バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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Aクラス戦!②

「それでは三人目の方お願いします」

 

 高橋女史は淡々と作業を進める。自分たちのクラスが負けたのに驚いていないな。

 

「姫路。頼んだ」

「は、はいっ!」

 

 こちらからは姫路さんだ。Fクラス最強のカードの登場だ。対するAクラスからは……

 

「それなら僕が相手をしよう」

「やはり来たか、学年次席」

 

 学年次席の久保利光。彼は姫路さんに次ぐ学年三位の実力者。現在は姫路さんが振り分け試験を途中退席したため、学年次席の地位になっている。ちなみに紫乃は現在学年三席の地位についている。まぁ、そろそろ、紫乃が彼に勝ててもおかしくはないけどね。

 

「ここが一番の心配どころだ」

 

 雄二の心配には理由がある。久保君と姫路さんの実力はほぼ互角。総合点数ではせいぜい20点程の違いでしかなく。科目次第では負ける可能性が否定できない。 しかも今回の科目選択権は向こうにある。

 

「科目はどうしますか?」

「総合科目でお願いします」

 

 高橋女史が問うと久保君はすぐに答えた。

 

「それでは……」

 

 高橋先生が前と同じように操作をするとモニターに総合科目と表示される。

 同時に二人は召喚獣を呼び出して――――一瞬で決着がついた。

 

 

『Fクラス 姫路瑞希 

 総合科目 4409点

 

 VS

 

 Aクラス 久保利光 

 総合科目 3997点』

 

 

 勝ったのは姫路さんだった。点数差は400点以上。至る所から驚きの声があがる。これにはさすがにオレも驚かざるを得なかった。

 

「ぐっ……!姫路さん、どうしてそんなに強くなったんだ……?」

 

 久保君が悔しそうに姫路さんに尋ねる。当然だ。去年まで拮抗していた実力がいつの間にかこれだけの差をつけられたんだ。よほど、ショックだろう。

 

「……私、このクラスの皆が好きなんです。人の為に一生懸命な皆のいる、Fクラスが」

「Fクラスが好き?」

「はい。だから、頑張れるんです」

 

 ……嘘だろ?このクラスって、自己中で構成されているんじゃないの?

 

「これでFクラスが二勝一敗です」

 

 高橋女史の表情が若干変化していた。そしてAクラスからは騒めきが生まれる。

 だって、そうだろう。もうAクラスは一敗も許されないのだから。

 

「では、四回戦を始めます」

「光正、行ってこい」

「オーケー」

「では、Aクラスから私が」

 

 さぁ、オレたちの戦いを始めようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光正が喜々として前に出ていく。でも何だろう?少し違和感のようなのものを感じる。

 

「……ねぇ、雄二。光正は勝てるの?」

「……分かんねぇ。あいつの対戦相手である天草は光正より学力的には上だ」

 

 そう。相手の天草さんは上位五位以内に入る強者。光正は上位を争う中では足枷になる教科がいくつかあり、そこまでよくない……。加えて言うなら総合得点は3500点ぐらいらしい。

 

「なぁ、明久。あの二人は何時からの知り合いだ?」

「え?それがどうしたの?」

「俺の予想だとこの勝負は相手の考えをどれだけ読めるかにかかっている」

「おそらく、去年からだと思う」

「そうか……」

 

 読み合いか……うん。光正なら何とかすると思うんだけど……

 

「科目は何にしますか?」

「数学でお願いします」

「分かりました。それでは開始して下さい」

試獣召喚(サモン)

 

 

『Fクラス 吉井光正

 数学   491点

 

 VS

 

 Aクラス 天草紫乃

 数学   490点』

 

 

「一点差……」

「今回もオレの方が上だね」

 

 いやいや、なんなのこの二人。なんで二人してこんな高得点なの!?

 

「さぁ、始めようか」

「ええ、そうね」

 

 光正の武器は相変わらず八本の武器と多いし、天草さんの方は……

 

「聖騎士?」

 

 一本の剣と盾。鎧も纏っていて、聖騎士という言葉がぴったりだと思う。

 

「最初から全力で行く!」

 

 そう言って、光正は武器を全て捨てて特攻する……え?

