戦線を離れた杏は、ひなたがいるであろう本部テントに来ていた。
杏「失礼します!ひなたさんは───」
ひなた「杏さん!?よかった・・・・・よくご無事で・・・・」
突如飛び込んで来た杏に驚きながらも、ひなたは杏の無事を喜んだ。
杏「すみませんが・・・・・再会を喜んでいる場合では無いんです」
ひなた「───────厄災が、目覚めてしまったのですね?」
杏「───────はい」
杏の重苦し気な返答に、ひなたは"もしも"を想定して作成させていた
ひなた「・・・・こうなる事は、メイちゃんからの神託で判っていました。杏さん、潜入前に仰っていた例のプログラムは?」
杏「え?はい、ここに・・・・」
ひなた「では、そのプログラムを───」
と、その時だった。
アウルモンa「報告します!!スワヶ原の戦場に、謎の巨大デジモンが出現しました!!」
伝令で飛び込んで来たアウルモンの報告に、杏は首を傾げる。
杏「謎のデジモン?キメラモンではなくて?」
アウルモンa「はっ!報告では、そのように・・・」
???「・・・・予見していた通りです」
すると、奥にいた一体のデジモンが、ここで漸く、言葉を発した。
ひなた「メイちゃん。ではやはり?」
そう。このデジモンこそ、ひなたのパートナーにして、世界の総てを見通せる力を持つ座天使型デジモン。『ラジエルモン』である。
メイちゃん「此度現れた謎のデジモンこそ、我が見た厄災です。杏、緑衣の青き竜は現れましたか?」
杏「あ、はい。緑衣の青き竜───ディノビーモンが現れました・・・・ですが、ディノビーモンは特に何もしていませんが・・・・・・せいぜいがキメラモンへ執拗に攻撃を仕掛けていたくらいで・・・・」
メイちゃん「ディノビーモン・・・?成る程、そうでしたか・・・・」
ひなた「メイちゃん。ディノビーモンとは、どんなデジモンなのですか?」
メイちゃん「ディノビーモン。竜種のパワーと、昆虫種のスピードを併せ持つ突然変異型のデジモンです。"恐ろしい蜂"の名が示す通り、素早い動きで標的を撹乱し、頭部の複眼で狙った獲物を確実に仕留める、狂暴なデジモンです」
杏「・・・・それだけ聞くと、なんだかディノビーモンの方が厄災って感じがしますけど・・・」
メイちゃん「ディノビーモン単体での脅威は、それほどではありません。昆虫としての特性が強いので、炎の力を持つデジモンならば、簡単に倒せるでしょう」
ディアナモン「なるほどね!コロちんとか相性イイ訳だ!」
メイちゃん「問題なのは、ディノビーモンへの進化方法です。アレは、最早喪われて久しい技術。二体のデジモンが、より高次元の段階へと進化する為のもの。それをナノモンが知ったのだとすれば────」
アウルモンb「報告します!!先程現れた謎の巨大デジモンの攻撃により、我が軍、及び敵軍、双方合わせて七割強の数が、消失しました!!」
ひなた「なんですって!?」
メイちゃん「・・・・・やはり、現れたのはミレニアモンと見て、間違いないでしょう。ひなた」
ひなた「────わかりました。杏さん、一刻も早く、これを完成させなくてはなりません。どうか、お力添えを!」
杏「これ・・・・?いったいなんですか?」
ひなた「対ミレニアモン用の、秘密兵器です」
いつも通りに穏やかな笑みをたたえつつ、ひなたは杏に説明したのだった。
┌────────┐
│ライズグレイモン│
└────────┘
サイボーグ型デジモン
┌─────┐
│ライラモン│
└─────┘
妖精型デジモン
樹「ライラモン・・・・これが、あなたの完全体?」
ライラモン「ええ、そうよ!」
銀「ライズグレイモン!!!なんか・・・・めっちゃカッケー!!」
Rグレイモン「はっはー!!!姉御のおかげだぜ!!!」
夏凛「──────緊張感の無い連中」
Sハックモン「変に緊張してるよりは、マシなんじゃない?」
夏凛「それもそうね。ほら!行くわよ!!」
端末を剣へ変え、ミレニアモンへと突撃する夏凛と、後ろから追従する形で追いかけるセイバーハックモン。
両者がミレニアモンの足に取り付き、剣を突き立てた時、ミレニアモンに異変が起きた。
セイバーハックモンの剣は弾かれてしまい、ミレニアモンへダメージを与える事は不可能だったが………
ミレニアモン「■■■■■■■!?!?!?」
ナノモン「なんだと!?」
夏凛の剣は深々と刺さり、ミレニアモンは苦痛の雄叫びを上げたのだった。
夏凛「ダメージが通った?もしかして・・・・樹!」
樹「はい!!」
夏凛の合図に応え、樹は端末からワイヤーを射出。セイバーハックモンが取り付いている方の足にワイヤーを絡ませると、
樹「てぇぇぇぇぇい!!」
端末ごと、ワイヤーをおもいっきり引っ張った。その結果───
ナノモン「しまった!?足が!?」
ミレニアモン「■■■■■■■!!!!!!」
ミレニアモンの足が切断され、痛みからか、ミレニアモンは転んでしまったのだった!
