バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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Bクラス戦!①

 翌日の昼休みの終わりがけ……

 

「さて皆、総合科目テストご苦労だった」

 

 教壇に立った雄二が机の上に手を置いてオレたちを見る。今日は午前中はテストだった。そして、ついさっき全科目のテストが終わったのだ。正直に言おう。辛かった。

 ん?昼食はって?今日もオレは一人旅立って行ってたよ(どこにとは言っていない)。

 

「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが、殺る気は充分か?」

『おおーっ!』

 

 一向に下がらないモチベーション。これこそがオレたちの唯一にして最大の武器だが……本当に下がらないなぁ。

 

「今回の戦闘は敵を教室に押し込む事が重要になる。その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない」

 

 今回は前回と逆。廊下に敢えて代表を追い出すのではなく教室に閉じ込め、確実に息の根を止める。

 

「そこで、前線部隊は姫路瑞希に指揮を執ってもらう。野郎共、きっちり死んでこい!」

「が、頑張ります」

 

 このうちのクラスのノリについていけないのか、姫路さんは若干引き気味だ。

 

『うおおーっ!』

 

 本当にこいつらなら自分を犠牲に出来そうだよな……素直に尊敬するよ。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

 昼休み終了のチャイムが鳴り響く。Bクラス戦開始の合図だ。

 

「よし行ってこい!目指すはシステムデスクだ!」

『サー、イェッサー!』

 

 オレたちはとにかく勢いが勝負。

 廊下での勝負に勝たないとお話にもならないので五十人中なんと、四十人という戦力を注ぎ込んでいる。うん。過剰戦力だ。もちろんそこには隊長の姫路さんやオレも含まれている。

 

「いたぞ、Bクラスだ!」

「高橋先生を連れているぞ!」

 

 正面からBクラスの生徒がゆっくりとした足取りで歩いている。数は十人……様子見か?まぁ、こちらの人数は四十人であるから数の上ではこちらが断然有利だ。……まぁ、質は……ね。言わなくても分かるでしょ。

 

「生かして帰すなーっ!」

 

 そんな物騒な言葉が皮切りとなり、Bクラス戦が始まった。

 

 

『Bクラス 野中長男

 総合科目 1943点

 

 VS

 

 Fクラス 近藤吉宗

 総合科目 764点 』

 

 

『Bクラス 金田一祐子

 数学   159点

 

 VS

 

 Fクラス 武藤啓太

 数学   69点  』

 

 

『Bクラス 里井真由子

 物理   152点

 

 VS

 

 Fクラス 君島博

 物理   77点  』

 

 

 ……これぞまさに、桁違いの強さだ……本当に桁が違うのだ。この圧倒的とも言える点差によって第一陣がことごとくやられていく。

 

「吉井光正と姫路瑞希には警戒しろ!後は問題なく倒せる!」

『了解!』

 

 わー警戒されてるよ。召喚獣すら出してないのに。うーん。オレこの戦闘ではあまり、消費せずに教室に押し込んでからが勝負って言われてるんだけどなぁ。……どうしたものか。

 

「お、遅れ、ま、した……。ごめ、んな、さい……」

 

 息を切らして姫路さんがやってきた。あーオレたちの全力疾走に付いてこれなかったか。まぁ、予想通りだけど。

 

「来たぞ!姫路瑞希だ!」

 

 Bクラスの誰かが叫び全員が目つきを変え、いっそう警戒を強める。なるほど、Bクラスはオレより姫路さんを警戒しているのか。ふむふむ。なら、フェードアウトしても気付かれまい……

 そんな考えをしている中、姫路さんが前に行くと二人の女子が現れ、数学担当の長谷川先生に数学の勝負の立会いをするように頼んでいる。なるほど。ここで二人がかりで姫路さんを倒してFクラスの士気を下げるつもりか。

 

 

『Fクラス 姫路瑞希

 数学   412点

 

 VS

 

 Bクラス 岩下律子&菊入真由美

 数学   189点&151点 』

 

 

「あれ?姫路さんの召喚獣ってアクセサリーなんてしてるんだね?」

「あ、はい。数学は結構解けたので……」

「?結構解けると、アクセサリーをしてるの?」

 

 そう言われたので見てみると確かに姫路さんの召喚獣の左手首に綺麗な腕輪をしていた。

 

「ああ、兄さん。それはあれだよ。特殊能力が使えるって腕輪」

「そういえば、そんなのあったね。縁がなさすぎて忘れていたや。ん?光正は持ってるの?」

「少なくとも数学は腕輪持ちだよ」

「いいな~ゲーマーってそういうのに憧れるよね~」

「羨ましいだろ~だったら、勉強しろ」

「さぁ、姫路さん!その力をBクラスに見せつけてやるんだ!」

 

 この兄さん話を逸らしやがった!まぁ、腕輪というのは確かに一科目で400点を超えないと使用できないけどさ!

 

「じゃ、いきますね」

 

 キュボッ!

