結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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ペース上げてイクゾォ!


~前回までのあらすじ~

ついに雷煌遺跡までやってきた一行。
内部で、かつて起きた『デクス・ウォーズ』の記録を解読。千景の行動の原因を知った。
更に詳細を知ろうとしたその時、雀からバーテックス襲来の知らせを受け───


二六話 バーテックスの秘密。真実はムゲンマウンテンに!

夏凛「な!?また来たっての!?」

 

風「とにかく行きましょう!」

 

風の号令に、雀以外の全員が外に出ようとした、その時───

 

園子「待って!!」

 

美森「そのっち?」

 

友奈「どうしたの?そのちゃん」

 

園子「その前に、みんなに話しておきたい事があるんよ」

 

いつになく真剣な園子の様子に、全員が沈黙する。

 

園子「一応、最初に断っておくけど、これはまだ、推測というよりも、私の想像って呼んだ方が良い物なんよ」

 

美森「構わないわ。教えて、そのっち」

 

園子が頷いて、話を始める。

 

園子「まず一つ目。この世界のバーテックスについてなんだけど・・・・ねぇ、にぼっしー。バーテックスが現れたのは、海だったよね?」

 

園子が、自身の指を一つ立てて、夏凛に訊ねる。

 

夏凛「え?ええ、そうだけど───」

 

園子「海の向こうから来たの?」

 

夏凛「違うわ。海の中から─────ん?()()()?」

 

自身の発言に、疑問を感じた夏凛は訝しげな声を出す。

 

園子「バーテックスは本来、天の神の尖兵。空から落ちてきた厄災。それが、どうして海の中から?」

 

風「─────言われてみればそうね・・・」

 

友奈「海の中に、バーテックスの巣みたいなものがある・・・とか?」

 

園子「ゆーゆ鋭い!でも、私の予想はもうちょっと違うんよ~」

 

言って園子は、何処からともなくメモ帳を取り出した。

 

銀「お。それ、いつも使ってるメモ帳じゃん」

 

園子「さらさらさら~~・・・っと、よ~し、書~けたっ♪」

 

メモ帳に何かを記入した園子が、それを全員に見せる。

どうやらこのファイル島の全景図らしい。

 

美森「こんなもの・・・・いつの間に?」

 

銀「アタシの手書きマップよりも正確じゃね?」

 

園子「ゆーゆたちがシェンウーモンに会ってる間に、ムゲンマウンテンをぐるーーーっと一回りしてきて、この島の全景を確認してきたんよ~」

 

風「それだけでこれ程のものが書けるの!?」

 

樹「流石ですね・・・・園子さん・・・・」

 

レイ「それで?何が気になるの?」

 

園子「えっとね。まず、ムゲンマウンテンの位置なんだけど。丁度、この島の真ん中にあるんよ」

 

園子が全景図の中心を指し示す。

 

園子「で、そこから放射状に川が流れてる」

 

友奈「ふむふむ・・・」

 

園子「川の行き着く先は当然、海。もし、この川が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

園子のその発言に、その場の空気が凍りつく。

 

美森「それは・・・・ちょっと想像の飛躍が過ぎないかしら?」

 

園子「うん。私も最初はそう思ったんよ~。でもね、関所でのことで、そうとも言い切れないことがわかったんよ」

 

夏凛「関所?モノクロモンが突っ込んできた事?」

 

銀「──────あ!()()()!?」

 

園子「ミノさん正解~♪」

 

風「─────そうだ。あのガードロモンは『ムゲンマウンテンが噴火した』って言ってたのに、普通に山頂までわたしたちは行けた」

 

美森「────そういえば、噴火の痕跡なんて何処にも無かったわ」

 

友奈「え?じゃあ・・・・何が原因で?」

 

園子「そこが二つ目。"ムゲンマウンテンの噴火"とは何だったのか」

 

今度は指を二つ立てる。

 

友奈「うーん・・・・昨日起きなくて、今日起きたこと・・・・?」

 

銀「──────アタシさぁ。ムゲンマウンテンの山頂まで、アグモンとランニングするのを、朝の日課にしてるんだけどさ。今朝はアグモンも疲れてるだろうからって、やらなかったんだけど」

 

銀が唐突に話始める。

 

銀「昨日もその日課、ちゃんとやったんだ。まぁ、その帰りにアグモンが園子たち見つけたんだけど」

 

美森「そうだったの?」

 

銀「だから、何かあったとするなら、その間ってことになるんだけど─────」

 

うーん。と全員が首をひねる中、沈黙を貫いていたレイが口を開いた。

 

