結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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~前回までのあらすじ~

ムゲンマウンテン内部への侵入に成功した友奈たち。
果たして、その先に待っているモノとは────


二八話 恐怖の敵。デジ・バーテックス現る!!

友奈「なんだか、トンネルの中みたいだね」

 

銀「実際、トンネルなんじゃないか?バーテックスが通路として使ってるわけだし」

 

パイプの様な円形の通路を通って、ムゲンマウンテン内部へと向かう四人。

しばらく歩くと、天井にデジ文字で書かれた看板が、ぶら下がっているのを見つけた。

 

美森「こんな所に?」

 

銀「えーと・・・・『研究施設』・・・かな?」

 

園子「ミノさん、読めるの~?」

 

銀「デジ文字はレイさんに教わったから」

 

友奈「この世界の文字?」

 

銀「ああ」

 

美森「研究施設・・・・・なんの研究かしら?」

 

園子「バーテックスと、何か関係があるとは思うけど・・・・」

 

友奈「案外、バーテックスが使っていたりして」

 

銀「バーテックスって、文字使うのか・・・?」

 

なんて会話をしながら、四人は通路を進み続ける。

 

―――――――――――†――――――――――

 

しばらく歩くと、広い場所に出た。

そこは、鉄製の壁がドーム状に覆う、研究施設の様な場所であった。

下を覗けば、暗闇が広がっており底が見えない。

 

銀「多分、この辺りが、ムゲンマウンテンの中だと思う」

 

美森「こんな場所が・・・・あの下に・・・・」

 

中央には巨大な柱があり、その周囲には、クモの巣状に壁面に向かって伸びる無数の通路が設けられていた。

そのどの通路も、恐らく友奈たちが通ってきた通路の様に、島の川に偽造された通路へと繋がっているのだろう。

 

園子「・・・・あの通路の全部が、この島の川だとしたら・・・・」

 

銀「バーテックスが、この島全体を被うことも可能・・・ってわけか」

 

と、その時だった。

 

レナモン「──────────あれは!?」

 

美森「レナモン?どうかしたの?」

 

何かに気付いたレナモンが、中央の大柱に向かって走り寄った。その後を、慌てて追いかける。

 

美森「どうしたの!?レナモン!」

 

レナモン「──────────嗚呼、なんてことだ」

 

アグモン「──────────なんだ、これ!?」

 

全員が、大柱に近付いて、その時、やっと気付いた。

彼女たちが、柱だと思っていた物は、巨大な培養槽であったのだ!

その巨大培養槽の中には、見た事もない、巨大なデジモンの様な生物が眠っていた。

 

美森「なに・・・・これ・・・・?」

 

友奈「・・・・・・・・デジモン?」

 

銀「こんなデジモン、見た事無いぞ!?」

 

園子「・・・・・・・・・ドルるん?」

 

園子が培養槽に近付いた瞬間、その腕に抱かれたデジタマが激しく脈動し出した。

 

園子「ドルるんが反応してる・・・・何か関係があるの?」

 

と、その時───

 

 

 

 

 

???「まさか、貴方たちが来ているなんてね・・・・・」

 

 

 

 

 

突然後ろから声をかけられた。

慌てて後ろを振り返ると、そこには────

 

美森「郡・・・・千景・・・・!?」

 

アグモン「オマエ・・・・なんでここに!!」

 

レナモン「待ってくれ!」

 

レナモンが制止をかける。そして、千景に一歩近付くと、小さくお辞儀をした。

 

レナモン「お久しぶりです。チカゲ様」

 

千景「あなた、確か伊予島さんの────」

 

レナモン「今は彼女──ミモリのパートナーです」

 

千景「そう・・・・あなたがここにいるということは、あの文献を読んだ、ということね」

 

美森「──────ええ」

 

千景「なら、話が早いわ。早速だけど、手伝ってくれる?」

 

言うや否や、踵を返して来た道を戻ろうとする千景。

それを友奈たちは慌てて止める。

 

銀「え?ちょ・・・・ちょっと待って!」

 

