結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

102 / 377
ダリア「───────本来、このデジタルワールドに在住する人間達は殆どが、現実世界で死んだ魂がセントラルツリーにて肉体を得た存在。その所為か、魂の力を扱ってパートナーを進化させる事ができた。この力を我々は"デジソウル"と呼称する事にした」

ダリア「稀にデジタルゲートを通って生きたままデジタラシズされて来る人間も居ますが・・・・そういった人間はデジソウルを使う事ができなかった」

独り言を呟きながら、ダリアはコンソールを操作し続ける。

ダリア「故に杏は、『死者のみがデジソウルを使用できる』と結論付けた。が、事此処に到って例外が現れた」

ダリア「あの二人の肉体はデジタラシズされた物───其即ちは、あの二人が生者であるという証明」

ダリア「よもや、机上の空論と馬鹿にしたものが、目の前に現れるとは・・・・」

ため息を吐きながら、エンターキーを押す。
すると、コンソール隣のハッチから友奈の端末とDー3が競り上がってきた。

ダリア「これはボクを閉じ込めたナノモンへの嫌がらせなのです。あれだけのギロモンを造るのに、どれ程コキ使われたか─────!!」

怒りに震えるダリアが、更にコンソールのキーを叩くと、画面に映る全てのウインドウが次々と消えていった。

ダリア「─────いい気見です」

見る者が見たらドン引きする位の悪い顔を浮かべて、ダリアは消えていく画面を見つめ続けるのであった………


六十話 愛情の包容-後編-

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/\____

 

友奈の精神世界

 

 

____/\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

愛情のデジメンタルの力で、黒い海に再び潜った東郷は、友奈の記憶に触れていた。

 

美森「──────こうして見返して見ると、本当に、いろんな事があったわね・・・」

 

友奈の記憶は、その全てが彩りと華に溢れていた。

しかしだからこそ、たった一つの、色彩の無い灰色の記憶がとても目立っている。

 

美森「あれは───────」

 

覗かなくても分かる。

天の神のタタリを受けてからの日々、その記憶だ。

その灰色の記憶に、どうしてか愛情のデジメンタルは反応している。

 

美森「─────まさか、この中に友奈ちゃんが?」

 

意を決して記憶の中に飛び込む。

そこで東郷が見たものは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何度も繰り返し滅んでいく、世界の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美森「これ・・・は────」

 

天の神により、燃やし尽くされる樹海と神樹。

砕け散る建物群、惨殺されゆく人々。

場面は変わって天の神を撃退した後の世界。

神樹が消失した事により、人々が骨肉の争いを繰り広げ、そして滅ぶ。きっかけは世界毎に異なり、食料不足だったり、神樹復活の為の儀式だったり・・・

しかし、その始まりと終わりは一貫していた。

滅びの始まりは"友奈が神婚を拒絶した"瞬間。

終わりの時は、誰かが「どうして神婚を拒絶したのですか」という。

 

美森「──────反吐が出る」

 

この記憶からは、()()()()()()()()()()。つまりこれは、黒い海が見せた悪夢ということ。

ここまで露骨に友奈を責め立てるような悪夢を見せつけされて、東郷は怒り心頭だ。

 

美森「早く友奈ちゃんの下に行かないと・・・!!」

 

更に深い場所へと降りていく。

そこに、友奈にとって一番新しい記憶があった。即ち、ナノモンから真実を聞かされた、あの時の記憶だ。

 

美森「─────そう。やっぱり友奈ちゃんも聞かされて・・・」

 

あんな夢を見た後に突き付けされた真実。

友奈の衝撃はどれ程のものか、想像するに容易い。

 

美森「・・・・居た!友奈ちゃん!!」

 

そして遂に、東郷は友奈を見つけた。

 

 

 

 

 

泣きながら、謝罪を続ける友奈と

 

 

 

 

 

そんな友奈を、泣きながら罵倒し続ける友奈

 

 

 

 

 

二人の友奈が、記憶の奥底に居た。

 

美森「───────友奈ちゃん」

 

声は聞こえない。しかし、東郷には理解できる。

 

美森「もう、自分を責めなくていいんだよ・・・?」

 

二人の友奈に近付こうとして、しかし、東郷の前に黒い影が現れ、邪魔をする。

 

美森「───────失せなさい。今の私は、加減が効かないわよ」

 

影が揺れる。どうやら、嘲笑っているようだ。

 

美森「─────────そう。そっちがその気なら容赦しない」

 

東郷は持っていた愛情のデジメンタルと、弓を掛け合わせると、一丁の銃を造り出す。

かつて使用していた狙撃銃、友の名を冠した愛銃(シロガネ)だ。

銃を造り出すのを見ても、影はゆらゆらと揺れ動く。まるで「このまま撃てば二人に当たるぞ」と言わんばかりだ。

 

