ナノモン「やれやれ・・・・ヴァンデモンもデジモン使いが荒くて困ったものだ・・・・これ程のデータをワタシ一人で解析しろなどと・・・・・腕が鳴るじゃあないか・・・・・!!」
???「ゴキゲンねえ、ナノモンちゃん」
ナノモン「む、お前か・・・・ガーベモンの奴はどうした?」
???「あんまりにも役立たずだから、諸島攻略に回してやったワ~!」
ナノモン「・・・・・まあ良い。そういえば、今日はアクアリウムで『慰問ライブ』とやらをやっているそうだ。なんでも、例の大戦から復興を遂げた記念日だとか・・・・」
???「あらあら、そうなの?アチキ、お祭りは好きよ~・・・・・あら、何この娘。『讃州のセイレーン』ですって?」
ナノモン「ああ、その人間が今回の主役らしい。なんでも、アイドル・・・・という職業に就いているとか」
???「アイドルですってェ!?!?!?こうしちゃ居られないワ!!」
ナノモン「む?あ、おい!?──────行ってしまった。やれやれ・・・・我々の名を貶めるような行動をしなければ良いのだが・・・・」
遂にこの日がやって来た!
待ちに待った『アクアリウム慰問ライブ』の日だ!
風「いよいよ樹の晴れ舞台!くぅぅぅぅぅ!!お姉ちゃん、涙で前が見えないワ(号泣)」
夏凜「やれやれ、まーた風の姉バカが始まった」
樹「感動し過ぎだよぉ・・・(苦笑)」
銀「樹の歌って、そんなに凄いの?」
園子「そうなんよ~♪イッツんの歌はね、聴いてると元気になれるんだ~♪」
美森「二代目勇者部部長として、活躍もした樹ちゃんだもの。今日の舞台も大成功間違いないわ」
友奈「うんっ!樹ちゃんなら大丈夫!!『なせば大抵なんとかなる』!」
楽屋裏での談話に興じる勇者たち。
と、そこへひなたが駆け込んで来た。
ひなた「皆さん大変ですっ!!」
風「あ、ひなた。もう樹の出番?」
ひなた「それどころではありません!ライブ会場が・・・・!!」
美森「なんですって!?」
???「イェェェェェェェェイ!!!」
夏凜「こ・・・これは!?」
会場に到着した一行が見たものは、舞台を乗っ取り好き放題に歌う一人のデジモン。
観客たちは、そのデジモンの歌に酔いしれ熱狂的なエールを送っている。の、だが────
樹「す・・・凄い・・・!?素敵な歌声を歌詞と音痴が台無しにしてる・・・・!!」
正直に言って、歌そのものは酷いものだった。
???「んんん?アチキの歌に文句を言ったのは誰かしらぁぁ?」
樹「聞こえてた!?」
???「あらァ?そこに居るのはもしかして、『讃州のセイレーン』さんじゃな~い?」
舞台袖の樹たちに気付いたそのデジモンは、笑みを浮かべながら樹たちに近寄る。
風「ちょっとアンタ!折角の樹の晴れ舞台を邪魔して、何のつもり!!事と次第によっては只じゃ済まないわよ!!!」
夏凜「落ち着きなさい、風。で、アンタ何者?なんかめっちゃ人気みたいだけど」
???「あら、アチキを知らないなんて・・・・・田舎者かしら?」
美森「御生憎様、私達は樹ちゃん以外の歌手にはてんで興味が無いもので」
???「あらやだ!?信じられな~い!『キング・オブ・デジモン』のエテモンと言えば、この辺りでは名の知れたアイドルだって言うのに~!!」
友奈「きんぐ?」
棗「─────もしや」
風「知ってるの、棗?」
棗「『デジモンキング』という通り名を持つ歌手デジモンが居ると聞いた事がある。彼の歌を聴いた者は、まるで生命のガソリンを注がれたかのように、とても元気になれるそうだ」
???「ち~~が~~う~~!!アチキのは『キング・オブ・デジモン』!!あんなぽっと出のヒヨッコなんかと一緒にしてもらっちゃ困るわ~~!」
┌────┐
│エテモン│
└────┘
パペット型デジモン
風「あっはい」
エテモン「ま!良いワ。アンタたちもアチキのライブを楽しんでいきなさい!!」
それだけ言うと、エテモンは再び歌い始めた。
再び熱狂に包まれる客席。
友奈「うーん・・・・・・悪くは無いけど、そんなに良い歌じゃないね」
銀「そうだなー・・・・・・・ん?どうした、アグモン!?」
エテモンの歌を聴いていた勇者たちだったが、銀が相棒の異変に気付き、声を上げた。
アグモン「ん~~・・・なんか、力が出ない~~・・・・・」
アグモンだけでなく、園子に抱き抱えられているドルモンや、友奈の頭の上のチビモン等、数体のデジモンたちがぐったりしていた。
美森「みんなが・・・・・・まさか!?」
何かに気付いた東郷が、アクアリウムの外で見回りをしているレナモンに電話をかける。
レナモン『どうしたミモリ』
美森「レナモン!あなたは大丈夫!?」
レナモン『何かあったのか!?私の方は異常無しだが・・・・』
美森「──────不審者が現れたりは?」
レナモン『無いな・・・・・・・いや、さっきエテモンが来訪してきたな、そういえば。今回のライブの特別ゲストだと思って通したんだ』
美森「─────────────そう」
レナモン『今、彼が歌っているのだろう?ここからでも聴こえてくるよ。しかし変だな』
美森「変?」
レナモン『彼の歌は、聴く者の心を奮わせるだけの力を持っている。私もかつて、エテモンの歌に勇気を貰ったものだ。だが、今聴こえてくる歌からは何も感じないんだ・・・・むしろ、逆に萎えていく感じがする』
美森「・・・・・・わかったわ。ありがとう」
レナモン『ライブ、私の分も楽しんでくれよ』
通話を切った東郷は、レナモンから貰った情報を皆に伝えた。
美森「────という事らしいわ」
棗「・・・・本物の有名人だったのか」
風「レナモンが言うんだから、本当の事なんだろうけど・・・・・」
夏凜「正直、そこら辺のアイドルの方が良い歌歌うわよ。オマケにデジモンから気力を奪っていくし」
樹「─────────────」
園子「どうかしたの?イッツん」
園子からの問いかけにも答えず、樹はエテモンのいる舞台に飛び出し、叫ぶ。
樹「エテモンさん!!質問があります!!!」
エテモン「あら、なにかしら~~?」
樹「あなたにとって・・・・・『歌』って、なんなんですか!?」
その問いに、エテモンは沈黙する。
エテモン「─────────聞きたいかしら?」
樹は黙って首を縦に振る。
エテモン「良いワ。だったらアンタ!アチキと勝負なさい!お題目はモチロン・・・・歌よ!!」
樹「臨むところです!」
ゆゆテ!
ラセンモン激昂モード、ゲットしました~♪
更に、水着メブと亜弥ちゃんも入手!
今月は中々に運気が良いね!・・・・・・・・・・・来月あたりが怖いなぁ