バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
オレ、雄二、兄さん、秀吉、ムッツリーニ、姫路さん、島田さんの七人は屋上に集まってミーティングをはじめていた。
無論招集をかけたのは我らが代表雄二である。
「明久。ちゃんと宣戦布告してきたな?」
「一応今日の午後に開戦予定と告げてきたきたけど」
今日の午後……って、もうすぐじゃん。え?明日とかじゃないの?
「じゃあ先にお昼ご飯ってことね?」
「そうなるな。明久。今日の昼ぐらいはまともな物食べろよ?」
「そう思うならパンでもおごってくれると嬉しいんだけど」
「えっ、吉井君ってお昼食べない人なんですか?」
そういえば、兄さんって去年弁当を作ってあげた記憶も、ましてや持たせた記憶もないんだけど、何食べていたんだろう?不思議だ。
「いや。一応食べてるよ」
「……あれは食べてると言えるのか?」
「何が言いたいのさ」
「……明久の主食って水と塩だろ?」
「きちんと砂糖も食べてるよ!」
自分の実の兄……本当は人間では無いのではないだろうか?
主食が水と塩と砂糖って……一体……。
「それは食べるとは言いませんよ……」
「…………正確には舐めるが正解」
いや……うん。その舐めると食べるの些細な違いよりも……よく生きてるね。
「まっ、飯代を遊びに使い込むお前が悪いな」
「し、仕送りが少ないんだよ!」
「じゃが、明久よ。光正はこうして、弁当を持ってきておるぞ」
当たり前だ。そこの兄さんと違ってオレはれっきとした人間。水と調味料だけでは健康を害してしまう。だから、朝少し早起きして作るのだ。え?昨日の夕飯の残りを入れればいいって?この兄さんがいるから夕飯が余ると思ったら大間違いだよ。
「こ、光正の方が仕送りが多いんだよ」
「それは兄さんが母さんに成績を定期的に報告していないから。というか、それ抜きにしても仕送りは充分もらってるはずだよ。違う?」
あーそういえば母さんが、あまりに成績を報告しないと兄さんの仕送りを止めるって言ってた気がするけど……まぁ、いいか。
「というか、お前は明久の分を作ってやらないのな」
「はぁ?夕食でオレの分を少し分けてやってるんだから朝と昼ぐらい自分で調達して来いよ」
「……明久。弟に食事を分けてもらって生きているとか……惨めじゃないのか?」
「ぐっ……べ、別に歳が離れてないからセーフで……」
何がセーフだ何が。まぁ、夕食を提供する代わりに兄さんのゲームをやらせてもらっているからオレ的には兄さんの利用価値があると思っている。
「……あの、もしよかったら私がお弁当作ってきましょうか?」
「ゑ?」
え?この兄さんに……だよな。
「本当にいいの?僕、お昼に塩と砂糖以外のものを食べるなんて久しぶりだよ」
「はい。明日のお昼でよければ」
姫路さんは相変わらず兄さんに優しい。いや、誰にでも優しいんだろうけど……なぜだろう?オレの頭の中で危険を知らせるアラームが鳴り響いているんだけど……しかも何故か今になって、姉さんの存在を思い出しているし……やべぇ。姉さんを思い出すと震えが……。
「良かったな明久。手作り弁当だぞ?」
「うん!」
「……ふーん。瑞希って随分優しいんだね。吉井
何故か不機嫌な島田さん。まぁ、オレとしてはどうでもいいけど……
「あ、いえ!皆さんにも……」
「俺たちにも?いいのか?」
「はい。嫌じゃなければ」
うーん。さっきの予感が当たるとも限らないし、ここは作ってもらうが吉か。……食費節約できるし。
「それは楽しみじゃのう」
「…………(こくり)」
「お手並み拝見ね」
「まぁ、どれくらいの腕前は気になるし」
上手い下手も含めてであるが。
「とりあえず、試召戦争の話をしよう。時間も限られているしな」
「雄二。一つ気になったんじゃがどうしてDクラスなんじゃ?」
「確かに、段階を踏むならE、最初から勝負するならAじゃねぇのか?」
「色々理由はあるんだがEクラスは相手じゃないからだ」
「つまり、Eクラスは相手でないと」
「でも、僕らよりクラスが上だよ?」
確かにクラスは上だ。でも、クラスが上=学力があるわけでも、こういう試召戦争に強いとは言い切れない。特にこっちには作戦を考える司令塔と高い点数を持ち、相手代表の首を一撃で狩れるカードが何枚かある。確かに、Eクラスとは戦うのは無駄かもな。
「明久見てみろ。ここにいるメンバーを」
雄二が兄さんに集まったメンバーを見ろと言い、兄さんは全員の顔を見回し言うと……
「美少女が二人、馬鹿が二人。後、ムッツリが一人に性格の悪い弟が一人いるね」
「誰が美少女だと!?」
「どうして、雄二が美少女に反応するの!?」
「…………(ポッ)」
「ムッツリーニまで!?どうしよう!?僕だけじゃツッコミ切れないよ!?」
「オレは性格悪くねぇぞ。むしろ良くねぇか?」
「そこ!?というか光正はどこからどう見ても性格悪いでしょ!」
そうかな?まっすぐ純粋で性格良いと思うんだけど。
「まぁまぁ皆落ち着くのじゃ」
オレは最初から落ち着いている。一番うるさいのは兄さんだ。
「ま、要するにだ」
コホンと咳払いして雄二が説明を再開する。
「姫路や光正に問題のない今、正面からやりあってもEクラスには勝てる。Aクラスが目標である以上、Eクラスなんかと戦っても意味がないってことだ」
ですよねー知ってた。
「?それならDクラスとは正面からぶつかると厳しいの?」
「ああ。確実に勝てるとは言えないな」
「だったら、最初から目標のAクラスに挑もうよ」
「今はその時じゃないってこと。ほら、兄さんがいくらバカでも最初からボスに挑まないでしょ?それと同じ」
「まぁ、初陣だからな。派手にやって今後の景気づけにしたいだろ?それに、さっき言いかけた打倒Aクラスの作戦における必要なプロセスだしな」
「あ、あの!」
「ん?どうした姫路」
「えっと、その。さっき言いかけたって……吉井君と坂本君は前から試召戦争について話し合ってたんですか?」
「ああ、それか。それはついさっき、姫路の為にって明久に相談されて――」
「それはそうと!」
やれやれ。兄さんも相変わらずか。というか普通に聞こえたんだけど。
「さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ」
当たり前である。
「負けるわけないさ」
そして、兄さんの心配を笑い飛ばす雄二。
「お前らが俺に協力してくれるなら勝てる。いいか、お前ら。ウチのクラスは――――最強だ」
「いいわね。面白そうじゃない!」
「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」
「…………(グッ)」
「ジャイアントキリング……楽しそうだな」
「が、頑張りますっ」
打倒Aクラス。
Fクラスという底辺のクラスで強者Aクラスを引きずり下ろす。
オレはがらにもなく、ワクワクしていた。
「そうか。それじゃ、作戦を説明しよう」
そして、オレたちは勝利のため雄二の作戦に耳を傾けた。