ダリア「稀にデジタルゲートを通って生きたままデジタラシズされて来る人間も居ますが・・・・そういった人間はデジソウルを使う事ができなかった」
独り言を呟きながら、ダリアはコンソールを操作し続ける。
ダリア「故に杏は、『死者のみがデジソウルを使用できる』と結論付けた。が、事此処に到って例外が現れた」
ダリア「あの二人の肉体はデジタラシズされた物───其即ちは、あの二人が生者であるという証明」
ダリア「よもや、机上の空論と馬鹿にしたものが、目の前に現れるとは・・・・」
ため息を吐きながら、エンターキーを押す。
すると、コンソール隣のハッチから友奈の端末とDー3が競り上がってきた。
ダリア「これはボクを閉じ込めたナノモンへの嫌がらせなのです。あれだけのギロモンを造るのに、どれ程コキ使われたか─────!!」
怒りに震えるダリアが、更にコンソールのキーを叩くと、画面に映る全てのウインドウが次々と消えていった。
ダリア「─────いい気見です」
見る者が見たらドン引きする位の悪い顔を浮かべて、ダリアは消えていく画面を見つめ続けるのであった………
愛情のデジメンタルの力で、黒い海に再び潜った東郷は、友奈の記憶に触れていた。
美森「──────こうして見返して見ると、本当に、いろんな事があったわね・・・」
友奈の記憶は、その全てが彩りと華に溢れていた。
しかしだからこそ、たった一つの、色彩の無い灰色の記憶がとても目立っている。
美森「あれは───────」
覗かなくても分かる。
天の神のタタリを受けてからの日々、その記憶だ。
その灰色の記憶に、どうしてか愛情のデジメンタルは反応している。
美森「─────まさか、この中に友奈ちゃんが?」
意を決して記憶の中に飛び込む。
そこで東郷が見たものは────
何度も繰り返し滅んでいく、世界の姿だった。
美森「これ・・・は────」
天の神により、燃やし尽くされる樹海と神樹。
砕け散る建物群、惨殺されゆく人々。
場面は変わって天の神を撃退した後の世界。
神樹が消失した事により、人々が骨肉の争いを繰り広げ、そして滅ぶ。きっかけは世界毎に異なり、食料不足だったり、神樹復活の為の儀式だったり・・・
しかし、その始まりと終わりは一貫していた。
滅びの始まりは"友奈が神婚を拒絶した"瞬間。
終わりの時は、誰かが「どうして神婚を拒絶したのですか」という。
美森「──────反吐が出る」
この記憶からは、
ここまで露骨に友奈を責め立てるような悪夢を見せつけされて、東郷は怒り心頭だ。
美森「早く友奈ちゃんの下に行かないと・・・!!」
更に深い場所へと降りていく。
そこに、友奈にとって一番新しい記憶があった。即ち、ナノモンから真実を聞かされた、あの時の記憶だ。
美森「─────そう。やっぱり友奈ちゃんも聞かされて・・・」
あんな夢を見た後に突き付けされた真実。
友奈の衝撃はどれ程のものか、想像するに容易い。
美森「・・・・居た!友奈ちゃん!!」
そして遂に、東郷は友奈を見つけた。
泣きながら、謝罪を続ける友奈と
そんな友奈を、泣きながら罵倒し続ける友奈
二人の友奈が、記憶の奥底に居た。
美森「───────友奈ちゃん」
声は聞こえない。しかし、東郷には理解できる。
美森「もう、自分を責めなくていいんだよ・・・?」
二人の友奈に近付こうとして、しかし、東郷の前に黒い影が現れ、邪魔をする。
美森「───────失せなさい。今の私は、加減が効かないわよ」
影が揺れる。どうやら、嘲笑っているようだ。
美森「─────────そう。そっちがその気なら容赦しない」
東郷は持っていた愛情のデジメンタルと、弓を掛け合わせると、一丁の銃を造り出す。
かつて使用していた狙撃銃、
銃を造り出すのを見ても、影はゆらゆらと揺れ動く。まるで「このまま撃てば二人に当たるぞ」と言わんばかりだ。
美森「─────────────」
