☆月●日
この世界に来て三日目の朝。俺はこの戦艦(ヤマトと言うらしい)の沖田艦長を初めとする数人が集まった部屋に連れてこられ事情聴取を受けた。
そこで分かった事なのだが、どうやらこの世界は俺がいた世界とは全く別の世界のようだ。
何しろ俺も向こうもお互いの一般的な常識やら世界の地理やら歴史にあった大きな事件を知らないと言うのだ。多少は似ている点はあったが、それでもここが別世界であるのは間違いないだろう。
部屋に集まった人達のほとんどは俺の話を信じられないといった顔で聞いていたが、ヤマトの艦長である沖田艦長と真田副長は俺の話を信じてくれて、俺の件はこれでひとまず一段階ついた。
次にこのヤマトの事情を聴くことになったのだが……正直予想していたよりも重い案件だった。
なんでもこの世界の地球はガミラス星人という異星人からの攻撃で滅亡する一歩手前なんだとか。
そして滅びつつある地球を救うには、地球から十六万八千光年離れた惑星イスカンダルにあるコスモリヴァースという装置を取りに行く必要があり、そのコスモリヴァースを取りに行くのがこの宇宙戦艦ヤマト。つまりこの戦艦は文字通り地球の命運を背負った最後の希望と言える。
……何でそんな艦によく俺とブラッキーみたいな身元不明者を乗せたんだ?
その点について聞いてみると昨日の戦闘機、ガミラスの航空部隊との戦闘の直後に俺達をヤマトに乗せるようにと指令に出たらしい。指令の発行者は不明で十中八九偽の指令だと分かっていたが、様々な理由からすぐに発進しなければならないヤマトは指令の真偽を確かめる時間もなく、とりあえず俺達を乗せる事にしたそうだ。
なるほど。だから昨日格納庫でいきなり取り囲まれたのか。
確かにそんな怪しさ満点の乗艦をすれば皆も警戒するよな。俺とブラッキーみたいな人畜無害なペットとその飼い主があそこまで警戒されるなんておかしいと思っていたんだ。
そう俺が頷いていると真田副長が「いや、君の機体、ブラッキーだったか? あれも充分脅威なんだが……? 額にあるバズーカの威力は戦艦の主砲並みだし、ミサイルだって空中で爆発した衝撃波で地面にクレーターができたんだぞ? 一体どんな火力をしているんだ?」と冷や汗を流しながら言っていた気もするが大げさすぎませんか?
昨日の戦闘では初めて見る敵だったから確実に堕とせるように「野獣の本能」(※10)を使っただけですよ?
☆月◎日
ガミラスの攻撃により滅亡の危機に瀕した地球に残された時間は僅か一年。
その為ヤマトには俺とブラッキーを降ろすためにもう一度地球に戻る時間なんてなく、俺とブラッキーはそのままヤマトに乗ることになって、ヤマトの戦闘指揮を担当する古代戦術長の預かりとなる。
沖田艦長と古代戦術長が言うにはいつまたガミラスの攻撃が来るか分からないから、俺とブラッキーにはガミラスと戦う為に力を貸してほしいということ。俺とブラッキーには戦うことしか手伝えることがなさそうなのでこれには異論がなかった。
こうしてヤマトの防衛部隊の一員となった俺は「一緒に戦う仲間を紹介する」と言う古代戦術長に格納庫へと連れらて、そこにはブラッキーの他に先日の戦闘で一緒に戦ってくれた機体、ヴァングレイとそのパイロットのソウジさんがいた。ソウジさんは自己紹介を終えると「この間は助かったぜ。これからよろしくな」と言って握手をしてくれた中々に親しみ易い人で仲良くなれそうな気がした。
そんな事を考えていたら格納庫の隅でヴァングレイにじゃれついているブラッキーの姿が見えた。俺からすれば和む光景なのだが、他の人達からはブラッキーがヴァングレイに襲いかかっているように見えているようで、大慌てのソウジさんと古代戦術長からブラッキーを止めるように言われた。解せぬ。
あとそれと、メカで表情なんてあるはずの無いヴァングレイが何故か困っている表情をしていたように見えた気がしたのだが俺の気のせいだろうか?
☆月◇日
今日はソウジさんと一緒にヤマトに乗艦したチトセさんという女性にこの世界の一般的な常識と大まかな歴史を教えてもらった。
この世界で行動する以上、知っておいた方がいいと思ったのだが、これが思った以上にややっこしい。何せこの世界の出来事と俺の世界の出来事にはよく似た点がいくつもあって、どうしても頭の中で二つの世界の歴史が混ざってしまうのだ。
その中で気になったのが「モビルスーツ」という存在だ。
このモビルスーツは俺の世界のガーディアンと同じ様な存在なのだが、機体にALTIMAを使っていない為に誰でも乗る事が出来るらしい。
それだけならミーレス(※11)と同じなのだが、先日のヴァングレイの戦いぶりやチトセさんの話からするとモビルスーツはミーレス以上の、ガーディアンと同等の戦闘力を持っているという事になる。
乗り手を選ばないガーディアン、モビルスーツ。
俺はそんな物があるこの世界を凄いと思うのと同時に、もし俺の世界にモビルスーツなんて物があれば戦争は更に激しさを増すだろうなと想像し、少しだけ怖くなった。
俺の世界にも戦争はある。それこそ地球のいたるところで戦争が起こっている。
しかし戦争の中心であるガーディアンが乗り手を選んで数が中々増えないお陰で俺の世界の地球はギリギリのところで壊れずにすんでいるのだ。
☆解説
(※10)野獣の本能
マシンザウルス級ガーディアンの特技。
武装の攻撃力をその機体の野生値の分だけ強化する。
(※11)ミーレス級ガーディアン
ガーディアンのクラスの一つ。
ALTIMAを使っていないのでリンケージでもない人間でも乗れるが、その性能は他のクラスのガーディアンに比べて大きく劣る。
量産機。
【カヤマリュウト、経験点零点獲得。次ノれべるマデアト二点】