はじまりの町にて、赤嶺は一人、デジ・バーテックスと対峙し続け、そして勝利を納めていた。
赤嶺「さて、そろそろドルゴラ・バーテックスの方にも行っておこうかなぁ──────あれ?」
ふと、視界の端にデジ・バーテックスが見えた気がして、そちらを向くと───
ミノモン「えいっやぁ!とあああっ!!」
小さな両手を目一杯振り回して、デジ・バーテックスに向かって攻撃(?)しているミノモンがいた。
が、デジ・バーテックスは、自身の顎(?)の触手を器用に使ってミノモンの額を抑えつけているため、ミノモンの攻撃は全く届いていない。
赤嶺「なにあれ超かわいい」
思わずそのまま見惚れてしまいそうになった赤嶺だったが、とりあえずデジ・バーテックスの残党を見つけたので、勇者パンチで一蹴した。
ミノモン「はぁ・・・・はぁ・・・・どーだ!ぼくだってやればできるんだぞ!!」
赤嶺「うんうん。そっかー。えらいねぇ」(ナデナデ
ミノモン「えへへ~///やったよ、ユーちゃん!ぼく、この町を守ったよ!!」
赤嶺「おめでとう。がんばったねぇ」(ナデナデ
ミノモン「えへへへ・・・・・・・・って、だれ!?」
赤嶺「あ、やっと気付いた」
ミノモン「───────ユーちゃんに似てる・・・けど、なんか、ちがう」
赤嶺「ユーちゃん・・・・後輩ちゃんのパートナー・・・・かな?」
ミノモン「ねーねー、どうしてユーちゃんとおんなじ顔なの?」
赤嶺「うふふ・・・・なんでだろうねー・・・・」
ミノモン「そっくりさん?それとも、コピー?」
赤嶺「どうだろうねぇ・・・・・」
と、その時だった。
歌野の農場の方角から、激しい爆発音が聞こえてきたのだ。
ミノモン「・・・・・もしかして、さっきのやつら!?」
赤嶺「その親玉だよ。ねえ、キミさえ良ければ、向こうまで運んであげるけど?」
ミノモン「ほんと?」
赤嶺「私も向こうに用事があるんだ・・・・だから、ついでに、ね」
ミノモン「わかった!お願いね!ユーちゃんのそっくりさん!」
そう言って、ミノモンは赤嶺の肩に乗り、歌野の農場へと向かって行ったのだった………
バオハックモン「『ティーンブレイド』!!」
ティアルドモン「『アサルトクロー』!!」
二体が同時にドルゴラ・バーテックスへ攻撃を仕掛ける。
「■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!!!!」
しかしそれを気にも止めず、ドルゴラ・バーテックスは尻尾で払い除けてしまうのだった。
二体「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」
夏凜「バオハックモン!」
雀「あぁ!?ティアルドモン!!・・・ってどこ行くねーん!!」
バオハックモンはそのまま地面に叩き落とされ、どうにか着地に成功したが、ティアルドモンだけは、何故か遠くに弾き飛ばされてしまった。
その方角は、雷煌遺跡がある方角だった………
―――――――――――†――――――――――
ティアルドモン「ぁぁぁああああああああああああ!!!!!!ぐわっ!?」
弾き飛ばされたティアルドモンは、遺跡の屋根に衝突。そのまま遺跡内部へ貫通し、中央の柱をへし折ってようやく止まった。
ティアルドモン「いてて・・・・なんか大分飛ばされたみてぇだな・・・・・オレを畏れ戦いてのことかぁ?」
そんな訳が無い。
ティアルドモン「ともかく、早く雀たちに合流しないと・・・・」
地面に出来た、ティアルドモン形の穴から這い出て、急いで遺跡から出ようとした、その時だった………
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・!!!
ティアルドモン「おん?」
遺跡全体が低い唸りを上げ始めたのだ。そして直ぐ様、壁という壁に亀裂が生じ────
ティアルドモン「不味───」
時既に遅し。遺跡の崩落に、ティアルドモンは巻き込まれてしまったのだった………
―――――――――――†――――――――――
普通なら、死んでいてもおかしくない崩落事故。しかし、巻き込まれたのはティアルドモンのみであった事が幸いした。
彼は咄嗟に、盾形態に変身することで一命をとりとめたのだった。
ティアルドモン「セーフ!危なかったぜ・・・・・」
しかし、瓦礫に埋もれてしまい、身動きが取れない。ここでもし、本来の姿に戻ろうものなら、きっとティアルドモンはぺしゃんこになってしまうだろう・・・
ティアルドモン「さて・・・・・マジでどうしよう?」
あーでもないこーでもないと考えていると、不意に、地面から衝撃が発生した。その衝撃は瓦礫を吹き飛ばし、同時に、ティアルドモンを空へと打ち上げたのだった!
