ボクの電脳核は、未だに完全な状態ではない。故に、完全体以上の力を出して、ボクが無事でいられる保証は何処にも無い。
だからボクは、力を完全に取り戻すまでは完全体に進化しないようにしていた。
けれど──────
ドルガモンの背に乗り、園子は東郷に手を差し伸べる。
園子「行こう、わっしー。ゆーゆを迎えに!!」
美森「ええ!・・・・・・・あ、待って」
園子「わっしー?」
差し伸べられた手を取ろうとして、何かに気付いた東郷は、老婆の家に一旦戻る。家から出てきた東郷の手には友情のデジメンタルが握られていた。どうやらあのあとから、ずっと放置されていたらしい。
美森「友奈ちゃんのデジメンタル。きっと、何かの役に立つかもと思って・・・・」
園子「友情のデジメンタル・・・・友情、か・・・・」
美森「そのっち?」
園子「なんでもない。行こう!!」
美森「ええ!」
改めて、出立である!
―――――――――――†――――――――――
セントラルタワーの外側を飛んで、最上階まで到着した東郷たちだったが、何の妨害も無かった事に拍子抜けしていた。
ドルガモン「特に何事も無く頂上まで飛んで来れてしまった訳だが・・・・」
園子「展望ブリッジ・・・ってやつかな~?ワンフロア丸々使っているみたい」
美森「友奈ちゃんは・・・・・」
最上階のナノモンの研究室にたどり着いて早々、東郷は友奈を探しだした。
ドルガモン「────────居た。あそこだ」
予想に反して、友奈は直ぐに見つかった。
黒い結晶体の中に、膝を抱えて踞っている体制の友奈の姿が・・・・・
美森「友奈ちゃんっ!!!」
東郷が駆け寄り、友奈を封じ込めた結晶体を叩く。
しかし、今の東郷は神威の武器(を真似て造られた武器)を持つだけの只の少女。鍛えていたとは言え、結晶体には傷一つ付けられないでいた。
美森「こうなったら・・・・!」
弓を構え、デジソウルから矢を造り、つがえる。
友奈に当たらない場所を狙い放たれた矢は、結晶体に見事命中。だが────
美森「そんな・・・・これでも傷一つ付けられないなんて!?」
ナノモン『無駄だ。やめとけやめとけ』
ドルガモン「っ!?」
その時、この場にいないナノモンの声が部屋中に反響した。
園子「ナノモン・・・・何処にいるの!!」
ナノモン『キミ達はとんでも無い事をしてくれたね・・・・まさか、例の神託とやらが実現するとは・・・・』
ドルガモン「─────しまった。奴はまさか!?」
園子「!」
ドルガモンと園子は気付いた。ナノモンがディノビーモンの存在を感知していたという事は、つまり───
ナノモン『ご明察だ。ワタシは今、"アンダークーロン"の研究施設へ向かっている』
美森「そんな!?」
ドルガモン「どうする?ボクがその結晶体を砕くか?」
ナノモン『やめとけと言ったろう?そいつは誰にも砕けない。既にワタシが実証済みなのだ。純然たる事実だよ』
園子「そんなの、やってみなくちゃ」
ナノモン『ふむ、ならば分かりやすく説明しよう。その結晶体は
美森「あなたが、友奈ちゃんに何かしたから・・・!!」
ナノモン『ワタシは何もしていないとも。只、真実を告げただけの事。"デジソウルは死んだ人間のみが使用できる"、とね』
美森「死ん・・・・・・え?」
ナノモンから教えられた真実に、東郷も呆然となる。
園子「でも、わっしーはちゃんと生きてるよ!ゆーゆだって!!」
美森「そのっち・・・・」
ナノモン『ほう・・・・それは興味深い。君の言うことが真実だとしたら、何故生きながらにしてデジソウルを使用できるのか・・・・調べてみたいものだが、優先事項は地下施設だ。ワタシはこれで失礼するよ。それとささやかだが、そこまで来たキミ達へ歓迎のプレゼントを用意した。遠慮はいらない。受け取ってくれたまえ』
ブツン
ドルガモン「通信が切られたね・・・・」
園子「────わっしー。大丈夫、わっしーもゆーゆも、ちゃんと生きて、ここにいる」
美森「────ありがとう、そのっち。友奈ちゃんは、それを知ってあの黒いデジソウルを出すようになってしまったのかしら?」
ドルガモン「それ以上の何かが、作用している気もするが・・・・・どうやら、プレゼントとやらが届いたようだ」
