友奈たちと入れ違いになるようにして、空の穴から誰かが落ちる。
「あいたたた・・・・なんとか渡れたっぽいかな・・・・・?」
『
「でもお尻打った・・・・・めっちゃ痛いんだけどぉ・・・・」
『推奨。我慢』
「ひどーい!それでもあんた私のパートナー?」
『無論。我、
「あんたって子は・・・・・・」
『む?ご主人!緊急事態!
「え!?嘘ぉ!」
ずっと、手元の不思議な端末と会話していたその人物が、後ろを振り返る。同時に、空の穴が完全に閉じて、消え去ってしまった。
「─────────やっば」
『
「─────────とりあえず、現地の人と合流しよう。うん。そうしよう」
そう言って、その人物は宛もなくさ迷い始めるのであった………
三三話 二人の安芸!?時を越えた出会い
安芸「・・・・・・・・なんて事」
隊員A「──────すみません。こちらの不注意で・・・」
隊員B「全くだ!!防人隊の隊長たちだけでなく、民間協力者まで・・・・しかも全員だぞ!!」
安芸「今は責任を追及している場合ではありません!一刻も早く原因の究明を!!」
怒号飛び交う本部テント内。
現在安芸は、芽吹たちに加えて勇者部の六人が、何故消えたのか、その原因から探ろうとしていた。
原因を知れば、彼女たちが何処へ消えたのか、それが分かるのでは無いか、という考えからの行動である。
しかし───
安芸「技術班、報告を」
技術班員「現在、霊的感知器を使用して民間協力者たちの消失した地点を捜索中です。が、今一つ成果が・・・・」
安芸「捜索はそのまま続行して下さい。何か気付いた事があれば、すぐに報告を」
技術班員「はっ!」
テントから技術班員が出ていく。
それと入れ違いで、弥勒が入る。
夕海子「報告ですわ!」
安芸「何か進展が!?」
夕海子「実は───」
と、その時だった
???「わぁ~♪なぁに~?ここ~?」
ふわふわとした、この場にそぐわない声が、弥勒の後ろから聞こえてきた。
安芸「──────────は?」
夕海子「──────────この、謎の生物を発見しましたの」
そう言って弥勒が差し出してきたのは────
???「ん~?ぼく?」
安芸「・・・・・・・・・・・弥勒さん。このぬいぐるみの様なものは?」
夕海子「わたくしにも分かりませんの。『デジモン』とおっしゃるようですが・・・・」
???「せいかくには~、"デジタルモンスター"で~、ぼくは、テリアモンだよ~」
┌─────┐
│テリアモン│
└─────┘
獣型デジモン
頭部に1本角を生やした、謎に包まれたデジモン。体構造から獣系のデジモンであることは分類できるが、どのような進化形態を経たのかは依然分かっていない。また、稀に双子で誕生するという噂も存在する。非常に可愛らしいタイプのデジモンで、ゆったりとした行動からはとても“戦闘種族”としてのデジモンを実感することができないが、戦闘の際には、その見た目以上のパワーを発揮する。必殺技は両耳をプロペラの様にして小型竜巻を起こす『プチツイスター』と高熱の熱気弾を吐き出す『ブレイジングファイア』だ!
安芸「はぁ・・・?」
夕海子「・・・・・良く分かりませんが、芽吹さんたちが最後に残した通信で話していらした『謎の生物』とは、このテリアモンの事では?」
安芸「・・・・・・・可能性はありますね」
テリアモン「ん~?」
しずく「・・・・・・・東郷・・・・乃木・・・・みんな」
しずくは一人、友奈たちが消えた地点を捜索していた。
本来なら、彼女の班は休息を命じられていたのだが、居ても立ってもいられなくなったしずくは、一人、捜索を続けていた。
しずく「───────必ず、見つける」
???「あのー?ちょっといいですか?」
決意を胸に、捜索を再開しようとしたしずくの前に、一人の少女が現れた。
しずく「───────なに?」
???「ちょっと道を聞きたいんですけど・・・・・
しずく「──────────────」
しずくは訝しんだ。
今現在、ここ島根にいるのは調査隊のメンバーのみ。
その構成員の半数が、かつてゴールドタワーに駐在していた防人隊員であるが、残りのメンバーは有志の一般人なのだ。大赦に、それも本庁に用事のある人間など、ここにはいない。
しずくは、彼らの顔を全員記憶している訳ではない。が、目の前の彼女が調査隊メンバーでは無い事は明白である。
???「・・・・えっと?」
少女がしずくに近付く。
その瞬間、
しずく?「しずくに・・・・近寄るな・・・!!」
