バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
「えー。それでは、試験召喚大会一回戦を始めます」
校庭に作られた特設ステージ。そこで召喚大会が催される。
今回の立会人は数学の木内先生。よって、勝負科目は数学となる。
「三回戦までは一般公開もありませんので、リラックスして全力を出して下さい」
全力ねぇ……。
「頑張ろうね、律子」
「うん」
対戦相手の二人の女子が頷きあうが……どっかで見たことがある気がし無いでもない。それもつい最近だが……まぁいいか。
「では、召喚して下さい」
「「
『Bクラス 岩下律子&菊入真由美
数学 179点&163点 』
うーん。Bクラスだったか。試召戦争で見たことがあるような……ないような……まぁ、いいか。それにしても装備は西洋風の鎧に剣って、二人ともよく似ているな。点数が近いと装備も近いのか?
「さて、僕らも召喚しようか」
「そうだね」
「「
『Fクラス 吉井明久&吉井光正
数学 63点&506点』
「「…………え?」」
対戦相手の二人が素っ頓狂な声を上げる。……あぁ、なるほど。
「ほら兄さん。兄さんの点数が低すぎて相手の二人も困ってるじゃないか」
「いやいや、Fクラスでは平均的なはずだから!おかしいのは光正の点数だから!」
「そうか?」
「「「そうだよ!」」」
おっと、今三人から言われたな。え?そんなにおかしいか?
「やれやれ。こんなので驚くとは君たちもまだまだだね」
「「何故かわからないけどムカつく……」」
「では、一回戦を始めて下さい」
木内先生はそう告げるとオレたちから距離を取った。
そして、対戦相手と正面から向き合う。
「律子!」
「真由美!」
「「行くわよ!」」
向こうの二人は名前を呼びあって頷き、オレたちを挟み込むように動く。
「へぇ~。結構息が合っているね」
「まぁ、仲良しごっこにしてはいい感じだね」
こちらも兄さんと頷きあう。
「し、失礼ね!」
「私たちのチームワークは最強よ!」
私たちのチームワークが最強?ププッ。笑わせてくれる。真の最強がどういうのかを教えてやろうか。
「兄さんっ!」
血の繋がった兄弟だ。伝えたいことなんて言葉を交わさなくとも伝わる。
「光正っ!」
向こうも同じようだ。そして大きく息を吸ってそれぞれ意見を口に出す。
「「ここは任せたっ!」」
意見の一致。オレたちの召喚獣は二体揃って大きく跳び退く。
「って光正!何で僕に任せようとするのさ!明らかに光正一人で充分だよね!?」
「いやいや、何を言うんだ兄さん!オレは兄さんに華を持たせようと任せたのに……」
「本音は?」
「いや、倒すの面倒くね?」
「おい!負けたら本も子もないんだよ!」
「それが分かっているのならもっと点数取れよ」
「なんだと!いい度胸だ。兄の凄さと威厳を見せてやる!」
「ハンッ!舐めんじゃねぇよ。弟の力を見せてやる!」
お互いに胸倉を掴みあう。この兄貴がここまで愚かな奴だとは思わなかった。
「男の子の兄弟って変わってるのね」
「さすが、この学園随一の変わり者ツインズ」
変わり者ツインズ!?誰だ!そうやって呼び始めたのは!オレが兄さんと同等の変わり者だと!?ふざけんじゃねぇ!
「…………あー、コホン」
……ここで、兄さんが一つ咳払いをする。え?何を言うつもりだ?
「コンビネーションは五分五分というところか」
「「「えぇっ!?」」」
「何で光正も驚いたし!?」
思わず驚いてしまった。確実にコンビネーションなら向こうの方が上だろう。今のを見る限りは。
「でも、僕らには学力とは別に知恵がある!」
「えぇ!?それこそ兄さんゼロじゃないか!」
「よし光正表に出ろ。兄貴がどれだけ偉いか叩き込んでやる」
「わー偉い偉いーついでに言うとここ表だよー」
「……コホン。光正例の作戦を発表してくれ!」
……え?例の作戦?そんなのあるわけないんだけど…………あ、今思いついた。
「兄さん。武器チェンジ。大剣を持って真っ直ぐに立ってくれ」
「え?こう?」
「そう。そして『
腕輪の能力で影を操り、大きな手を形成する。その手で兄さんの召喚獣の足を持って……
「完成した。これこそ、最強の武器『迷刀
「銘刀の漢字違うよね!?後、今明久と書いてバカと読まなかった!?」
「この武器は刀のキレ味を残しつつ打撃ができるという最強の武器だ」
「待って!打撃って僕の召喚獣の体当たりだよね!?しかも背中とか後頭部に当たるんだけど!」
「代償としてこの武器で攻撃すると兄さんがフィードバックで苦しむ可能性があるが……」
「そうだよね。とてつもなく大きな代償だよね?」
「そんなのオレには関係ない!」
「少しは考えろよ!」
え?オレは痛くも痒くもないんだから別によくない?
「全く……こんなの僕が大剣を放せば…………え?動かないんですけど。後、姿勢も変わらないどころかちょっと綺麗な感じに直されているんですけど!」
「よく兄さんの召喚獣の手の部分とかを見てみろよ」
「あれ?ちょっと黒くなっているような……ってまさか!」
「『影縛り』縛るといってもそこまで強い力じゃないし、縛られている召喚獣も点数が減らないほどで高得点者ともなれば簡単に抜け出せるぐらいの縛りだが……兄さんを縛るには充分だ!」
なんせ点数が最初の段階で六倍ぐらい違うのだ。縛るのも容易いことだ。
「じゃあ、それでBクラスの二人の召喚獣を縛って攻撃すればいいじゃん」
「…………」
あ、その手があったか。
「さぁ、来いBクラスの二人よ!オレが相手してやる!」
「絶対思いついてなかったでしょ!だったら今からそのプランに変更して……」
「こんな漫才コンビに負けてられない!」
「私たちを舐めていること後悔させてやる!」
「ハハハ!倒せるものなら倒してみよ!」
「聞けよ!後、言ってることが中ボスみたいだ!これ絶対負けるヤツだ!」
一閃。オレは迷刀を振り、的確に二体の急所に当てた。
手が影できているおかげで微妙な位置調整や長さも調節できて当てることが出来た。ふむ。意外に使えるかもしれないなこの迷刀。
『Bクラス 岩下律子&菊入真由美
数学 Dead&Dead 』
「……勝者吉井兄・弟ペア」
何故か不服そうにオレたちの勝利宣言をする木内先生。一撃で決めたのがまずかったかな?
「あああぁぁぁっ!風圧が顔に!というか全身がぁああ」
「……嘘でしょ?」
「こんなふざけたやつらに負けたと言うの?」
「アイ アム ウィナー」
そしてオレは痛みでのたうち回る兄さんと落ち込むBクラスを尻目にステージを去ったのだった。