結城友奈はテイマーである   作:渚のグレイズ

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ゆゆテ!

こういう、『思い・・・・出した!!』っていうの、割りと好きだったりする。



四四話 封じられたデジメンタル!?立ち上がれ!エクスブイモン!! 後編

アンドロモン「ふん!」

 

ブイモン「がは・・・・・」

 

友奈「ブイモン!!!」

 

フィールド内では、ブイモンとアンドロモンの戦いが繰り広げられていた。

否、戦いではない。力量に差がありすぎて最早それは一方的な蹂躙だ。

 

アンドロモン「どうした・・・・?お前の実力はその程度なのか・・・・?」

 

ブイモン「ううう・・・・・」

 

アンドロモン「仲間たちの手を借りても良いぞ。多対一ならば、お前たちにも勝機があるやも知れんしな」

 

先程までたった一人で無双していた口で、そんな事を言ってのける。

 

ブイモン「くぅ・・・・・・まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

友奈「っ──────!」

 

ボロボロに傷付いて、もうほとんど立っているのがやっとの筈のブイモン。だが、それでも彼は諦めない。そして、それを見守る友奈も心苦しく思ってはいるが、決して止めようとはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全ては、胸の奥から沸き上がる衝動。その正体を掴む為。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンドロモン「──────仕方ない。これで止めとしよう」

 

アンドロモンの右手にエネルギーが充填されていく。必殺の『スパイラルソード』を繰り出すつもりのようだ。

相対するブイモンは、最早立っているのもやっとの状態だ。そんな状態だと言うにも関わらず、ブイモンは仲間たちの手助けを必要としない。

 

友奈「────────ブイモン!私、ブイモンのこと信じてる!!だからっ!!!」

 

ブイモン「────────────ユー・・・ナ・・・・」

 

アンドロモン「──────では、止めだ」

 

アンドロモンが右手を振り上げたその瞬間────

 

 

 

 

 

突如、友奈の端末がポケットから飛び出し、ブイモンに光を浴びせた!!

 

 

 

 

 

ブイモン「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?」

 

アンドロモン「何の光ぃ!?」

 

友奈「何!?なんで急に端末が・・・・ブイモン!しっかりして、ブイモ~~~~~~ン!!!」

 

友奈の叫びを聞きながら、ブイモンの意識は光の中へと呑み込まれていった────

 

―――――――――――†――――――――――

 

 

 

 

 

これは、とある聖騎士の記憶。

 

 

 

 

 

()()イグドラシル(うえ)より下された命令に憤っていた。

 

滅び行く、ボクらの護るべき世界。それを棄ててイグドラシルは新しいデジタルワールドを創造し、選ばれた一握りのデジモンたちと共に、そちらに移住する事を決定した。

 

ボクはその決定に反発。結果として、この世界に残る事になった。

 

だけど、後悔は無い。

 

弟分のマグナモンには申し訳ないけど、これで良かったんだ。

 

そうしてボクは、取り残された仲間たちと共に、この滅び行く世界で精一杯生きてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日、記憶を無くした赤い髪の女の子に出会うまでは──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――†――――――――――

 

ブイモン「────────そうか。そういう、事だったんだ・・・・・」

 

アンドロモン「む?」

 

友奈「ブイモン────?」

 

端末から放たれる光の中で、ブイモンが立ち上がる。

 

ブイモン「あのとき、ボクは"ユウナ"に出会った・・・・・そして、時を越えて"ユーナ"に会った・・・・・・・これが、運命ってやつなのかな?」

 

アンドロモン「どうやら、過去を思い出したようだな」

 

ブイモン「───────あぁ」

 

友奈「ほんとに!?」

 

ブイモンは静かに首を縦に振る。

 

アンドロモン「ならば、貴方の真のテイマーが誰なのかも・・・・・・理解しているな?」

 

ブイモン「─────────────」

 

友奈「・・・・・どういうこと?」

 

アンドロモン「言葉通りの意味だ。お前の誠のパートナーはこの方では無い。この方には本来のテイマーが別に存在するのだ」

 

風「はぁ!?何よそれ!」

 

夏凛「ちょっと!友奈がそいつからブイモンを奪ったみたいな事、言わないでよ!!!」

 

アンドロモン「あくまで私の告げた事は真実だ。お前たちがどう受け取ろうが知らないが、それだけは理解して貰おう」

 

その言葉に、何かを思い出したタオモンが声を上げる。

 

タオモン「そうか!お主、アルフォースブイドラモン殿にべったりだったハグルモンだな?」

 

美森「そうなの?」

 