友奈「何がなんだか、さっぱりわかんないよ~!?」

 

園子「このデジモンと、何か関係があるの?」

 

美森「もし、貴方もここのバーテックスをどうにかしたいと考えているなら、まずは情報交換しませんか?」

 

千景「────────そうね。ごめんなさい。少し焦り過ぎていたみたい」

 

落ち着きを取り戻したのか、冷静になった千景は、友奈たちに謝罪した。

 

千景「でも、時間が無いから歩きながら話すわよ。良いわね?」

 

友奈「わかりました」

 

―――――――――――†――――――――――

 

千景と共に、下へ続く階段を駆け降りる。

 

千景「この世界のバーテックスは、全てデジモンの電脳核をベースにして造られているの」

 

友奈「電脳核・・・・・?」

 

千景「要するに、デジモンの心臓よ」

 

レナモン「これが無くては、我々はデジタマへ還ることが出来ないのだ」

 

アグモン「それくらい、大事なモンなのさ」

 

美森「思ったのだけど、貴方たちデジモンって繁殖はどうなってるの?」

 

レナモン「さあな。我々がどのようにして増えるのか。我々にも解らないのだよ・・・・・しかし、我々デジモンは基本的には、肉体が滅びれば、電脳核を中心にして新たな肉体を形成するために、デジタマへと還るのだ」

 

美森「輪廻転生が個々で完結している・・・・ということ?」

 

レナモン「・・・・まあ、そういう事だな」

 

銀「・・・・・・・・・・・・・なあ、友奈。今の話、解ったか?」

 

友奈「・・・・・・・・・・・・・・・・・わかんない」

 

千景「着いたわ」

 

そうこうしている内に、どうやら目的地に到着したらしい。

そこには、無数のバーテックスの卵が整列していた。

 

銀「キモッ!?これ全部、バーテックスの?」

 

千景「ええ。正確には、電脳核をバーテックス化させる為の変換装置・・・といった所ね」

 

ブイモン「────────こんな、ことが」

 

レナモン「────────そうだな。赦されざる事だ」

 

アグモン「────────早いとこ終わらせようぜ」

 

千景「こっち。このコンソールよ」

 

千景が手招きしている場所には、何かの操作パネルがあった。

モニターに映し出されているのは、培養槽の中身の様だ。

 

銀「これを壊せば・・・・あのデジモンを?」

 

千景「破壊するだけじゃ駄目。この装置の機能を全て停止させないと・・・・」

 

美森「なら、私に任せて・・・・そのっち!」

 

園子「は~い。翻訳は任せるんよ~♪」

 

千景「・・・・・・・・・・翻訳?」

 

と、その時だった!

突如として鳴り響くアラート。

緊急事態を告げるハザードランプが赤く点灯し、周囲を照らす。

 

友奈「何!?」

 

千景「そんな・・・・・急いで!」

 

美森「何があったの!?」

 

千景「早くしないと、アレが目覚める!!」

 

園子「わわわ!!すごい勢いでスクロールしてくんよ~!?」

 

美森「くっ───!?」

 

東郷がなんとか停止信号を送るが、間に合わない!

 

園子「わっしー!これならどう?」

 

美森「はっ!?そうか!!」

 

園子の案で、東郷が何かのプログラムを打ち込む。

が、アラートは鳴り止まない。

 

友奈「東郷さん!?」

 

千景「不味い・・・・・目覚めてしまう・・・・・」

 

銀「いったい・・・・何が・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景「デジ・バーテックスの完成体────ドルゴラ・バーテックスよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千景の叫びと共に、培養槽の中のデジ・バーテックスが、目覚めた。




─次回予告─

ついに目覚めたデジ・バーテックスの完成体───ドルゴラ・バーテックス。
他のバーテックスを食い荒らしながら、ファイル島を蹂躙する破壊の獣を、友奈たちは止めることが出来るのか!?

次回『破壊の獣。ドルゴラ・バーテックス降臨!!』

今、新たな冒険の扉が開かれる………

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