美森「─────────────」

 

しかし、今の東郷にそんな脅しは通用しない。

狙い過たず影だけを撃ち抜き、友奈たちには一発もヒットさせなかった。

影は霧散した。

後に残ったのは、二人の友奈だけ。

 

美森「友奈ちゃん。もう平気よ」

 

友奈「───────────とう、ごう、さん」

 

友奈たちを抱き締めて言う。赤子をあやすように、その背中をさすりながら、優しい声で。

 

美森「友奈ちゃんは、悪い夢を見ていただけよ。私たちは生きてるし、世界はちゃんと救われた」

 

友奈「──────うそ」

 

美森「本当よ」

 

友奈'「うそ、だよ・・・・」

 

美森「本当だって」

 

友奈「──────────────」

 

美森「私が、信じられない?」

 

友奈'「そんな、こと・・・・」

 

美森「なら、そのっちに聞いてみる?夏凜ちゃんでも、風先輩でも良いわ。あ、樹ちゃんでも良いかも」

 

友奈「・・・・・・・・・・」

 

美森「そういえば、レイさんの仲間が今そこに居たわね・・・・・・あの生意気な娘に聞くのは、ちょっと癪だけど、友奈ちゃんに信じてもらう為には、我慢するしか・・・・」

 

友奈「─────東郷さん」

 

いつの間にか、友奈は一人になっていた。抱き締めている間に合体でもしたのだろうか。

 

美森「なぁに?」

 

友奈「わたし、生きて良かったのかな?わたしが神婚を断ったせいで、これからみんなが不幸な目にあうかも知れないなら・・・・わたしは・・・・」

 

美森「友奈!」

 

ぺちん、と東郷は友奈の両頬を叩いて押さえる。

真っ直ぐに見つめあい、東郷は語る。

 

美森「『かも』とか『たら』とか『れば』なんて言うのは可能性の話よ。未来がどうなるのかは分からない。けれど、どういう風にしたいのかは決める事ができる。それは、友奈ちゃんだって知っているはずよ」

 

友奈「───────うん」

 

美森「なら、こんな所に居ないで、あんな悪夢を実現させないように、頑張らなきゃ。そっちの方が、私の大好きな友奈らしいよ。もし一人が辛いなら、私が何時だって力を貸してあげる」

 

友奈「東郷さん・・・・・」

 

気付けば、周囲の景色が花畑になっていた。

きっと、もう大丈夫。友奈の結晶体も砕けているだろう。

 

美森「行こう、友奈ちゃん。皆が待ってる」

 

友奈「うん!」

 

―――――――――――†――――――――――

 

ガラスの割れる音を響かせて、結晶体は砕け散った。

その中から友奈が倒れこんでくる。

それを東郷はすかさずキャッチ。

 

友奈「──────────ぁ、東郷さん」

 

美森「おはよう、友奈ちゃん」

 

友奈「えへへ・・・・おはよう、東郷さん」

 

しばらく見つめ合っていると、東郷の後ろからダリアが歩み寄って来た。

 

ダリア「やれやれ、アルマジロがようやく起きたのですか」

 

友奈「ふぇ?あるま・・・?」

 

ダリア「お前の事なのですよ、このスットコドッコイ。ほら」

 

悪態をつきながら、友奈に端末とDー3を投げ渡す。

 

友奈「えぇ!?私!?って、あ!私の端末とDー3」

 

ダリア「ナノモンに感謝すると良いのです。したくないとは思うでしょうが」

 

美森「どういう事?」

 

ダリア「アイツがそのDー3に掛けられていたセーフティを外してくれたおかげで、お前のパートナーはジョグレス進化ができるようになったのです」

 

友奈「じょぐ・・・・れす・・・・?」

 

と、その時だった。

 

園子「わっしー!ゆーゆ!大変だよぉ~~~!!!」

 

友奈「あ、そのちゃん!!・・・・・と、だれ?」

 

ドルグレモン「ドルグレモン。ドルガモンから進化した姿さ」

 

園子「ニュードルるんの事は後で!それよりも、早くここから脱出しないと!」

 

美森「どうしたのよ!?」

 

園子「セントラルタワーが、崩れそうなんよ!!」

 




─次回予告─

時は遡り、アンダークーロン。
地下実験施設へと向かう歌野たちの前に、タイガーヴェスパモン率いる"機甲兵団・ローヤル部隊"が立ち塞がる!

次回『蜂VS植物!地下施設の守護部隊』

今、新たな冒険の扉が開かれる………
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。