ムゲンマウンテン内部への侵入に成功した友奈たち。
果たして、その先に待っているモノとは────
友奈「なんだか、トンネルの中みたいだね」
銀「実際、トンネルなんじゃないか?バーテックスが通路として使ってるわけだし」
パイプの様な円形の通路を通って、ムゲンマウンテン内部へと向かう四人。
しばらく歩くと、天井にデジ文字で書かれた看板が、ぶら下がっているのを見つけた。
美森「こんな所に?」
銀「えーと・・・・『研究施設』・・・かな?」
園子「ミノさん、読めるの~?」
銀「デジ文字はレイさんに教わったから」
友奈「この世界の文字?」
銀「ああ」
美森「研究施設・・・・・なんの研究かしら?」
園子「バーテックスと、何か関係があるとは思うけど・・・・」
友奈「案外、バーテックスが使っていたりして」
銀「バーテックスって、文字使うのか・・・?」
なんて会話をしながら、四人は通路を進み続ける。
―――――――――――†――――――――――
しばらく歩くと、広い場所に出た。
そこは、鉄製の壁がドーム状に覆う、研究施設の様な場所であった。
下を覗けば、暗闇が広がっており底が見えない。
銀「多分、この辺りが、ムゲンマウンテンの中だと思う」
美森「こんな場所が・・・・あの下に・・・・」
中央には巨大な柱があり、その周囲には、クモの巣状に壁面に向かって伸びる無数の通路が設けられていた。
そのどの通路も、恐らく友奈たちが通ってきた通路の様に、島の川に偽造された通路へと繋がっているのだろう。
園子「・・・・あの通路の全部が、この島の川だとしたら・・・・」
銀「バーテックスが、この島全体を被うことも可能・・・ってわけか」
と、その時だった。
レナモン「──────────あれは!?」
美森「レナモン?どうかしたの?」
何かに気付いたレナモンが、中央の大柱に向かって走り寄った。その後を、慌てて追いかける。
美森「どうしたの!?レナモン!」
レナモン「──────────嗚呼、なんてことだ」
アグモン「──────────なんだ、これ!?」
全員が、大柱に近付いて、その時、やっと気付いた。
彼女たちが、柱だと思っていた物は、巨大な培養槽であったのだ!
その巨大培養槽の中には、見た事もない、巨大なデジモンの様な生物が眠っていた。
美森「なに・・・・これ・・・・?」
友奈「・・・・・・・・デジモン?」
銀「こんなデジモン、見た事無いぞ!?」
園子「・・・・・・・・・ドルるん?」
園子が培養槽に近付いた瞬間、その腕に抱かれたデジタマが激しく脈動し出した。
園子「ドルるんが反応してる・・・・何か関係があるの?」
と、その時───
???「まさか、貴方たちが来ているなんてね・・・・・」
突然後ろから声をかけられた。
慌てて後ろを振り返ると、そこには────
美森「郡・・・・千景・・・・!?」
アグモン「オマエ・・・・なんでここに!!」
レナモン「待ってくれ!」
レナモンが制止をかける。そして、千景に一歩近付くと、小さくお辞儀をした。
レナモン「お久しぶりです。チカゲ様」
千景「あなた、確か伊予島さんの────」
レナモン「今は彼女──ミモリのパートナーです」
千景「そう・・・・あなたがここにいるということは、あの文献を読んだ、ということね」
美森「──────ええ」
千景「なら、話が早いわ。早速だけど、手伝ってくれる?」
言うや否や、踵を返して来た道を戻ろうとする千景。
それを友奈たちは慌てて止める。
銀「え?ちょ・・・・ちょっと待って!」
友奈「何がなんだか、さっぱりわかんないよ~!?」
園子「このデジモンと、何か関係があるの?」
美森「もし、貴方もここのバーテックスをどうにかしたいと考えているなら、まずは情報交換しませんか?」
千景「────────そうね。ごめんなさい。少し焦り過ぎていたみたい」
落ち着きを取り戻したのか、冷静になった千景は、友奈たちに謝罪した。
千景「でも、時間が無いから歩きながら話すわよ。良いわね?」
友奈「わかりました」
―――――――――――†――――――――――
千景と共に、下へ続く階段を駆け降りる。
千景「この世界のバーテックスは、全てデジモンの電脳核をベースにして造られているの」
友奈「電脳核・・・・・?」
千景「要するに、デジモンの心臓よ」
レナモン「これが無くては、我々はデジタマへ還ることが出来ないのだ」
アグモン「それくらい、大事なモンなのさ」
美森「思ったのだけど、貴方たちデジモンって繁殖はどうなってるの?」
レナモン「さあな。我々がどのようにして増えるのか。我々にも解らないのだよ・・・・・しかし、我々デジモンは基本的には、肉体が滅びれば、電脳核を中心にして新たな肉体を形成するために、デジタマへと還るのだ」
美森「輪廻転生が個々で完結している・・・・ということ?」
レナモン「・・・・まあ、そういう事だな」
銀「・・・・・・・・・・・・・なあ、友奈。今の話、解ったか?」
友奈「・・・・・・・・・・・・・・・・・わかんない」
千景「着いたわ」
そうこうしている内に、どうやら目的地に到着したらしい。
そこには、無数のバーテックスの卵が整列していた。
銀「キモッ!?これ全部、バーテックスの?」
千景「ええ。正確には、電脳核をバーテックス化させる為の変換装置・・・といった所ね」
ブイモン「────────こんな、ことが」
レナモン「────────そうだな。赦されざる事だ」
アグモン「────────早いとこ終わらせようぜ」
千景「こっち。このコンソールよ」
千景が手招きしている場所には、何かの操作パネルがあった。
モニターに映し出されているのは、培養槽の中身の様だ。
銀「これを壊せば・・・・あのデジモンを?」
千景「破壊するだけじゃ駄目。この装置の機能を全て停止させないと・・・・」
美森「なら、私に任せて・・・・そのっち!」
園子「は~い。翻訳は任せるんよ~♪」
千景「・・・・・・・・・・翻訳?」
と、その時だった!
突如として鳴り響くアラート。
緊急事態を告げるハザードランプが赤く点灯し、周囲を照らす。
友奈「何!?」
千景「そんな・・・・・急いで!」
美森「何があったの!?」
千景「早くしないと、アレが目覚める!!」
園子「わわわ!!すごい勢いでスクロールしてくんよ~!?」
美森「くっ───!?」
東郷がなんとか停止信号を送るが、間に合わない!
園子「わっしー!これならどう?」
美森「はっ!?そうか!!」
園子の案で、東郷が何かのプログラムを打ち込む。
が、アラートは鳴り止まない。
友奈「東郷さん!?」
千景「不味い・・・・・目覚めてしまう・・・・・」
銀「いったい・・・・何が・・・・・」
千景「デジ・バーテックスの完成体────ドルゴラ・バーテックスよ!!」
千景の叫びと共に、培養槽の中のデジ・バーテックスが、目覚めた。
─次回予告─
ついに目覚めたデジ・バーテックスの完成体───ドルゴラ・バーテックス。
他のバーテックスを食い荒らしながら、ファイル島を蹂躙する破壊の獣を、友奈たちは止めることが出来るのか!?
次回『破壊の獣。ドルゴラ・バーテックス降臨!!』
今、新たな冒険の扉が開かれる………