バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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女装した男性に対して痴漢は成立する?

「こ、この上ない屈辱だ……!」

「明久、存外似合っておるぞ」

「これなら、兄さんも女として通用するよ(グッ)」

「通用したくないからね!?」

「今度モンゴルかタイ辺りに旅行して切ってもらったら?どうせ使わないでしょ」

「待って!あえて何をかは言わないが僕だって男でいたいよ!」

 

 雄二から連絡を受けてわざわざやって来た秀吉が、男子トイレで兄さんの着付けとメイクをたった数分でやってくれた。オレも手伝ったがさすが秀吉だ。付け焼き刃のオレとはレベルが違った。もっとも、兄さんは全然ありがたくはないだろうけど。

 

「それにしても光正よ。お主は器用な男じゃのう」

「そうか?」

「うむ。メイクも着付けもまるでやったことのあるような感じじゃったわい」

 

 やったことのあるという言葉に否定はしない。別にメイクも手伝ったこともあるし、着付けもやったことは一応ある。

 

「まぁ、ちょっとな」 

 

 というか、オレの場合はやったというよりやらされたの方が近いか……まぁ、どちらでもいいけど。

 

「そうかの。ではワシは喫茶店に戻るぞい。存分に悪党を伸してくるが良い」

「ん。りょーかい」

「オッケー。じゃあ、兄さん。男だとバれないようにね~」

 

 男だとばれたら、うちの兄さんはバカで問題児というほかに女装壁というレッテルまで張られるだろう。うん。いやだね。

 

「光正。おかえり」

「おう、ただいま」

 

 Aクラスに戻り先ほどまで座っていた椅子に腰を掛ける。

 

「それで?明久さんはどちらに……」

「兄さんならあれだ」

 

 そう言って、うるさい常夏コンビに近づくメイド(兄さん)を指さす。

 

「……え?あれが明久さん?」

「そう。あれが兄さんメイドver」

「……女として負けた気が……」

「大丈夫大丈夫。あんな紛い物より紫乃の方が断然かわいいから」

 

 まぁ、あんな紛い物を作ったのはオレと秀吉だが。

 

「か、かわいい……」

 

 心無しか顔が赤くなってないか?

 

『お客様』

 

 お、兄さんの演技スタートかな?いろんな意味で頼むからバれないように上手くやってくれよ。

 

『なんだ?――――へぇ。こんなコもいたんだな』

『結構可愛いな』

 

 お前らの見ているものは男の女装メイド姿だがな。繰り返す。お前らは男の女装を可愛いというのか?

 

『お客様、足元を掃除しますので、少々よろしいでしょうか?』

『掃除?さっさと済ませてくれよ?』

 

 二人が立ち上がる。

 

『ありがとうございます。それでは――』

『ん?なんで俺の腰に抱きつくんだ?まさか俺に惚れて』

『くたばれぇぇっ!』

『ごばぁぁっ!』

 

 思い違いにもほどがあるが、兄さんが常夏コンビの坊主頭にバックドロップを喰らわせた。

 

「え?今のってやり過ぎたんじゃ……」

「いや大丈夫だ。むしろ浅かったくらいだ」

 

 そのためか坊主先輩はすぐに復活した。

 

『こ、この人、今私の胸を触りました!』

 

 兄さんが叫ぶ。さて、そろそろオレたちの出番かな。

 

『ちょっと待て!バックドロップする為に当ててきたのはそっちだし、大体お前は男だと――ぐぶぁっ!ごふっ!』

「こんな公衆の面前で痴漢行為とは、このゲス野郎が!」

「この発情期のサルどもが!オレが天誅を与えてやる!」

 

 坊主先輩に思いっきり蹴りを喰らわせてやった。別にオレたちの料理をバカにしたからではない。痴漢行為に対する罰としてだ。

 

「何を見ていたんだ!?明らかに被害者はこっちだろ!」

「黙れ!たった今、あのウェイトレスの胸を揉みしだいていただろうが!俺たちの目は節穴ではないぞ!」

 

 いや。正直節穴だと思う。正確には雄二の目がであるが。

 

「ウェイトレスさん。そっちで倒れている人は任せたよ」

「え?あ、はい。分かりました」

 

 兄さんに任せるように言うとなんと、ブラと瞬間接着剤を取り出した!?え?何するつもり?

 でも、こっちも気になるけど今は……

 

「さて、痴漢行為の取調べの為、ちょっと来てもらおうか」

「じっくりと話を聞かせてもらますよ?」

 

 こいつらを連行して情報を吐かせることの方が大事だ。

 

「くっ!行くぞ夏川!」

 

 モヒカン先輩は更に状況が悪くなると思い逃げ出す。

 

「こ、これ、外れねぇじゃねぇか!畜生!覚えてろ変態めっ!」

 

 坊主先輩は兄さんによってブラを付けられ、そのまま走り去って行った。

 あ、そのための瞬間接着剤ね。

 

「逃がすかっ!追うぞアキちゃん!」

「了解!でもその呼び方は勘弁して!」

「んじゃ、オレも……」

「光正はダメ。まだ時間あるでしょ?」

 

 時間というのは恐らく三回戦までのことを指しているんだろう。その意味でだったら時間はあるか……

 

「分かった。あの二人を追いかけるのは雄二と兄さんに任せるよ」

「うん。そうするといいよ」

「……光正。少しいい?」

「ん?霧島さんか?何か用かな?」

「……雄二と吉井兄の会計。後連れの三人も」

 

 会計?あーなるほどねぇ。……って、雄二と兄さんって実質頼んでないのも同じだと思うけど……。

 

「……お会計は、夏目漱石を一枚か坂本雄二を一名のどちらかとなります」

「坂本雄二を一名でお願い」

「……ありがとうございます」

 

 雄二……悪いとは思ってない。千円で売り飛ばしたのは……まぁ、気にするな。

 

「光正。お会計は五百円玉ワンコインか吉井光正を一名のどちらかです」

「はい。五百円玉」

「……光正。お会計は吉井光正を一名か吉井光正の人生のどちらかです」

「おかしいよね!?あまりにも理不尽な選択肢だよね!?」

 

 と言うか、オレを差し出すのもオレの人生を差し出すのも変わらない気がする。

 

「さぁ、どちらか選んで」

「……第三の選択肢。無視して帰る」

「えっ!?あっ、こ、光正!本当に帰らないで下さい!冗談が過ぎましたから!お願いですから!」

 

 結局オレは根負けをして、三回戦が始まるまでAクラスに滞在することになった。

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