結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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遂に六十話まで来てしまったかぁ・・・

なんだか、感無量だね。これも単に応援してくれてる読者諸君のおかげです。いつも本当に、ありがとうございます。

それはそうと、最近になってバンダイチャンネルにて"カウボーイビバップ"が会員見放題になっている事に気付き、暇な時に試聴してまして・・・・
そういえばデジモンにも"三銃士"なるチームがあったなぁ・・・・と。


-久しぶりの前回までのあらすじ-

セントラルタワー最上階の、ナノモンの研究室に到着した東郷たち。
そこには、黒いデジソウルから造られた結晶体に閉じ籠る友奈の姿があった………





六十話 愛情の包容-前編-

デジソウルを纏った右手で黒い結晶体に触れ、東郷は友奈に呼び掛ける。しかし、返答は一切無し。

 

美森「友奈ちゃん・・・・お願い、返事をして・・・・」

 

呼び掛ける程に、東郷の意識は徐々に結晶体の中の友奈へと近づく。

そして遂に、東郷の意識が友奈に触れた─────

 

 

 

 

 

瞬間、()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

美森「っ!?!?」

 

思わず、結晶体から手を離してしまった。

 

美森「いま・・・・の、は・・・・・・」

 

あの音を、東郷は知っている。

否、覚えている。

 

美森「黒い・・・海・・・・の────」

 

その瞬間、呑まれた際の記憶がリフレインし、東郷の足が震え出す。生まれたての小鹿の如く、ガタガタと。

気付けば呼吸も荒くなり、涙で視界も滲んできた。

黒い海の恐怖は、あの時克服した。()()()()()()()()

しかし、所詮は"つもり"であったということを、今この瞬間、東郷は思い知らされた。

 

美森(怖い・・・・怖いよ・・・・友奈ちゃん────)

 

友奈の名前を心の中で呼んだ時、東郷は自らの成すべき事を思い出した。込み上げる嘔吐感を唾液で飲み下し、前を見据える。

視界が滲んで見えづらいが、目の前には友奈がいる。今も尚、苦しんでいる友奈が………

 

美森(そうよ・・・友奈ちゃんはもっと辛い目に合っている。私がここで挫けたらいけない・・・!!)

 

うまく力の入らない両足を、それでも懸命に踏ん張って、東郷は再び黒い結晶体へと手を伸ばす。

その時、バチッ・・・と何かが弾けるような音がポケットの中から聞こえてきた。

 

美森「・・・・え?何?」

 

不思議に思い、音源を探ろうとした瞬間、ポケットから何かが飛び出して結晶体と東郷の間に割り込んだ。

飛び出したのは、バチバチと放電し発光する友情のデジメンタルだった。

 

美森「いったい・・・何が・・・?」

 

いぶかしむ東郷だったが、どういう訳か、右手がデジメンタルへと吸い寄せられて行く。

触れた瞬間、東郷の脳裏に幾つかの映像が映し出される。その感覚を、東郷は()()()()()()()()()()()()()()

 

美森「うぅ!?──────これは・・・・・神託・・・・?」

 

雷から産まれた翼が、海を裂いて大空へと舞い上がる。

そんなイメージだ。

 

美森「・・・・何を、伝えたいの?」

 

降された神託の解釈に邁進する東郷。故に気付かなかった。

 

???「やれやれ・・・・ようやく解放されたのです」

 

ギロモンの群れが現れた扉から、黒を基調としたゴシックロリータを纏った幼女が現れた事に・・・

 

???「む?────お前は・・・・・」

 

美森「────雷が友情のデジメンタルの事なら、海はあの黒い海──────翼って・・・・何の事・・・・・?」

 

???「おい。そこのお前」

 

美森「デジメンタルにはいくつか種類があるとレイさんから聞いたけど・・・・・翼のデジメンタル?」

 

???「聞いているのですか!?」

 

美森「わからない・・・・・どうすれば良いの?」

 

???「話を聞けと言っているのですよ!!このミツユビナマケモノ!!!」

 

すぱーん!

