もし城戸くんが好戦的だったら   作:sukei

1 / 5
注意
この小説には原作設定の改変やキャラ崩壊が含まれる可能性があります。
それでも読んでやるぜ!という方は自己責任でお願いします。



プロローグ

カタカタと、キーボードを打つ音が絶え間なく聞こえてくる。

 

ここはモバイルネットニュース配信会社『OREジャーナル』の事務所。その一台のパソコンの前で、城戸真司はひたすらに記事を書いていた。そのタイピング速度はとても文章を考えながら打っているとは思えないほど素早い。真っ直ぐパソコンに向かっている城戸。その背後から一つの影が忍び寄っていた。

 

「おう真司!お前は相変わらず記事にするのが速いな!」

 

「っと!お疲れ様です、編集長」

 

事務所に帰ってくるなり背後から城戸の肩に手を掛けながら話しかけてきたのは、OREジャーナルの社長兼編集長である大久保大介だ。

 

「ただいま戻りました」

 

続いて事務所に入ってきたのはOREジャーナルの記者である桃井令子。

 

「お、令子。そっちはどうだった?」

 

「ダメですね。手掛かりの一つもありませんでした」

 

「そうか。こっちも同じく進展なしだ」

 

今、OREジャーナルでは巷を騒がせている行方不明事件を追っていた。ある場所から突然人が消えるのである。基本的に外回りで取材をするのは桃井だけであるが、この事件では被害者の数が多く、編集長である大久保も取材に駆り出されていた。

 

「すいません、編集長。俺が外回りに行けたらよかったんですけど……」

 

「バカ。『お前にできないことがあるのと同じように、お前に()()できないこともある』っていつも言ってるだろうが。そのスピードで記事を作るのは、間違いなくお前にしかできないことだ」

 

編集長である大久保まで取材に駆り出されるのには理由がある。フットワークの軽い報道をモットーとするOREジャーナルに所属していながら、城戸はとある理由からあまり外回りの取材には赴かない。基本的に城戸の仕事は資料を元にしての記事の作成であり、それゆえ城戸は資料とのにらめっこをしながらパソコンの前で指を動かしているのである。そうするよう指示したのは大久保であり、故に人手不足の外回りの取材に大久保自身がまわっているのだ。この事を城戸はいつも気にしているのだが、大久保には暖簾に腕押しである。

 

「さて。真司、その記事が終わったらこの資料纏めといてくれ。それから……」

 

何でもないように振る舞う大久保に感謝しつつ、城戸は人生の転換点となった出来事を思い出していた。

 

 

――――――――――

 

 

『二十歳までは生きられるだろうが、二十五まで生きれるかはわからない』

 

そう医師から宣告されたのはいつだったか。

 

城戸は幼いころからその身に病という爆弾を抱えていた。それまでも生きる目標があったと胸を張っていえるわけではなかったが、宣告されてからは輪をかけて生きる意味を失った。もっと生きていたい、どうせ死ぬならそれまでに何かしたい、誰かを助けられれば自分が存在する意味はあるのではないか、他人に迷惑をかけるぐらいなら死んだほうがいいのではないか。様々な考えが浮かんでは消え、けれどもどれも実行に移すことはできず……。

毎日を惰性で生きていた、そんな時に出会ったのが大久保だった。

 

不思議な男だった。性格は明るく、けれど物事の本質を見抜くことのできる洞察力に長けた人間だった。

気がつけば城戸は自分の事情と想いを全て打ち明けていた。同時に、今まで病のせいであまり運動できなかったため、時間があれば読書してきた城戸の文章構成力に大久保は目をつけた。

 

 

 

そして今、情報を発信することで、城戸は確かに人の役に立つ仕事をしている。

 

城戸は今二十三歳。やがて来る最期の時を覚悟しながら、それでも、倒れるまでは大久保の元で働いてやるという決意を胸に、城戸は今日も仕事をしている。

 

 

――――――――――

 

 

こうした事情故に、激しく動き回る外回りの取材が城戸に来ないのはむしろ当然である。といっても外回りが全くないわけではない。むしろある程度の運動はしないと体力がなくなる一方である。そのあたりは大久保も桃井も承知しているのか、あまり歩き回らない仕事は城戸の方に流れてくる。

 

「城戸くん、ちょっといい?」

 

「何ですか?令子さん」

 

「明後日から行方不明になった独身の被害者達の自宅を調査してほしいの。アパートの管理人なんかには既にアポはとってあるわ」

 

「わかりました!」

 

数日後、もうないと思っていた人生の転換点が再び訪れることを、まだ城戸は知らない。

 




某蟹さんの転生小説に触発されて突発的に書いた。自分のために好戦的になる城戸くんを書こうとしたら、いつの間にか文章を瞬く間に構成していく賢い城戸くんになっていたでござる。マジでどうしてこうなった?

というか、設定上の性格の反転具合的に鏡の中の城戸くんと入れ替わってるだけのような気も。いっそのこと変身するライダーもリュウガにしてしまおうか……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。