最早語る言葉はありません。
どうぞ、御堪能ください!
結界が砕けた後には、半壊した大赦本庁しか残っていなかった。
春信「な・・・・・に?」
フィルモン「これは・・・・いったい何が!?」
「ブモォォーーーーーーーーーー!!!!!!」
その時、困惑する春信たちの背後から、けたたましい鳴き声が聞こえてきた。
振り返れば、そこには巨大な猪。
???「ふん!シンドゥーラモンを倒したか・・・・・大した奴だな」
猪の上から声が聞こえて来た。見れば、そこには犬のような姿のデジモン。
春信「!?お前か!本庁をこんなにしたのは!!」
フィルモン「・・・・・その姿。チャツラモンだな?」
チャツラモン「ほう・・・・人間界で産まれたにしては、詳しいな・・・・・その通りだ!!」
┌──────┐
│チャツラモン│
└──────┘
聖獣型デジモン
「ブモォォォォォ!!!ブモォォーーーーーーーーーー!!!!!!」
チャツラモン「そして御奴はヴィカラーラモン。我らはデジタルワールドを守護せし四聖獣の忠実なる僕、『
┌────────┐
│ヴィカラーラモン│
└────────┘
聖獣型デジモン
チャツラモンが高らかに名乗りをあげる。
春信「なぜこんな事を!!お前たちの目的は何だ!!破壊なのか!?」
チャツラモン「いやいや、そんなモノには興味は無い。我らの目的は只一つ!我らのデジタルワールドを救う為の希望の光。それを探し、持ち帰る事だ!!」
フィルモン「それとこの有り様に何の関係がある!!」
ヴィカラーラモンから降りたチャツラモンが、真面目に答える。
チャツラモン「我らが此処に到着したのは、つい今しがた。その時、人間共は我らを見て何と言ったと思う?」
春信「・・・・・・え?」
チャツラモン「バケモノ。彼奴等はそう叫び、我らに武器を向けたのだ。故に我らは抵抗した。まあ当然の報いだな」
フィルモン「─────そんな」
春信「・・・・・・・だとしても、これはやり過ぎだ。それに、そんな巨体でこんな場所に来たら、誰だって驚くに決まっているだろう!」
チャツラモン「そんな人間共の道理は知らん」
フィルモン「勝手な事を言う!」
フィルモンは激怒した。
かの邪恥暴虐なデジモンたちを、なんとしても倒さねばならぬと決意した。
フィルモン「喰らえ!『クリムゾンスラッシュ』!!」
「ブモォォーーーーーーーーーー!!!!!!」
しかし、ヴィカラーラモンには傷一つ付けられない。
フィルモン「そん─────がはっ!?」
チャツラモン「トロいな。それでよくシンドゥーラモンを倒せたものよ・・・尤も、彼奴はよく敵を侮り過ぎる。油断したその隙を狙われて───というのが話のオチであろうよ」
フィルモンに向けてチャツラモンが攻撃する。小突くかのような軽い一撃。馬鹿にされたように感じたフィルモンは更に激怒する。
フィルモン「ぬうううううう!!!!!!」
春信「フィルモン落ち着け!冷静に対処するんだ!!」
フィルモン「春信・・・・・・・ああ、分かった!」
チャツラモン「ほう・・・・」
春信の一言にフィルモンがすぐに落ち着いたのを見て、チャツラモンは認識を改める。『シンドゥーラモンが敗北したのも無理は無い』、と。
チャツラモン「ヴィカラーラモン。全力で挑むぞ。それだけの力量があると見た!」
「ブモォォーーーーーーーーーー!!!!!!」
ヴィカラーラモンの口から赤い宝輪が吐き出される。
フィルモン「不味い!春信逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
カッ
咆哮のような紅い閃光が迸り、ヴィカラーラモンの正面に位置していた瓦礫は一瞬にして消滅した。
春信「はあ・・・・はあ・・・・なん・・・だ、あれは」
フィルモン「春信!平気か!?」
春信「なんとかな・・・・・」
フィルモンの警告がもう一手遅ければ、回避は間に合わなかったかも知れない。そう思うと、春信は冷や汗が止まらなかった。
フィルモン「────────」
春信「しかし、僕たちなら・・・・・勝てない相手じゃないな」
フィルモン「!?・・・春信は、怖くないのか?」
春信「怖いよ。でも、僕にはフィルモンが・・・・相棒がついてる。だから平気さ!」
フィルモン「春信・・・・・ありがとう!」
二人は立ち上がり、チャツラモンとヴィカラーラモンに向かって対峙する。
春信「行くぞ!フィルモン!!」
フィルモン「ああ!」
┌────────┐
│スティフィルモン│
└────────┘
獣人型デジモン
チャツラモン「なんだと!?」
スティフィルモン「ハァァァァ!!!」
素早い動きでチャツラモンの目を撹乱しつつ、ヴィカラーラモンの懐に入り込む。
スティフィルモン「『ヴァーミリオンボルテックス』!!」
「ブモォォォォァァァァァァァァァ!?!?!?!?!?」
全身を串刺しにされて、ヴィカラーラモンは消滅した。
ビル並みの巨体に無数の針を槍のようにして突き刺されれば、いくら十二神と言えど只では済まない。
チャツラモン「むむむ・・・・これ程とは──────まさか!?」
春信「余所見とは余裕だな」
チャツラモン「!?しま────」
スティフィルモン「『ギガァ、クリムゾン・・・・ダァァァァァァァァァイブ』!!!!!!」
チャツラモン「ぬぁぁ!!馬鹿な・・・・馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
渾身の『ギガクリムゾンダイブ』がチャツラモンに直撃し、断末魔を残してチャツラモンは消滅した。
春信「はは、あっけないなあ。十二神とやらも大したことないじゃないか」
スティフィルモン「おいおい、調子に乗ってると足下を掬われるゼ?」
春信「おっと、一本取られたか」
二人の笑い声が、半壊した本庁に響きわたる。
今回の事件の被害は、主に建物等だけで、怪我人や重傷者等は居たものの、死者は居なかった。
後にこの事件は『本庁爆破テロ事件』として、取り沙汰される事となったが、それも一時のみであった。
そして、神世紀303年。運命が動きだす………
以上!ボレロ・DE・8/1計画終わりっ!!
春信さんとエリスモンペアが、今後本編に絡むかどうかはまったくの不明。
でも、ここまでやったからには絡ませたいなあ。
ちなみにの話、今回の章は『劇場版デジモンアドベンチャー』を見てて思い付いた話。勿論、アニメの一日前にやってた前日譚の方。
パロットモン。成熟期に負ける完全体の面汚しめ・・・(愉悦)
あんなんでも完全体なんですよねえ。