タオモン「お久しぶりです、姐様。相棒を得て、進化を果たしたので気付かないのも無理は無いでしょうが、私です」
ディアナモン「──────もしかして、レナちゃん?」
タオモン「はい」
ディアナモン「ええ!?うっそ、ホントに!?こんなに立派になって・・・・・お姉ちゃん嬉しい!!!」
むぎゅー
タオモン「ね・・・姐様、苦しい」
ディアナモン「うーん、この程好いサイズ感!間違いなくレナちゃんだわ!!」
タオモン「相変わらずの抱き締め癖・・・・・流石は姐様だ」
ディアナモン「んで、どの人がテイマー?お姉ちゃんに紹介してよ~♪」
タオモン「今はここには居りません。姐様の手助けをせよ、と送り出してくださったのです」
ディアナモン「そっかー。いい人に会えたんだね」
タオモン「はい」
―――――――――――†――――――――――
なんて会話があったり無かったり・・・
前回の話の流れ的に、挿入できなかったのでここに。
それと、ゆゆゆ五周年おめでとうございます!!
この作品は、何時まで続くのかな・・・・
杏「そんな・・・・遅かったの?・・・・・」
夏凛「こいつが、厄災?・・・」
カプセルを打ち砕き、キメラモンが這い出てくる。
ゆっくりと頭を上げて─────────
「■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!」
芽吹「────なんて威圧感」
夏凛「でもあいつ、動きはかなりトロいみたい。これなら・・・・!」
寝起きだからなのかどうかは分からないが、キメラモンの動きはとても鈍く、夏凛の言うとおり鈍足だ。
Rルドモン「ならば!『ロケットメッサー』」
キメラモン目掛けてライジルドモンの右手が飛んで行き、見事命中。
が、キメラモンにはあまりきいていない模様。それどころか、キメラモンに命中した右手がメリメリとキメラモンの体内へと呑み込まれていく。
Rルドモン「な・・・・・!?オレの・・・・・右手がぁ・・・・・!?」
夏凛「どうなってるの・・・・?」
杏「あのキメラモンは、私のデジメンタル────『知識のデジメンタル』から抽出したエネルギー体を電脳核に搭載しているんです。その結果、『どんな物でも取り込める体質』を獲得してしまったんです・・・・」
芽吹「どういう事なの?」
杏「デジメンタルから抽出されたエネルギー体を私は"紋章"と名付け、ナノモンの用意したデジタマに使用しました。それが『デジ・バーテックスのデジタマ』であると知らずに・・・・・そしてその結果産まれたあれは、デジモンで在りながら、バーテックス並みの学習能力と先程言った特異体質を獲得してしまったんです・・・・」
夏凛「その片鱗がアレ・・・って訳ね」
Rルドモン「チクショウ・・・・持っていかれたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
呑み込まれた右手を押さえて喚くライジルドモンを無視して、杏たちは話を続ける。
杏「あれを産み出してしまったのは私です。だから、私がなんとかしなくちゃいけないんです!!」
キメラモンの前に立ち、杏は端末をクロスボウに変化させる。
杏「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
キメラモンの頭部目掛けて一射。放たれた矢弾は狙い過たずキメラモンの右目に命中、だがキメラモンはまったく微動だにしていない。
杏「やっぱり・・・・・私の攻撃は効かないか─────」
ディアナモン「そうみたいね。それに・・・・もう既に"知識"が反転して"欲望"になってる」
ディアナモンが指し示す方向を見ると、ライジルドモンがキメラモンに対して『ライトニングバスター』を放っていた。尤も、電撃を食らっているキメラモンはまったく微動だにしていないが・・・
杏「知識の紋章の効力とバーテックス因子で強化された進化能力を使って、取り込んだ情報を元に自分の肉体を強化したんだ・・・・・・もう、あの子の攻撃は通用しない」
ディアナモン「となると、やっぱり最終手段しか無いね」
杏「───────ごめんね。ディアナモン」
ディアナモン「気にしないで良いわよ。杏と一緒に居た日々、私忘れないから」
夏凛「ちょっとあんた・・・・何するつもり!?」
覚悟を決めた様子の杏の肩を掴み、夏凛が引き留める。
杏「─────これから、あれの体内に入って紋章を取り除きます。逆に吸収されてしまうかもしれませんが、その時は私の端末に仕込んだ『退化プログラム』が発動する仕組みになっています。皆さんには、そのあとの事をおまかせ────」
芽吹「ふざけないでっ!!そんな事聞かされて、黙って見送る訳無いでしょうが!!!」
激怒した芽吹が杏に掴みかかる。
それでも、杏は怯まず説得を試みる。
杏「あれを止めるには、もうこれしか方法が無いんです!!!分かってください!!」
芽吹「だからと言って、自分から犠牲になりに行こうとするな!!!」
杏「このままだと、他に犠牲が出てしまいます!でもこれなら、最悪私が犠牲になるだけで済む!一番被害が少ない選択は、これしか無いんd────」
パッシィィィィィィィィン・・・・!
