もし城戸くんが好戦的だったら   作:sukei

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戦闘シーンはこれぐらいが精一杯です。
……………………文才欲しい……



初めての……

仮面ライダーとしてミラーワールドに降り立った城戸が目撃したものは、モンスターの糸に絡まれて動きを封じられたナイトの姿だった。

 

城戸は焦らずデッキからカードを取り出しバイザーに差し込む。

 

『SWORD VENT』

 

昨日、初めてミラーワールドに入って召喚した剣とは違う剣が召喚される。黒い柄、銀の刀身をした、ドラグブラッカーの尾を模した剣。自分の得物を手にした城戸はモンスターに突撃していくのだった。

 

 

――――――――――

 

 

クモ型モンスターの糸により、動きを封じられた秋山のピンチに割り込んできたのは漆黒のライダーだった。

 

スーツの色こそ漆黒に塗り替えられているが、その姿は明らかに、昨日、ミラーワールドに巻き込まれたライダーの姿だった。――あの龍と契約したのか……、そう秋山が認識する間にも、漆黒のライダー――リュウガは剣を片手にモンスターを追い詰めていく。

 

突き出される足を弾き、

打ち出される針を叩き落として、

そしてモンスターの体に確実に斬擊を打ち込んでいく。

 

やがて、リュウガの会心の一撃が胴体に当たり、モンスターが僅かに怯んだ。その次の瞬間には、リュウガはカードをバイザーにセットし終わっていた。

 

『FINAL VENT』

 

漆黒の龍――ドラグブラッカーがリュウガの周りを旋回し始める。発生した風圧により、リュウガの体がゆっくりと宙に浮いていく。相手よりも上から見下ろすその姿は、スーツの色が漆黒なのも相まって死神にも見える。そしてモンスター(相手)からすれば、その認識は間違っていないのだろう。

 

空中にいるリュウガが蹴りの姿勢をとると同時に、リュウガ自体が弾丸のような速度で打ち出される。

 

モンスターは黒い風に阻まれて動くことすらままならず、砲弾のような蹴りを受けて爆散した。

 

 

――――――――――

 

 

昨日まではミラーワールドの存在すら知らなかった一般人がモンスターを完封したことに、秋山は焦りを覚える。

 

あの龍は強い。そして、あの龍と契約したライダーも。

 

このままヤツが成長していけば、そう遠くない未来に秋山にとって強大な敵として立ちはだかることは目に見えていた。

 

秋山は無意識に、自らの得物を握りしめる。

――脳裏には一人の女性の姿がある。

目的を持っている秋山にとって、此処でヤツを倒すのはプラスにはなってもマイナスにはならないことは確定的だった。

 

「リュウガか……。今のうちに、潰しておくか!」

 

そう、呟き。

 

目的のために『城戸(他人)』を害する事実から仕方ないと目を背け、

 

秋山は『城戸()』の背に向けて、己の得物を振り下ろした。

 

 

――――――――――

 

 

ナイトがリュウガに対して槍を振りかぶった、

 

 

 

――その、刹那。

 

 

 

城戸が反応できたのは、偏にこの展開があるかもしれないと予想していたからだった。

 

『GUARD VENT』

 

咄嗟に盾を召喚し、ナイトが振るうウイングランサーを受け流す。

 

「なに!?」

 

秋山は自身の攻撃に対応されたことに驚きながらも槍を振るう手を緩めず、城戸は盾を使って冷静に攻撃を捌いていく。

 

――ライダーとしてのスペックはリュウガのほうが上。

――ライダーとしての経験は秋山のほうが上。

 

――得物のスペックはリュウガのほうが上。

――得物を扱う技術は秋山のほうが上。

 

結果として、二人の戦いは拮抗することになった。

――だが、その心情は正反対と言っていいものだった。

 

始めての対人戦闘で戸惑いがあるだろうリュウガを狙い、まさか対応されるとは思ってなかった秋山と、襲撃されるかもしれない展開を予測して行動した城戸。

 

動揺していたナイトと冷静を保ったリュウガ。

 

 

 

 

勝敗を分けたのは、お互いの心構えの差だった。

 

 

 

 

