どうぞ、御堪能ください。
春信「つまり、キミはその"デジタルモンスター"って奴なのか」
プスモン「デジモンでいいよー」
戸棚に保管していた煮干しをプスモンに与えながら、春信は情報収集を試みていた。
春信(俄には信じがたい事だが・・・・この生物と意志疎通が出来ている点、昨晩の謎のアプリの件、解凍後に起きた不思議な現象・・・・・いくら何でも人智の範疇では説明しきれない・・・・・)
プスモン「ありがと、ハルノブ。ハルノブはいい人だね♪」
春信「あはは、どういたしまして・・・」
買いだめしておいた煮干しパックの半数をプスモンに食された春信としては、なんとも素直に受け止められない感謝の気持ちである。
春信「さて・・・・・それじゃあ僕はもう出かけるから」
プスモン「どこいくのー?」
春信「お仕事さ。お腹が空いたらこれ、食べていいから」
新しく煮干しパックをプスモンに差し出して、春信は仕度を整える。
春信「夕飯迄には帰ってくるから。おとなしくしててね。じゃ」
それだけ伝えると、春信は家を飛び出して行った。
プスモン「──────ハルノブ、やっぱりいい人」
プスモンは瞳を輝かせて、そう呟くのだった。
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今日一日の職務が終わり、真っ先に向かったのは近所のスーパー。
プスモンに食べられた煮干しの買い足しと、今日の夕飯の食材を買う為である。
夏凛「あれ?兄貴」
春信「夏凛、夕飯の買い出しかい?」
買い物かごを取ろうとした所で、春信は妹の夏凛に声をかけられた。
一時は疎遠になっていたこの二人も、今では他愛ない日常会話をする程度には寄りを戻していた。
夏凛「ま、そんなとこ。兄貴の方は?」
春信「同じく。煮干しも切らしちゃったしね」
夏凛「はあ?煮干し切らすとか・・・・・兄貴らしくないわね。なんかあった?」
春信「まあ・・・・・色々と」
遠くを見るような瞳で答えた春信の様子から、夏凛は「大赦の仕事、そんなに忙しいんだ・・・」と思った。
実際は
春信「そういう夏凛はどうなんだ、最近は?」
夏凛「ん?まー、普通よ。園子には振り回されるし、東郷はいつも通りだし、友奈はなんかじゃれつく回数更に増えてきてるし、風も相変わらず入り浸ってるし、樹が心配なのは分かるけど、もう十分部長としての風格もでてきてるし、いい加減妹離れしろってのよ、まったく」
春信「・・・・・・ふふ♪」
夏凛「なによ」
春信「いやあ、夏凛が楽しそうで・・・・・僕は嬉しいよ」
夏凛「なっ!?///」
そんな会話をしながら、楽しく買い物を済ませた二人であった。
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春信「ただいまー。プスモン、おとなしくしてたかい?」
「おかえり~」
とてとて、と走り寄ってきたのはプスモン─────ではなかった。
春信「・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」
???「おつかれさまー。今日のばんごはんはなーに?」
春信の目の前にいる生き物には、プスモンに似通った部分は勿論ある。しかし、春信にはプスモンとは全く別の生物に見えてしまった。
春信「えっと・・・・・キミは、誰だ?」
???「え!?──────あ、そっか。進化したからわかんないのか」
短い四本の足を器用に使って春信の身体をよじ登ると、その生き物は肩の上に座る。
プスリモン「ボクはプスリモン。春信のおかげでプスモンから進化できたんだよ♪」
にこやかに自己紹介をしたプスリモン。
春信はそれを、唖然とした表情で見ているしかできなかった。
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│プスリモン│
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レッサー型デジモン
背中に黄色い針が生えた四足型のレッサー型デジモン。いつも元気に走り回っており、たまに立ち止まったかと思うとその場で眠ってしまう。得意技は、全身の毛を硬く逆立て、小さくまるまった体で回転して跳ねながら体当たりをする『チクチクローリング』だ
この後、夏凛ちゃんは春信さんを手助けする事を決意。
序章四話目の夏凛ちゃんの台詞に繋がります。