銀「勇者の攻撃なら効くってワケか!くっそー・・・・アタシも端末さえあれば・・・・」
Rグレイモン「姉御、オレたちはサポートに徹しよう」
銀「────だな!無い物ねだりしてるより、できる事を、だ!!」
Rグレイモン「よっしゃあ!行くぜ行くぜ行くぜェェェェェ!!!『ライジングデストロイヤー』!!!」
翼と胸のビーム砲から放たれたビーム弾幕が、今しがた起き上がったばかりのミレニアモンの顔面に注がれる。
ナノモン「くっ・・・!?今更そんな攻撃・・・・ミレニアモンには目眩ましにしかならん!!」
銀「でも、目眩ましにはなるんだろ?」
ナノモン「何?・・・・まさか!?」
ナノモンが気付いた時には、既に遅かった。
セイバーハックモンに運ばれ、ミレニアモンの頭上に到達した夏凛が、剣を振りかぶって落下してくる!
夏凛「これで・・・・・どうだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
しかし、それを黙って享受するナノモンではない。
ナノモン「ちぃ!!」
直ぐ様ミレニアモンの意識に介入し、剣筋から待避させる。
結果、ミレニアモンの首を狙った夏凛の一閃は、鬣を少し斬る程度で終わったのだった。
夏凛「くそ・・・・!避けてんじゃ・・・・・・無いわよぉぉぉぉぉぉ!!!」
やけっぱちになった夏凛は、落下しながらも剣を投擲。
しかしそれが、思いがけない一撃となった。
ミレニアモン「■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」
樹「刺さった!?」
夏凛の投げた剣が、ミレニアモンの喉元に突き刺さったのだ。
痛恨の一撃を喰らったミレニアモンは、苦痛の叫びと共に血飛沫代わりのデジタル信号を吐き出す。
ちなみに夏凛は着地に失敗して、地面とキスしていた。
Sハックモン「締まらないなぁ・・・・・」
夏凛「うっさい!!」
夏凛たちが漫才をやっている最中、ミレニアモンの様子を観察していた者がいる。芽吹である。
芽吹「──────そうか!」
デュラモン「お、漸く俺様の出番だな?」
芽吹「ええ、待たせたわね。デュラモンはミレニアモンを撹乱。その間に私達が切り込む!」
デュラモン「応!!」
デュラモンが飛び出し、ミレニアモンの周囲を飛び回る。無論、ミレニアモンはそれに反応し、捕まえようと腕を振り回す。
デュラモン「ハッハー!そんな鈍い動きで、トゥエニストたる俺様を捕まれられると思うなよ!!」
芽吹「今よ、夏凛!樹!」
夏凛「なるほどね!合わせる!!」
樹「わかりました!!」
銀「だったらアタシらは!」
Rグレイモン「目眩ましを喰らえェ!!」
デジモン達がミレニアモンの注意を引き、その間に三人が攻撃する。
ナノモン「ええい!くそ・・・・ちょこまかと・・・・・!!」
Sハックモン「────そうか!ミレニアモンの巨体のせいで、ナノモンは足元が見えてないんだ!」
Rグレイモン「なるほどな!構造上の欠陥ってヤツか!!バカなヤツめ!!」
順調にミレニアモンを追い詰めていく勇者たち。
だが───
ナノモン「ミレニアモンを─────舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
不可視の攻撃がミレニアモンの周囲に放たれる。
間一髪、勇者たちはそれを避けたが、次も避けられるとは限らない。
夏凛「どうにかして、一気に決めないと────」
Mグラウモン「オイラ達に任せろー!」
ペロ「任せろー♪」
ロゼモン「要は、動きさえ止められれば良い訳ね!」
それまでディノビーモンの相手をしていたメガログラウモン達が、どういう訳かミレニアモンに迫る。
メガログラウモンが取り押さえ、その上からメタルシードラモンが巻き付き、ロゼモンが縛る。
芽吹「あなたたち・・・・ディノビーモンはどうしたの!?」
樹「あの暴れん坊さんなら大丈夫です♪」
いたずらっ子の笑みを浮かべる樹に言われ、芽吹は漸くこの場にライラモンが居ない事に気がついた。
芽吹「何をしたの?」
樹「あの子には、ちょっと夢を見て貰ってます。それよりも!」
芽吹「・・・・・そうね。こっちが先決だわ!」
見ればミレニアモンは、何度縛り付けられても大暴れして抜け出している。この様子だと、それほど保ちそうに無い。
樹がワイヤーを射出するのと同時に、芽吹はミレニアモンへと突撃していくのであった。
ゆゆテ!
勇気の歌、購入しましたぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!(号泣)
『キボウノツボミ』がマジ鳥肌。頭ン中無限ループしてるんだけど・・・・・