結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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予定してたよりもマイルドに仕上がってしまった・・・・・・
ちょっと反省。
そういえば今日ってぐんちゃんのお誕生日やん!
そんな日になんてもん書いてんだ・・・・・俺・・・・・(ちょっとショック)


ー前回までのあらすじー

レイの提案で、フローティアに向かってイカダにのる勇者たち。
その途中、ホエーモンに襲われ何処かへと連れていかれるのだった………


三七話 黒い入江。誘いの声は潮騒に乗って・・・

友奈「なつめ・・・・・その人も勇者なの?」

 

ホエーモン「そうなんだよぉぉ。実はね・・・・」

 

ホエーモンの話をまとめると、古波蔵棗という勇者がパートナーと共に海底の遺跡に向かったきり、もう三週間も帰ってこないのだとか。

 

ホエーモン「今までこんなこと無かったんだよぉぉ、ぼく、もう心配で心配で・・・・・・」

 

樹「そうだったんですね・・・・・」

 

夏凛「・・・・心配するのは分かるけど、もうちょっと穏便にできなかったの?イカダも壊れちゃったし」

 

雀「まあまあ、いいじゃん。その、棗って人を助けたら、ホエーモンにサーバ大陸まで送ってもらえば」

 

ララモン「ホエーモンが味方と判った途端にこの言葉・・・・・」

 

ホエーモン「サーバ大陸ぅぅ?別に良いよぉぉ。ナツメも、サーバ大陸から来てるからねぇぇ」

 

銀「あ、そうなんだ。もしかしてフローティアの人なのかな?」

 

風「サーバ大陸に他に町が無いなら、そうでしょうね。とにかく、棗って娘がいなくなった場所に案内して頂戴!」

 

ホエーモン「それならぁぁ・・・」

 

ギギギ・・・・と音を立てて口が開いていく。

 

ホエーモン「ここがそうだよぉぉ。今着いたとこぉぉ」

 

友奈「よぉし!行ってみよう!!」

 

美森「ええ!」

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/\___

 

海底遺跡

 

___/\/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

ホエーモンの口から出ると、そこは湿気でジメジメした古代遺跡のような場所だった。

 

美森「ここに、その棗さんが?」

 

ホエーモン「ここは昔から、ダゴモンの住処として有名な場所なんだぁぁ」

 

園子「ダゴモンって~?」

 

ドルモン「"海底の破戒僧"という呼び名のある完全体デジモンさ。いろいろと曰く付きの奴でね・・・・」

 

園子にいまだ抱き抱えられたままのドルモンが、怪しげな笑みを浮かべてそんな事を言う。

 

園子「ほうほう?」

 

ドルモン「異世界からの使者だとか、この世ならざる者と交信を行えるとか・・・・・・」

 

風「な・・・・なんか、ホラーな感じねぇ・・・・」

 

瞳を輝かせてドルモンの話を聞く園子と、あからさまに顔色を悪くする風。

 

ドルモン「どれも嘘臭い噂に過ぎないが、一つだけ、確かな情報があるんだ」

 

園子「へぇ~、どんな~?」

 

ドルモンが「それは・・・」と話始めようとしたその時だった───

 

美森「友奈ちゃん・・・・・?」

 

ワームモン「え?ユーちゃんならぼくの隣に・・・・・って、あれ?何処に行ったの!?」

 

ワームモンの傍にいた筈の友奈が、いつの間にかいなくなっていた。

 

ブイモン「大変だ!ユーナが居ない!」

 

樹「ええ!?いったい、いつの間に・・・・!?」

 

風「とにかく探しましょ!」

 

ホエーモン「あの子ならぁぁ、奥に向かって行ったよぉぉ?」

 

その言葉に東郷は、弾かれた様な速度で奥に向かって走って行った。

 

レナモン「ミモリ!一人で行っては危険だ!!」

 

アグモン「あいつ、話を聞いてないぞ。姉御の舎弟は勝手だなぁ」

 

銀「だから舎弟じゃ・・・・なんて言ってる場合じゃないや。早く追いかけないと・・・・!?」

 

ドルモン「・・・・・・これは、少し不味い事になりそうかな」

 

ドルモンの、呟くようなその言葉は、誰に聞こえることもなく、全員の走る足音にかき消されていった。

 

―――――――――――†――――――――――

 

美森「友奈ちゃん!!友奈ちゃん何処!?!?」

 

半ば錯乱状態の東郷が、宛もなく遺跡を、奥へ奥へと走って行く。

その途中、通路の向こうに赤い髪の少女を見た気がして、東郷はそちらに向かって走る。

 

美森「─────────何か聞こえる?」

 

次第に東郷の耳に聞こえてきたのは、潮騒の音。しかしそれだけではなく、誰かが東郷を呼ぶ様な声も聞こえてくる。

 

美森「────────────行ってみよう」

 

その声に、何故だか強く惹き付けられる東郷は、音のする方向へと歩みを進める。

入り組んだ通路を抜けて行くと、不思議な入江にたどり着いた。

 

美森「ここは─────どこ?」

 

何もかもが黒く塗り込められた入江。その沖合いに、何かがあるのを東郷は見た。

一瞬、見間違いかとも東郷は思ったので、良く目を凝らしてそれを見た。──────────見てしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東郷の、狙撃手として鍛え上げた視力が視たのは、黒き海に沈み往く友奈の姿であった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美森「っ!!!!!!!!!」

 

それを認識し、理解した瞬間には、もう既に東郷は海に飛び込んでいた。

水任流古式泳法により、着衣状態でありながらも素早く泳ぐ東郷は、しかし、沈む友奈に追い付くことは無かった。

 

美森「ガボ・・・・・友奈ちゃん!!・・・・友奈ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!」

 

半分溺れかけながらも、懸命に東郷は友奈を探す。

 

美森「友奈ちゃん・・・・・・・ゆう・・・・・・・な・・・・・・・・・・・ちゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

しかし、ここに来る迄の段階で、既に体力を消耗している上での着衣泳は、無限に思えた彼女の体力を悉く奪いつくし、やがて、海に沈み往き──────

 

「東郷!!!」

 

「須美!!!」

 

誰かの声が聞こえて、東郷の肉体は海から浮上した。

 

―――――――――――†――――――――――

 

夏凛「良かった・・・・・東郷、無事よね?」

 

銀「まったく、なにやってんだよ!?」

 

美森「げほっ・・・・げほっ・・・・」

 

銀と夏凛に引き上げられ、陸に上がる東郷。

深呼吸を数回して、息を整えると、叫ぶように告げる。

 

美森「大変なの!友奈ちゃんが・・・・・友奈ちゃんが、海の中に!!」

 

風「え?」

 

美森「早く助けに行かないと!!みんなも手伝って!!!」

 

樹「ちょっ・・・・待ってください!東郷先輩!!」

 

美森「事は一刻を争うのっ!!!早くしないと・・・・友奈ちゃんが・・・・・!!!」

 

雀「お・・・・・落ち着いて!!どうどう・・・・」

 

美森「私は冷静よ!どうやって友奈ちゃんを助けるか考えて────」

 

夏凛「ねえ、東郷。一つ聞いて良い?」

 

夏凛が、東郷に質問する。先程から、頭に()()()()()()()()()()()の仲間たちを代表して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏凛「()()()()──────────────────────────────()()?」

 

 




~次回予告~

友奈を知らないと言う仲間たち。
そんな彼女たちを見て、混乱と狂気の渦に呑まれゆく東郷。
黒い入江は、静かにただ、東郷を待つ。

次回『忘却?錯乱?間違いは世界か、あるいは自分?』

今、新たな冒険の扉が開かれる………

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