バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
炎が消えていくとそこには……
『Fクラス 吉井光正
数学 Dead
VS
Aクラス 天草紫乃
数学 10点 』
戦死した光正の召喚獣と、点数もギリギリで立っている天草さんの召喚獣だった。
「私の勝ちね。光正」
「あー負けたなー」
でも何でだろう?あんなフィールド全てを焼き焦がすような攻撃をしたにもかかわらず天草さんの召喚獣の点数は残ったのだろうか?ヘルフレイムを使った時には光正の方が確実に点数は残っていた。でも、点数が減って戦死したのは光正だけ。不思議だ。
「そうでもねぇよ。天草がやったことは単純だ。ヘルフレイムを使うと同時に辺りの氷を操り盾にしたんだ」
「でも、それだったらアイスワールドの意味は?あんな事しなくてもよかったんじゃないの?」
「それも意味はしっかりある。あの氷は何もない空間から生み出される生成物。そして、それを操ることが出来る。でもそれではワンテンポ遅くなってしまう。氷を生成して、操るからな。でも最初から氷が生成されていれば?後はそれを操るだけでいい。そして、この一瞬というのは、あの炎から天草の召喚獣を守る盾を作るのに大きな隙だ。おそらく、それを見越していたのだろう」
「な、なるほど……」
結論として天草さんの読みは光正の読みより上だったということかな?
「……だが腑に落ちねぇな」
「ん?何か言った?」
「いや、何でもねぇ」
本当かな?
「悪いな雄二。負けてしまった」
「いや、気にするな」
「これで二対二です」
「最後の一人、どうぞ」
「……はい」
いよいよ最後の試合である。Aクラスから出るのは最強の敵、霧島翔子さん。
そして我らがFクラスからは当然、
「俺の出番だな」
坂本雄二。こいつの出番だ。
「教科はどうしますか?」
「教科は日本史、内容は小学生レベルで百点満点の上限ありだ!」
雄二の宣言で事情を知らないAクラスにざわめきが生まれる。まあ、どんな手段を使うか予想を立てていたかもしれないけど、さすがに小学生レベルの問題を使ってくるとは思わなかったのだろう。
「わかりました。そうなると問題を用意する必要がありますね。少しこのままで待っていてください」
高橋女史が教室を出て行く。すると兄さんが雄二に近づき手を握る。
「雄二、あとは任せたよ」
「ああ。任された」
雄二も兄さんの手を握り返す。
「…………(ピッ)」
次にムッツリーニが歩み寄って雄二にピースサインを向ける。
「お前の力には随分助けられた、感謝する」
「…………(フッ)」
ムッツリーニは口の端を軽く持ち上げ、元の位置に戻った。
「Aクラスの度肝を抜いてやれ。代表」
オレは雄二に拳を向ける。
「ああ、やってやるよ」
雄二も拳を突き出し軽く当たる。もう、オレは何も言わない。
「坂本君、あのこと、教えてくれてありがとうございました」
「ああ。明久の事か。気にするな。あとは頑張れよ」
「はいっ」
兄さんの事?よくわからんけど十中八九恋愛関係だろうな。
そう考えていると高橋女史が戻ってくる。
「では、最後の勝負、日本史を行います。参加者の霧島さんと坂本君は視聴覚室に向かって下さい」
「……はい」
霧島さんが短い返事をして教室を出て行く。
「じゃ、行ってくるか」
それに雄二も続く。
「皆さんはここでモニターを見て下さい」
高橋女史が機械を操作すると壁にディスプレイに視聴覚室の様子が映し出された。ディスプレイには霧島さんと雄二が席に着くのが目に入る。
『では、問題を配ります。制限時間は五十分。100点満点です。では始めてください』
二人の手によって問題用紙が表にされる。勝敗はあの問題が出るかにかかっている。
「始まったね……はい、チェック」
「そうだな……ほい」
「……はい。でもいいの?応援しなくて」
「チェック。別にここで応援しても結果は変わんねぇだろ」
「あはは……相変わらず冷めてるわね……ここしか置けないか」
「チェックメイト」
「あー負けた。もう一回」
「うん。いいよ」
オレたちがチェスをやっている中問題が表記される。
〈次の( )に正しい年号を記入しなさい。〉
( )年 平城京に遷都
( )年 平安京に遷都
どうやら、小学生レベルとだけあって本当に簡単な問題が出題されてるみたいだな。
( )年 鎌倉幕府
( )年 大化の改新
あぁ、この問題だっけ?霧島さんが絶対に間違えるって言ってたやつ。
「あ……!」
「よ、吉井君っ」
「うん」
「これで、私たち……」
「うん!僕らの卓袱台が」
『システムデスクに!』
Fクラスの声が一人を除いて揃った。そして、教室を揺るがすような歓喜の声が鳴り響く。
「あれ?他のクラスメートみたいに喜ばないんだね」
「当たり前だ。この作戦には致命的な欠陥がある」
「ふーん。はい、チェック」
あぁ、この作戦には致命的な欠陥がある。
それは、雄二が満点取らないとこの作戦は成立しないという欠陥だ。
こうしてオレたちFクラスの卓袱台はみかん箱になった。……え?あれより下が存在したの?