バカとテストと召喚獣~オレと兄さんとFクラス~ 作:アカツキ
昼休みの終わるチャイムが鳴り響く。そして、それは僕らFクラスとDクラスの戦争の開始を意味するものであり……
「回復試験をお願いします」
「右に同じく」
「科目はどうしましょう?」
「現代文からお願いします」
「右に同じく」
オレたち点数無い組の回復試験の開始を意味するものである。
回復試験は試召戦争中に受けられるテストのこと。文字通り、召喚獣の点数を回復するものだが、正確には違う。点数が回復するとは限らない。では、どういう場合に回復しないのか?簡単だ、ここのテストを受けに来た時より低い点数を取ればいい。この回復試験は普段の試験と違い切り上げが可能。要するに一時間まるまる回復試験に当てる必要はないのだ。だから……
「先生。次、古典」
「……失礼ですが、切り上げるの早くありませんか?」
「いえ、主人公の気持ちとか脇役の気持ちとか一切わかんないんで」
「は、はあ……」
どれくらい経っただろうか?いや、実際そんなに経っていないと思うが、秀吉たち先攻部隊が全員補充試験に来ている。うん。つまり今戦っているのは兄さんたち中堅部隊。
「先生。化学切り上げます」
「分かりました。…………はい。採点終了です」
点数は……まぁ、こんなものか。それにしてもさすが高橋教諭。採点の速さに定評があるお方だ。
さぁ、ダッシュで戦場へ……
ピンポンパンポーン《連絡致します》
この声は……須川君だっけ?でも、何故放送室に?
《船越先生、船越先生》
???何故、船越教諭?一体戦場では何が起きているんだ?
《吉井明久君が体育館裏で待っています》
……あ、偽情報だこれ。だって、兄さんは中堅部隊の隊長を任されている。そんな兄さんが試召戦争を放っておいて
《生徒と教師の垣根を越えた、男と女の大事な話があるそうです》
船越教諭。数学の教師で四十五歳女で独身。婚期を逃し、生徒たちに単位を盾に交際を迫るようになった。あー、兄さんが体育館裏に行こうものなら、兄さんの貞操が危険にさらされるだろう。まぁ、どうでもいいけど。
「なんか……戦場に向かいたくないな」
こうしてオレは独断で、教室に戻ることを決めた。
『須川ぁあああああああっっ!』
尚、遠く彼方より、犠牲となった我が兄さんらしき人の声が聞こえた気がしたが……無視しよう。
「お、光正か。戻ってきたんだな」
「ほい、これ今のオレの点数一覧」
「…………酷いものが混ざってるが気のせいか?」
「予想の範疇だろ?それで作戦は?」
「ああ、下校している生徒が見えたら始めるつもりだ」
「了解だ」
「さて、そろそろ明久を回収に行くか」
「そうだね」
兄さんも無事(?)回収出来て、もうすぐ下校時間。ん?オレの役目はって?そんなの……
キーンコーンカーンコーン
下校時間を知らせるチャイムが鳴り響く。すると、AクラスやBクラスなどの他クラスから人が出てき始めた。よし……
バンッ!
「Fクラス吉井光正。Dクラスの代表に化学で……」
「Dクラスの中野が受けます。
「近衛部隊か……まぁいい。
『Fクラス 吉井光正
化学 312点
VS
Dクラス 中野健太
化学 81点 』
オレの召喚獣がその姿を現すが……
「武器多すぎじゃね?」
背中には両手長剣が一本と両手槍が一本。左右の腰にレイピアと太刀が一本ずつ。黒いコートの左右の内ポケットには短剣が一本ずつ。計五種八本の武器がある。ただし、盾とかそういうものはなさそうだ。
「Dクラス!ここに後三人を残して、残りは廊下出てFクラスに攻め込むぞ!」
『了解!』
……バカめ。これが狙いなんだよ。この単独強襲はDクラスの代表を教室の外に追い出すことが重要だ。
「布施先生。もう少し教室の中に入りましょう。廊下までフィールドの影響が出ると厄介です」
「わ、分かりました」
これでフィールド同士が干渉しなくて済む。
干渉というのは簡単に言えば、違う科目のフィールド同士がぶつかって両方ともキャンセルされること。これを戦略に組み込んでワザとやることはあるが今は意味がないどころかマイナスだ。
「「「
『Dクラス モブ×3
化学 78点&92点&87点』
「さぁ、ゲーム開始だ!」
オレの召喚獣は両手長剣を持ち、四人に向かって突撃する。
『こっちは四人だ負けられるかよ!』
『それに点数の合計なら私たちの方が上でしょ!』
『ここで貴方を倒します!』
『Dクラスに挑んだことを後悔させてやる!』
四人の召喚獣とオレの召喚獣がそれぞれの得物を手に交錯する……