バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
皆様、これからもよろしくお願いします!
また誤字報告をしていただいた
ぽん吉様
ありがとうございます。誤字を見つけたら報告していただけると嬉しいです。
軽い準備体操を終え、一泳ぎした後にオレは秀吉と雄二と共にビーチボールで遊んでいた。
「それにしてもお主は泳ぐの速いのう。はい、光正」
「まぁね。一応遠泳も出来るよ。ほい、雄二」
「本当に多彩な奴だな……そら、秀吉」
オレたちは平和そのもの。プールの中でビーチボールをトスしたりレシーブしたりして遊んでいる。先ほど、島田さんと姫路さんのよく分からないやり取りもあったが、特に気にしていない。
「そういや、雄二は霧島と一緒にいなくて良いのかの?はい、光正」
「そうそう。一緒にいなくていいの?ほい、雄二」
「別に四六時中一緒って訳でもねぇしな。それに、今は天草と一緒にいる。そら、秀吉」
「ほう。にしても、天草と霧島は仲がよいのう。はい、光正」
「あーうん。昔からの友達らしいよ?ほい、雄二」
「なるほどな。そりゃ、翔子も天草とは一段と仲がいいわけだ。そら、秀吉」
実に平和なやり取りだ。兄さんが会話にいないだけでこんなにもスムーズにかつ被害者0で会話できるのか。
「おーい、霧島さーん!天草さーん!」
ん?あの兄さんが霧島さんと紫乃に何の用だろう?あぁ、葉月ちゃんも一緒に居るから、何かのゲームをしたりして、遊ぶのだろう。
「平和な一時じゃな……」
「そうだねぇ……」
「そうだな……お?なんだ?いきなり足が――」
「ん?大丈夫雄二?」
「おわぁっ!?だ、誰だ!?誰が俺を水中に(ガポガポ)」
雄二が溺れかけていた。
「全く雄二ったら。何を学校のプールで溺れ……」
一瞬で水中に引きずり込まれた。
「ゆ、雄二に光正!?大丈夫かの!?」
大丈夫って言われたら大丈夫だ。雄二みたく暴れていると無駄に体力と酸素を消費するだけ。
ここは落ち着いて、水中に引きずり込んだ犯人である紫乃が何を考えているのかを見るべきだ。
『どうして溺れてくれないの!』
彼女はこう目で訴えかけてきている。うんうん。何故溺れないといけないんだ?後、いい加減足を解放しろ。
『溺れてくれないと次のステップに行けないじゃない!』
一体オレの彼女は何を吹き込まれたんだ?彼氏を溺れさせて一体何をしようというのだろうか。
『何が狙い?』
『水中鬼って遊び。光正を溺れさせて人工呼吸をしたら私の勝ちなの』
ほほう。つまり、オレが溺れなければオレの勝ちになるのか?いや、違うな……
『紫乃ちょっとおいで』
『???いいけど』
手招きをして彼女を呼び寄せる。さっきオレを溺れさせて人工呼吸をしたら紫乃の勝ちって言った。ということはだ。
『光正やめて!笑いがこらえられない……!』
脇とかお腹とかをくすぐって笑わせる。水中で笑うと、当然だが空気が口から出ていく。まぁ、普通は浮上すればいいけど、オレが拘束しているから無理か。というか、くすぐり攻撃は紫乃弱いんだなぁ。頭の中にメモメモっと……
カポッ
一際大きな気泡が口から出てくる。うん。紫乃が水を飲む前にやっとかないと、ガチで命に関わるからな。
彼女の口を口で塞ぎ、空気を送り込む。
「んっ……」
そして、口を放し、浮上する。
「ぷはぁ……し、死ぬかと思った……」
「あははは」
「わ、笑い事じゃない!」
「いや~オレの勝ちだね」
「え?」
「相手を溺れさせて人工呼吸した方が勝ちなんでしょ?」
「何でこの男には勝てないの……というか、息長く続きすぎじゃない?」
「ん?肺活量が多いからな」
「……絶対そういう問題じゃないと思う……」
彼女は一体何を問題にしているのだろうか?
「ねぇ光正。気付いたけど……」
「ん?」
「水中だと皆にバレずにキスできるんだね」
「じゃあする?」
「いや、やめとく。ちょっと……というかかなり疲れたし」
「そうだね。まぁ、紫乃があんな遊びをするからだけど」
「想定外だった。光正が溺れても慌てなかったのが」
「溺れた時はまず慌てずに対処する。常識でしょ?」
「普通は分かっていてもできないの」
そういうもんかな?
