わたし達が扱える不思議な力、『デジソウル』
何故それが使えるのか、いったい何時からこの世界に存在していたのか。わたしは知りたかった。
知ることができれば、きっと、友奈さんを助ける手掛かりになる。そう信じて、わたしはナノモンの誘いに乗った。
それが、悪魔を産むことになるなんて、あの時のわたしは思いもしなかった・・・・
歌野にその場を任せた夏凛たちは今、穴の中を落ちていた。
雀「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!死゛ぬ゛っ゛!!!死゛ん゛し゛ゃ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!!このままだと私死ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」
涙と鼻水で顔面をべちょべちょにしながら叫ぶ雀を、呆れた表情で夏凛は見つめる。
夏凛「ルドモンに掴まりながら言ったって、説得力無いっての・・・・」
芽吹「にしても、何時まで落ちれば良いのかしら?流石に心配になるわよ。雀程じゃないけど」
Sハックモン「オレ達が着いているから夏凛たちは平気だろうが・・・・・確かに、この深さは尋常じゃ無いな」
そうこうしている内に、とうとう最下層へとたどり着いたようだ。先程の部屋よりもかなり広い場所に放り投げられる。
雀「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?!?ルドモぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉン、なんとかしてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
Rルドモン「任せろぉ!!・・・・・あれ?」
ルドモンは地面に向かってロケットメッサーを撃ち込もうとしていたが、それよりも前に急に身体がゆっくりになり、安全に着地した。
Rルドモン「なんだぁ?拍子抜けも良いところだぜ」
雀「─────────あれ?なんともない?それとも着地に失敗して死んじゃった後?」
芽吹「そんな訳無いでしょう?まったく・・・・」
夏凛「ここが最下層ね・・・・・・・特に何も見当たらないけど─────」
と、その時だった。
ディノビーモン「Qrrrrrrrrrrrrrrrrrr─────!!!!!」
夏凛たちの頭上をディノビーモンが蒙スピードで駆け抜けて行った。
夏凛「ディノビーモン!もう着いたの!?」
Sハックモン「違う。奴め、オレ達よりも早くに着いていたみたいだ。そして、もう既に誰かと戦っている!!」
セイバーハックモンが指摘するのとほぼ同時に、ディノビーモンが無数の氷の矢に射ぬかれた!
タオモン「あれは、『アロー・オブ・アルテミス』!姐様の技だ!!」
ディノビーモン「Qrrrrrrrrrrrrrrrrraaaaaa!!!!!!」
しかし、ディノビーモンは意にも介さず『アロー・オブ・アルテミス』を放った相手───ディアナモンへと突撃して行く。
┌──────┐
│ディアナモン│
└──────┘
神人型デジモン
ディアナモン「痛みを感じて無いっての!?まったく、これだから暴走デジモンは・・・・!!」
杏「とにかく動きを封じて!今、あのカプセルを破壊される訳にはいかないから!!」
ディアナモン「モチロン・・・・よっ!!」
杏からの援護射撃を受けて、ディノビーモンに近付き回し蹴りを放つ。
そのまま両足でディノビーモンの頭を挟み込み、
ディアナモン「『グッドナイト・ムーン』!!良い子はおねんねの時間よ!!」
ディノビーモン「Qrrrrr・・・・・・・」
タオモン「やった!姐様の『グッドナイト・ムーン』だ!!あれならば・・・・!!」
喜ぶタオモンだったが、事はそう上手くはいかなかった。
眠りかけたディノビーモンが、咄嗟にディアナモンの足を掴み、急上昇したのだ。
ディアナモン「なっ!?」
杏「まさか・・・・ディアナモン逃げて!!」
時既に遅し。
ある程度まで昇ったディノビーモンは、きりもみ回転しながら急降下。
その勢いでディアナモンを地面へと投げ飛ばしたのだった!
タオモン「姐様!!!」
落ち行くディアナモン。
タオモンは咄嗟にディアナモンの落下地点へと滑り込み、自身の身体をクッションに、ディアナモンを助けたのだった。
タオモン「ぐっ・・・・姐様、ご無事で?」
ディアナモン「え?タオモン?姐様?・・・誰?いや、そんな事より!!」
夏凛「任せなさい!やるわよ、芽吹!!」
芽吹「言われなくとも!ほら雀、あなたもやるの!!」
雀「えぇ!?わ・・・・私なんかには荷が重───」
Rルドモン「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁって、やるぜ!!!!!!」
雀「だからなんで盾がそんなにやる気なの!?」
Sハックモン「デュラモン!」
デュラモン「応!」
三体がディノビーモンを取り囲む。
その隙にワイズモンは、杏の下へと駆け寄るのだった。
ワイズモン「リーダー。ご無事ですか?」
杏「ワイズモン・・・・あの人たちは?」
ワイズモン「リーダーと同じ、勇者の方々です」
杏「勇者・・・・?」
会話中だろうが、どんどん状況は変化して行く。
三体の包囲網を突破したディノビーモンは、一路巨大なカプセルへと突撃していく。
しかしそうはさせまいと、ディアナモンとタオモンが立ち塞がる。
ディアナモン「『アロー・オブ・アルテミス』!!」
タオモン「はあ!!」
ディアナモンとタオモンがディノビーモンの進路を塞ぐように遠距離攻撃を仕掛け、ディノビーモンの足を止める。その隙に、後ろから近寄ったセイバーハックモンとデュラモンがディノビーモンを取り押さえた!!
デュラモン「よっしゃ、トラーーーイ!!」
Sハックモン「目を覚ませ!ブイモン!ワームモン!どうしてこんな事をするんだ!!」
ディノビーモン「Qrrrrrrrrrrrrrrrrrr─────」
杏「今の内に・・・・!」
ディノビーモンが取り押さえられたのを確認した杏は、カプセル横のコンソールへと取りつく。
夏凛「─────これは?」
芽吹「デジ・・・モン・・・?」
カプセルの中には、一体のデジモンが眠っていた。
カブテリモンの頭部、グレイモンの胴、メタルグレイモンの鬣、ガルルモンの足、モノクロモンの尾、デビモンと、スカルグレイモンと、クワガーモンの腕、そして、エンジェモンと、エアドラモンの翼を持つデジモン────そう、キメラモンである。
雀「なんか無茶苦茶気持ち悪いんだけど・・・・」
杏「──────────これは、私が犯した罪の証。だから、どうしても私自身の手で・・・・!!」
と、その時だった。
突如として、アラートが鳴り響く!
雀「ふぇ!?何!?何!?何が起きたの!?!?」
杏「うそ・・・・もう完成している!?このままじゃ、目覚めてしまう!!」
杏の悲鳴に応じるように、キメラモンがその瞳を開いた────
ゆゆテ!
激突戦のカオスデュークモン。
こっちを眠らせてくるのホント厄介。
うちのデジモンたちったら、すーぐ眠っちゃうんだもんなぁ・・・・おまいら揃いも揃って寝不足か。