部屋の扉、天井のダクト、あらゆる場所から現れたのは無数のギロモンだった。
┌────┐
│ギロモン│
└────┘
機雷型デジモン
園子「わっしーはゆーゆを!!もし、ナノモンが言ってたことが本当なら、わっしーだけがゆーゆを救えるはず!!」
美森「そのっち・・・・・」
園子「大丈夫。なせば大抵なんとかなるんよ~」
ドルガモン「ここはボクたちに任せたまえ。君は君のやるべき事を!」
美森「・・・・・・うん!」
東郷が友奈の結晶体に手を当てたのを見届けて、園子はドルガモンに飛び乗り、ギロモンの群れに立ち向かう。
ドルガモン「さて、ソノコ。ギロモンはあんな小さな成りだが完全体だ。今のボクでは太刀打ち不可能だ。そこで提案なのだが─────」
ドルガモン「ソノコ・・・・・暴竜を御する勇気、あるかな・・・・?」
園子「無いよ」
ドルガモン「そうか────────え?」
即座に来た予想外の返答に、ドルガモンは困惑の声を上げる。
園子「ドルるんは、一人で戦うつもりなの?」
ドルガモン「─────いや、別に・・・・そういうつもりでは・・・・」
園子「なら、そういう言い方しないで」
ドルガモンの首筋に抱き付き、園子はドルガモンの頬を撫でる。
園子「一緒に戦おう。わたしたちは、テイマーとパートナーなんだから・・・・・」
ドルガモン「ソノコ・・・・・・・」
その時、ギロモンの一体がドルガモンに襲い掛かる。
それを見切ったドルガモンは、尻尾を叩き付けて追い払った。
ドルガモン「分かった。ならソノコ、暴竜に相乗りしてくれるかい?」
園子「うん!勿論だよ~♪」
嬉しそうに返事をすると、園子は端末を掲げた!
┌──────┐
│ドルグレモン│
└──────┘
獣竜型デジモン
ドルグレモン「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
開幕の『ブラッディータワー』により、先程追い払った一体を含む複数のギロモンごと、タワーの外へと飛び出すと、その背に乗る園子は、竜の騎士宜しく槍を構える。かつて大橋で勇者のお役目に就いていた際の薔薇を模した槍だ。
園子「全員、こっちに来たかな~?」
ドルグレモン「─────────ぐぅぅ」
ドルグレモンは園子の声に答えられない。欠けた電脳核では、完全体の力を御し切れず、それが身体に激痛となって負担をかけているのだ。
園子「ドルるん。落ち着いて・・・・」
ドルグレモン「─────フゥ・・・フゥ・・・済まない。やはり、今の僕には、少し辛い・・・・」
園子「そのために、わたしがいるんよ~」
何をどうしたのか、園子のもう片方の手に別の槍───睡蓮を模した槍が現れた。途端にドルグレモンの力が安定し、身体に走る激痛が消えたのだった。
ドルグレモン「これは・・・・・!?」
園子「うん。やっぱりね~」
ドルグレモン「いったい、何をしたんだい?」
園子「レイレイから聞いたんだけど~、こっちの世界の勇者システムは、パートナーデジモンから力を分けて貰って変身できるようになるんだって。それなら、必要以上に貰える事が出来たら、ドルるんの負担も減らせるかも~って思ったんよ~♪」
ドルグレモン「─────思いつきでよくぞそこまで・・・・流石だね、園子」
園子「えへへ~♪」
そんな会話をしている内に、タワー側面からメガドラモンとギガドラモンの軍勢が現れた。
ドルグレモン「ほう・・・・・大量だね」
園子「おかわりし放題なんよ~♪」
薔薇と睡蓮の槍を手に、可憐なる竜騎士は天を舞う!
不敵な笑みを浮かべながら、園子とドルグレモンは向かってくる機甲兵団へと突撃して行くのだった。
そういえば、今デジライズで35,000pt貯めるとフレイドラモンが貰えるイベントをやってるんだよね。
良いよね、フレイドラモン。
でもライドラモンの方が好き。
早くデジライズに実装されて欲しいなぁ・・・・
─次回予告─
園子たちが戦っている最中、東郷は結晶の前でたたらを踏んでいた。
その時、友情のデジメンタルが輝き、東郷の脳裏に映像を写す。
「これ・・・神託・・・・?」
次回『愛情の包容』
今、新たな冒険の扉が開かれる………