バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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机調達

 どうも明久です。

 突然だけど僕から皆に考えてほしいことがあるんだ。

 このことは自分の近しい人。なるべく兄弟や姉妹がいいと思うんだけど、幼馴染や親友、クラスの友人に同級生。後は妬ましいけど恋人で置き変えてくれればいいかな?まぁ、やっぱり一番共感してくれやすいのは兄弟や姉妹(特に双子だとなおよし)で考えてくれた時なんだけど……まぁ、そこは個人の自由で。

 さて、本題の考えてほしいことなんだけど……

 

「こーおーせーい?何か言うことはあるかなぁ?」

「この床が冷たくて気持ちいいです」

 

 

 クエッション

 

 あなたの近しい人が目の前で異性に土下寝をさせられて頭を踏み抜かれています。

 あなたはどう行動しますか?

 

 

 ん?僕の解答はって?そんなの決まってるじゃないか。

 

「…………どうしようこの状況」

 

 ……というか、どうしてこうなったんだっけ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は遡ること数十分前。僕らが意気揚々とFクラスの教室を出たところの辺りまで遡る。

 

「そういや雄二。どこから机を調達するんだ?」

 

 光正が至極真っ当な質問を雄二にぶつける。確かにそうだ。こいつはどこから机を拝借するつもりなのだろうか?

 

「そんなの応接室でいいだろ?後は職員室そばの休憩室とかな。まぁ、いろいろだ」

 

 対する雄二は平然と言ってのけた。なるほど。応接室とかから……

 

「いやいや。え?先生に許可とか取ってあるの?」

「は?取ってあるわけねぇだろ」

「おいこら。そんなことしてバレようものならオレたち問題児扱いだぞ」

 

 確かにそうだ。光正と雄二は既に教師陣(光正は主に鉄人)からマークされるほどの問題児だが、僕は違う。僕は優等生でほんの少し巻き込まれているだけなのだ。

 

「別に清涼祭終わったら綺麗にして返すし、よくねぇか?」

「よくねぇよバカ。オレは机が綺麗に返されるかを焦点に話してるんじゃない。盗むことが問題だと言ってるんだ」

「盗むんじゃない。無断で借りるだけだ」

「どっちも変わんねぇだろ!」

 

 いや、盗むはその後返さないけど、借りるは返す見込みがある……って言えばいいのかな?

 

「それに、一度喫茶店で使ってしまえば、教師陣は手を出せねぇ。一般人が使用中のテーブルを回収するなんて真似。教師陣にはできねぇ」

「没収されることも心配してねぇからな!?」

「一体お前は何が問題だと言ってるんだ?俺には分かんないな」

「前提として、よそのところから盗むのが問題なんだよ!」

「あーなんだそんなことか。別によくねぇか?何かが減るわけでもあるまいし」

「……少なくとも教師陣からのオレたちに対する評価は減るな」

「元から底辺じゃねぇか……俺と明久は」

「えぇ!?僕も!?」

「あぁ、兄さんと雄二はいいかもしれない」

 

 良くないよ!?何で気付いたら僕の評価まで底辺になってるのさ!

 

「だが、オレはまだ評価が地に堕ちたくない!」

「はぁ……光正。どっちが大切だ?お前の評価か?それとも喫茶店の成功か?」

 

 普通の人間ならこの雄二の優しい言い方や甘い言動につられ、折れるかもしれない。でもまぁ……

 

「え?オレの評価に決まってんじゃん。何言ってるの?」

 

 この男はそんな男じゃない。それは身内だから分かるわけでなく、ただ、こいつを理解している人間なら分かっていただろう。故に雄二もこの返事は予測できていたわけで、表情に一切の動揺も見られない。

 

「じゃあ、代案だ。代案を出してくれ」

 

 そして雄二はさりげなく、しかし堂々と光正に代わりの案を出させることによって、光正を何か問題が起きた時のスケープゴートにするつもりだ。確かに今のFクラスの現状から解決しないや代案がないという答えは、存在してはいけない。え?雄二は僕に聞かないのかって?僕が代案をすぐに思いつくわけないじゃないか。

 

「簡単だ。余りの机を貸してもらえればいい」

「どこからだ?」

「ここだよ」

 

 光正が指ですぐ隣の教室を指す。ここはつい最近来たばかりで少なくとも僕ら三人にとって、敗北した記憶のある苦々しい場所で、勉強を始めようとしたきっかけになった場所で、そして……

 

「俺は教室に戻っている。無事机を調達して来てくれ」

 

 …………雄二を心の底から愛している人。霧島さんがいる教室だ。畜生憎たらしいやつめ!