リュウガの盾が、ナイトの槍を吹き飛ばし、

ナイトは一瞬の隙をリュウガに与えてしまい、

その一瞬で、城戸は躊躇なくカードをバイザーに入れた。

 

『ADVENT』

 

バイザーによって召喚された漆黒の龍により、辺りが瞬く間に黒い炎で覆われていく。

 

 

触れるもの全てを焼きつくさんとする漆黒の火球が狙いを定めて発射されていく。

 

 

――無論、ナイトを標的として。

 

 

斯くして、

ナイトは昨日と同じく龍に追われながらミラーワールドを脱出し。

城戸は昨日とは逆に龍を従えてミラーワールドから帰還したのだった。

 

 

――――――――――

 

 

城戸がミラーワールドから帰還すると、そこには体の所々に傷を負った秋山と、鬼気迫るような表情をした優衣がいた。

 

「どういうことか、説明してもらえるよね?」

 

二人に対して優衣が問いかけて……いや、問い詰めてくる。昨日や先ほど城戸がミラーワールドに入る前までの、兄を想いやや感傷的だった彼女はおらず、なんとしてでも教えてもらう、という意志が籠った目をしていた。秋山は無言を貫き特になにも答えない。

 

「どうして、蓮と戦ったの?」

 

秋山が相手では暖簾に腕押しだと思ったのだろう。今度は明確に城戸に問いかけてきた。()()()()()()()()()()特に知られて困ることもないだろうと判断し、城戸は答えることにした。

 

「…………別に、襲いかかってきたから撃退しただけだよ」

 

「だからって「それに……」っ!?」

 

ここまでしなくても……という優衣の言葉は、城戸の声に遮られて発せられることはなかった。

 

「それに、俺もこいつも、自分の目的のために戦ってるんだ。…………そうだろ?」

 

ライダーにとってはこの言葉こそが真理なのかもしれないと、城戸は答えながら思う。そして、秋山に確認してみれば、肯定の答えが返ってくることは解りきっていた。

 

「…………ああ、そうだ」

 

「蓮!?」

 

実際、秋山は肯定したし、まだライダー同士が戦う理由を知らない優衣は驚愕している。

 

()()()()を知っているということは、自ら望んでライダーになったということだな」

 

「…………ああ」

 

「なら……次は容赦しない。せいぜい覚悟しておくことだ」

 

「ちょっと蓮!?」

 

「………………………………ああ」

 

「真司くん!?」

 

これで会話は終わりだと、そう言わんばかりに秋山はバイクに乗って去っていき、同じく城戸も事務所のほうに戻っていった。

 

 

 

 

…………結局、

 

結局、優衣が求めた答えを城戸も秋山も明確に教えてはくれなかった。秋山は元からなにも答えてはくれず、城戸は昨日別れた後に何かを知ったらしいが誤魔化されてしまった。

 

ただひとつ分かったのは、このままでは二人は再び戦うことになるだろうという事実。

 

「…………どうしたら、いいの?………………私は、どうしたら…………」

 

いくら昨日出会ったばかりといっても、知り合いが戦う――殺しあうことなど、彼女には到底容認できることではなかった。

かといって、戦う理由を二人は話してくれず、理由が解らなければ説得が難しいことも彼女は分かっていた。

 

兄のこと、秋山のこと、城戸のこと。彼女は未だ真実を知らず、未来を憂うことしかできないでいた。

 

 

――――――――――

 

 

なんてことはないビルがあちこちに立ち並ぶ町並みの一角。

 

そこに彼は存在した。

 

 

否、

 

 

()()()()()()()()()()()()

 

見回しても見回してもビルしか見えないような場所で、そこに存在している()()()彼だけだった。その世界に存在する彼以外の生き物は、全て、現実には存在し得ない生物達。

 

「…………………………俺は……アイツらを…………」

 

彼以外存在しない空間で、独り言が、誰に聞かれるでもなく虚空に溶けていった。

 




次回から割りとシーンが飛ぶかもしれません。
そして、それでも最後に出てきた彼の出番は当分先です。
(うp主は気まぐれで書いているので今回が最初で最後の登場になる可能性が微レ存……
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