バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
「……ここはどこ?」
バカの兄さんが目覚めたようだ。
「おい、試召戦争で本当に怪我してきたバカの兄さん。気がついたかよ」
「いつもの光正だ」
当たり前だ。人間そう変われるものでは無い。
「それで試召戦争は?」
「協定通り休戦中。続きは明日」
「戦況は?」
「計画通り教室前に攻め込んだ。もっとも、こちらの被害も少なくないがな」
すると、雄二がオレの代わりに答えつつ、被害状況をわかりやすく教えてくれる。
まぁ、廊下戦で圧勝に見えるけどFクラスのほぼ全戦力を注ぎ込んだ結果だしな。
「…………(トントン)」
「お、ムッツリーニか。何か変わったことがあったか?」
気がつけばムッツリーニが傍まで来ていた。今日のムッツリーニの役目は情報収集担当。相手の動きをチェックしていた。
「Cクラスの動きが怪しいだと?」
「…………(コクコク)」
どうやらCクラスが試召戦争の準備を始めたらしい。狙いはAクラス。ではなく……
「漁夫の利を狙うつもりか」
この戦争の勝者を狙うつもりだろう。疲弊している隙を狙うなんて、最低な奴らだ。
「雄二、どうする?」
「んーそうだなー」
時刻は四時半。まだ、遅い時間ではない。
「Cクラスを脅すか?」
「脅す……というより、協定を結んだ方がいいかもな。よし、今から行くか」
「そうだね」
「りょーかい」
帰る準備をしていたけど、こっちの方が重要だ。
「秀吉は念のためここに残っていてくれ」
「ワシは行かなくてよいのか?」
「万が一の場合にやろうとしている作戦。お前の顔を見せると支障をきたす可能性があるからな」
「そこまで言うのなら、分かったのじゃ」
「じゃ、行こうか。人数少なくて不安だけど」
秀吉を残して、メンバーはオレ、兄さん、雄二、ムッツリーニ、姫路さんの五人。後一人ぐらい欲しいけど仕方がない。
「吉井。アンタの返り血こびりついて洗い流すの大変だったんだけど。どうしてくれんのよ」
……それって、兄さんが悪いのか?
「あ、島田さん。丁度良かった。Cクラスまで付き合ってよ」
兄さんのことだからどうせ。Cクラスでボコボコにされそうになった時の盾が増えたと思っているのだろう。恐らく、オレも盾扱いかな。
「んー、別にいいけど」
「おい、急いでいくぞ」
あー早くしないとCクラス代表が帰ってしまうか。確かにそれは大変だ。
「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表は?」
教室を開くなり、雄二が残っているクラス全員に声をかける。
……あれ?おかしくねぇか?なんでCクラスの中にBクラスの奴らが混ざっているんだ?
……Cクラス……漁夫の利……不可侵条約……協定……まさか!
「Fクラス代表としてCクラスと不可侵条約を結びた――」
「雄二!こいつは罠だ!」
「――い。どういうことだ光正?」
「不可侵条約ねぇ……。どうしようかしらね。根本クン」
クソ、遅かったか。
「当然却下。だって、必要ないだろ?」
Cクラスの中にBクラスの生徒。しかも全員根本君の取り巻きだし……そして、何より……囲まれている。正確には後ろに逃げ道があるが……
「酷いじゃないかFクラスの皆さん。協定を破るなんて。試召戦争に関する一切の行為を禁止したよな?」
……はぁ。言うと思ったよ。さぁ、どうする?ここから先のプランは二つほどあるが……
「何を言って――」
「先に協定を破ったのはソッチだからな?これで、お互い様、だよな!」
そう言って、奥に隠されていた長谷川教諭の姿が現れた。数学か……丁度いい。プランAで。
「長谷川先生!Bクラス芳野が召喚を――」
「Fクラス吉井光正。この教室にいるBクラス生徒全員に試召戦争を挑む。
「僕らは協定違反なんてしていない!」
「いや、協定違反とかどうでも良くね?」
『はぁ?』
何だろう。この敵味方からこいつは何を言い始めたんだって顔は。
「え?でも、光正。どうでもよくなんて……」
「長谷川教諭。先ほど、Bクラスの代表が、Fクラスが協定違反をしたことを訴え、試召戦争を続けようとしました。これは。まだ、試召戦争は続いているとみなしてよろしいですね?」
「あ、はい。一応そうなりますね……」
「召喚戦争のルールその五!『相手が召喚獣を喚び出したにも関わらず召喚を行わなかった場合は戦闘放棄とみなす』ほら?Bクラスの皆さん?戦闘放棄とみなされて、戦死扱いでいいんですか?早く召喚して下さいよ」
『
『Fクラス 吉井光正
数学 468点
VS
Bクラス 根本恭二&モブ×6
数学 182点&平均160点』
「おい、光正。まさか……!」
「プランA。全員この場でぶちのめして終わらせる」
ちなみにプランBは雄二と姫路さんを逃がすであるが……逃げる必要がなくなった。
『舐めんじゃねぇ!』
『こっちは七人だ!』
いや、代表は除いて実質六人だろ。
「お前らには見えないのか!この左腕の腕輪を!」
『なっ……!』
オレの召喚獣の左腕には腕輪が付いている。
「姫路さんのとは違って真っ黒な腕輪だね。効果も違うの?」
「効果は確かに違ったな」
「ま、待て!話し合おうじゃないか!」
そして、何故か話し合おうとする根本君。君に話し合いの余地があると思ってるのかね。
「そうだ!お前らが協定違反したことを不門にしてやる。だから、この勝負は協定で無効……」
「却下。こっちは一人しか召喚していない。数の上でもそちらが有利なはずだ」
「だ、だが……」
「そういえば、根本君。君たちと協定を結んでいる間に何かFクラスから盗んだでしょ」
「……はぁ?」
「シラを切るつもりか!」
やれやれ、静かにしてよ兄さん。まぁ、いいけどさ。
「だから、俺はFクラスから手紙なんて盗んでないから知るかよ!」
……こっちはこっちで勝手に墓穴を掘りやがったし。
「手紙?オレは何かとしか言ってないのに。何で手紙だと思ったんだ?筆記用具やノート、教科書の類なら分かるが……再度問う。何故手紙だと思った」
「そ、それは……」
「まぁいい。それは後で返してもらう。次の質問だ。何故この人数がCクラスに潜んでいた?」
「お前らが協定違反をしようとしているって報告を――」
「受けた?誰から?」
「……そこら辺にいる奴らから」
「そーか」
咄嗟についた嘘だと丸わかりだな。
「雄二。協定の内容をもう一度言ってくれ」
「ああ、『四時までに決着がつかなかったら戦況をそのままにして続きは明日午前九時に持ち越し。その間は試召戦争に関する一切の行為を禁止する』……なるほどな。そういうことか。お前がやろうとしているのは」
「お気付きですかBクラス代表?この協定には違反した時のペナルティが明確になっていない。そして、Fクラス側が違反をしたという建前で試召戦争を続けようとしている。それならば――」
オレは一息吸って、大声で宣言する。
「違反上等!お望み通りここでこの戦争に終止符を打ってやるよ!」
『こいつ遂に開き直りやがった!』
「腕輪発動『
すると、オレの召喚獣の影から八本の手の形をしたものが伸びてきて、オレの八本の武器をそれぞれに持つ。
「さぁ、ゲームを始めよう」