序章なのでこういう回も必要だと思い、執筆しました。
それではどうぞ、お納めください
私達が天の神を倒したあの日から、もうすぐ三年が経とうとしている。
これまで撮ってきた写真を眺めながら、あの騒がしくも楽しい日々を思い返す。
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まず、私のかわいいかわいい妹、樹について。
なんと!この度、我が最愛の妹の樹は・・・
新規アイドルユニットの!メインボーカルに抜擢されました!!
ユニット名は『ぶれいぶ☆はーつ』
記念すべきファーストシングルは、『バタフライ-神世紀エディション-』
なんでもこの曲は、旧暦の時代に流行った曲らしく、樹がすごく興奮していたのを覚えている。
さて、そんな樹に対して私は、というと・・・
もちろん!アイドル犬吠埼樹のマネージャーに!!
―――は、流石にまだなれないので、今はマネージャー見習いとして、プロデューサーを兼任している藤岡さんの下で修行中。
いつか、樹を四国一・・・いや、世界一のアイドルにするために、今日も私はがんばるのだ!
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他の勇者部員たちはというと―――
園子と夏凛は、大赦管轄の高校に入った。
園子はともかく、夏凛までそっちに行ったのは正直驚いた。訳を聞いたら、
「大赦で頑張ってる兄貴のこと、少しでも手伝えたら・・・って、思ってね」
なんて夏凛は言っていた。
夏凛のお兄さんは幸せ者ね。
友奈と東郷は、そのまま市内の高校に入った。
東郷いわく、
「近隣で、旧暦の資料について調べられる学校がここしかなくて・・・それに、友奈ちゃんとも一緒にいたいので」
とのこと。
あまりのブレなさに、私も樹も流石に苦笑したものだ。
対して友奈はこの前、進路について私に相談してきた。
「わたし、将来の夢とか、やりたいこととか、まだ、よくわからないんです・・・」
その時の友奈の顔は、少し、暗かった。
私も樹も、友奈のことを応援するつもりではある。だけど、今回ばかりは、自分で見つけないといけないことだから。
樹が占った結果、『近いうちに私たち全員にとっても、転機となる出来事が訪れる』と出た。
その転機とやらが、友奈にとって良いものであればいいと、今は無き神樹様に願う。
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「ただいまー」
「あら、お帰り。今日は早いわね」
「明日に響くといけないからって・・・早めに帰されちゃった」
「明日・・・ねぇ」
眺めていたアルバムを閉じて手帳を開く。
明日の日付の場所に『旧大赦本庁から呼び出し』と私の字で書かれている。
「・・・いったい、なんの用事なのかな」
「まったく読めないわね・・・そもそも、なんで私一人じゃなくて、『勇者部全員』なのかしら・・・?」
「それに、呼び出し場所も・・・」
「讃州中の勇者部部室・・・」
きな臭い何かを感じながらも、私たちがこの呼び出しに応じたのは、友奈の一言がきっかけだ。
「わたしたち勇者部の活動目的は、『世のため、人のためになることを、勇んで実施すること』。大赦の人たちに会うのは・・・正直、怖いです。でも!もし大赦の人たちも困っているんだったら、わたしは、助けたい!」
その言葉に、最初に園子が同意して、次いで東郷が同意した。夏凛も樹もそれに習って、結局、この呼び出しに応じることとなった。
「・・・・・・この前の占い」
「ん?」
「もしかしたら、これのこと・・・かな?」
「・・・・・・・・・・・・だと、いいんだけど」
不安は消えない。でも、きっと―――
「わたしたちなら、大丈夫!だよね、お姉ちゃん♪」
「ちょっと!私のセリフ取らないでよー!」
樹と一緒に笑い合う。
そんな、嵐の前の平和な一日。
ほんとはこれ、東郷さんの一人称で進める予定だったんですよ。
でもね、あとになって気付いたんです。
5月1日って、風先輩の誕生日じゃん!
って。
HAPPY BIRTHDAY!!風先輩!!
これからも、樹ちゃんと姉妹仲良く平和な日々を!