アンドロモン「──────やはり覚えていたか・・・・その通りだ。あれから私はこの街で努力を重ね、そして、とある実験の成果としてアンドロモンへと進化できたのだ」

 

タオモン「成る程な。以前から行っていた、『単独進化』の実験か・・・・・」

 

アンドロモン「だが、今はそのような事は無関係だ。私は今、使命を持ってお前たちと相対しているからな。そして、私には私の使命があるように、貴方様にも、貴方様の使命があるはず─────!!」

 

アンドロモンがブイモンに語りかける。それに対しブイモンは─────

 

ブイモン「──────確かに、ボクのテイマーはユウナだ」

 

アンドロモン「では・・・・!」

 

ブイモン「でも!!!」

 

アンドロモン「?」

 

 

 

 

 

ブイモン「オレのテイマーはユーナだ!!他の誰でもない!()()()()()()()()()()()()()()()()()!!!!!!」

 

 

 

 

 

友奈「ブイモン───!」

 

ブイモン「ユーナ。オレ、こんな奴だけど・・・・・」

 

友奈「言わないで。大丈夫、わかってるから」

 

ブイモン「─────ありがとう、ユーナ」

 

友奈「やろう!ブイモン!!一緒に!!!」

 

ブイモン「うんっ!!」

 

未だ空中に浮いたままの端末を掴み、友奈がブイモンに向かって掲げる。

 

友奈「ブイモン、進化だよ!!」

 

 

 

 

 

EVOLUTION

 

 

 

 

 

ブイモン進化────!

 

 

 

 

 

エクスブイモン!!!

 

 

┌───────┐

エクスブイモン

└───────┘

幻竜型デジモン

ブイモンが本来の力を得て進化した成熟期の幻竜型デジモン。エクスブイモンはブイドラモンの原種であり、その派生系の一種がブイドラモンであると言われているぞ。その発達した腕力と脚力から繰り出される攻撃力は凄まじく、山ほどもある岩石など跡形も無く破壊できるほどである。その破壊力を持つために恐れられているが、実際は正義感が強くむやみにその力を使うことは無いのだ。得意技は、強烈な噛み付き技『ストロングクランチ』。必殺技は胸のX字の模様から放射されるエネルギー波『エクスレイザー』だ!

 

アンドロモン「おお・・・・・これは!?」

 

エクスブイモン「さあ!これが今のオレだ!何処からでもかかって来い!」

 

エクスブイモンがファイティングポーズを取り、アンドロモンを挑発する。

と、その時─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???『いいえ、その必要はありません』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジオグレイモン「誰だ!?」

 

タオモン「─────この・・・・・声、は・・・・!!!」

 

タオモンを除く一同が不思議な声に戸惑っていると、はるか上空から何かが落下してきた!

 

 

 

 

 

ズズ・・・ン!

 

 

 

 

 

アンドロモンとエクスブイモンの間に着地したそいつは、その直後に高々と雄叫びを上げた。

その瞬間、H・M・Iが吹き飛ばされ、二体を包んでいたディバイド・フィールドが解除された!

 

エクスブイモン「な─────!?」

 

友奈「いったい今度はなにぃぃ!?!?」

 

アンドロモン「─────成る程、よろしいのですね?」

 

???「はい。もう十分かと・・・・・」

 

???「これ以上の闘争を求めるならば、ワタシが法の裁きの下に相手をするが?」

 

アンドロモン「────────御意に」

 

落下してきた虎のようなデジモンと黒髪の少女に対してかしずくアンドロモン。

その様子に、一同は呆然としている。

 

???「申し遅れました。私は上里ひなた。この街の代表を、今は勤めさせていただいております」

 

ひなた「この度は、皆様を試すような真似をしたこと・・・・・大変すみませんでした。こうでもしないと、あなた方を認めないデジモンも多いので・・・・・」

 

風「そう・・・・・なんだか大変なのね」

 

困ったように苦笑するひなたに、その苦労の程をなんとなく理解した風が同情の視線を送る。

 

夏凛「んで?お偉いさんのあんたが直々に出てきたって事は────」

 

ひなた「はい。我々フローティアの民は喜んで、あなた方を受け入れます。ようこそ、フローティアへ!」

 




─次回予告─

どうにかフローティアへ到着した一行は、しばし休息の時を得る。
そんな中、一人己の力不足を感じ、ゴクウモンへ師事を乞うハックモン。
連れてこられた場所は─────────まさかの闘技場!?

次回『勝ち抜け百戦!?ゴクウモンの錬磨!!』

今、新たな冒険の扉が開かれる………

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