バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
そして週明け。朝のHRが始まるまでの時間。オレたちはいつものメンバーで卓袱台を囲んでいた。
「ってなことがあって、おかげで散々な週末だったよ」
「そうじゃったのかそれは災難じゃったのう……」
二人によると、雄二が先週末にオレたちの家に泊まりに来ていた時に、どういうわけか、二人で買ってきたコーラやゼリーをぶちまけるような喧嘩になり、たまたま家のガスが使えなかったせいで水しか出ずシャワーを浴びれなかったので、学校のプールに忍び込んで鉄人に見つかったらしい。
「ったく、おまけに二人は散らかした後で片付けなかったからな。家に帰った時に何事かと思ったぞ?というか、後処理ぐらいしていけよ」
家に帰るとリビングにコーヒーやコーラをぶちまけたと思わしき跡やところてんが散らかっていたんだ。片付けぐらいしとけよな……。
「ん。お主は一緒にいたのではないのか?」
「いいや?紫乃の家に泊まりに行っていた」
まぁ、お陰でオレは巻き込まれずに助かったけど。
「オマケに今週末はプールの罰掃除だよ。はぁ……」
「…………重労働」
隣でムッツリーニがそう呟いた。でも、実際その通りだと思う。
「だよね。あんなに広いところを掃除なんて、考えただけでも気が滅入るよ」
「褒美というほどじゃないが、『掃除をするならプールを自由に使ってもいい』と鉄人に言われたぞ」
「え?そうなの?」
「ああ。だから秀吉とムッツリーニも来ないか?」
ん?オレは?
「ちょっと待て。オレにお誘いは?」
「何言ってんだ光正?お前は強制参加に決まってるだろ?」
……あれおかしいな?何でオレの意見って毎回聞かれないんだろう?
「ただし、光正とムッツリーニには掃除を手伝ってもらうけどな」
「………」
オレもですか。というか、ムッツリーニが頷こうとしていたのに雄二の言葉を聞いて動きを止めたぞ。まぁ、さっきムッツリーニ自身が言ったように、プール掃除は重労働だからな。労働したくねぇ……。
「ちなみに、姫路と島田にも声をかけるつもりだ」
「………ブラシと洗剤を用意しておけ」
即答だった。どうせ二人の水着を見たいのだろう。
「うむ、そうじゃな。貸切のプールなぞ、こんな時でなければなかなか体験できんじゃろうし、相伴させてもらおうかの。無論、ワシも掃除を手伝おう」
「え?結構大変だと思うけど、いいの?」
「うむ。お安い御用じゃ」
秀吉は自ら進んで掃除をすると言い快諾していた。
「おい。オレもプール掃除強制なのか?」
「当たり前なことを光正は何言ってるの?」
いつかこいつらに仕返ししてやる……!
「んじゃ、あとは向こうの二人だな。おーい、姫路、島田ー」
よく通る声で雄二が二人を呼ぶ。
「どうしたの坂本?何か用?」
「呼びましたか、坂本君?」
すると、呼ばれた二人はすぐにやってきた。
「二人とも今週末は暇か?学校のプールを貸切で使えるんだが、良かったらどうだ?」
「「え?」」
プールという単語で二人が一瞬ビクンと反応する。
「ん?二人とも何か予定でもあるの?」
一応オレが聞いてみる。さすがに雄二たちも強制はさせないだろう。ああでも、二人がいないとムッツリーニの来る可能性が減少するけど。
「い、いや、別に予定はないけど。その、どうしようかな……?プールっていうと、やっぱり水着だし……」
「そ、そうですよね。水着ですよね……。その、えっと……」
島田さんは自らの胸部へ姫路さんは自らの腹部へ、それぞれ視線を送る。というか、プールに水着じゃなかったら何で泳ぐつもりだ?ダイビングスーツ的なヤツか?
「まぁ、お前らにはお前らの悩みがあるんだろうが……一つ言っておくと、秀吉は来るぞ。水着姿を明久に見せに、な」
雄二はそう言うが、別に秀吉は兄さんに水着姿を見せにくるわけじゃない。つまり、これは二人を誘うための狂言だ。
そんな雄二の言葉を受けて、島田さんと姫路さんは目つきを変えて秀吉に鋭い視線を送った。
「ひ、卑怯よ木下!自分は自信があるからって!」
「そ、そうですっ!木下君はズルいです!」
「???お主らは何を言っておるのじゃ?」
二人に非難されて秀吉は困惑の表情を浮かべる。
「で、どうすんだ二人とも?」
「い、行くわ。その、イロイロと準備して……」
「そ、そうですね。準備は大事ですよね」
複雑そうな顔をしながらも、参加を決意したようだ。というか、秀吉の性別が男って認識しているよね?
「そう言えば、いい加減水着を新調せねばならんのう。丁度良い機会じゃから買いに行ってくるかの」
秀吉が顎に手を当てて呟く。
「う、ウチも新しいの買おうかな……?」
秀吉につられたのか、島田さんも水着を新調するようだ。
「あれ?でも美波ちゃん。この前の水着の話をしていた時には『去年買ったばかりで今年は要らない』って……」
「み、瑞希!余計なこと言わないの!こ、今回買うのは……そう!勝負用だから別口なのよ!」
「島田。焦って更に墓穴を掘ってるぞ」
「少し静かにした方が身のためだよ?」
「……気のせいよ」
というか、勝負用って言ったら兄さんは勘違いして競泳水着とか思ってるぞ?絶対に。
「あ、そうだ雄二に光正。霧島さんと天草さんにも声をかけておいてね」
「……言われなくてもそのつもりだ」
「もちろん声を掛けるよ」
だって、後に知られようのものなら……うん。あれだね。
「うんうん。雄二も大人になったね。まぁ、光正が天草さんを誘うのは分かってたけど」
「いや、そういう問題じゃない」
そう。特に雄二はそういう問題で済む話じゃない。
「???それじゃ、どういう問題さ」
「いいか、想像してみろ明久。俺の立場で、後々になってから翔子に知られるという状況を」
……あんまり想像したくねぇなぁ……。
「樹海の奥……いや、湖の底……」
「俺の死体の処理の方法まで想像する必要はないが、まぁそんなところだ」
素直じゃない雄二でもそこまで来たら声をかけざるをえない。
「とにかく全員オッケーのようだな。んじゃ、土曜日の朝十時に校門前で待ち合わせだ。水着とタオルを忘れるなよ」
そんな雄二の締めの台詞とほぼ同時に、鉄人がドアを開ける音が教室に響いた。
「紫乃。今週末空いてる?」
「光正からのお誘い!?も、もちろん空いてるけど……」
「プールに行かない?」
「プール?でもまだ時期が早いと思いますよ?」
「いやねぇ……
――――――事情説明中―――――――
…………ということなんだ」
「なるほどです。……ということは水着を新調しないと」
「ん?どうして?」
「光正には関係……ある?」
「???でも紫乃なら何着ても似合うと思うよ?」
「光正……」
「ただ、胸が余りそうな奴はやめた方がふベガぁ!?」
「今言ってはいけないこといいましたね!ふーんだ。似合う水着にするもん!」
「ははは。期待してるよ」