とある神器持ちの日記   作:ウメ種

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試験作? そんな感じ。
たぶんオーフィスの日記はこれから試行錯誤していく(ぇ


82(無限日記)

 □月S日

 

 黒歌が日記をつけていた。

 書いてある内容は、人間の男の事ばかりだった。

 ……こんな事を書いて、何が楽しいのだろう?

 よく判らない。

 だが、日記を書いている黒歌は楽しそうだったので、真似をしてみる。

 意味があるのか、よく判らない。

 

 

 

 □月U日

 

 トオルという人間が、死にかけているらしい。

 その事を、どうして黒歌が気に掛けるのか判らない。

 命とは、いずれ死に、喪われるものだ。

 

 

 

 □月V日

 

 気にしていなかったが、最近黒歌の様子が変なようだ。

 美猴が気にしていた。珍しい。

 戦う事以外に美猴が興味を示すのは珍しい。

 ヴァーリは相変わらず、強者を求めている。それでいい。

 

 

 

 □月W日

 

 黒歌の日記には、人間の男の事ばかり書かれている。

 人間は短命だ。いずれ、黒歌は置いて行かれる。

 それでも良いのだろうか?

 置いて行かれるのは寂しいものだと聞いている。

 寂しいのは嫌なモノではないのか?

 だからこそ、静寂を求めるのではないのか?

 ……黒歌の日記は興味深い。

 

 

 

 □月√日

 

 黒歌は人間に会えなくて寂しいらしい。

 寂しいなら会いに行けばいい。

 会いたいのに会いに行かない。

 …よく判らない。

 

 

 

 □月/日

 

 やはり、会った黒歌は特に変わりない。

 日記の中では男の事ばかりを書いている。

 だが、『禍の団』に居る時は変わらない。

 美猴は気にしていたようだ。

 ヴァーリは相変わらず、興味を示していない。

 

 

 

 □月‘日

 

 黒歌は、人間に名前を呼ばれる事が良いらしい。日記の中では。

 我が名前を呼んでみたが、反応は変わらなかった。

 ――何が違うのだろうか?

 

 

 

 凸月¥日

 

 旧……魔王派? そう言うのが、『禍の団』の中にあるらしい。

 興味が無い。

 今度、三大勢力の会談があるので、襲撃すると言っていた。

 蛇を渡したので、大丈夫だろう。

 ……一月ほど日記を書き続けたが、なんら変化は無い。

 続ける事に意味はあるのだろうか?

 

 

 

 凸月B日

 

 黒歌は、妹と暮らしたいらしい。

 暮らせばいいと思う。

 どうして黒歌は、妹と暮らさず、『禍の団』に居るのか?

 どうでも良い事か。

 

 

 

 凸月C日

 

 日記を書くことが日課になっている。

 する事が無いので日記を書いている。

 ……意味があるとは思えないが。

 無意味な事に意味はあるのだろうか?

 

 

 

 凸月E日

 

 旧魔王派は、戦争がしたいらしい。すればいい。

 『次元の狭間』への道を開いてくれるなら。

 真の静寂――それを我に与えてくれるなら。

 

 

 

 凸月O日

 

 旧魔王派に渡した我の蛇が戻ってきた。

 初めての事だ。

 今日は、旧魔王派が戦争を仕掛けたはずだ。

 何があったのだろうか――興味が湧いた。

 

 

 

 凸月Q日

 

 妙な人間を、見つけた。

 カミシロトオルという人間。

 我が力を蛇にし、その蛇を我の力に戻した人間。

 黒歌の日記に書かれていた人間。

 変な人間。

 興味が湧いた。

 

 

 

 凸月R日

 

 黒歌の日記を読む限り、カミシロトオルは死にかけているようだ。

 我の力に干渉できるのに、死にかける。

 変な人間。

 面白い。

 

 

 

 凸月U日

 

 黒歌が帰ってきた。

 カミシロトオルの元には戻らないようだ。

 あんなに会いたがっていたのに、なぜ戻らないのだろうか?

