か変な想像でもしたかい?
もし≪にゃーん≫な事でも想像した紳士がいるなら、
人差し指で腕立て30回×5回
小指で腕立て30回×5回
瞑想を三日な


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