ちなみに、前回の園子様のアレは、"BLEACH"の織姫とその兄のアレを参考にしてます。
デジモン関係ないけど、そこはお許しを!
しばし、その場でたたずんでいた園子であったが、不意に視界が歪み、後ろに倒れていった。
園子「・・・・・・・あれ?世界がま~わ~る~?」
銀「よっと・・・まったく、無茶するなぁ!?現実世界だったら死んでたぞオマエ!」
倒れる園子を銀が抱き止める。その隣には東郷の姿もある。
美森「ホントよ!!・・・・もう、心配させないで・・・・」
園子「あはは~・・・・ごめんね、ミノさん、わっしー・・・」
和やかな時間が流れる。
しかし、それは唐突に終わりを告げた。
ジオグレイモン「ぬおっ!こいつ・・・・動き出して・・・くっ!!大人しくしろぉ!!!」
銀「ジオグレイモン!?」
今まで大人しかったシェイドラモンが、再び、暴れだしたのだ。
ジオグレイモン「ぐ・・・・・ダメだ!抑えきれない・・・・・なんつーパワーだ!」
シェイドラモン「キシャァァァァァァァァァァ!!!!!!」
ジオグレイモン「うおぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」
銀「なんてやつ・・・・ジオグレイモンを押し倒しやがった!?」
シェイドラモンは辺りを見回し、そして、園子の抱えるデジタマに気付く。
シェイドラモン「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
美森「こっちに向かって来る!?」
銀「狙いは園子か!?」
園子「・・・・!!」
園子はダメージで動けない。万事休す、と思われたその時───
友奈「もう止めてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!」
園子たちとシェイドラモンの間に、友奈が立ちふさがる。その手に、自身の端末を持って。
美森「友奈ちゃん!?」
シェイドラモン「ギギ・・・!?」
シェイドラモンが友奈の眼前で静止し、そのまま地面に降り立った。
樹「・・・・・止まっ・・・た・・・?」
歌野「ホワイ?どういうことなの?」
美森「・・・・・友奈ちゃん」
シェイドラモンは、じ・・・と友奈を見つめて動かない。しかし、その瞳には動揺が見て取れる。
友奈「ミノモン。あなたの記憶を見たよ」
シェイドラモン「・・・・・・」
友奈「おじいちゃんたちを・・・・町のみんなを食べられちゃったこと・・・・全部、ね」
シェイドラモンは何も答えない。
友奈「でも!だからって、こんなことをしても誰も喜ばない!町のみんなは、ミノモンに敵討ちなんて、望んでないよ!」
シェイドラモン「ギギ・・・!」
友奈「・・・・・・どうしてもだめ?だったら・・・」
友奈「私たちが、相手になる」
ブイモンが無言で友奈の隣に並び立つ。真っ直ぐにシェイドラモンを睨み付けながら。
シェイドラモン「!?!?」
友奈「もうこの子は、そのちゃんのパートナーなんだよ。そのちゃんは私の大事な友達。そのパートナーを攻撃するって言うのなら・・・・」
言葉を区切る。
意を決して、突き放す様に、友奈は告げる。
友奈「私はあなたを許さない」
シェイドラモン「ギ・・・ああ・・・」
途端に、シェイドラモンから勇気のデジメンタルが抜け、ミノモンへと退化した。
勇気のデジメンタルは友奈の中へと返っていき、ミノモンはその場で、縮こまっていた。
友奈「・・・・・ミノモン」
ミノモン「・・・・・ぐす」
そんなミノモンのそばまで近寄り、友奈はミノモンを抱き上げた。
ミノモン「・・・・・・ぼく・・・は・・・」
友奈「・・・・ミノモンの気持ちは、ちょっとだけ、私も判るよ。でも、だからこそ、だめなんだよ」
ミノモン「・・・・・・・なんで?」
友奈「おじいちゃん、最期になんて言ってたっけ?」
ミノモン「・・・・ジジモン?」
ミノモンは思い出す。ジジモンの最期の言葉を。
友奈「たしか、こう言ってたよね───」
『生きろ。そして、自分の幸福を掴み取れ・・・!』
ミノモン「あ・・・・」
友奈「ミノモンのさっきの行動は、それを踏みにじる、ひどいことだったんだよ?」
ミノモン「・・・・・・ぼく」
友奈「でも、もうわかったよね?」
ミノモン「・・・・・・・・」
項垂れるミノモン。そんな様子を見て友奈は、
友奈「大丈夫!」
ミノモンを天高く持ち上げ、真っ直ぐ、ミノモンの瞳を見つめる。
友奈「私が一緒に探してあげるよ!そうすれば、きっとすぐに見つかるって!」
ミノモン「・・・うん。えっと・・・・」
友奈「私、結城友奈。友奈って呼んで欲しいな」
ミノモン「ユーナ・・・・じゃあ、ユーちゃんだね」
友奈「ユーちゃん!?わぁ♪すごく良い♪じゃあそれで!」
ミノモン「うん。ユーちゃん」
友奈「これからよろしくね♪ミノモン!」
ミノモン「よろしく。ユーちゃん」
ミノモンは弱々しく、それでも、ちゃんと笑顔で、友奈に答えた。
―――――――――――†――――――――――
一連の騒動が収まったことを確認した友奈たちは、歌野とパルモン、戦えない東郷とケガの酷い園子を残して、はじまりの町へと戻った。
そこには───
ボロボロのハックモンとギルモン、その二体に寄り添う風と夏凜の姿があった。
友奈「風先輩!?夏凜ちゃん!?」
銀「なんだよ・・・こっちはこっちでどうなって・・・」
???「あら。漸くのお出ましなの?」
声のした方を見る。そこには、大鎌を持った黒髪の少女と、黒い人型のデジモンがいた。
おそらく、彼女たちが、ハックモンとギルモンを痛め付けたのだろう。
しかし、友奈たちの視線は少女の方向に向いていた。
正確には、彼女の着ている服に。
樹「それ・・・・その服は、まさか・・・・!!」
???「あら、察しが良いのね。じゃあ遠慮なく名乗らせてもらうわ」
「私は郡千景。歴史の闇に葬られた、失格の勇者よ・・・」
そう言って千景は、妖艶に微笑んでみせたのだった・・・
─次回予告─
千景のパートナー、ベルゼブモンにより、窮地に立つ勇者部。
彼女の目的はいったい・・・!?
そして、遅れてやって来た歌野が繰り出す、最終手段とは!?
次回『勇者部の危機。歌野、マトリクスエヴォリューション!』
今、新たな冒険の扉が開かれる………