 よく判らない。

 

 

 

 凸月W日

 

 黒歌が日記を書くことを止めた。

 カミシロトオルと会わなくなったからだろうか?

 その事と、日記を書かなくなる事の理由が判らない。

 我は書きつづけよう。日課だからだ。

 

 

 

 $月A日

 

 退屈。

 だが、我の周りは騒がしい。

 静寂が欲しい。

 真の静寂――いずれ、グレートレッドから手に入れよう。

 早く、手に入れたい。

 真の静寂の中で永遠に眠りたい。

 

 

 

 $月B日

 

 日記を書かなくなった黒歌は、面白くない。

 興味が無い。変化も無い。

 美猴、ヴァーリ、黒歌。

 我の周りは変化が無い。

 ――つまらない。

 

 

 $月G日

 

 どうして我は、日記を書き続けているのか?

 黒歌が日記を書いている時、楽しそうだったからだ。

 退屈凌ぎに書き始めた。今では日課になっている。

 しかし、黒歌は日記を書くことを止めた。

 我が日記を書き続ける事に、意味はあるのか?

 無意味な事を続ける事に意味はあるのか?

 

 

 

 $月P日

 

 黒歌と美猴が冥界に行った。

 ヴァーリも居ない。

 独り――静寂の中に居る。

 面白くない。

 

 

 

 $月R日

 

 黒歌が日記を再開したようだ。

 先ほど、部屋で書いていた。

 ――明日、見せてもらおう。

 

 

 

 $月S日

 

 黒歌は冥界で、カミシロトオルと再会したようだ。

 その事を書き綴っていた。

 しかし、我が黒歌の名前を呼んでも変化が無い。

 カミシロトオルと我――何が違う?

 やはりカミシロトオルは興味深い。

 

 

 

 $月T日

 

 カミシロトオルの事をアーサーに言うと、連れてくると言っていた。

 出来るのだろうか?

 あの人間は、我の力に干渉した。

 興味深いが、会うのは無理だろうと理解している。

 少なくとも、我が動かなければ会えないだろう。

 ……会えるなら、会ってみたい。

 だが、今はまだ会う時ではない。

 

 

 

 $月W日

 

 黒歌が帰って来なかった。

 カミシロトオルの元へ行ったのだろう。

 美猴は喜んでいた。

 よく判らない。

 帰るべき場所に帰った、と言っていた。

 我にとって『次元の狭間』がそうであるように、黒歌にとってはカミシロトオルが帰るべき場所なのか。

 なるほど、と思う。

 なら我が『次元の狭間』へ戻る時は、黒歌のように笑えるのだろうか?

 黒歌は、日記にカミシロトオルの事を書いている時、楽しそうだった。

 

 

 $月Z日

 

 英雄派が我に何か言ってきた。

 冥界の魔王達に、何か細工をするらしい。

 面白そうなので、好きにするといい。

 

 

 

 $月$日

 

 旧魔王派が、また我の蛇を欲してきた。

 また何かする気なのだろう。

 黒歌が居なくなり、日記を書く意味も薄れてきている。

 ……退屈だ。

 カミシロトオルと黒歌は、何をしているのだろうか?

 

 

 

 $月 v日

 

 今日も、旧魔王派が我の蛇を貰いに来た。

 蛇が我の力となって戻ってきていないので、カミシロトオルに関係する事では無いようだ。

 ……つまらない。

 

 

 

 #月C日

 

 黒歌が居なくなり、我の周りは静かになった。

 黒歌と美猴の喧騒が無くなった。

 黒歌とヴァーリの喧騒が無くなった。

 ――静かだが、静寂とは言えない。

 これでは退屈だ。

 

 

 

 #月F日

 

 今度、カミシロトオルが悪魔達のゲームに参加するようだ。

 それに合わせ、旧魔王派、英雄派も動くらしい。

 ……興味深い。

 そして、楽しみだ。

 その時ならば、我の監視も緩むかもしれない。

 

 

 

 #月G日

 