ティアルドモン「チャンス!システムチェ────」
後にルドモンは、この時迂闊に変形した事をものすごい後悔する事になる。
何故なら────
ズブリ
ティアルドモン「アッ─────────!!!」
ティアルドモンの尻に、何か、鋭利なモノが刺さった。
そしてソレは、ティアルドモンを刺したまま、高く飛び上がり────
轟く友情!!ライドラモン!!!
高々と名乗りを上げたのだった。
┌──────┐
│ライドラモン│
└──────┘
獣型デジモン
“友情のデジメンタル”のパワーによって進化したアーマー体の獣型デジモン。“友情のデジメンタル”は“雷”の属性を持っており、このデジメンタルを身に付けたものは大地を貫く稲妻のような素早い動きで敵に立ち向かい、電撃を利用した技で敵を倒す。必殺技は稲妻を宿した頭のブレードから電撃の刃を放つ『ライトニングブレード』と、背中の三本の突起から強烈な電撃を放つ『ブルーサンダー』だ!
友奈「すごい・・・・!土砂を全部吹き飛ばしちゃった!!」
ライドラモン「『ブルーサンダー』!!!」
地上に脱出して早々、ライドラモンは必殺技の『ブルーサンダー』を、自身の頭に刺さったティアルドモンに向かって放つ。
ティアルドモン「あばばばばばばば」
友奈「んん?なにしてるの?」
ライドラモン「いや、なんか頭に刺さった気がして・・・・・」
友奈「──────ほんとだ。なんか刺さってる」
ティアルドモン「あばばばばばばばばば」
―――――――――――†――――――――――
ライドラモンが空けた穴を通り、レナモンと東郷も地上へと脱出してきたのを確認した後に、友奈はティアルドモンに訪ねる。
友奈「ねえ、なんでライドラモンの頭に刺さってるの?」
ティアルドモン「す・・・・・好きでこうなったワケじゃ・・・・・ないやい・・・・・」
レナモン「──────何をしている?」
美森「あら?この子はもしかして、雀さんのパートナー?」
ライドラモン「ああ、ルドモンの進化系の・・・」
友奈「どうしよう?抜ける?」
ライドラモン「面倒だし、時間も無いから、このままみんなの所に持っていこう」
友奈「じゃ、東郷さん。私たち先に行ってるね!」
美森「気を付けてね!」
そうして、ティアルドモンを頭に刺したまま、ライドラモンは駆けて行った。
レナモン「よし、ミモリ。私たちはソノコたちを迎えに行こう」
美森「間に合うかしら?」
レナモン「間に合わせる。そのためにも、ミモリには協力して欲しいことがある」
美森「────進化?」
レナモン「そうだ」
美森「そんなに簡単に出来てしまうの?」
レナモン「通常の進化に必要なのは、『覚悟』と『経験』だ。今の私なら、そのどちらも持っている。後はミモリの心次第───」
美森「私の・・・・?」
ポケットから取り出した端末を握り締めて、東郷は覚悟を決める。自分が、初めて勇者に変身した時と、同じように───
美森「レナモン、進化よ!!」
レナモン「うむ!」
レナモン進化─────!
キュウビモン!!!
┌──────┐
│キュウビモン│
└──────┘
妖獣型デジモン
九本の尻尾をはやした巨大な狐の姿をした妖獣型デジモン。破滅と崩壊をもたらす妖獣と恐れられているが、古の時代では平和の世に現れる使者として崇められていた。攻撃力そのものは強くないが、強大な精神力を持っており“術系”の技を得意としているぞ。青く燃え盛る四肢で天をも駆けるとも言われている。必殺技は鬼火を出現させ意のままに操る『
美森「キュウビモン・・・・これが、あなたの進化した姿なのね」
キュウビモン「よし、行くぞミモリ。私の背に!」
美森「はいっ!」
キュウビモンの背中に乗った東郷は、園子たちを迎えに行くべく、ムゲンマウンテンへと向かうのだった………
ゆゆテ!
ライドラモンだけの登場にしようと思ってたけど、それだけじゃつまんないからと言って、キュウビモンも付け足したのが、分割の理由です・・・・・