結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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あらすじなんて書く気力も無くなるくらい、書いててしんどくなりました(感想)


三八話 忘却?錯乱?間違いは世界か、あるいは自分?

美森「───────え?」

 

夏凛の言葉に、思わず呆ける東郷。

それを見た一同は

 

樹「東郷先輩?大丈夫ですか?」

 

銀「おーい、須美ー?どっかで頭でも打ったのかー?」

 

園子「それは大変なんよー!にぼっしー!わっしーに人口呼吸だ!!マウスとぅーマウスなんよ~~!!」

 

夏凛「するかぁ!?てか、必要無いでしょうが!!」

 

普段と変わらない様子の仲間たち。

だからこそ、余計に東郷の頭は混乱する。

 

美森「ふざけないで!!!友奈ちゃんよ!?結城友奈ちゃん!みんなが覚えていない筈無いでしょう!?」

 

風「まだ言うか・・・・・・・はぁ、だからね?東郷。私たちは、その・・・結城友奈?って娘の事なんか、知らないって言ってるでしょ?」

 

美森「そん・・・・・な・・・・・・・そうだわ!写真!!」

 

東郷は思い出した。かつて奉火祭の贄となった時、自身が神樹に願い、みんなから自分に関する記憶を消してもらったことがあることを。その時、人一人分の奇妙な空白の空いた写真が数枚あったと、友奈から聞いていた。

きっと、端末の写真もそうなっているはず───

そう考えた東郷は端末を操作して、アルバムを開いた。が──────

 

美森「────────嘘。なんで?」

 

確かに、友奈の写真は無かった。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

美森「そんな筈は!?」

 

しかし、探しても探しても、見つからない。不自然に穴の空いた写真も無い。

 

美森「──────どうして?」

 

更に混乱する頭で、友奈の存在を示す為の手段を探す。

その時点で既に、目的がすり変わっていることにも気付かずに・・・・

 

美森「─────────そうだ。家だわ」

 

何を思ったのか東郷は、実家のパソコンならば、写真が残っているだろうと考えたのだった。

 

美森「帰らなきゃ・・・・」

 

ふらふらとした足取りで、家に帰ろうとする東郷。

何処をどう歩いたのか自分でもわからないままに、()()()()()()()()()()()()

 

美森「─────パソコンなら、きっと・・・・」

 

うわごとのように呟きながら、自室のパソコンを立ち上げ、写真を保存してあるフォルダを検索。

が、しかし、そこにも無い。

 

美森「嘘よ・・・・・・嘘よ嘘!そんな筈無いっ!!どこかにある筈なのに!?」

 

パソコン内をくまなく探し、それでも見つからず、自棄になってパソコンを破壊。その後本棚に齧り付くと、アルバムをひっくり返して更に探す。

 

美森「無い───────無い!──────無い!!何処なの!?何処にあるの!?!?友奈ちゃん!!」

 

最早今の東郷は、友奈を探しているのか、友奈の写真を探しているのか、その区別すらついてない。

故に、

 

美森「──────そうだ、友奈ちゃん家」

 

ふらふらと、覚束無い足取りで出た部屋の先が、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

美森「──────友奈ちゃん──────友奈ちゃん」

 

友奈の名前を呼びながら、白い闇の中を歩く東郷。

その身体が、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

美森「──────友奈・・・ちゃん─────友・・・奈・・・ちゃん」

 

友奈を呼ぶ声も、だんだんと嗄れていき、果ては老婆のような姿と声で友奈を探しさ迷うのだった。

このまま行けば、東郷はいつか自分でも気付かないうちに死んでしまうだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まて」

 

 

 

 

 

美森(老婆)「・・・・・・?だぁれ?」

 

突如、東郷の目の前に光る人間が現れた。

 

「そのまま進んではならない」

 

美森(老婆)「どうして?私は、友奈ちゃんを探さないと・・・・」

 

「この先には居ない」

 

美森(老婆)「そう?なら・・・・何処にいるのかしら?」

 

困ったわ・・・とでも言いたそうに、首をかしげる東郷。

 

「安心しろ。お前の仲間なら全員無事だ」

 

美森(老婆)「あら、本当に?なら、みんなのところに連れて行ってくださらない?」

 

「ああ・・・・そのためにも、お前にはいくつか、思い出して欲しいことがある」

 

美森(老婆)「あら?何かしら?」

 

「まず・・・・・()()()()()()()()()?」

 

美森「・・・・・・・・・えぇ?何処って・・・・・・あれ?」

 

光に指摘されて、漸く東郷は、自身が何処とも知れない虚無空間にいる事に気が付いた。それと同時に、東郷の身体が少し元に戻る。

 

美森「ここは?・・・・・それに、私・・・・」

 

「気が付いたようだな」

 

美森「これは一体!?」

 

「お前は今、ダゴモンの黒い海に呑み込まれている。そこから抜け出すには、お前が忘れているものを、思い出すしかない」

 

美森「わ・・・忘れている?私が?・・・・・何を?」

 

「思い出せ。()()()()()()()()!そうすれば、()()()()()()()()()()()()も、思い出せるはず!」

 

美森「相棒・・・・・?ここは・・・・・この場所は・・・・・」

 

完全に落ち着きを取り戻した東郷の周囲が、讃州市内の自宅周辺へと変わる。

しかし、もうこの幻想に惑わされる東郷では無い!!

 

美森「──────思い出した。私は何処にいるのか・・・・・私の、相棒の名前は・・・・・!!」

 

東郷の身体は完全に元に戻った。

右手を掲げる。

いつの間にか無くなっていた端末が右手に収まると、東郷は相棒────すなわち、パートナーデジモンの名前を呼ぶ。

 

 

 

 

 

美森「来て!・・・・・・レナモン!!」

 

 

 

 

 

ガラスの砕け散る音がして、東郷は夢から覚めた。

黒い光の中、東郷の目の前に降り立ったのはレナモンだ。

 

レナモン「ミモリ・・・・・心配したぞ」

 

美森「ごめんなさい、レナモン・・・・・友奈ちゃんたちは?」

 

レナモン「それぞれパートナーが救出に向かっている。皆、眠らされているが、じき目覚めるだろう」

 

美森「良かった・・・・・さぁ!私たちも!」

 

レナモン「ああ」

 

レナモンに手を引かれ、東郷は光の中を抜け出していったのだった。




─次回予告─

ダゴモンの悪夢から脱出した東郷を待ち受けていたのは、ボロボロになりながらも戦う銀とアグモンだった。
ダゴモンから黒い入江の真実を聞かされた東郷は、怒りを爆発。その時、レナモンに新たなる力が誕生する!

次回『東郷、怒りの梵筆閃!ダゴモンを打ち倒せ!』

今、新たな冒険の扉がひらかれる………

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