 あーというか、雄二が逃げていったなぁ。さすがと言うべきか何と言うべきか。

 

「というか、最初から僕らをAクラスまで誘導していたんだね」

「まぁな。さてと……お邪魔しまーす」

 

 そう言って中に入るとそこには……

 

「おかえりなさいませ、ご主人様」

 

 メイド服を着た天草さんが立っていた。…………憎い。こんな綺麗な人に愛されている光正が心の底から憎い。本人は気付いてないようだけど心の底から憎い。

 

「紫乃。一つ頼みがある。余ってる机があったら貸して欲しい」

「分かった。奥の倉庫にあるから、今、案内するね」

 

 ……話がスムーズに進み過ぎて逆に怖い。え?何でこんなにスムーズに話が進んでいるの?

 

「というか、奥の倉庫って?」

「ああ、Aクラスにあるものでこの店で使わないものは一角に纏めてあるんだ。そのスペースを倉庫って言ってるだけだ」

「へぇ~詳しいね」

「まぁな。Aクラスに料理仕込むときについでに教えてもらった」

 

 まぁ、光正も料理上手いしなぁ。納得かな。

 

「ここね。いくつぐらい必要?」

「このサイズだと……うん。ここにあるやつ全部貸して欲しいかな」

「分かったわ」

「……あれ?代表の霧島さんは?彼女の同意がなくていいのかな?」

「翔子なら優子と召喚大会に出場中で今は私が実質的な最高責任者。それにFクラスに対してだから同意してくれるわ」

「た、確かに……」

 

 あの雄二がいるもんな……というか、雄二が逃げた意味って?ああ……哀れなり。

 

「ありがとね。紫乃」

「お礼はいいよ。困った時はお互い様でしょ?」

「さて、これを運ぶか……」

 

 光正が机を持とうとするがよろけてしまった。

 

「おっと……大丈夫?光正」

 

 その光正の背中を支える天草さん。おぉー何だろう。天草さんがカッコよく見えたよ。

 

「悪いな。ここ最近睡眠時間が短くて……」

「……全く、無理しないでよね」

「ああ、分かってる。それにしてもメイド服が凄い似合ってるぞ。とても綺麗だ」

「あ、ありがと……」

 

 顔を紅くし、うつむいている天草さん。……というか何で光正は気付かないのだろうか?やれやれ、我が弟ながらこの鈍感には困ったものだよ。

 

「胸がないのが残念だけどな」

 

 光正の一言で空気は一変した。先ほどまでのぬくもりは感じられず、極寒で空気が張り詰めている。

 まぁ、光正もあれなんだよな。素直に人を褒められないからって余分なこと言っちゃうんだよな……本当はそんなこと微塵も思ってないはずなのに。

 それを天草さんも分かってか知らないが……

 

 

 サッ(脚払いを掛ける音)

 

 ドサッ(光正が床に倒れ込む音)

 

 ガンッ(光正の頭が踏み抜かれる音)

 

 

 ……一瞬だった。一瞬で光正は地に伏し踏みつけられた。

 

「光正?弁解のチャンスをあげる」

 

 チャンスも何もないだろう。

 

「弁解?するわけないガハッ」

 

 さらにこのバカは弁解しない。ねぇ、こんな状況だしせめて弁解ぐらいしよ?

 

「明久さんですよね?どうぞ。机を運んでください」

 

 ニッコリ微笑む天草さん。うん。超怖い。

 

「イエスマム」

 

 そして僕は机を運ぶという名目でその場を逃げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして時は戻り、冒頭の状況になった。

 なお、机は既に全て運び終え、試験召喚大会の二回戦。僕らの出番まで後数分になっていた。

 

「あ、あの~天草さん。そろそろ大会の時間だから光正を解放してやってくれませんか?」

「……はぁ。分かったわ。光正。二回戦が終わったらAクラス店に客としていらっしゃい。そうすれば、許すわ」

「来なかったら?」

「地獄の果てまで追いかけて殺すわ」

 

 ん?生きているうちに地獄に行けるのか?

 

「必ず訪れると誓おう」

「そう。絶対勝ってよ…………頑張って」

 

 この一連の会話。普通に聞けば、光正に嫉妬していたかもしれない。本当に……光正が頭を踏み抜かれていなければよかったのに……。

 

 試験召喚大会二回戦まで後数分。

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