バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~   作:アカツキ

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決勝戦の朝は早い

「紫乃。お前のことが好きだ」

 

 目の前にはいつもと雰囲気が違う彼の姿。

 

「オレと付き合ってくれないか?」

 

 ストレートな告白。この付き合っては前の言葉から考えるに告白と呼ばれるものだろう。そう。私は光正に告白されたのだ。だったら私の答えは決まっている。

 

「は、はい。喜んで」

「よかった……」

 

 そして彼は身体を二、三歩分私に近づいて、顔を私の顔に近づける。もしかしてこれはキスしようとしているのかな?

 そう悟った私は彼を受け入れようと目を閉じた――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、待てども何も変化はなかった。目を薄っすらと開けてみると見知った天井……私の部屋の天井だ。あれ?これはもしかして……

 

「夢オチイイィィィッ!?」

 

 え?今までのが夢だというの?確かにあの光正が私が好きなのはあり得ないと思うけどさ!えぇ!?まさかこんな夢を見るほど私は彼のことが好きになってしまったの!?というか、落ち着いて考えよう。何でキスシーンの前で目が覚めたの私ぃーー!?そのまま夢の中にいれば光正とあんな事やこんな事が出来たのに……!

 

「紫乃。起きたのなら朝食よ」

 

 ドアの向こうから呼ぶのは母の声。良かった。いつも通りだ。ということは、さっきの声は外には聞こえてな……

 

「どんな夢を見たか知らないけど、朝から夢オチだなんて叫ぶ普通?」

 

 聞こえていた!?

 

「お、お母さん!少し弁明させて!」

「いいのよ紫乃。私の娘の頭がおかしいことは今に始まったことじゃないわ」

 

 実の娘に対し頭のおかしいだのストレートに言える人は珍しいと思う。というか……

 

「頼むから!弁明させてください!」

「分かってるから。大方、意中の男子が夢の中に出てきて告白される夢でも見たんでしょ?我が娘ながら純情な乙女ねぇ~」

 

 この人はエスパーじゃないかと思う。いや、ここで当てられるのは尺だ。胡麻化さないと……

 

「ちちち違うから!べ、別に光正に告白されてないから!」

「ほうほう。予想通りお相手は光正君と」

 

 しまった。私としたことが墓穴を掘ってしまうとは。

 

「去年から名前が出ている光正君。一度会ってみたいものねぇ~」

「会わなくていいから!」

 

 この後の朝食はいつもよりにやけている母を目の前にしながら食べるのであった。

 というか、どうしよう。あんな恥ずかしいこと考えておいて朝から光正の顔見れないんですけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 徹夜してしまった……。決してゲームで徹夜したんじゃないよ。兄さんの勉強なんだけど……うん。まさか徹夜することになるとは思いもしなかった。……ただえさえ睡眠不足なのに……

 

「ふあああぁぁ~……」

 

 大きな欠伸を一つ。さすがに眠たいや。でもまぁ、今日は大事な日だ。よし、今日の夜は寝るから頑張って働くか。

 

「光正。待たせてごめんね」

 

 紫乃の家の玄関前。家から出てきた彼女は一言目にそう言うが……

 

「おはよう紫乃。大丈夫?顔赤いけど……」

「こ、これは違うよ!」

 

 何が違うのだろう?

 

「きっと光正の顔が白くなっているから相対的に赤く見えるだけだよ!」

「いや、オレの顔が白くても自分で見えないから比べられないけど……」

 

 というか、オレってそんなに生気のない顔している?

 

「さ、さぁ!行こうよ光正!」

 

 あれ?もしかしなくてもごまかされた?無理やり手を引いていくが……

 

「あれ?紫乃の手って、こんなに熱かったっけ?」

 

 後、手汗も凄いが……まぁ、これを言うと彼女も可哀想だし、オレは紫乃だから特に気にしない。

 

「これも違うのよ!」

 

 だから何が違うんだ?

 

「きっと、光正の心が絶対零度の冷たさを誇っているから私の手が熱く感じるだけなのよ!」

 

 グサッ、という効果音がぴったりだろうか?言葉という槍に心臓を貫かれた感じだ。

え?オレってそこまで冷たいかな……多少は温かさもあると思うんだけど……あれ?睡眠不足で頭が回ってないや。あーしかも手ではなく心が冷たいって言われると。

 

「そうだよね……オレ。心冷たいもんね……別に分かってたことだし、気にしてないよ……うん」

「わわっ!誤解で光正の心は温かいよ」

 

 ……今日の紫乃は大丈夫かな?