レイ「────────()()()()()()()()()

 

全員『──────あ!!!』

 

園子「うん。私も、同じ発想に至ったんよ」

 

雀「え?えーと、つまり?」

 

園子「この世界のバーテックスは、今、ムゲンマウンテンの中に潜んでいる、かも知れないんよ」

 

園子の説明に、雀が軽く悲鳴を上げた。

 

雀「ちょ・・・・ちょっと待ってよ!!もしそれが本当のことだったとして、なんでシェンウーモンは何も言わなかったの!?」

 

レイ「知らなかったのでしょうね・・・・・こんな大事なことを、シェンウーモンが教えないはず無いもの」

 

雀「──────そのシェンウーモンが、バーテックスの仲間とかってことは・・・・」

 

レイ「無いわよ。ふざけないで」

 

雀「ハイっ!失礼しましたぁ!!」

 

レイの一喝に背筋を伸ばして敬礼する雀。

 

ハックモン「──────で、どうする?こうしてる今もバーテックスはこっちに向かっているんじゃないのか?」

 

ララモン「少なくとも、ウタノの農場とはじまりの町には向かっているでしょうね」

 

アグモン「なら!やるべきことはーつ!!」

 

銀「残念!アタシらがやるべきことは二つだ」

 

アグモン「え?」

 

夏凛「バーテックスの殲滅。そして、その巣窟の破壊よ」

 

園子「だいたいの場所の目星は付けてきたから、二手に別れるのが良いと思うな」

 

風「迎撃に向かう組の方は、人数多めにした方が良いかもね」

 

夏凛「バーテックスの数にもよるでしょうけど」

 

―――――――――――†――――――――――

 

話し合いの結果

 

園子を筆頭に、友奈、東郷、銀のムゲンマウンテンに向かう組と

レイを中心とした、風、樹、夏凛、雀のバーテックス迎撃部隊の二組に別れることになった。

 

雀「わ・・・私迎撃組!?やーーーだーーーよーーー!!バーテックスとなんてもう二度と戦いたく無いのにぃーーーーーー!!!!!!」

 

夏凛「文句言わない!今回は、アンタが居ないと作戦が成功しないんだから!!」

 

雀「でもぉ~~・・・・」

 

ルドモン「安心しな雀!進化したオレに、死角は無い!!」

 

雀「それでも怖いものは怖いんだよぉ~~~!!」

 

レイ「─────大丈夫なの?これで」

 

樹「あはは・・・・・どうでしょう?」

 

風「ま、成せば大抵なんとかなるってことで・・・」

 

レイ「──────────はぁ(呆れ)」

 

園子「さ!私たちもがんばるよ~!!」

 

友奈「おー!!」

 

美森「それにしても、良いの?レナモン」

 

レナモン「ワタシの役目は終わった。ならば次に行うべきは、ソナタたちに付いて行き、新たな伝説を見届けることと判断した」

 

美森「良くわからないけど、協力してくれるってことよね?」

 

レナモン「ああ。宜しく頼む。ミモリ」

 

銀「バーテックスの巣か・・・・ちょっとワクワクしてる自分がいるなぁ」

 

アグモン「へへ♪冒険だなっ姉御!」

 

友奈「よぉし・・・・行こう!ブイモン」

 

ブイモン「─────────」

 

友奈「・・・・・・ブイモン?」

 

友奈がブイモンを、自身の目線の高さまで持ち上げる。

 

ブイモン「──────え?ああ。ゴメン。大丈夫。ちょっと考え事」

 

友奈「────────勇者部六ヶ条、一つ!」

 

ブイモン「へ?」

 

友奈「悩んだら相談!」

 

ブイモン「─────別に、悩んでは」

 

友奈「でも、何でも言って欲しいな。私、ブイモンのパートナーだもん!」

 

ブイモン「─────そのうち、ね?」

 

友奈「─────そっか。うん。わかった。私、ブイモンが話してくれるのを待ってるね!」

 

ブイモン「ゴメン」

 

友奈「気にしないで。さ、がんばろー!!」

 

ブイモン「おう!!」

 

こうして、一行は二手に別れて、それぞれの役割を果たすため行動を開始したのだった………

 




─次回予告─

迎撃に向かったレイ達はまず、歌野と合流すべく、農場へと走る。
一方、ムゲンマウンテンに到着した友奈たち。
そこで園子は、自身の端末から『あるもの』を取り出して───

次回『侵入!ムゲンマウンテン!!』

今、新たな冒険の扉が開かれる………

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