???「え!?」
しずくのもう一人の人格『シズク』が、少女の伸ばした右腕を掴んで捻る。
そのまま地面に押し倒し、マウントを取って無力化。
その手際はとても鮮やかで、少女は自分が何をされたのかも理解出来ないまま、地面に転がることとなった。その際、少女のポケットから、不思議な形の機械が飛び出して地面に落ちたが、シズクはそれに気付かない。
???「いたたたたた!!!痛いって!!え?何?聞いちゃいけないことだった!?」
シズク「テメェ怪しいんだよ・・・・なんでこんな所に居る?返答によっちゃ────」
???「
転がった端末から光が溢れ、それが生き物のような形になったと思った瞬間───
???「ていっ!!『プチツイスター』!!」
シズク「おわっ!?」
謎の生物より放たれた小型の竜巻に吹き飛ばされ、シズクは尻餅をついた。
シズク「な・・・・・・なんだテメェ!?」
???「我が名、ロップモン。主导がパートナー。主导に仇為すお前、敵と判断。戦闘行動、開始・・・・!!」
┌─────┐
│ロップモン│
└─────┘
獣型デジモン
非常に貴重な双子デジモンの成長期。頭部に1本角を生やしているのがテリアモン、3本角を生やしているのがロップモン。その生態系は謎に包まれており、体構造から獣系のデジモンであることは分類できるが、それ以外のことは依然分かっていない。両者とも“戦闘種族”としてのデジモンを実感することができないが、戦闘の際にはその見た目以上のパワーを発揮する。必殺技は両耳をプロペラの様にして小型竜巻を起こす『プチツイスター』とテリアモンとの合体技『ダブルタイフーン』、冷気弾を放つ『ブレイジングアイス』だ!
シズク「なんか良くわかんねぇけど・・・・楠たち拐ったのはテメェらってことで良いらしいな・・・・!!」
???「は?何のことよ?ていうか待って!ロップモンもあなたも!戦闘はやめ───」
ロップモン「主导に仇為す者!天誅を下す!!」
???「止めろって言ってんでしょうがぁ!!!」
ずごんっ!!
と、けたたましい音を立てて、シズクとロップモンは少女にぶん殴られたのだった。
―――――――――――†――――――――――
シズク「───いいか?ちょっとでもおかしな行動したら・・・・」
???「わかってるわよ。ちゃんとおとなしくしてるから」
結局、シズクは謎の少女を本部テントまで連れてくることになった。
少女が、「大赦職員なら誰でも良いから」と言うので、この調査隊の総司令を務めている安芸に引き合わせることにしたのだ。
シズク「ちぃーッス!安芸先生!!いるかぁ?」
???「んん?安芸?」
二人はテントの中へと入る。
夕海子「ああ!!しずくさん!!良い所に!!ちょっと、手伝って下さいませぇぇぇ!!!!」
二人の目の前では、弥勒が安芸の顔面に張り付いたテリアモンを引き剥がそうと、悪戦苦闘していた。
シズク「・・・・・・あ?弥勒、オメェ何やってんだ?」
???「あー!!テリアモンあんた、こんな所に!!」
シズク「知り合いかよ!」
テリアモン「んー?・・・・・うげぇ、マスズとあんちゃんだぁ~」
テリアモンは安芸の顔面に張り付いたまま、器用に振り返り、少女とロップモンを見て苦い顔をした。
ロップモン「把握。そなた、テリアモンに気に入られた模様。
安芸「──────いいから剥がして下さい」
―――――――――――†――――――――――
安芸「それで、そちらの方は?」
安芸の顔面からテリアモンを引き剥がし、少女はようやく名乗る。
???「私は安芸真鈴。西暦の時代に巫女をやっていた者よ」
しずく「安芸・・・・・先生と同じ名字・・・・・」
夕海子「まさか、姉妹か何かで?」
安芸「────真鈴の名は、代々安芸家の者に伝えられる名。それをご存知と言う事は・・・・」
真鈴「ご明察。私はあなたのご先祖って訳♪」
ロップモン「主导。時間が無い。早く本題を」
真鈴「そうね・・・・・・みんな、良く聞いて」
真鈴「ヴァンデモンの軍勢が侵攻を開始したの。このままだと、現実世界も危険よ。今すぐテイマーを集めてヴァンデモン軍に対抗できる準備を!!」
~次回予告~
真鈴からの突拍子も無い話に、半信半疑な一同。
その時、デジモンの軍団が現れ、周囲を手当たり次第に攻撃し始めた!!
為すすべなくやられる調査隊員たちを目の当たりに、真鈴と安芸が立ち上がる!!
次回『強襲!ヴァンデモン軍!!』
今、新たな冒険の扉が開かれる………