 アニメで言うと今、目がぐるぐる回って絶賛混乱中って感じがするんですが……

 

「どのくらい?」

「液体窒素ぐらい」

 

 わーい。80℃ぐらい温かくなった~それでも-190℃ぐらいで氷点下だけど~

 

「うん。紫乃~とりあえず、静かにしてようか?心を落ち着けてね」

「ご、ごめん……取り乱したりして……」

「いいよ。紫乃のそういうところ可愛いから。見てて癒されるから」

 

 本当に癒される。ここまで疲労している状態の時には特にだ。

 

「へっ……///」

 

 っと、また手から伝わる熱が大きくなっている。ふむ。冬とかだと簡易なカイロになりそうだ。

 学校に着く頃にはだいぶ落ち着いたのであろう。普段通りの彼女に戻った気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本史とその他諸々のテストを受け終え、教室に入る。

 

「おはよ~雄二。姫路さんに島田さんもおはよ」

「光正もおはよ」

「光正君ですか。どこに行っていたんですか?」

「兄さんと一緒でテストをね」

 

 兄さんと違い日本史だけ受ければいいというわけでは無かったので時間がかかったけど。

 

「朝一番でテストを受けていたからね。ふわぁ~……」

 

 兄さんもさすがに眠いらしい。まぁ、オレは頑張って耐えるけど。

 

「もう、そんなんで決勝戦は大丈夫なの?相手は三年生らしいじゃない」

「そうみたいだね。それも結構上位の人たちみたいだし」

 

 そういえば、そうだったな。変態とかですっかり忘れていたけど変態=バカでないんだ。油断せずに行かないと。

 

「大丈夫だよ。三年生はその分テストも難しいからね。ハンデはないよ」

「そういうことじゃなくて、ウチはアンタたちの……特にアキの実力を心配しているんだけど……」

 

 呆れたような島田さんの台詞。ベストは尽くした。後は知らん。

 

「そんな心配をしている暇があるなら喫茶店の準備でもしてくれ。ふわぁ……」

 

 そういえば、雄二も連日夜遅くまで付き合ってもらったっけ?そりゃ、眠くて当然だ。

 

「なんだか他人事ねぇ。喫茶店の手伝いはしないの?」

「ゴメン。寝かせてもらえるかな?ここのところあまり寝てない上に、昨夜は徹夜だったから眠くて」

「そうだったんですか。それならゆっくり休んでください」

「そうじゃな。喫茶店の方はワシらに任せるといい」

「そうそう。オレたちに喫茶店は任せてくれ」

「…………(コクコク)」

 

 全くこの二人は仕方ない。ここはオレの腕の見せ所だ。

 

「そいつは助かる。これで俺らも安心して熟睡できそ……おい光正。お前今なんて言った?」

「え?オレたちに喫茶店は任せてくれと言ったんだが?」

 

 何か間違ったことを言ったのだろうか?

 

「……お前も休め」

「大丈夫だよ。働けるから」

「あはは。光正は頑固だからね……どうするのさ雄二?」

「まぁ、でも予想の範疇だからな。そろそろ回収屋が来るはずだ」

 

 回収屋さん?何を回収するつもりだろう?

 

 ガラッ

 

 ドアが開くとそこには……紫乃がいた。そして近くまで来ると……

 

「来て」

 

 首をつかまれ抵抗出来ずに連れてかれる。えーっと……回収屋さんが紫乃で回収物がオレか。というか、オレはどこに連れてかれるんだ。

 

「「「「…………」」」」

「そう言うわけで、光正もいないが頑張ってくれ」

「分かったわ。そうそう、起きられそうになったら起こしてあげるけど……必要?」

「ありがとう。それじゃ、十一時までに起きてこなかったら起こしてもらえる?」

「十一時?試合は一時からじゃなかった?」

「一番混み合うお昼時ぐらいは手伝うよ。光正もいないしね」

「んじゃ、十一時には俺も起こしてくれ。こいつらと違って大会もないしな。屋上で寝ているから。ほわぁ……」

「それなら僕も屋上にいくからよろしくね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 光正が眠りについてから三時間ぐらいが経過しただろうか。現在は十一時くらいだ。あの後渋る光正を連れて行ったのは保健室。理由としては、ここなら静かに寝せられると思ったからだ。

 でもまさか、光正があの状態で働くって翔子経由で聞いた時には驚いた。それだけ、彼はクラスに迷惑をかけたくなかったのだろう。変なところで相変わらず真面目だ。本当に相変わらずだ。

 今彼はどんな夢を見ているのだろう?私の出てくる夢……だと嬉しいかな。

 

「ねぇ光正。私たちの出会い覚えてる?入学式で私たちは出会ってここまで来た」

 

 あの頃の私からしたら想像もつかないだろう。ここまで光正の事を好きになるなんて。

 

「あの頃から……いえ、私が貴方を知る前から貴方は優しい人なのよ。何だかんだ貴方は言いつつも自分をいくらでも犠牲にして他者を助けようとしているよね」

 

 そう。私の料理や昨日の不良の件。その他にもいろいろとあるが……

 

「私は貴方のことが好きです。容姿だけでなく、その優しいところも全部ひっくるめて好きです。大好きです」

 

 これは恋だ。今なら自信をもってそう言える。私は光正が心の底から好きなんだ。

 

「ごめんね光正……」

 

 私は寝ている彼に近寄り……

 

「んっ……」

 

 彼の唇に自分の唇を重ね合わせた。私の感覚では長い時間重ね合わせているようにも感じた。本当は短かったかもしれないけど……どれくらいの長さが適切なんだろう。

 

「今度は必ず起きている時にこの思いを伝えるから……」

 

 私以外に流されないでよ。

 

「待っててね。光正」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?オレは何を待つんだ」

 

 目が合った。

 

「…………………………………………………………え?」

 

 思考停止。現状確認。うん。この人起きてるんですけど。

 ええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?

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