しかし、今の東郷にそんな脅しは通用しない。
狙い過たず影だけを撃ち抜き、友奈たちには一発もヒットさせなかった。
影は霧散した。
後に残ったのは、二人の友奈だけ。
美森「友奈ちゃん。もう平気よ」
友奈「───────────とう、ごう、さん」
友奈たちを抱き締めて言う。赤子をあやすように、その背中をさすりながら、優しい声で。
美森「友奈ちゃんは、悪い夢を見ていただけよ。私たちは生きてるし、世界はちゃんと救われた」
友奈「──────うそ」
美森「本当よ」
友奈'「うそ、だよ・・・・」
美森「本当だって」
友奈「──────────────」
美森「私が、信じられない?」
友奈'「そんな、こと・・・・」
美森「なら、そのっちに聞いてみる?夏凜ちゃんでも、風先輩でも良いわ。あ、樹ちゃんでも良いかも」
友奈「・・・・・・・・・・」
美森「そういえば、レイさんの仲間が今そこに居たわね・・・・・・あの生意気な娘に聞くのは、ちょっと癪だけど、友奈ちゃんに信じてもらう為には、我慢するしか・・・・」
友奈「─────東郷さん」
いつの間にか、友奈は一人になっていた。抱き締めている間に合体でもしたのだろうか。
美森「なぁに?」
友奈「わたし、生きて良かったのかな?わたしが神婚を断ったせいで、これからみんなが不幸な目にあうかも知れないなら・・・・わたしは・・・・」
美森「友奈!」
ぺちん、と東郷は友奈の両頬を叩いて押さえる。
真っ直ぐに見つめあい、東郷は語る。
美森「『かも』とか『たら』とか『れば』なんて言うのは可能性の話よ。未来がどうなるのかは分からない。けれど、どういう風にしたいのかは決める事ができる。それは、友奈ちゃんだって知っているはずよ」
友奈「───────うん」
美森「なら、こんな所に居ないで、あんな悪夢を実現させないように、頑張らなきゃ。そっちの方が、私の大好きな友奈らしいよ。もし一人が辛いなら、私が何時だって力を貸してあげる」
友奈「東郷さん・・・・・」
気付けば、周囲の景色が花畑になっていた。
きっと、もう大丈夫。友奈の結晶体も砕けているだろう。
美森「行こう、友奈ちゃん。皆が待ってる」
友奈「うん!」
―――――――――――†――――――――――
ガラスの割れる音を響かせて、結晶体は砕け散った。
その中から友奈が倒れこんでくる。
それを東郷はすかさずキャッチ。
友奈「──────────ぁ、東郷さん」
美森「おはよう、友奈ちゃん」
友奈「えへへ・・・・おはよう、東郷さん」
しばらく見つめ合っていると、東郷の後ろからダリアが歩み寄って来た。
ダリア「やれやれ、アルマジロがようやく起きたのですか」
友奈「ふぇ?あるま・・・?」
ダリア「お前の事なのですよ、このスットコドッコイ。ほら」
悪態をつきながら、友奈に端末とDー3を投げ渡す。
友奈「えぇ!?私!?って、あ!私の端末とDー3」
ダリア「ナノモンに感謝すると良いのです。したくないとは思うでしょうが」
美森「どういう事?」
ダリア「アイツがそのDー3に掛けられていたセーフティを外してくれたおかげで、お前のパートナーはジョグレス進化ができるようになったのです」
友奈「じょぐ・・・・れす・・・・?」
と、その時だった。
園子「わっしー!ゆーゆ!大変だよぉ~~~!!!」
友奈「あ、そのちゃん!!・・・・・と、だれ?」
ドルグレモン「ドルグレモン。ドルガモンから進化した姿さ」
園子「ニュードルるんの事は後で!それよりも、早くここから脱出しないと!」
美森「どうしたのよ!?」
園子「セントラルタワーが、崩れそうなんよ!!」
─次回予告─
時は遡り、アンダークーロン。
地下実験施設へと向かう歌野たちの前に、タイガーヴェスパモン率いる"機甲兵団・ローヤル部隊"が立ち塞がる!
次回『蜂VS植物!地下施設の守護部隊』
今、新たな冒険の扉が開かれる………