叫ぶように説明していた杏の頬を、夏凛が叩いた。
夏凛「─────悪いわね。でも、こうしないとこっちの話を聞いてくれそうに無かったから・・・」
杏「──────あれは、どんな攻撃を食らっても、そこから獲得した情報を元にして、身体を強化してしまう。身体の一部を取り込めば、そのデジモンの攻撃は一切効かなくなってしまうんです・・・・そんなのを相手に、どうやって戦うつもりなんですか!?」
夏凛「知らないわよ!!でも、なんとかする方法はきっとある!!!」
杏「なんで・・・・なんでそんな事、言えるんですか・・・・・?」
その問いに、夏凛は自信を持って答える。
夏凛「私がそう思っているから!めっちゃくちゃ強く思っているから!!!」
杏「────────はぁ?」
杏は思った。「根性論なんかであれと戦うことは無謀だ」と。実際に夏凛にそう言おうともした。
しかしその前に夏凛が語り始めてしまったので、言えなかった。
夏凛「昔、あんたみたいに『自分が犠牲になれば──』なんて考えで、世界を救おうとした奴が居たわ」
杏「──────え?」
夏凛「私は、そいつを助けたかった。でも無理だった。私にできる事はちっぽけで、あいつを助けるには、私の力は全然足りなかった・・・・」
芽吹「─────ああ、あのときの」
夏凛「悔しかった。苦しかった。でも、それ以上に友奈を傷付けてしまったことが、何よりも辛かった・・・・!!」
いつの間にか固く握りしめていた右手を緩め、夏凛は杏に問いかける。
夏凛「杏、あんたはあんたの仲間たちに、私と同じ思いをさせたいの?」
杏「それ・・・・は・・・・」
夏凛に指摘され、狼狽える杏。
夏凛「あのときは、かけるべき言葉を間違えたけど、今は違う!!」
杏の手を取り、夏凛は告げる。
夏凛「相談しなくても良い。ただ一言、『助けて』って言って頂戴。それだけで、私は────私達は何度でも手を伸ばすから!!!」
杏「────────わ・・・・私」
杏の瞳から涙が零れる。
芽吹「あら夏凛。なかなか格好いいこと、言うじゃない」
雀「私達?・・・いま、"達"って言った?え?それ、もしかして私も入ってる?」
Rルドモン「うおぉぉぉぉぉぉぉん!!!右手の敵ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
夏凛「ちくしょう台無しにしやがって・・・・・・!」
杏「─────ぷふっ」
と、その時だった。
『感動的だね。しかし無意味だ』
ワイズモン「っ!?この声はナノモン!!もう到着したのか!!」
そう、ムゲンドラモンに乗ったナノモンがとうとう降りて来たのだ。
ナノモンはキメラモンと杏たちの間にムゲンドラモンを下り立たせると、ムゲンドラモンから降りてキメラモンに言う。
ナノモン「さあ、キメラモンよ!今こそお前のあるべき形へと進化する時!!このムゲンドラモンを補食するのだ!!そうすれば、お前は"全ての始まり"へと到れるだろう・・・・・!!!」
夏凛「不味いっ!?誰か、あいつを止めて!!!」
『不要なのです』
杏「この声、ダリアちゃん!?」
ダリアからの通信が突如として送られてきた。
ダリア『ナノモン。たった今、お前の研究データは全て消去させてもらったのです』
ナノモン「何!?そんな事をすれば、連動している自爆システムが作動し、この塔は崩壊するぞ!?!?何を考えている!!!」
ダリア『お前の悔しがる顔が見たい。それだけなのです』
ナノモン「お・・・・お前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!」
ダリアの物言いに、ナノモンは地団駄を踏む。
ダリア『杏。今からお前を基点に、半径一㎞圏内を転送空間に指定するのです。塔が崩壊する前に、お前たちを町の外へと転送するのです!』
雀「急展開過ぎて頭が追い付けない・・・・けどここから逃げなくちゃいけないってのはよくわかった!!!」
Sハックモン「夏凛!こいつはどうする?」
押さえ付けられているディノビーモンは、少しでも気を抜けば直ぐにでも脱走しそうな勢いだ。
夏凛「杏!こっちに来て!こいつらも脱出させないと・・・・」
杏「は・・・・はい!」
そうして、転送範囲に全員がいることを確認した杏は、ダリアに告げる。
杏「全員、位置に付きました!」
ダリア『転送・・・開始!』
ダリアの助けもあって、夏凛たちはどうにか、崩壊するタワーからの脱出に成功したのであった。
─次回予告─
一方その頃の陽動部隊。
それぞれが役割を全うする最中、ダリアによって転送された夏凛たちが現れる。
事情を聞こうとしたその時、ムゲンドラモンとキメラモンが大地を割り裂いて出現するのだった。
次回『
今、新たな冒険の扉が開かれる………