 

 姫路さんは腕輪を光らせ、熱線を放った。そして片一方の召喚獣を一瞬で灰にした。

そして、大きく避けて、バランスを崩した相手を大剣で一刀両断。うん。凄い強い。

 

「なっ!そんなバカな!?」

「姫路瑞希。噂以上に危険な相手だ!」

 

 残っているBクラスの八人からは驚愕の色が見える。まぁ、無理もないだろうな。

 

「み、皆さん、頑張ってください!」

 

 姫路さんが指揮官らしくない指示を出す。そしてそのまま後ろに下がる。

 腕輪の使用には点数をかなり消費するものもある。姫路さんのはその代表例ともいえるだろう。そのため、乱発は出来ない。なので戦死を避けるべく後ろに下がるのは当然の行動だ。もっとも、向こうの士気は下がってるし、この分なら姫路さん抜きでも渡り廊下での戦いは勝てるだろう。

 

「やったるでぇーっ!」

「姫路さんサイコーッ!」

 

 そして、さっきの姫路さんの激励に味方の士気は大幅に上がり、信者は増える。

 

「中堅部隊と入れ替わりながら後退!戦死だけはするな!」

 

 Bクラスからそんな声が聞こえてくる。まぁ、オレたちの狙いは敵を教室に押し込むこと。つまり、今の所は順調である。第一目標として、しっかり向こうをBクラスの教室に押し込みたい所だ。

 すると、秀吉と兄さんが下がっていくのが見えた……ん?何でだ?

 

「どうしたんだ?中堅部隊で何かあったのか?」

「Bクラスの代表じゃが……あの根本らしいのじゃ」

「根本君?あの卑怯で有名な?」

「うむ」

 

 他人に興味のないオレですら何度か噂で耳にしたことがある。

 本名を根本恭二。とにかく評判が悪く、カンニングの常連とか、球技大会では相手チームに一服盛ったとか、喧嘩の時は刃物を装備なんて酷い噂が多い。どの程度卑怯なのかはしらないが、まぁ一言言えるのは……

 

「面倒な相手だな……」

「そうじゃな……」

 

 厄介では無く面倒。それはそうである。だって、面倒だもん。

 

「……わかった。じゃあオレも戻るわ」

 

 姫路さんに一言報告した後、オレたちはFクラスの教室へ向かった。

 何も起きてないといいんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室に戻ったオレ達を迎え入れるのは、穴だらけになった卓袱台と折られたシャープペンや消しゴムだった。

 

「……うわ、こりゃ酷い」

「まさかこうくるとはのう」

「……はぁ。面倒なことしてくれる」

 

 これでは補給がままならない。地味にだが点数に影響の出る嫌がらせでバカにすることが出来ない。

 

「で?小物感溢れる根本君達が教室をボロボロにしている間。我らの代表は何処に?」

「協定を結びたいという申し出があって調印の為に教室を空にしていた」

「なるほど。その時にやられたのか。それで協定の内容は?」

「ああ。四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日午前九時に持ち越し。その間は試召戦争に関する一切の行為を禁止する、ってな」

「承諾したのか?」

「そうだ」

「でも、体力勝負にした方が……」

「バカだなぁ兄さん。Fクラスの四十九人が体力勝負に有利でも、唯一不利である姫路さんがオレたちの武器だ。主力が体力切れで潰れて負けたとか。普通にダメダメだろ?」

「ああ。それに姫路には出来るだけ万全の状態で残しておきたい」

 

 でも、何かがおかしい。この協定は一見するとうちに有利なように働く。でも、そんなこちらにメリットがある協定をあの根本君が結ぶか?というか、よく考えろ。一日の猶予。破壊された教室。……ん?よく見るとカバンもいくつかやられている。何か盗まれていなければいいけど……

 

「ちょっと待てよ……」

 

 ボロボロにするならもっと、徹底的にすればいい。なのにしなかった。時間がなかったからか?いや、そうじゃない。でも、奴らの目的は達成されている。目的は補充試験を受ける環境を消すこと。でも、もしその目的以上に使えるものを見つけてしまったら?

 最悪の可能性……姫路瑞希がカードとして機能しなくなる。それはそうだ。このクラスでBクラスが一番警戒してるのは誰だ?間違いなく姫路瑞希だ。

 

「光正。大丈夫か?」

「おい、雄二……最悪姫路さんが死ぬぞ」

「………………はぁ?」

「えーっと、光正は『この教室を見た感じ、最悪姫路さんというFクラスの主戦力が実質的な機能停止にさせられるぞ』って、言いたいみたい」

「……よく伝わったな」

 

 可能性の一つだ。荒された教室なら、何かが盗まれていても不思議じゃない。

 ただ、もしその盗んだものの中に姫路さんの弱みを握るようなものがあったら?

 

「とりあえず、光正、明久、秀吉。三人は前線に行ってくれ。最悪のケースを考えておく」

「了解」

「分かった」

「そうじゃな」

 

 こうして、オレたちは戦場に舞い戻るのであった。

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