赤嶺の連れているデジ・バーテックスは、彼女が自身の肉体を改造した際の残りで出来ている。鳥型なのは、使用したデジタマが、とあるデジモンのものであるため。
亜弥「────千景先輩は大丈夫でしょうか?」
ベルゼブモン「オレ様がこうして究極体を維持している以上は平気だろ・・・・・喩え、ヤツがバケモノでもな」
亜弥「化け物・・・・・?赤嶺先輩は人間ですよ?」
ベルゼブモン「"バケモノ"だよ。丁度良い。アイツに何があったのか・・・・そいつを教えてやるよ。それを聞いてお前がどうするのかは・・・・お前次第だ」
亜弥「────────お願いします」
そうしてベルゼブモンは、赤嶺の過去を話始めた。
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デジタルワールドと現実世界では、時間の流れる速度が違う。故に、デジタルワールドでの一年と、現実世界での一年は、イコールでは無い。
その上人間は、肉体データが無事であるなら、成長こそすれ死ぬ事は無い。無論、寿命は存在するが、現実世界で生きるよりも永く生き続けることができる。
そんなこの世界でも人間は、殺されれば死ぬ。
それを赤嶺友奈が知ったのは、今より400年前。デクス・ウォーズが終結して100年後、親友で戦友の弥勒蓮華と旅をしていた時の事であった。
当時のその事件を、克明に記録している者は赤嶺以外にはいない。よって、結果だけを述べるのであれば────
赤嶺友奈の親友・弥勒蓮華が、デジ・バーテックスと一体化した元バーテックス信者によって殺害された。
千景たちが現場に駆け付けた時には、既に全てが終わっており、
人間が死ぬと、この世界でどうなるのかは、誰も知らない。が、この蓮華の死により一つの事実が判明した。それは『肉体データが消滅しても、精神データは残る』ということ。
ベルゼブモン「アカミネはそれ以来、レンゲの仇討ちの為にだけ生きている。アイツのパートナーだったジャスティモンと、ホークモンのデジタマから抽出したデータ、それに、幾つかのデジモンのデータを自分の肉体データに取り込んで、無理矢理、単身でも戦える身体を造り上げて・・・・・」
亜弥「──────────ぐす」
ベルゼブモン「が、それを可能にしたのが信者連中の残した研究資料だとは─────皮肉が効きすぎて笑えねえよな・・・・・」
亜弥は、泣いていた。それでもベルゼブモンの話は終わらない。
ベルゼブモン「──────そんな時、グランドラクモンに拾われたそうだ。『我がそなたに協力してやろう・・・・その代わり、我の右腕として、働いて欲しい』とさ」
亜弥「────赤嶺先輩は」
ベルゼブモン「あん?」
亜弥「目的を成し遂げた後は・・・・どうするおつもりなのでしょう・・・・・」
ベルゼブモン「──────────さあ・・・・な・・・・・どうするつもり・・・・なんだろうな・・・・・」
悲しい沈黙が、部屋に流れるのだった………
ピコデビモン「伝令!!伝令であります~~!!」
Gドラクモン「ほう・・・・?」
グランドラクモン城の玉座の間。
そこに、城主グランドラクモンは居る。
ピコデビモン「先程戻った偵察部隊からの情報によりますと────」
Gドラクモン「あー、少し待て。彼女たちにも聞かせてやろう」
ピコデビモン「ひょ?」
ピコデビモンが間抜けな声を上げたその時、ピコデビモンの後ろから、千景と赤嶺がやって来た。
赤嶺「ご主人様ぁ~、ご心配おかけしてごめんなさい。この通り、赤嶺友奈、回復致しました~♪」
Gドラクモン「うんうん。なによりだ。さて、ピコデビモン。報告の続き、頼むぞ」
ピコデビモン「へ?あ、はいであります!」
ピコデビモン「えー・・・・・・先程入手した情報によりますと、ダゴモンがやられた模様です」
千景「────────」
赤嶺「・・・・・へえ」
Gドラクモン「ダゴモン・・・・という事は、生命エネルギーの回収量が少し減るなあ。それは困った。どうしようか?ユウナ」
赤嶺「ご心配なく、ご主人様。イービルリングの量産態勢は先程整いました」
Gドラクモン「おお。それでこそユウナだ。流石、我の右腕よ!」
赤嶺「うふふ♪お褒めに預り恐縮です♪」
Gドラクモン「さて、ではヴァンデモンに知らせるか・・・・奴も手駒が増えて喜ぶことだろうよ」
千景「─────その連絡役、私にやらせてくれないかしら?」
赤嶺「へえ・・・・ぐんちゃんがそんな事言うなんて・・・・・」
Gドラクモン「我は構わぬよ。して、どうするユウナ?」
赤嶺「───────癪だけど、ここはぐんちゃんに譲ってあげるよ」
千景「一応、お礼は言っておくわ・・・・・じゃ」
それだけ言い残して、千景は玉座の間から立ち去った。
ピコデビモン「─────あのニンゲン、信用できるのでありますか?」
Gドラクモン「チカゲは我等の技術力が目的だ。それさえちらつかせておけば、裏切るような真似はしないさ・・・・・・・表立ってはな」
赤嶺「うふふ。ご主人様ったら、ワルですねぇ~♪」
Gドラクモン「当然だとも」
グランドラクモンの高笑いが城中にこだました。
─次回予告─
棗からの依頼で、"法師"を探して砂漠を歩く勇者たち。
その途中、同じく"法師"を探すならず者デジモンの集団と遭遇。
そこに、四人組のデジモンたちが現れ・・・・
次回『迷子の迷子の法師さま。砂漠を歩いて何千歩?』
今、新たな冒険の扉が開かれる………