結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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センター・ツリー 周辺


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???「─────────此処ね」

泥のデクスドルゴラモンを片手間に処理しつつ、翼と両腕が刃の天使は、泥に覆われたセンター・ツリーを睨み付ける。

???「待っていてください・・・・・郡様」

呟き、天使はセンター・ツリーへと向かって突撃して行ったのであった。


百四十話 さいごのたたかい~ほの暗い汚泥の中で  side:郡千景~

檻の中、天井からぶら下がる鎖に、私は繋がれている。

周囲には人々が居て、私に向かって忌憚の瞳を向けている。見た顔もちらほら。

 

これが夢であることは分かっている。

けれども私は、この夢を甘んじて受け入れていた。

 

時折投げ入れられた石が当たっても、口汚い罵倒の言葉を浴びせられても、それでも、私は黙って受け入れる。

 

『辛抱強いのね・・・・・けど、いつまで耐えられるかしら?』

 

「───────────」

 

先程からずっと聞こえてくる声を無視して、私は待つ。

別に、誰かが助けてくれるのを待っているわけではない。そもそも助けが来るのかどうかも分からない。

 

思うに、これは試練なのだろう。

 

私の心の中にある、罪悪感やトラウマなどを呼び起こして、夢の世界に投影。対象の精神に揺さぶりをかける。

そうしていったい何をしようとしているのかは、分からないけれど・・・・・少なくとも、こんなことに心を乱していては、相手の思う壺だろう。

 

「────────────」

 

故に、あるがままを受け入れる。

無視では駄目だと思う。受け入れて、乗り越えなくてはいけないのだろう。

・・・・・少し、考えすぎかしら?

 

『─────────ふぅん、耐えるのね・・・じゃ、これなら?』

 

パチン、と音がして周囲が暗闇となる。

再び光が差した時、檻の周囲にいたのは、高嶋さんたちだった。

 

「ぐんちゃん・・・・どうして・・・・」

 

「───────────そう来るのね」

 

正直、仲間たちが現れるのは予想できていた。けれども、罵倒では無く憐憫の瞳を向けられるのは、想像してなかった。

 

「千景・・・・・何故なんだ・・・・・」

 

「ちかげ・・・・・」

 

「千景さん・・・・」

 

「っ・・・・・・」

 

思わず、目を背けてしまう。悔しいが、今の私にはこっちの方が効果的だ。

 

『あーあ、可哀想・・・・みんな、貴女を憐れんでいる。表面上では友達面で接しているけれど、これが本性なのよ』

 

「─────────」

 

高嶋さんたちに関して言えばそんなことは無いけれど、他の人達ならば、そうかもしれない。

 

『本当に?』

 

「・・・・・・」

 

『本当に、そう思っている?』

 

「・・・・・・・」

 

聞くな、と自分に言い聞かせる。そうでないと、心が潰されてしまいそうで───────

 

 

 

 

 

バギンッ!!という音と共に、檻と鎖が断ち斬られた。

 

 

 

 

 

「・・・・・・え」

 

何が起きたのか、理解するのに時間は掛からなかった。何故なら─────

 

???「─────────ふざけるな」

 

千景「は・・・・花本、さん???」

 

Sエンジェモン「ふざけるなよ・・・・御前達・・・!!」

 

私からは背中しか見えないので、どんな表情をしているのかは分からないが、怒りに肩を震わせているのは、理解できた。

 

Sエンジェモン「郡様の優しさに付け入って!郡様の心を踏みにじって!!これ以上郡様に何かしてみろ・・・・・私が御前を」

 

千景「花本さん!もう良いから・・・・」

 

仮令偽物だとしても、花本さんに高嶋さんたちを斬らせる訳にはいかなかったので慌てて止めた。

 

Sエンジェモン「郡様・・・・」

 

千景「私なら、もう大丈夫・・・・助けに来てくれてありがとう」

 

Sエンジェモン「そんな・・・・私には、もったいない御言葉・・・・!」

 

恭しく最上敬礼をしてくる花本さんに、思わず苦笑いしてしまう。

 

千景「・・・・もう、あの声も聞こえない。終わったのかしら?」

 

Sエンジェモン「では、脱出致しましょう」

 

千景「え」

 

両腕の刃にオーラ的な何かを纏わせて、花本さんは何もない空間を切り裂いた。切り開かれた穴の向こうに、別の景色が見える。まさか、その技でここまで来たの?

 

Sエンジェモン「さあ、参りましょう」

 

千景「あ、うん・・・・そうね」

 

言いたいこととか色々あるけれども、とりあえず、穴の向こう側へと移動する。

そこは、私の生まれた村だった。

 

インプモン「千景!!やっと来たのかよ!」

 

千景「・・・・インプモン?」

 

Sエンジェモン「なんと情けない姿でしょう・・・・これで郡様の従者を名乗るとは・・・・身の程知らずも良いところですね」

 

インプモン「好き放題言いやがって・・・・!あと別にオレ千景の従者になった覚え無ぇから!!」

 

千景「そんなことよりも、あなたこんな所で何を─────」

 

と、その時だった。私たちの頭上に巨影が現れる。

 

千景「っ!?─────デクスモン」

 

インプモン「例の泥でできたニセモンだけどな・・・・でも、かなりつえーぞ」

 

Sエンジェモン「成る程、アレが・・・・あの時は私は居ませんでした。が、今は違う・・・・!」

 

千景「やるわよ・・・・ここを乗り越えて、私はみんなの下に帰る!」

 

インプモン(進化)ベルゼブモン「以前は全く歯が立たなかったが・・・・強くなった今なら!!」

 

それぞれの想いを胸に、私たちは立ち向かう。

 

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