と、ゴスロリ幼女は何処からか取り出したハリセンで東郷をぶっ叩いた。

 

美森「!?!?!?え?な・・・何?誰?」

 

???「やっと気付いたのですか。やれやれ・・・・とんだボケナスなのです。こんな奴が状況打開の鍵になるとはとても・・・・・・」

 

東郷は呆然としていた。

初対面の相手をいきなりハリセンでどついて、その上口汚く罵倒されたのだ。東郷の心境は如何程か・・・

 

???「自己紹介をさせてもらうのです。ボクはダリア。環境探査ポッド"ミカグラナンバーズ"の一機・・・といえば、お前のような凡骨にも理解できるはずです」

 

美森「環境探査ポッド・・・・・それって確か、レイさんと同じ・・・・?」

 

ダリア「yes.」

 

頷いたダリアに、東郷は難色を示す。

 

美森「・・・・・・・・・・・なんでそこ、外来語なのよ」

 

ダリア「こういう性格としてプログラムされたからなのです。お前の気分が害されようとも変える事は不可能なのですよ」

 

美森「くっ・・・!」

 

物凄く悔しそうに顔をしかめる東郷なのであった。

 

ダリア「ボクに関してはどうでも良いのです。それよりも・・・・・」

 

ダリアは結晶体に近付き、手を触れて目を閉じる。

 

ダリア「─────黒い海の気配─────どうやら、暗黒の力に精神を蝕まれつつあるようです」

 

美森「ええ。だから一刻も早く助けなくちゃいけないの」

 

ダリア「今のお前には無理なのです」

 

美森「そんな事───」

 

ダリア「()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

美森「そ・・・・そうなの!?」

 

ダリア「お前の足がガタガタと震えているのが、何よりの証拠ですよ。さあ、理解できたならばとっとと帰宅する事です」

 

美森「できる訳ないでしょ!友奈ちゃんは苦しんでいるというのに・・・・こんな所に置いていくなんて・・・・・!!」

 

東郷の決意を見せつけられて、ダリアはため息を吐く。

 

ダリア「やれやれ・・・・お前のような只の人間がどうこうできる話では──────んん?」

 

その時、ダリアは東郷の肩に掛かっている弓に気付いた。

 

ダリア「お前・・・・勇者だったのですね・・・・それなら話は違ってくるのです」

 

美森「え────?」

 

ダリア「このアルマジロ女を助けたければボクの指示に従えと言っているのです、ウシチチ女」

 

美森「アルマジロ・・・・・ウシチチ・・・・」

 

ダリアの暴言に辟易しながらも、東郷は彼女の指示に従って行動する事にした。

 

―――――――――――†――――――――――

 

ダリア「────以上なのです。質問は?」

 

美森「えっと・・・・それだけで良いの?」

 

ダリア「yes.ここに友情のデジメンタルがあり、お前はデジソウルを扱える。これだけの好条件であれば、やる事はとても簡単なのです」

 

美森「──────分かったわ。やってみる」

 

ダリアからいわれた指示は一つ。

『友情のデジメンタルの力を借りて、デジソウルからデジメンタルを造る』事。

 

ダリア「お前の精神資質はどうやら、"愛情"寄りの"友情"・・・・といったところですね・・・・」

 

美森「"愛情"寄りの"友情"?」

 

ダリア「どちらが完成するかは・・・・精製してからのお楽しみ、というところなのです」

 

愉しそうに、ダリアは言う。

東郷は構わず友情のデジメンタルから力を借りて、デジソウルの精製を行う。

 

美森「友奈ちゃんもこんな風にして、勇気のデジメンタルを精製したのかしら・・・?」

 

ダリア「レイからの共有データを参照した処、そんな事実は存在しないようです」

 

美森「つまり?」

 

ダリア「このアルマジロはどうやら、無意識レベルでデジメンタルの精製を行ったようですね。時折このような輩がいるのですよ。ボクが此方に置かれてから百年近く経つのですが・・・・ボクが知る限り、こいつで三人目ですね・・・・杏、水都・・・二人共、心に輝くモノを持っていたのです・・・・・」

 

美森「─────って、ちょっと待って!?杏と水都ってまさか・・・」

 

ダリア「お前は集中するのです」

 

美森「う・・・・・了解」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/\____

 

30分後

 

 

____/\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

美森「──────できた!」

 

東郷の手には、翼の生えたロケット型の物体───即ち、"愛情のデジメンタル"が握られていた。

 

ダリア「ふん。これだけかけて『愛情のデジメンタル』とは、芸がないのです」

 

美森「これで、友奈ちゃんを助けられる・・・・」

 

ダリア「使い方は・・・・言わなくても分かるですね」

 

美森「ええ!逝ってきます!!」

 

ダリア「字がおかしいのです」

 

ダリアのツッコミを無視して、東郷は結晶体へと手を触れる。愛情のデジメンタルを手にして・・・・

 

美森「友奈ちゃん待ってて・・・・今助けに行くからね!」

 

 




ゆゆテ!

ダリアの元ネタは『ダンタリアンの書架』のヒロイン(有無は言わせない)、ダリアン。
はい、中の人繋がりです。
書架は小生にとってバイブルみたいなもん。
学生時代の黒い思い出────ぐぅ・・・・頭がぁぁ・・・(自傷行為)

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