それも、
彼らが何故、どのようにしてこの世界に来たか迄は解らないが、確かなのは、彼らの研究によってデジ・バーテックスが産まれ、『デクス・ウォーズ』の戦禍が大規模に渡ることになったということだ。
故に『デクス・ウォーズ』を生き延びた勇者達は、この施設を全て破壊してきた。その数、なんと20。
しかし、この20の施設の内に、この施設は存在していなかったのだった………
「はぁ・・・・はぁ・・・・ここも遂に危なくなってきたか・・・・だが、もう遅い・・・!」
???「なにがー?」
「奴らがここを嗅ぎ付けようとも、我らの研究成果は既に完成へと至った!!あとはそれを実現するのみ!!」
???「ふーん、頑張ったんだねー」
「そうだとも!!全てはあの忌々しき神樹の加護を受けし女共を打ち倒す為!!そのために、私は・・・・!!」
???「偉いねぇ・・・・・本当、よく頑張ったねぇ・・・・・」
「──────さっきから誰だ?ここには私一人だけしかいない・・・・はず・・・・・」
「やっほー♪赤嶺さん家の友奈だよ~♪」
「な!?きさ──」
赤嶺「火色、舞うよ」
果実が潰れるような音と共に、研究員は消失した。
赤嶺「さて、どうしよう・・・・・私じゃもうどうにも出来ないし・・・・・ここはぐんちゃんに連絡・・・かなぁ・・・・」
無骨な手甲に覆われた右手を耳元に持っていき、番号をしゃべる。すると───
千景『─────何か用事?』
三コール鳴った後に、千景が出た。
赤嶺「あ、ぐんちゃん♪忙しいとこごめんねぇ~?ちょっと、見てもらいたいものがあってさ~?」
千景がこの施設に来るのは、この数分後であった。
赤嶺「お?ムゲンマウンテンが崩れ始めてる・・・・・ぐんちゃんは間に合わなかったかー・・・・」
冷めた表情のまま、標識の上に座り、ムゲンマウンテンを見つめる赤嶺。
頂上から崩壊を始めるムゲンマウンテンの中から、何かがせりだしてくる。
研究施設にあった巨大培養槽である。
培養槽が完全に露出した瞬間、中に眠るドルゴラ・バーテックスが目覚め、
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!」
けたたましい咆哮を上げ、培養槽を破壊してみせた!
そのままドルゴラ・バーテックスは翼を広げて羽ばたく。
が、一mほどその場で上昇して、墜落してしまったのだった。
赤嶺「・・・・・・んー?なんか、変?」
それもそのはず、あの瞬間、東郷が打ち込んだプログラムは、緊急用に用意された対消滅プログラムだったのだ。最も、それが完全に作用するのは未完成状態の時。完成してしまった現段階では、その効果は充全に発揮されない。
が、それでもプログラムの効果により、今のドルゴラ・バーテックスは本来のスペックよりも大幅に弱体化している。
それ故、飛ぶことすらできなくなっているのだ。
赤嶺「・・・・・・なるほど、ぐんちゃんがなんかしたんだね。さっすが~♪」
標識から飛び降りつつ、迫るデジ・バーテックスを蹴散らすと、赤嶺ははじまりの町方面へと向かうのだった。
ドルゴラ・バーテックスの出現は、デジ・バーテックスの群れと戦う歌野たちにも見えていた。
歌野「ワッツ!?何なのあれ・・・・!」
風「どう見ても味方じゃないわよね・・・・」
レイ「──────まさか、デクスドルゴラモン!?それにしては少し色が違うけど・・・・」
樹「デジモンにも、色違いとかあるの?」
サンフラウモン「色が違ったら、もうそれは別のデジモンだから、基本的には無いわ」
雑談に興じながらも、迫り来るデジ・バーテックスを撃退できているのは、彼女たちが慣れてきたからか。
風「アレが何かはわからないけど、ムゲンマウンテンから出てきたってことは、
ギルモン「──────────」
風「ん?ギルモン?どうしたのよ、ボーっとして」
ドルゴラ・バーテックスが現れてから、ギルモンはそちらを睨み続けている。
ギルモン「──────────Aa」
風「ギルモン?」
ギルモン「──────────Uaa・・・!」
風「ちょっとギルモン!聞いてるの!?」
ギルモンの頭をぺちぺち叩く。が、反応が無い。
風「レイ!!私のギルモンがなんかおかしい!!」
レイ「どういう言い方よ・・・・・あのデクスドルゴラモンに反応してるみたいだけど・・・・」
と、その瞬間───
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!」
ドルゴラ・バーテックスが雄叫びをあげる。
更にそこに
ギルモン「Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!」
風「うわっ!?今度は何!?」
レイ「やっぱり、あれに反応してる・・・・!風!ギルモンを正気に戻して!」
風「ええ!?どうやって!」
歌野「そんなのベリーイージーよ!ペンデュラムを使って!!」
風「ペンデュラムを?」
端末を取り出し、ペンデュラムを起動させる。
風「どうすれば良いの?」
歌野「エヴォリューションよ!!」
風「えぇ!?そんな簡単にできるの!?」
歌野「大切なのはハートとソウルよ!!ノープロブレム!思いが通じれば、必ずパートナーは答えてくれる!!」
風「思いが通じれば──────よぉし!!」
未だ叫び続けるギルモンに、ペンデュラムを向け、気合いを入れる。
風「ギルモン!!進化よ!!」
ギルモン進化───!!!
グラウモン!!!
風「うっそー・・・・本当に進化できた・・・・」
┌─────┐
│グラウモン│
└─────┘
魔竜型デジモン
「深紅の魔竜」と呼ばれている魔竜型デジモン。ギルモンの頃にあった幼さは消え、より野性的で凶暴なデジモンへと進化をしている。グラウモンの咆哮は大地を揺るがすほどの威力を持っており、戦いの前には攻撃的な唸り声をあげ敵を威嚇するぞ。必殺技は両肘のブレイドにプラズマを発生させ敵を攻撃する『プラズマブレイド』と爆音と共に強力な火炎を吐き出す『エキゾーストフレイム』だ!
グラウモン「─────あれ?オイラ・・・」
風「しかも正気に戻ってる!?」
歌野「これこそ!ラブパワーよ!!」
風「なにがなんだかよくわかんないけど、とにかく戻って良かったワ!」
グラウモン「・・・・んー、ま、いっか!」
樹「・・・・・・・良いんだ(汗)」
と、そこにドルゴラ・バーテックスの必殺技『メタルインパルス』が飛んでくる。
全員『うわぁぁぁぁぁぁ!?!?!?』
風「ツッコミが飛んできた!!」
トゲモン「んな訳ないでしょ・・・・・・来るわよ!」
咆哮を上げ、ドルゴラ・バーテックスが襲い掛かってきた!!
風「全く・・・・全員、アイツが何なのか良くわからないけど、とにかく撃退するわよ!!」
全員『オッケー!!』
─次回予告─
ドルゴラ・バーテックスと対峙する風たち。そこに夏凜と雀が参戦する。
一方その頃、友奈たちは再び雷煌遺跡へと向かっていた………
次回『雷鳴轟く友情!決戦ドルゴラ・バーテックス!!』
今、新たな冒険の扉が開かれる………