 カミシロトオルは、冥界のゲームのルールで、旧魔王派の誰かと勝負するようだ。

 我の力に干渉する人間。

 その男がどう動くのか――興味深い。

 人間が悪魔と戦う……勝敗は、どうでもいい。

 その事が、楽しみだ。

 

 

 

 #月O日

 

 カミシロトオル。黒歌が心を許した人間。

 興味深い人間だった。

 サーゼクスやアザゼル達もあの人間には興味を示していた。

 我の力に干渉する人間。

 我が望む、真の静寂への道を示せる人間。

 『次元の狭間』へ至るに邪魔なモノを、悉く廃そうとした人間。

 ただの人間が、千の悪魔の命を貪り、その命を鍵に、世界の理を捻じ曲げようとした。

 故に殺した。世界の理を曲げさせるわけにはいかない。

 世界の理を曲げては、『次元の狭間』にどのような影響があるか判らない。

 我が望む、真の静寂が失われる可能性もある。

 ――面白い。

 おそらく、あれほどの力なら、我の力だけでなく我の存在にも――『次元の狭間』で揺蕩うグレートレッドにも干渉できるだろう。

 故に、面白い。

 あの人間ならば、我を真の静寂へと導ける。

 

 

 

 #月O日

 

 旧魔王派の大半がカミシロトオルによって無力化され、『地獄の最下層』に封印されたようだ。

 これで、『禍の団』は一層静かになる。

 カミシロトオル。

 昨日は話す余裕も無く殺してしまったが、話してみたい。

 『神器』も魂も傷つけず、肉体だけを殺した。おそらく生きているだろう。

 

 

 

 #月U日

 

 ヴァーリと美猴が、カミシロトオルと話したらしい。

 どういう人間だったかと聞くと驚かれた。

 話した感想だと、普通の人間らしい。

 そういうものか。

 やはり、我自身で話してみたい。

 

 

 

 #月V日

 

 今日、カミシロトオルと話した。

 カミシロトオルは、我の事を覚えていなかった。『神器』の影響で記憶を失くしていたようだ。

 人間が我に干渉する力を得る代償は、記憶か。

 それとも、記憶もまた、代償の一つでしかないのか。

 しかし、我をオーフィスちゃんと呼んだのは、カミシロトオルが初めてだ。

 不思議な人間だ。

 我をまったく恐れていなかった。

 それにしても、カミシロトオルが言っていた「おっぱいドラゴン」とは何だろうか?

 

 

 

 #月Y日

 

 美猴に調べさせたところ、「おっぱいドラゴン」とはドライグの事らしい。

 今代の赤龍帝は、赤龍帝ではなく乳龍帝と呼ばれているようだ。

 何とも妙な響きだ。

 美猴には、これからも「おっぱいドラゴン」の事を調べてもらう事にした。

 

 

 

 #月!日

 

 英雄派の曹操が、カミシロトオルに興味を示していた。

 『神滅具』に数えられていないのに、『神滅具』以上に強力な『神器』だと言っていた。

 手に入れたい、とも。

 手に入るのだろうか?

 それが出来るなら、手に入れてほしいものだ。

 カミシロトオルとは、一度静かに話してみたい。

 

 

 

 #月”日

 

 曹操がカミシロトオルに接触しようとしたが、出来なかったようだ。

 時間の操作。なるほど、と思う。

 時間を巻き戻して、我の蛇をただの力に戻したのか。

 強力な『神器』だ。

 

 

 

 #月#日

 

 冥界では、今、「おっぱいドラゴン」が人気らしい。

 ドライグは戦いが好きだったが、今は子供が好きなのだろうか?

 随分と変わったものだ。

 今代のドライグの担い手、赤龍帝とも話がしてみたい。

 

 

 

 




短い
赤龍日記の二の舞であるorz

本格的に黒龍日記を書き始めるのは11巻から。多分。
先が長い……。
まぁ、修学旅行とサイラオーグ戦はほとんどカットするから、言うほど長くないと思うけど。
8巻もアレだし…8,9,10巻は短いだろうね(笑

……しかし、相変わらず騎士候補の空気率は異常。
もう、剣を持ってるだけで可哀想に思えるレベル。

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