「じゃあ、あがりますか」
「そうだね~」
オレたちの水中鬼はオレの勝利で幕を閉じた。さぁ、雄二と霧島さん、それに巻き込まれた兄さんの三人での水中鬼は誰が勝者となるのやら。……多分雄二が勝つことは無いな。
「あれ?プール使ってるの誰かと思ったら代表と紫乃だったの?」
オレと紫乃がのんびりと休憩していて、雄二たちの水中鬼を眺めているとどこかで聞いたような声がプールに響いた。
「……愛子?」
「あ、ほんとだ」
霧島さんが動きを止めて声のした方を向く。雄二と明久も死闘を一旦中止して同じほうを見た。もちろんオレと紫乃もであるが。
「Aクラスの工藤さん。あれ?どうしてここにいるの?」
そこにいたのはAクラスの工藤愛子さん。試召戦争でムッツリーニと戦っていた。 まぁ、あれ以降、清涼祭の準備で多少関わったかな?ってレベルの人で兄さんとかは名前が出てこないかもしれない。
「ボク?ボクは水泳部だから」
「そうか。だが、今日は水泳部は休みになっているはずだぞ?」
あー掃除という名目のためにか。
「うん。すっかり忘れていて学校に来てやっと思い出したんだけど――――人の声がしたから寄ってみたんだ。良かったらボクも混ぜてもらっていい?」
「雄二どうするの?断る理由ないけど」
一応断るとは思えないけど、今回のプールメンバーを集めた雄二に尋ねてみる。
「ああ、別に構わないぞ。俺たちのプールってわけでもないし――」
言葉を区切って雄二が島田さんたちのいる方を指差す。
「――既に一人、誰かが増えているみたいだしな」
見てみると、そこには一人知らない女子が増えていた。
『お姉さまっ!どうしてプールに行くのならミハルに声をかけてくれないのですか!?ミハルはこんなにもお姉さまのことを愛しているのに!』
『ミハル!?アンタどうしてここにいるのよ!プールで遊ぶなんて誰にも言わなかったはずなんだけど!』
『ミハルにはお姉さまを害虫から護る為の特別な情報網がありますから!』
あれは誰だろう?島田さんの知り合いらしいけど、仲良しには見えない。現に島田さんはその女子から逃げ回ってるし。
「(ぶるぶる)また、胸のある女子が増えた……」
「えーあれBカップぐらいだよ?」
「駄目だ。胸がある時点でオレの天敵だ」
「天敵しかいないじゃない……」
それは仕方のないことだ。
「なにやら賑やかになってきたのう」
秀吉が危なげない泳ぎで兄さん達の方に向かっていった。その後ろには姫路さんと葉月ちゃんが時折足をつきながらこ向かっている姿が見える。葉月ちゃんは泳げないわけではなく、姫路さんのペースに合わせてるようだ。
「あれ?優子――じゃないみたいだね。弟君だっけ?」
「ふむ。そうじゃが。お主は姉上の友人かの?」
「うん。クラスメイトなんだ。あのさボクも泳いでいいかな?」
「ん?遠慮する事はなかろう。ここは学校のプールじゃからな」
「まぁ、気付いたら一人増えてるレベルだし、もう一人増えても変わらないでしょ」
「ありがと。それじゃ、水着に着替えてくるね」
スポーツバッグを掲げて更衣室をの方に向かう工藤さん。すると、その途中で振り向いて。
「覗くなら、バレないようにね♪」
と言い残していった。
本人公認の覗きか……ここは、どうするべきか。
「……雄二。今動いたら捻り潰すから」
「明久君。余計な動きを見せたら大変な事になりますよ?」
「光正。動いたら沈めるから」
兄さんと雄二の二人だけでなく何故かオレまでもが迂闊に動けなくなった。まぁ、沈めらてもある程度息は持つけどね。さぁ、残ったムッツリーニはどうするつもりだろうか?
「ってムッツリーニがいないね。どうしたんだろ?」
兄さんの言うとおり、ムッツリーニの姿が見当たらない。うーん。あのムッツリーニが静かにしているのはおかしい。
「ムッツリーニならば、ほれ、向こうで血液の補充で忙しそうじゃぞ」
「……なるほど。どうりで静かなわけだよ……」
カメラを構える余裕なんてなく、必死に血液パックを付け変えている姿がやけに哀れに思えた。