 

「オレはな武器を使うよりも素手の方が戦いやすいんだよ!」

 

 えぇ……

 

「腕輪発動『氷の兵士(アイスソルジャー)』」

 

 一方天草さんは5体の氷で出来た兵士を生み出す。つまり、天草さんの腕輪の能力は氷を操ること!

 

「ならこっちも!『影操り(シャドー)』」

 

 光正の腕輪により、光正の影から伸びた手のようなものが八本の武器をそれぞれ持ち、兵士に向かってゆく。……この二人の腕輪に相性とか存在するのかな?でもまぁ、光正の場合、不利な腕輪とか基本ないでしょ。

 

「なら、これはどう?『氷の槌(アイスハンマー)』」

 

 そう言って現れたのは大きなハンマー。あれ?でも……あの氷赤くない?何で赤いんだろう。

 

「無駄だ。氷なら、ぶっ壊せばいいんだからな!」

 

 そう言って大剣でハンマーを斬る。すると、切れ目から炎が出てきた!?

 

「なっ!?」

 

 

『Fクラス 吉井光正

 数学   452→301点

 

 VS

 

 Aクラス 天草紫乃

 数学   400点    』

 

 

 双方の点数を確認する。試合が始まってから今のがはっきりと喰らった攻撃だ。つまり、最初の点数から減っている分は全て腕輪の分となるが……

 

「氷の中から炎?何で?氷しか使えないはずじゃ……」

「ちげぇよ兄さん。紫乃は一言も氷しか使えないなんて言ってない」

「そう。私は氷と炎双方を操ることが出来る。だからね……『氷の檻(アイスプリズン)』」

 

 光正の召喚獣が檻のような形の氷の中に閉じ込められる。

 

「そして『炎の弾丸(フレイムバレット)』」

 

 炎が弾丸の形を取り、四方八方から発射される。数は数十だろうか。あの狭い氷の牢屋の中では逃げ道はない。つまり、全弾命中するということ。

 炎のおかげか氷が解け、水蒸気に変わる。水蒸気の煙が晴れるとそこには……

 

「えっ!?」

 

 何もなかった。本当に何も残っていなかったのだ。光正の召喚獣の影も形もない。これは戦死……?

 

 

『Fクラス 吉井光正

 数学   291点

 

 VS

 

 Aクラス 天草紫乃

 数学   340点』

 

 

 え!?光正の召喚獣が戦死していない!?でもどこにも姿が見えないけど……

 

「雄二。これは一体……」

「試験召喚システムのバグか?いや、そんな都合よく起きるはずがない……」

 

 一体どうなってるんだ?天草さんも光正の召喚獣が何処に消えたかが分かってないのかくまなく探している。光正は……

 

「…………(ニヤッ)」

 

 ……うん。完全に分かった……というか仕組んでいたみたいだ。でも、隠れる場所なんてないはずなのに何処に……

 

「まさか!光正の召喚獣は私の影の中に!?」

「半分正解だ!」

 

 すると、天草さんの召喚獣の影の中から、光正の召喚獣が出てきて……一発ぶん殴った。

 

 

『Aクラス 天草紫乃

 数学   340→315→270』

 

 

 と思ったら、もう一発。……うん。よく召喚獣とはいえ平然と殴れるよね……

 

「光正。そんな無茶苦茶なことを……」

「無茶苦茶も何も。勝負の世界では何があるか分からないよ、紫乃」

 

 どうやら光正は腕輪の力で天草さんの召喚獣の影の中に入ってあの檻を脱出したらしい。無茶苦茶だけど、さすが僕の弟って感じがする。

 

「……これ以上は続けても無意味ね」

「へぇ。大人しくやられてくれるの?」

 

 空気が変わった。天草さんの纏っている空気が一瞬にして冷たくなるのを感じた。

 

「いいえ。これで終わらせるわ……『氷の世界(アイスワールド)』」

 

 一瞬だった。召喚フィールドが氷に覆われるのは……

 

「なっ!?マズイ!」

 

 光正は召喚獣を天草さんの召喚獣の元へ走らせる。

 

「遅いわ光正。…………『地獄の業火(ヘルフレイム)』」

 

 そして、召喚フィールドは炎に包まれた。

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